ロシアの印象といえば、「暗くて寒い未知の世界」という感じでしょうか?
「ロシアって、一年中寒いんでしょう?」
「買い物はちゃんとできるの?」
「危ない所なんでしょう?気を付けてね。」
筆者がロシアへ移住すると報告した時、こんなご心配の声をいただきました。
ところが、ロシア在住、又は、旅行に来た方々に聞いてみると必ず「イメージと全然違った!」という感想が聞かれます。
それはどうしてでしょうか?
ここでは、そんな皆さんのイメージをガラッと変えてしまうロシア生活の意外な一面を、色々な角度からご紹介していきましょう。
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1. 意外?ロシアの冬は暑い?
ロシアと言えば『極寒の地』というイメージがありますよね?
もちろん、寒いです。
モスクワでは毎年、-25度くらいまでは下がるでしょうか。
-1度くらいだったら「今日はあったかいね。」ということになります。
ロシア在住の日本人に聞くと10人中10人が、「ロシアより日本の冬のほうが寒い」と言います。
なぜかというと、屋内がとにかく暖かいからです。
ロシアの冬は寒く命に関わるため、屋内はセントラルヒーティングで常に暖かい状態なので、コートの中を薄着にしておかないと、屋内に入った時に汗だくになってしまうこともあります。
ポイントは脱ぎ着できる服。
調節できない格好では、汗をかいて逆に風邪をひいてしまいます。
気温の下がり方により毎年違いますが、9月後半から10月にかけて、町中のアパートというアパートで『アタプレーニエ』という暖房装置が発動し、壁や床下に温水を通し建物全体がポカポカなのです。
信じられないかもしれませんが、ロシアでは、冬場も家では半袖短パンでいられるほど暖かいんです。
ですから、ロシア在住日本人が年末年始に一時帰国すると、家の寒さで風邪をひいてしまうことが多いようですね。
2. 公共交通機関の充実。本数が多く、アプリも充実
速くて便利な地下鉄
モスクワの公共交通機関でいちばん便利なのはやはり、ダントツで地下鉄です。
乗り換えもラインによって色分け表示され、慣れれば問題ないですし、とにかく速い。本数も多いので、ひとつ乗り遅れてもすぐ次に乗れます。
また、FIFAワールドカップの影響もあり、最近では英語の表記や社内アナウンスも広がっており、車両も徐々に新しく便利になっているので、どんどん進化しています。
スマホの充電ができる新車両や、なんと、ワールドカップ開催中は、車内モニターで試合観戦もできました。
交通アプリの充実
日本にも乗り換え案内のアプリがありますが、モスクワの地下鉄版のアプリもとても便利。
簡単に乗り換え情報が確認でき、どの車両が乗り換えに便利か、すぐに3つほどの候補が出てきます。
地上の交通機関(バス、トロリー、トラム、ミニバスなど)のアプリでは、何分後に次のバスが来るか、かなり正確に知ることができます。
関連記事:ロシア・モスクワの地下鉄利用方法とお得な乗り方。6種類の移動手段を紹介
また、タクシーを利用する人には、タクシーアプリは必須アイテムです。
特に
- Gett Taxi(ゲットタクシー)
- Yandex Taxi(ヤンデックスタクシー)
は、ほとんどの日本人がスマホに入れているアプリです。
アプリ内に、自分の住所を登録しておき、使う時に行き先を登録してタクシーを予約。
すると、タクシーの到着時間、車種、車番、運転手の名前や顔写真まで、全てアプリに明記されます。
カード払いのためにカード番号を改めて登録しておけば、ロシア語が話せなくても到着して会計まで済ませることができます。
FIXプライスで予約すれば、高い料金をふっかけられる心配もありません。
タクシー使用後には、アプリ内で運転手の評価をして会社に直接報告することもできるので、必ずアプリでタクシーを予約することをおすすめします。
3. モスクワは通信費が安い!
