東欧に位置するハンガリーはドナウの真珠と呼ばれるブダペストを首都に有し、長く観光、農業の国として有名でした。
しかし、30年前の民主化以降、西欧の工業メーカーの進出、アメリカ、中国の外食産業の進出により外国人居住者の数も増えてきています。
また、
- 独自の通貨フォリント(Ft)を用いていることから、通貨としてユーロを用いている他のヨーロッパ諸国と比較して、ハンガリーは不動産をはじめ、ほとんどの物価が安いこと
- ハンガリーはシェンゲン協定加盟国であり、他のヨーロッパ諸国への行き来をパスポートコントロールなしに行えること
から、ハンガリーに居をかまえて仕事をする個人投資家やプログラマーも少なくありません。
生活する上での便利さでは他の西欧諸国とそん色ないのも人気の理由です。
日本人の目から見ると、ブダペスト市内だけで1,000人と比較的日本人が多く、また、ハンガリー人の中には親日家が多く、日本人に対する印象が良いことなども、暮らしやすい一面です。
ここでは、そんなハンガリーの物価事情を、ブダペストに3人家族として居住する場合の生活費、出費を例にとりながら紹介します。
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ハンガリー労働者の収入はどれくらいなのか?
ハンガリーで働いている人たちの収入の話の前に、まずは、ハンガリーで使用されている通貨ハンガリーフォリント(HUF、Ft)について少し説明します。
フォリントはハンガリーの独自通貨で、日本円との換算レートは大体為替手数料も入れて平均100円=245フォリント程度です。
同じヨーロッパ大陸に位置していることから、ユーロの影響を強く受け、米ドル、日本円に対する為替の変動はユーロと同じ動きをします。ただ、ユーロが極端に弱くなる時などは、独自の動きをすることもあります。
最近の報道によると、ハンガリー人の平均賃金は月収の額面で30万フォリント程度です。
この平均賃金は年々上昇している傾向にあります。
ただし、これはあくまでも平均賃金であり、いわゆるブルーカラーとホワイトカラーではずいぶんと異なります。
ホワイトカラーの一例として、あるハンガリー資本の会社のシニアマネージャークラスになると月給50万フォリントくらいになります。
後ほど、ハンガリーで生活する上での生活費を紹介しますが、これを高いとみるか、安いとみるかはその収入源によって大きく異なります。
ハンガリーで働く人たちの職種
先にご紹介した通り、ハンガリーで働く人たちにはいろいろなカテゴリーがあります。
日本人で言えば、大きく分けて3種類で、
- 少数派ですが、ハンガリーの企業に就職し、ハンガリー企業の基準に従ってフォリントで給料を受け取るケース
- トレーダーやプログラマーなど、インターネットを駆使して仕事をして、収入を得る、いわゆるフリーランス
- 一番多いですが、日本の企業から派遣されてハンガリーで働く、いわゆる駐在員
です。
ハンガリーにはスズキの工場があり、ヨーロッパ向けの自動車を製造していますので、スズキやその関連会社からの駐在員が多くハンガリーに居住しています。
かなり少数派になりますが、日本人学校や、大学の職員として働く日本人もいます。
このような事情なので、駐在員のように日本から給料を支給されている人達と現地企業から給料をもらっている人では感じ方がかなり異なるでしょう。
特に地元企業で働いている人は収入の約3分の1を税金、年金、健康保険で持っていかれるので、手取りがかなり減ります。
ハンガリーの就労については、こちらの記事「ハンガリーで働く前に知るべき6つのこと」を参照ください。
それでは、次にハンガリーの物価、生活費を例を挙げて紹介しましょう。
ブダペストの家賃
これが一番大切ですが、ブダペストのどこに住むかにもよりますが、家賃は東京に比べるとかなり安く感じます。
ブダペストはドナウ川をはさんで
- 王宮のあるブダ側
- その反対のペスト側
に分かれます。
ペスト側のほうがオフィス街や大学が多く、ビジネスの中心のような感じですが、家賃は安めです。
ブダ側はペスト側に比べて治安が良いと言われており、日本大使館があるためか、日本からの駐在員はブダ側に住む傾向があり、家賃も高めです。
ここで例に挙げるのはペスト側の中心から少し外れた8区に住む未就学児を持つ三人家族です。
彼らの住居はベッドルーム2つ、リビングキッチン1つ、バスルーム2つにバルコニーを合わせて72平方メートルの築15年の物件で家賃は月15万フォリントです。
日本円に直すと6万円ちょっと。
ブダペストの中心街まで10分で行ける地下鉄の駅まで徒歩5分という立地を考えると東京よりだいぶ安いと感じるでしょう。
この物件は家具付きではないので、家具付き物件だとこの2割り増しくらいで20万フォリントくらいでしょう。
ちなみに街の中心近くの物件だと、家具付きで同じ広さで30万フォリントくらいの家賃になります。
これらはもちろん立地と築年数、家具のあるなしで変わってきますので、一概に比較はできませんが参考にはなると思います。
公共料金
この3人家族の例では、電気代は大体月5,000フォリント程度です。
このマンションは水道、ボイラー(お湯とセントラルヒーティング)に共同スペースの管理などをすべてまとめて共益費として払っていますが、これが大体月35,000フォリントくらいかかります。
