ヨーロッパは税金が高い国が多い地域として知られていますが、チェコも例外ではありません。
多くの場合、税込みの表示となっているので、実際にはどのくらい支払っているのか実感しにくいですが、日本に比べると高い税金を払っています。
実際のチェコ生活で、どのような種類の税金を支払う必要があるのか、年金事情はどうか、見てみましょう。
※税金や年金制度については、細かな改定がされることが多いため、最新の情報を確認するようお願いします。
チェコの税金種類
現行のチェコ 税制は1993年に導入されました。
その後、2004年のEU加盟以来、EU法に調和する形で税制改革をし、現在に至ります。
税金の種類は大きく分けて以下の3つに分類されます。
直接税
- 所得税法に基づく個人所得税や法人税
- 不動産税法および道路法に基づく固定資産税
- 不動産所得税法に基づく譲渡税
間接税
- 付加価値税法に基づく付加価値税(日本の消費税にあたります)
- 物品税法に基づく物品税
- 関税法に基づく関税
- エネルギー源の特別税法に基づく、環境税
その他の税金
その他の税金としては、チェコ の法律に基づく社会保障および公的健康保険の強制加入、条例に基づく地方税などがこれにあたります。
個人所得税と法人税
1. 個人所得税
個人の所得に課せられる税金で、チェコでは一律15%とされています。
それに加え、高所得者には連帯付加税が課せられます。
※報酬上限年額(2017年は1355136czk 約634万円)を超える所得部分に7%の連帯付加税が課せられます。
したがって、所得が高くなると15%よりも高い税金を支払う必要があります。
雇用者の課税標準は税込給与額に雇用主負担の健康保険料および社会保険料を加えて計算されます。
個人事業主の場合は法人税同様、19%の課税となります。
副業で仕事をしている場合、年間約1,5000czk(約71,500円)以上の収入がある場合には基本的には税金を支払う必要があります。
ですが実際のところ、登録をせずに副業をしているという人も少なくありません・・。
2. 法人税
会社・法人などの所得に対し、法人税が課せられます。
チェコで登記された、またはチェコを管理支配地とする会社・法人は、全世界所得が法人税の対象となります。
標準税率は19%です。
固定資産税と不動産譲渡税
3. 固定資産税
土地または建物の所有者に課せられる税金です。
税額は、地域、立地、用途によって異なります。
4. 不動産譲渡税
売買により不動産が譲渡された場合に、その不動産は不動産税の課税対象となります。
その場合、買い手が納税者になります。
また、新築の場合などは免税になる場合もあります。
5. 道路税
日本の自動車税にあたるものです。
一般的にはチェコ で車両登録された車に対し課されます。
年納税額は、
- 乗用車の場合1,200〜4,200czk(約5,720〜20,000円)
- その他の車両の場合1,800〜50,400czk(約8,500〜240,200 円)
とされています。
電気、ハイブリッド、排気量や重量などにより税金が異なります。
6. 付加価値税(VAT)と物品税
付加価値税とは、日本の消費税にあたるもので、EUやアジア諸国で物やサービスの購買時に課せられる間接税のことです。
チェコではDaň z přidané hodnotyという名称で、略称はDPHです。
チェコで買い物をする際に誰もが支払う税金です。
このDPH、ほぼ全ての場合で表示価格に含まれています。
2019年12月時点で標準税率は21%と、日本に比べるとはるかに高いです。
生活をしていく上で必要な物品、サービスに課せられている税なので、最も身近なものといえます。
お店によっては、レシートに購入品の税率が記載されている場合もあります。
標準税率21%:
大部分の商品およびサービス
軽減税率15%:
食料品、飲食サービス(レストラン)、ホテル、旅客輸送、新聞、特定の医療品、特定の医療機関、暖房、養護施設
軽減税率10%:
ベビーフード、特定の医薬品、書籍、グルテンフリー食に適した乳製品および他製品
VAT登録の義務
原則として、チェコの所在地を構えている企業は、連続する12ヶ月間の売上高が100万czk(約478万円)を超えた場合には、VAT登録の義務が生じます。
所在地を構えていない企業の場合は、所得額の規定は特にありません。