モスクワのアパートはもちろん安くはないですが、水道光熱費、そして、何より携帯通信費、インターネット料金がとても安いです。
参考:一人暮らしの場合
電気・水・温水代 :1,000円〜1,300円/月
携帯(インターネット通信2GB付き):約500円/月
家のインターネット :約500円/月
町中のネット環境もかなり整備されているので、地下鉄内はもちろん、カフェなどは大抵フリーWIFIが使えるようになっています。
日本では、夏の冷房と冬の暖房にお金がかかりますが、夏は短く、冬はセントラルヒーティングで暑いくらいなので安心です。
ただ、水道の水はそのまま飲まない方がいいので、ほとんどの方が飲み水は購入し、沸騰させて使う水は浄水ポットの水を使うなどの対応をしています。
関連記事:ロシアの携帯電話・SIM利用方法とネット環境を徹底解説
4. 親日家が多い
ロシアに住んでみて、ロシア人が日本の文化や日本についてとても興味を持っていることを知りました。
色々な場所で、「どこから来たの?」と聞かれるのですが、日本人だと知ると、「日本が大好き!」と言われることが多いです。
特に、マンガやアニメのファンはとても多く、それをきっかけに日本語を勉強している人がとても増えています。
毎年開催される日本のお祭りは、いつもたくさんのロシア人で賑わいます。
興味をもってくれるのは嬉しいですね。
今年はロシアでFIFAワールドカップがありましたが、その時の日本人サポーターの試合後の行動には称賛があつまり、さらに親日が進んできているようです。
5. 身近にあふれる芸術
ロシアは芸術の宝庫。
- バレエ
- オペラ
- クラシック
- 演劇
などは、とても身近なものであり、決して特別なものではありません。
クラシックコンサートなどは、安い席なら500円程度で購入でき、気軽に一流のオーケストラの演奏を堪能することができます。
夏のオフシーズンをのぞき、ほぼ毎日どこかで何かしらのコンサートやバレエなどを鑑賞することができます。
チケットは、劇場や町中のチケット売り場はもちろん、インターネットで簡単に購入ができるので、ロシア語で直接購入するのが心配な方にも安心です。
でも、少し慣れてきたら勇気を出して、チケット売り場で購入するのもロシア語の勉強になりますよ。
6. ロシアならではの習い事
せっかくロシアに住んでいるのなら、『ロシアだからこそ』できることがしたいですよね。
では、どんな習い事があるのか少しご紹介しましょう。
バレエ教室
ロシアで実際にバレエを観ると、ダンサー達は本当に美しくてしなやかで、憧れてしまいます。
もちろん日本でも大人向けのバレエ教室がたくさんありますが、モスクワでもとても人気があります。
日本人向けに、口コミで広がるかなり安価なレッスン料で教えてくれる教室もありますし、そこで同じ趣味のお友達ができたりして、バレエを観る楽しみも、少し目線が変わってくるかもしれませんね。
バラライカ教室
ロシアならではの音色が美しいが弦楽器、バラライカ。
これも人気のある習い事のひとつです。
個人レッスンはもちろん、お友達と誘い合わせてグループレッスンにすると割安になったりするようです。
教室主催のコンサートもあり、曲が弾けるようになったら、とても達成感もありそうですね。
マトリョーシカ絵付け教室
日本でもとても人気が高いマトリョーシカ。とても可愛らしいですよね。
モスクワには、丁寧に絵付けを教えてくれるプロの先生がいます。
写真は、実際に教室に通っていた方が絵付けをしたマトリョーシカです。本当に完成度が高い!
