「海外に行きたい」と思ったことはありますか?でも実際に住んでみるとなると、観光とはまったく違う現実があるものです。
今回インタビューしたのは、台湾在住5年目のユンナさん。
もともとはドイツに環境留学をしていた彼女が、なぜ台湾で暮らすようになったのか。
日本の仕事を辞め、地球一周を経て、海外で生きる選択をし続けた理由。
そして、現地のカルチャーや育児、ビザの壁まで。
とことんリアルな「海外生活の舞台裏」を語っていただきました。
海外外留学からビーガン文化、そして台湾移住へ。ユンナさんが語る台湾の日常をお届けします。
Q. まずは自己紹介をお願いします
私はユンナと申します。
2019年にワーキングホリデーのビザで台湾に来て、本当は1年間滞在する予定だったのですが、気づけば今もずっと台湾に住み着いている日本人です。
Q. 海外に興味を持ったきっかけは?
高校生の頃、環境保護に興味を持っていたことが大きいです。
私の通っていた高校では、英語だけでなく、ドイツ語やフランス語、スペイン語なども選択制で学べたんですね。
その中で時間割の関係でドイツ語を選んだんですけど、ドイツは環境先進国なので、自然と惹かれました。
それがきっかけで、「ドイツに行ってみたい」「もっと環境について学びたい」という気持ちが生まれて、留学を決めました。
Q. 留学の最初の経験はどうでしたか?
高校のプログラムで12週間のドイツ短期留学に行きました。
個人での手配ではなく、学校が用意した交流プログラムだったので、最初の一歩としてはすごく踏み出しやすかったです。
Q. そこからなぜ台湾へ?
大学ではドイツ語学科に進学して、1年間ドイツに留学していました。
そのとき、ビーガンやベジタリアンに興味を持つようになったんです。
周りにもそういった食生活の人が多くて、自然と自分もそうなっていきました。
大学卒業後は日本で就職しましたが、転職を考えていて、将来的にはビーガン関係のお店をやれたらいいなと思っていたんですね。
そのとき、たまたま台湾人の知人から「台湾はビーガン天国だよ」と聞いたんです。
それが決め手になって、台湾へのワーキングホリデーを決めました。
Q. 最初の就職は日本だったとのことですが、どんなお仕事を?
日本では国際貿易に関わる仕事をしていました。就職してから約3年ほどですね。
そのあと地球一周の船旅に参加して、それから台湾に行くことになります。
地球一周というのは…?
実はそのとき「無料で地球一周できるチャンス」があったんです。
船旅の費用をポスター貼りのボランティアで賄えるという制度があって、SNSで見つけて挑戦しました。
私、全国でポスター貼りナンバーワンだったんです。1年以内に4000枚貼りました(笑)
