高福祉社会の国としておなじみのスウェーデン。
では、一体どんな福祉制度が存在しているのでしょう?
ここではスウェーデン在住歴3年の筆者が、日常生活の中で特に恩恵を感じる2017年時点での社会福祉制度について詳しく解説します。
※いずれも対象となるのは原則スウェーデン人、長期滞在許可を取得済みの移民・難民のみです。留学ビザ・渡航ビザ(シェンゲンビザ)で滞在する場合は対象外となるのでご留意ください。
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スウェーデンは何歳になっても再勉強可能
学費が無料!
- 幼稚園 1-6歳
- 初等学校(小学+中学校)7-15歳
- 高等学校 16-18歳
- 大学 18歳~ (学部によって教育期間が異なります。)
といった、全ての教育施設が対象(※ただし、個人経営のカルチャースクールなどは有料です)。
学校は基本的に各自治体が運営しており、大学はほとんどが公立です。
私立大学も存在しますが、こちらも学費は無料。ただし、教科書は原則自費購入です。交通費も自腹。
特に大学の学費がかからないのは嬉しいところ!
また日本と違い、いろんな年齢層の学生がいます。
中には60歳以上の大学生おじいちゃん・おばあちゃんに遭遇することも。
何歳からでも再教育のチャンスがあります。
例えば40歳の社会人が医者を目指したい、医学部に入り直そう!といったことも可能です。
※学費無料はあくまでスウェーデン居住者が対象。留学する場合は学費がかかりますので注意しましょう。
スウェーデンの奨学金機構
CSN
16歳から利用できる奨学金機構。
条件を満たせば最高およそ月額38,000円ほどの給付金がもらえ、希望があれば毎月最大95,000円ほどお金を借りられます。
給付金額は勉強するコースの数・期間によって変動します。
CSNのホームページからいつでも応募可能です。
また、子どもがいる場合は人数に応じて給付金額が増えます。最大+47,000円ほどです。
給付金のみもらう場合は後に返済する必要がありません。
また、お金を借りる場合もさまざまな返済プランを自分で組むことができます。利子が低いのも特徴のひとつ。
CSNは世界の中で最も利子の低い奨学金機構で有名です。
対象となるのは高等学校以上の教育機関。移民用のスウェーデン語語学学校(通称SFI)は対象外のため注意しましょう。
また、応募条件は「スウェーデン人、滞在歴二年以上もしくは永住権を持つ移民、難民」です。
スウェーデンに移住してもすぐには貰えないので注意!
出典: CSN http://www.csn.se/
スウェーデンの医療費は20歳未満・85歳以上は無料
医療費
2017年時点で原則20歳未満、85歳以上の医療費が無料です(住んでいる自治体によっては18歳未満の場合もあります)。
公立病院・クリニックが対象。動物病院などの私営クリニックは有料です。
20歳以上になれば診察料が有料になりますが、年間にかかる医療費は最大約15,000円まで。
それ以上の医療費がかかると免除されます(※対象外の診察もあります。人間ドック・ワクチン接種など)。年間の薬代も最大30.000円を超えると免除されます。また、入院する場合もかかる費用は最高およそ1300円/日までです。
他にも細かく無料のものがあります。
- 産婦人科の受診
- 乳がん検査 (対象は40-74歳)
- 命にかかわる病気の精密検査(特に感染の危険があるもの。例:サルモネラ菌による感染症)
逆に
- 救急車、ヘリコプターによる救急搬送
- 事前連絡なしの診察予約キャンセル
これらは料金がかかります。救急搬送が有料なのは意外ですね。
出典: 1177 vårdguiden
“Patientavgifter”, “Högkostnadsskydd och frikort för sjukvård” 2016-11-10, 2017-05-18 発行
スウェーデンの求職者・失業者支援
日本ではあまり知られていないスウェーデンの求職者・失業者支援。若者の失業率の高さ・難民の大量受け入れに伴い、スウェーデン政府はこの支援に最近ますます力を入れてきています。
特に移民・難民向けの求職支援が手厚いです。
日本人のスウェーデン居住者にとっては嬉しい傾向ですね。
求職・失業者支援ともにスウェーデン版のハローワーク「Arbetsförmedlingen」で行います。
求職支援の主な内容は
- 面談、カウンセリングによる就職サポート
- スウェーデン語習得のための教育支援(移民・難民向け)
- 職種に応じた就職に必要なスキル習得のための教育支援
- 実際の企業とコンタクトを取り実務を学ぶ研修制度
などがあります。
住んでいる街ではないところへ面接に行く場合交通費が支給されるなど、金銭面でのサポートも存在します。
若者向けの特別就職支援プログラムも存在します。
対象年齢は20-24歳。
毎月給付金を受けとりながら研修を含む教育コースを受けることができます。
Arbetsförmedlingen(ハローワーク)が企業と連携して行う場合が多いため、受ければ就職できる確立がぐっと増します。
日本のハローワークが管理している職業訓練コースによく似ている制度です。
失業者に対しても同じく教育・研修・就職支援が手厚いです。違う点は失業年数に応じて給付金が発生すること。急にリストラされても安心して求職活動が行なえます。
出典: Arbetsförmedlingen
“Ny i Sverige?” “Under 25 år?” “Arbetslös länge?”