もちろん、ご本人の絵心のなせる技ですが、先生の教え方もとても良いと聞きました。
売り物になるほど、いや、それ以上にオリジナリティーが溢れていて、温かみがあるものができあがります。
プレゼントにしても、絶対に喜ばれますね。
7. ロシアでお仕事
ロシア語がビジネスレベルでロシア在住歴が長ければ、現地の企業に就職したり、通訳や翻訳の仕事もありますが、そうでない方の働き方はどうなのでしょうか。
ポイントは、④でお伝えした通り、ロシアには、「親日家が多い」ということ。
やる気と度胸があれば、色々な可能性があります。
日本語教師
現在モスクワでは日本語学校が増えてきており、日本語を学びたい、日本へ行ってみたい、日本で働きたい、というロシア人が大勢います。
そしてネイティブの発音や、生きた日本語会話を学びたいということから、日本人の先生に習いたい、というロシア人がとても多いです。
日本語教師という仕事は、本来日本語のみで教えることを良しとしていますので、ロシア語が話せないのは逆にメリットになり得ます。
大学で教育を学んだ方や、日本語教師の資格を持っている方はもちろん、資格が無くてもトレーニングを積めば、教授法を身につけることも可能です。
日本文化を伝えるお仕事
これも、日本人であることが最大のメリット。
茶道や華道、習字、着付けなど、ロシア人は日本の文化に興味津々です。
もし、これらに精通している方であれば、色々チャンスは開けるはずです。
ロシアでは、結構言ったもん勝ちなので、どんどんチャレンジしていけば、ひょんなことから道が開けるというのもこの国の良いところ。
口コミや紹介も、大事なお仕事のツールです。
ロシア語が話せないから・・・、と諦めないで、どんどん外へ出て、日本人である自分の個性を最大限に表現しましょう。
日本では思いもよらなかった能力が、開花するかもしれませんよ。
関連記事:ロシアの平均年収と人気職業ランキング。金銭感覚は貯金より投資?
8. 日本人コミュニティー
ロシアには、約2100人の日本人が生活しています。(2020年時点。外務省の海外在留邦人数調査統計による)
例えば、アメリカには約42万人、フランスでも約3万7000人の日本人が在住しているといわれているので、ロシアはかなり少ないと言えるでしょう。
ですから、交友関係も限られてきます。
かなり狭い世界になりますので、もちろん難しい面もあると思いますが、良い面も多いです。
例えば、ロシアでは滞在許可、ビザ関連など、役所手続きがとても大変です。
そんな時は、なるべく最近手続きをした日本人から情報を得ます。
皆が大変さを知っているからこそ、お互いに出来る限りの情報を提供し、助け合うようにしています。
それから、子育て中の方は、お母さん同士での情報交換が大切。
日本語が通じない地での子育ては、とても不安です。近くに先輩お母さんがいるだけでとても安心できますね。
このように、小さいコミュニティーならではのフットワークの軽さが良いところです。
9. 四季がある
ロシアは雪や寒さの印象がどうしても強いでしょう。
確かに冬は長く、夏は短いですが、ロシアは日本と同じように四季があります。
春には、街中が桜だらけに
といっても90%以上は造花ですが、2018年の春は、中心地のイベント会場で本物の桜を鑑賞することができました。
でも長かった冬を終え、春を迎えるイベントはロシア人にとっても、日本人にとっても、大きな喜びです。
夏は30度前後まで気温が上がり、日差しもとても強くなります。
それに日がとても長く、9時過ぎまで明るいので一日を長く楽しめます。
サンクトペテルブルクでは6月頃に『白夜祭』があり、モスクワよりさらに日が長く、観光客であふれます。
朝の4時にはもう明るく、目が覚めてしまったりしますが、仕事が終わって7時ごろ帰宅してもまるで朝か昼間のような明るさで、とても気持ちが良いです。
9月に入るとだんだんと涼しくなり、木々の葉っぱが黄色く変わり、並木道を彩ります。
そして、長い冬を迎えるわけです。
冬は冬で、街中がイルミネーションでとてもきれいです。それに、雪が降るとさらに美しく、実は冬に観光にに来るのはとてもおすすめなんですよ。
でも、年間を通して様々なイベントが行われるので、いつでも楽しめますけどね。
ロシア移住の魅力まとめ
少し、ロシアのイメージが変わったでしょうか?
もちろん日本での常識がすべて通用するわけではありませんから、色々と思うようにいかなくて、もどかしいこともありますし、嫌なことだってないわけではありません。
でも、「ここはロシアだから」と、思って楽しむことも大切です。
それらを差し引いても、たくさんの魅力がある国だから、日々新しい発見があり刺激的です。
そして、大小色々な経験をしていくうちに、ちょっとやそっとのことでは驚かないという自信も、おまけについてきます。
興味を持った方は、是非色々な季節のロシアへ足を運んでみてください。
そして、隠れた魅力を探してみてはいかがですか?
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