もっと規模の小さいアパートならこの費用はもっと抑えられるでしょう。
ハンガリーの食料物価
食費として食料品の
- 物価
- 外食代
に分けてご紹介します。
食品の物価としてはおおむね以下の通りになります。
一般的なハンガリー人が日常で食べているレベルの食品で、ポピュラーなスーパーマーケットのある日の価格です。
もちろん、有機農法の野菜など良いものを求めるともっと高くなります。
補足情報として、生活費とすこし離れますが、ハンガリーでは肉も野菜も基本量り売りが基本です。
最近ではスーパーなどでトレイにパックされたものも売られ始めました。
お肉の物価
肉類1キロの値段としては、
- 鶏むね肉が2,625フォリント
- 豚ひき肉が1,658フォリント
- 豚ももスライス(ポークソテー用)が1,735フォリント
- 牛肩肉が2,400フォリント
ハンガリーは海がないので、魚介類は基本的に肉よりもかなり高いです。
例えば、サーモン1キロが4135フォリントで売っていました。
野菜の物価
次に野菜類です。これも1キロの値段になります。
- トマトが499フォリント
- パプリカは950フォリント(ハンガリー人の大好きな野菜の一つ)
- 玉ねぎは170フォリント
- ニンジンが100フォリント
- ブロッコリーは800フォリント
- キャベツが150フォリント
です。
ハンガリー国内で作れる野菜は日本に比べるとかなり安いです。
きゅうりは1本売りで、270フォリント、ただし、日本の5倍くらい大きいです。
フルーツ類の物価
フルーツ類は時期によって価格が異なります。
旬のものは安くて美味しいですが旬の時期は日本よりかなり短く、イチゴなどはあっという間に売り場から消えてゆきます。
- リンゴはキロで430フォリント(大体1個75フォリント)
- 洋ナシは800フォリント(1個170Ft)
- バナナは450 フォリント(1本75フォリント)
- オレンジが600 フォリント(1個40フォリントくらい)
- イチゴは2,400フォリント( 250gパックが600フォリント)
です。
ドリンク類
水は普通のミネラルウォーターが1.5Lで200フォリント程度、100フォリントを切るものも時々ありますが、エビアンは480フォリントします。
なぜか量が増えるほど安くなります。
ソフトドリンクは大体みな同じ値段で例えば
- コーラが1.25Lで290フォリント
- 100%オレンジジュースは1リットル350フォリント
くらいです。
ビールは日本よりも大分安く、500mL缶が1本300フォリントくらいで売っています。
発泡酒的なものになるとコーラよりも安いことがあります。さすがにワインはブランドと年によって価格が異なりますが、一般的なものであれば大体1ボトル1500フォリント、1.5リットルのペットボトルに入っていて1000フォリント以下の激安品もあります。
その他の食品の物価
- 牛乳が1リットルパックで300フォリント
- ダノンのヨーグルト4パックで420Ft
- 卵が10個1パックで500フォリント
といったところでしょうか。
主食の炭水化物食品の物価
- ライムギパン1芹(500g)が400フォリント
- パスタ(スパゲッティ)が500gパックで200フォリントくらい
とかなり安く感じます。
日本人にとってはお米は大切な炭水化物ですが、SOSの青というこちらで普通に売られている米が日本米に比較的近く、そのためか、他の長米よりも高く、キロ540フォリント程度です。
日本人を意識したブランド米である欧州産こしひかり「ゆめにしき」はもっと高く、5キロで6,000フォリントくらいします。
日本の食材
ハンガリーに長く住んでいると時々日本の食材が欲しくなります。
それらは、アジア食材店に行けば大体手に入りますが、日本と比べるとかなり高価です。
例えば、
- おかめ納豆が3パックで1,200フォリント
- しょうゆは大きなスーパーであればキッコーマンのものが手に入り、1リットルで1,500フォリント
- そばうどんの乾麺が500gで1,000フォリント
- ハウスのインスタントカレールーも150gサイズのものが1,500フォリント
くらいでしょう。
ハンガリーの外食費の目安(ランチや夜食)
ブダペストでの外食はどこで、何を食べるかで価格がずいぶん違います。
ショッピングセンターの中のフードコートなら、ランチであれ夕食であれ、1,500フォリントから2,000フォリント出せば普通に美味しいものが食べられます。
ランチであれば、スープ付きのランチセットを1,000フォリント程度で出しているレストランもあります。
同じフードコートにある店でも、外資系のマクドナルド、バーガーキング、KFCなどは他よりも少し高めです。
そうは言っても例えば、マクドナルドのハッピーセットが790フォリントなので、日本よりも大分安く感じるでしょう。
有名なお店や街の中心地で観光客が多い場所にあるレストランなどは値段が高めに設定されていて、昼食で3,000フォリント、夕食で5,000フォリントくらいは覚悟しなければなりません。
日本のレストランで食べるよりもだいぶ気軽に食べられるのはフォアグラです。
ハンガリーはフランスに次いで世界第2位のフォアグラ生産国、輸出国なので、レストランでもフォアグラのソテーが6,000フォリント程度で十分量食べられます。