しかし、チェコ のVATの対象となる供給を実施していたり、チェコから他のEU諸国へ財貨を供給していたりする場合には登録の義務があります。
7. 物品税
アルコール飲料、タバコ、石油などが原則として物品税の対象になります。
8. ゴミ税
チェコで生活をする人すべてにゴミ処理のための税金が課せられます。
年に一度の納税で、その金額は地方自治体により異なります。
また、子供や高齢者は減税になる場合があります。
日本のように、規定の有料ゴミ袋などは一切ありません。
また、道路沿いのゴミ箱の数は日本に比べるとはるかに多いと言えます。
免税手続き
日本からの旅行者は、チェコ のTAX FREE加盟店で1日1店舗当たり2,001czk(約9.808円)以上を購入した場合、商品購入金額の約11〜14%が還元されます。
ヨーロッパの場合、商品を購入した店でパスポートを提示し免税手続き書類をもらい、EU圏内の最終出国空港で払い戻し手続き(スタンプをもらうことになります)を行うことができます。
ただし、購入した商品を開封してしまうと、免税対象外になるので注意が必要です。
また、免税申告はあくまでも自己申請なので、希望する場合には購入時に自ら申し出る必要があります。
税関印受領期限:
購入付き末日から3ヶ月以内
払い戻し申請期限:
購入月から6ヶ月以内
必要な税関印:
チェコ 、またはEU圏内の最終出国税関
<注意事項>
- 食品、アルコール飲料、ガソリン、武器、車は免税対象外です。
- パスポート番号の記載がないものは払い戻しの対象外です。
- 払い戻しの申請時にレシートの原本が必要です。購入店であらかじめレシートを免税書類にホッチキス留めしてくれる場合が多いですが、自身での確認が必要です。
免税の手続き方法
- TAXFREE加盟店で買い物をしたら、免税手続き書類を発行してもらう
- EU圏内の最終出国空港で免税書類に輸出承認印を押してもらう
必要なもの:免税書類、購入品のレシート、未使用の購入品、搭乗券または航空券、パスポート - 還付金を受け取る
チェコでの税金の使われ方
国民から収められた税金は、社会保障制度や年金制度に使われます。
チェコでは、60歳を超えた人は退職し年金生活を送っている人が少なくありません。
その年代の人たちは社会主義時代の物が手に入りにくい時代を生きてきた経験があるためか、本当に物を大切に、慎ましく生活をしている印象があります。
チェコで暮らす人々が支払っている税金の多くは、そういった人たちの暮らしを支える年金や、医療、教育などに使われています。
チェコでの医療費について、公立の病院は基本的には無料です。(特別な処置や特別な薬は別途支払いがあります)
また、幼稚園や公立の学校(大学を含む)についても、基本的に無料です。
さらに、出産・育児休暇は子供が3歳になるまで取得でき、その間の補助も出ます。
チェコの年金事情
年金については、日本と似ています。
勤めている人は毎月の給料から差し引かれますが、それ以外の人は年金だけを支払う必要があります。
働いた年数や収めた税金の金額により、将来もらえる年金額が変わってきます。
ただし、日本と同じように、今現在仕事をしている人が将来実際にいくらもらえるかというのはわかりません。
ちなみに、2019年時点一人あたりの年金受給平均額は1ヶ月1,3000czk(約61,850円)となっています。(参照ページ)
日本もチェコも、年金を受けるためには一定の期間以上の年金制度の加入が条件としてあります。
つまり、一定期間以上は年金保険料を納めなければ年金は受け取れません。
ところが、チェコと日本でそれぞれ一定期間に満たない数年間のみ年金を納めていた場合はどうなるのでしょう。
現在、チェコと日本との間には「社会保障協定」というものが結ばれています。
これにより、日本とチェコとでそれぞれに加入していた期間を通算することができます。
年金に関する情報はこちら:https://www.cssz.cz/web/cz
チェコの税金まとめ
チェコの消費税(DPH)は21%の税率で、多くの場合が内税表示となっています。
日本に比べると高い税金ですが、その分社会保障制度などは充実していると言えます。
一時的にチェコに滞在する場合には、免税手続きをすれば一部税金が還付されます。
税金や年金制度については、細かな改定がされることが多いので、ご自身でその都度確認することをお勧めします。
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