Q. 地球一周の体験はどうでしたか?
すごくよかったです。
各地での滞在は1~2日と短いんですけど、印象に残ってるのはやっぱり「船の上での生活」ですね。
日本人だけでなく、台湾人、マレーシア、シンガポール、ヨーロッパの方々とも交流ができました。
実はそのとき、台湾人と出会って「台湾いいよ」と聞いていたので、それがさらに背中を押してくれました。
Q. 台湾に着いてからはどんな生活でしたか?
最初の2ヶ月は語学学校で中国語を勉強して、その後は南部の「高雄(カオション)」という地域のビーガンレストランで働きました。
実はそのお店も、地球一周のときに知り合った友達からの紹介だったんです。
Q. ワーキングホリデーでの仕事探しは苦労しましたか?
私の場合は紹介があったのでスムーズでしたが、台湾は日本人に対してとても親切な国なので、仕事は比較的見つけやすい印象です。
特に観光業やお土産屋さんなどでは日本語がアドバンテージになるので、有利になる場面も多いです。
Q. ビザの問題や、台湾に住み続ける経緯について教えてください
最初はワーキングホリデービザで飲食店を2店舗経験しました。
その後、日本語教師として就職し、日本語学校で教えていました。
ただ、その学校がブラックで……給料が支払われなかったり、住宅も提供されなかったりで、やむを得ず辞めることになりました。
その後、別の職場から就労ビザをもらえるはずだったのですが、台湾政府の審査で落ちてしまいました。
飲食店での就職だったのですが、私が調理師免許を持っていなかったため、「なぜ外国人を雇う必要があるのか」と見なされてしまったようです。
Q. それはかなり厳しいですね…。その後はどうされたんですか?
当時付き合っていたドイツ人の彼と結婚しました。
彼は台湾で研究職に就いていたので、私は「配偶者ビザ」で滞在を継続できるようになりました。
ドイツ人の主人とは、大学時代にドイツへ留学していたときに出会いました。
その後も長い間、遠距離での交際を続けていたんです。地球一周の出発のときには、港まで見送りにも来てくれました。
Q. ずっと遠距離恋愛だったんですね。それで台湾で再会されたと?
そうなんです。彼はたまたま台湾での仕事が見つかって来ることになって。
私がいたからというわけではないと本人は言ってますけど(笑)
でも、やっぱり縁って不思議ですよね。
Q. 台湾でのカルチャーショックはありましたか?
一番驚いたのは「ゴミの捨て方」ですね。
決まった時間になるとクラシック音楽を流しながらゴミ収集車が来るんです。
住民はその音楽を聞いたら家から出てきて、自分の手でゴミを収集車に投げ入れます。
最初はその勢いに圧倒されて近づけなかったくらいです(笑)
Q. 他にも驚いたことはありますか?
はい、「白馬に乗った警察官」です。
ある日、普通に道を歩いていたら、パトロール中の警察官が白馬に乗って現れたんです。
びっくりして理由を聞いたら、「このエリアはバイクや車が入れないから馬でパトロールしてる」と言われて。
観光地みたいで、写真も撮らせてもらえました。
Q. 台湾での子育て環境について教えてください
台湾は子育てにも本当に優しい国だと思います。
電車の中で赤ちゃんが泣いても、周囲の人があやしてくれるんです。
「大丈夫だよ」と声をかけてくれたり、知らない人が赤ちゃんを抱っこしてくれたりすることもあります。
Q. 出産後のサポート体制についても教えてください
台湾には「坐月子センター」といって、産後の女性が1ヶ月間、ゆっくり休める施設があります。
看護師さんが赤ちゃんを預かってくれて、栄養士が作った回復食も提供されます。
マッサージや子育て教室もあって、まさにお姫様扱いなんです。
お金はかかりますが、それでも「借金してでも行きたい」という人が多いほどの人気です。
Q. ベジタリアンやビーガンとして台湾は住みやすいですか?
とても住みやすいです。
台湾にはベジタリアン・ビーガン向けの飲食店がたくさんありますし、そういうライフスタイルに対して理解や尊重があります。
「すごいね」と尊敬してくれる人も多いです。
スーパーにもビーガン食材のコーナーがあるので、生活に困ることはほとんどありません。
Q. 台湾の漢方文化にも触れているそうですね
はい、漢方は台湾の生活の中でとても一般的です。
漢方専門店では、その人の脈を取って、話を聞いて、漢方薬を処方してくれます。
中国語がある程度話せないと診てもらうのは難しいですが、私は不調が和らいだ経験があるので、今では信頼して通っています。
Q. 就労ビザ取得の難しさについて詳しく教えてください
一番大変なのが「就労ビザの取得」です。
たとえ企業側が採用OKを出してくれても、台湾政府が審査で落とすことがあります。
特に、私のようにドイツ語を学んできた人間にとって、ドイツ語を必要としない仕事だとビザが下りにくいんです。
調理師免許があれば飲食業でのビザ取得も有利ですが、日本で取った免許でも経験がないとダメなこともあって。
本当に企業と自分のスキルの「マッチ度」が重要なんです。
Q. では、配偶者ビザは働けるのですか?
それが少し複雑で、配偶者が台湾人であれば働けますが、私の夫は外国人(ドイツ人)なので、配偶者ビザでは働けないんです。
そのため、台湾政府からの補助金や育児手当も受けられないんですよね。
Q. これからの展望について教えてください
今後は「小さなコミュニティカフェ」のような場所を開きたいと思っています。
カフェというよりも、趣味の合う人が集まって映画を観たり、勉強したり、自由に過ごせる空間を作りたいです。
台湾でもいいし、もしかすると別の国になるかもしれません。
夫も私も「自分の母国に戻りたくない」というタイプなので、また新しい国を探すかもしれません(笑)
最後に、これから海外で暮らしたいと考えている人へメッセージをお願いします
留学とは違って、「働いて生活していく海外生活」は本当に大変です。
言葉、文化、ビザ、全部が壁になることもあります。
でも、それでも私は「海外の方が自分らしくいられる」と感じています。
だから、もし海外に行きたいと思うなら、「自分のライフスタイルに合う国」を選んで、そしてその国の言葉を学ぶことで、その国の良さがもっと見えてくると思います。
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