これも値段はレストランのグレードに依存しますが。
ハンガリーの生活雑貨の物価
普段の生活の中で必要な雑貨類の値段は大体以下の通りです。
歯磨き粉:900フォリント/75mL
シャンプー:750フォリント/400mL
リンス:800フォリント/200mL
ボディーソープ:900フォリント/750mL
食器用洗剤:700フォリント/900mL
洗濯用洗剤(アリエール):3,500フォリント/3,250mL
これらも一般的なものを選びました。ブランドにこだわりがある人などはもう少し価格が上がることを覚悟してください。
交通機関の料金
駐在員は会社から車を支給されるケースも多いようですが、ブダペストの街中はバス、トラム、地下鉄が東京ほどではないですが、充実していますので、車を持つ必要は基本的にはありません。
バス・電車・トラムの料金
これらの公共交通機関の値段はバス、電車、トラムが共通で、1回350フォリント(シングルチケットと呼びます)、トラムやバスは乗り換えるともう一度チケットを新しくしなければなりません。
地下鉄は1枚のシングルチケットで乗り換えが可能です。
この公共交通機関共通の1カ月券が9,500 フォリントで購入できます。
タクシー
タクシーは基本料金が450フォリントで、その他70フォリント/分か280フォリント/kmのどちらかがが道路の込み具合によって適用されます。
基本料金は日本のいわゆる「初乗り」ではなく、基本料金で、これに加えて走行料金がかかります。
ブダペストの交通機関の利用方法はこちら「ハンガリー・ブダペストの交通機関(地下鉄・トラム・バス等)の乗り方」をご覧ください。
携帯&インターネット通信費
ハンガリーの基本的な通信費の情報としては、携帯代金がトップアップ方式で通話のみのプランが19フォリント/分、データ通信1G付きのプランで 1,245フォリント/月です。
トップアップ方式とは日本のプリペイド携帯と同じで、月額基本料がなく、使った分だけ支払いと言ったものです。
自分からかけることが少ない人はこれが良いでしょう。
携帯の月額プランももちろんあります。
例えば、通話とSMS併せて100回までに10.5Gのインターネット接続でひと月5,825フォリントというプランがリーズナブルでしょう。
自宅でのインターネット接続も色々とプランがありますが120/10 Mbit / s プランというものが非月額3,499フォリントで提供されています。
娯楽費用
テレビは、地上アナログ波が今でも使われているので、アンテナがつながっていれば無料で観られます。
しかし、ハンガリー語の放送のみです。
100チャンネルのデジタル放送だと英語放送も視聴可能で、月4,590フォリント、ケーブルテレビは27チャンネルで2,790フォリントです。映画は作品によって異なりますが、大体3,000フォリント弱です。
学費と医療費
ハンガリーの滞在許可を持っていれば基本的に診察代と学費は無料です。
医療費のうちの薬代と施術代は別途かかりますが、国の保険に入っていて、医師の処方箋があれば日本同様2割程度の負担で購入できます。
しかし、これは公立の病院、学校に行った場合です。
公立の施設では、英語が通じないことが時々あるので、これを嫌う人は私立の病院や学校を使いますが、こちらは医師の診断が1回10,000フォリント程度が相場のようです。
私立の学校の学費については、学校によって異なりますが、例えば、すべて英語の幼稚園で年間220万から250万フォリント、小学校、中学校になるともっと高くなります。
また、医療システムで日本と大きく異なる点として、歯医者はすべて私立で自費になります。国の保険が効きません。逆に不妊治療は人工授精まで国の保険でカバーされ、施術代まで無料です。
ハンガリーの一ヶ月の生活費のまとめ
家賃のところで例に挙げたブダペストに住む未就学児を持つ夫婦の場合の1カ月の出費は平均して大体以下の通りになります。
固定費である家賃、インターネットやテレビなどの費用は既にご紹介済みなので、入っていません。
- 食費(食材や飲料水、アルコール類除く):65,000フォリント
- 外食費:65,000フォリント
- 日用品(歯磨き粉、シャンプー、トイレットペーパーなど):30,000フォリント
- 服飾代:20,000フォリント
- 交通費:15,000フォリント
- レジャー:10,000フォリント(他国への旅行は含まず)
- 交際費、雑貨(友人へのプレゼントや自分のアクセサリーなど):23,000フォリント
- 電気、水道、ボイラー:40,000フォリント
- 医療費(薬局で薬を買った場合含む):17,000フォリント
合計:285,000フォリント(116,326円)
ハンガリー現地採用の場合は収入と物価のバランスは日本と同じか少し物価が高く感じますが、日本から給料をもらっている人にとっては物価が安く感じるのではないでしょうか?
今回は子供がいる家庭の例なので、単身者や夫婦二人の家庭よりも食費、交際費、医療費などが多くかかっていますがおおよその参考にはなると思います。
ハンガリー移住計画のための参考にして頂けましたら幸いです。
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