帰国生が日本の有名大学に合格するのは簡単?4つのオプションと事例【前編】

帰国生が日本の有名大学に合格するのは簡単?4つのオプションと事例【前編】

この記事を読もうと思っている方は、現在海外の高校で勉強されている学生でしょうか。

あるいは子供を海外の現地校かインターに通わせている保護者の方でしょうか。

海外で暮らしていると日本国内の知人から心ない一言を浴びせられることがあります。

『帰国生って大学受験が楽勝なんだって?』
『海外でのびのび遊んでも、早慶上智には簡単に行けるらしいよね』

(海外在住の日本人たちの苦労が全くわかっていない。むしろ日本国内で暮らしている高校生よりも勉強してきたし舐められないように努力してきた)と憤慨される気持ち、良くわかります。

今回は、子供が日本の大学受験を経験した在米の筆者が、自分の子供とその友人たちの受験体験記を紹介いたします。

海外で暮らす高校三年生にはどのような選択肢があるのか?

現地校で学んでいるとイベント会場で開催される「全国大学説明会」に11年生( 高2 )から参加し、どの様なオプションがあるか理解するのが重要になります。

教育熱心な家庭の生徒はすでに10年生から参加していて、夏休みに各大学で実施されるイベントや短期講座に参加しています。

希望する大学のイベントに足繁く通うことは、合格の近道であり奨学金をゲットできる近道であると考えられています。

そんな中、日本人の生徒は深く悩むのです。

(行きたい私立大学の授業料が吐き気をもよおすほど異常に高い。州立大学でも高い)
(ここはやはり、日本の大学に行くべきか?)

そこでインターネットで「帰国生 大学 受験」「帰国子女 大学受験」というキーワード検索を始める人も多いでしょう。

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帰国生、帰国子女らには選択肢が大きく分けて4つある

①海外の大学を受験する。

海外の多くの大学は書類選考入試です。

真面目に勉強し、先生方に立派な推薦文を書いてもらえる生徒なら「イエール大学」や「スタンフォード大学」等といった高望みをしなければ、ある程度は希望の大学に合格できる可能性は高いです。

将来は国際的な仕事につきたい、世界中で暮らしたいと考える生徒にとって、海外の大学に進学することはメリットが多いのではないでしょうか。

だたし、奨学金を貰えるかは別の話になります。私立大学の高額な授業料は最大のデメリット。

②日本の大学が実施している「秋入学、書類選考入試」に合格する。

こちらもほとんどは書類選考による入試です。

大学によって生徒に求める書類は違いますが
【高校3年間の成績と校外活動の記録、指定されたテーマの論文、先生からの推薦】
を細心の注意を払って書き上げて提出するのが一般的です。

各国が実施しているSATなどの全国統一テストを提出するので、当然のことながらスコアを上げる必要があります。

メリットは、書類選考のみで受験ができるので海外の大学との併願がしやすいことです。

日本国内にも関わらず英語で授業を行う大学が多いので、帰国してもスムーズに学生生活がおくれるでしょう。

デメリットは「学部・学科の選択肢が少ない」「理系の学部がほとんど見当たらない」

「国家試験など専門的な試験に特化した授業が取りづらい」などです。

③海外の高校を卒業した後に帰国​し「帰国生入試」で日本の大学に合格する

早いところでは7月から出願が始まり、9月に受験がスタートします。

希望大学にターゲットを絞った勉強だけでなく、滞在国の国家統一試験およびTOEFLのスコアを伸ばしていかなくてはなりません。

ほとんどの受験生は帰国生受験に特化した学習塾に入校しているようです。

多くの大学が帰国生入試枠を設けているので、希望の学部・学科を選べるメリットがあります。

デメリットは「高額な塾の授業料」「単身で帰国した生徒は一人暮らしや寮生活を始めるので少し心細く、居住費も余計にかかる」ことでしょうか。

④一般受験をする

ここでは説明は割愛したいと思います。

それでは、①〜③の受験を経験した生徒が海外でどのような学生生活を送り、試験に臨んだのか見ていきましょう。

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実際に経験をした学生へのQA

  • Q1 どの国に何年ほど暮らしたのか
  • Q2 現地校とインターナショナルスクール、どちらに通ったか
  • Q3 学校での成績、校外活動
  • Q4 TOEFL SATなど統一テストの最終スコア
  • Q5 合格した大学
  • Q6 主な受験対策