スウェーデンの住居手当
こちらも求職者・失業者支援のように知名度の低い福祉制度です。
配偶者がスウェーデン人であるための居住許可、いわゆる結婚・サンボビザを持っている人は必見。
世帯収入に応じて最大毎月およそ18,000円の住居手当をもらうことができます。
対象は18-28歳の家族(同棲しているカップル、夫婦、子どものいる家族を含む)。
Försäkringskassanという機関に申し込み、応募条件を満たしているか審査を受ける必要があります。
ある程度の収入がある場合はもらえません。
お互い学生の同棲しているカップルなどにとっては非常に助かる福祉制度。
一度支給が始まるとその後一年ごとに再度申し込み・審査を受けることができます。
出典: Försäkringskassan , “Bostadsbidrag”
家族には嬉しい!子ども手当
子どものいる家庭ではおなじみの子ども手当。
スウェーデンにも存在します。
16歳以下の子どもが対象。
申し込みの必要はなく、自動で支給されます。
子ども一人当たり月額およそ7,000円支給。あれ、意外と少ない?と思うかもしれませんがこれはシングルマザー・シングルファザーの場合。
両親が揃っている家庭はその二倍、およそ14,000円/こども一人が支給されます。
ちなみに非課税対象です。
両親が揃っている場合の子ども手当 金額表
出典: Försäkringskassan “Barnbidrag”
https://www.forsakringskassan.se/privatpers/foralder/nar_barnet_ar_fott/barnbidrag の図を一部翻訳したものです。
特筆すべきは「人数ボーナス」。
子どもの人数によって支給額がプラスされます。人数が増えるほどプラスされる金額も増えていきます。
小ネタとして、子供連れでスウェーデンに移住する場合も子ども手当が支給されます。
年齢層によって変わる!社会福祉制度の恩恵度
最後に、「どの社会福祉制度をよく利用するか」ニーズ別に紹介したいと思います。
学生になりたい方
- 学費無料
- CSN(奨学金)
- 住居手当
有名な学費無料制度のほか、認知度の低い住居手当も抑えておきたいところ。
CSNからの強力な金銭的サポートも見逃せません。
就職したい方
- 求職者支援
Arbetsförmedlingenに駆け込めばカウンセリングなどの就職サポートのほか、企業に密着した教育・研修支援も受けることが出来ます。
20-24歳ならば給付金がもらえるところも◎。
子育てしたい方
- 医療費無料(-20歳)
- 学費無料
- 子ども手当
日本と比べて最も力の入れ方が違うな、と感じるのは子育てに関する支援。
医療費がかからないことも嬉しいですが、最も驚くべきところはかかる教育費が0円であること!
さらに子ども手当により、ある程度の養育費までサポートされています。
日本の子育てはお金がかかることで有名です。一番の問題は学費。
一般的に1000万円ほどだと言われていますが、特に学費が極端に高い私立の医学部・歯学部・薬学部などに通った場合、教育費のみでおよそ2,965万円も!
スウェーデンではこの出費が一切存在しません。
スウェーデンと日本の社会福祉制度の一番の違いであると言えるでしょう。
スウェーデンの社会福祉制度のまとめ
いかがでしたか?
日本とは異なる嬉しい制度のあるスウェーデンです。
家族で移住される方には、教育費がかからない、というのは日本人の私たちからすると信じられないくらし素晴らしい制度だと思います。
ぜひ、一度、スウェーデンに足を運んで、現地の制度に触れてみてください。
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