今回は、書類選考入試で日本の大学に合格した「秋入学」の生徒に答えてもらいました。

書類選考入試で合格した、上智大学(秋入学)のAさん

Q1 どの国に何年ほど暮らしたのか

アメリカ合衆国に五年暮らしました。小学校3年から三年間、高校2年から二年間です。

Q2 現地校とインターナショナルスクール、どちらに通ったか

普通レベルの公立現地校です。

Q3 学校での成績、校外活動

高校の成績はオールAでした。

日本と違ってテストのやり直しが出来るので、リテイクでは確実に100%近く取れるように勉強しました。

  • 日本人補習校でのボランティア。主に小学生の国語の勉強の補助をしていました。
  • 現地プロのバレエ団でセミプロとして毎日トレーニングを積み、数多くの公演に出演しました。受験の際にはこの経験についても書きました。

Q4 TOEFL SATなど統一テストの最終スコア

TOEFL 107点 、 SAT 1360点

Q5 合格した大学

上智大学、居住州内の公立大学2校(アメリカの大学に関しては、高校側がいつの間にか書類を作成して申し込んでいました笑)

実は目指していた国立大学があったので帰国子女受験を考えていました。

書類選考入試のことは初めは全く念頭に無かったので、書類を作成するときは慌ただしく大変でした。

書き上げた論文を、現地校の先生が添削して下さったり、バレエ団のディレクターが推薦文を書いて下さったり、周りの方々に大変お世話になりました。

Q6 主な受験対策

SATと TOEFLのスコアUPが大切です。少なくともSATでは1600点中1300点、TOEFLでは120点中100点が必要だと言われています。

SATは現地のアメリカ人でも良いスコアを取るのは難しいので、毎日単語帳を見て過去問を解きました。

SATには数学のセクションが2つあります。

英語の読解はどうしてもアメリカ人に比べると劣ってしまうので、数学セクションは絶対に満点を取れるように勉強しました。

そして実際数学セクションは満点でした。

友人たちが地元や他州の大学に合格したり進路がどんどん決まっていく中、ただひとり日本の大学を希望しSATやTOEFLの勉強を続けるのは少し孤独で根気がいる作業です。

田舎に住んでいたので塾や日本人コミュニティも無く、受験に関しては手探りでした。

だからこそ高二の夏に日本の帰国専門予備校で知り合った仲間が、電話やインターネットを通じて一緒に受験勉強を頑張ってくれたことが私の心の支えでした。

書類選考入試で合格した、慶應義塾大学(秋入学)のBさん

Q1 どの国に何年ほど暮らしたのか

オーストラリアのシドニーで小学校の6年間暮らしました。中学入学時に帰国しましたが、中三の夏から高校卒業までの3年半をタイのバンコクで暮らしました。3歳まで暮らしたアメリカを入れると、12年半の海外生活になります。

Q2 現地校とインターナショナルスクール、どちらに通ったか

オーストラリアでは現地校、タイではインターです。

Q3 学校での成績、校外活動

数学が得意で成績は上位でしたが、他の教科は平均以下だったかもしれません。数学の国際大会にしばしば参加しました。

  • 部活は学内のオーケストラに所属し副リーダーでした。
  • ボランティアが好きで、様々なことを経験しました。日本の子供の貧困についての募金や情報拡散・タイの孤児院に行って働く・タイ近郊にある国境の難民キャンプで英語のサポートをしていました。

Q4 TOEFL SATなど統一テストの最終スコア

SAT 1230 (英語450、数学780)subject Physics 650/subject Chemistry 650/subject Math Level2 780

TOEFLではなくIELTSで大学受験に臨みました。overall 7.0(TOEFLだと95から109点のレベルに匹敵します)

Q5 合格した大学

ICU(国際基督教大学)、法政大学、慶應義塾大学

University of Hawaii , University of Illinois

Q6 主な受験対策

試験対策としてはIELTSに向けて勉強していて専門の塾に通っていました。

勉強ばかりやっていた訳ではなく、スポーツやオーケストラ、ボランティア活動などに力を注いでいた事が評価されたのではないでしょうか。

今回のまとめ

2人とも現地での生活は多忙で、気楽に遊んでいた時間はほぼ無いような印象です。

秋入学を設けている大学はまだ少なく、地方の現地校に通っている生徒は日本人からの情報を得る機会が少ないので不安になることも多いと思います。

希望の大学のHPをこまめにチェックすることが大切です。

大都市に住んでいる場合は、大手予備校が主催する「帰国生入試説明会」に参加することができます。そしてここで注目すべきポイントが一つ。

予備校側は書類選考入試に関する情報は持っていないし、あれこれ理由をつけて帰国入試を強く薦めます。

なぜなら、生徒たちに入校してもらうのが説明会の目的だからです。

後編は「帰国生入試」を体験した生徒のインタビューを掲載します。

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