昨今、教育移住や親子留学などが注目されています。
一方、子どもとの海外生活に対して、想像もつかずに不安を抱いている方も多いかと思います。
私は現在、スウェーデンで小学生と幼稚園児の2児を育てています。
これまで、夫の仕事に伴う一時滞在や親子留学、旅行として十数カ国を子どもと訪れました。
海外で暮らすということは、準備がとても大切です。
これからご紹介する経験が、親子での海外生活に興味がある方や、海外生活準備中の方のヒントやきっかけになればと思います。
初めての海外生活と心境の変化
アメリカ滞在
私は大学卒業後、日本で医療従事者として働いていました。
職場で英語を使う機会はなく、休暇もなかなか取れずに、海外へ行ったこともありませんでした。
そんな時、夫のアメリカ留学が突然決まり、初めての海外が旅行ではなく居住になりました。
早々と出国して行った夫を追いかけて、数カ月後に一人でアメリカへ渡りました。
“使える英語”を学んでこなかった私は、対話に苦労しました。コミュニケーションが取れたか取れなかったかで、一喜一憂する毎日でした。
当時、夫はJ1ビザを取得、私は付帯者でしたので、就業許可はありませんでした。
そこで、まずはできることからと、語学の勉強をはじめました。
最終的に、ボランティア活動に参加したり、一人でイベントにも参加できるようになったのは、帰国の目処がついた頃でした。
このように、完全に準備不足で渡航した結果、生活を楽しめるようになったのは滞在後半になってからでした。
しかし、毎日とても刺激があり、世界が広がったという実感が、その後の価値観を変えていきました。
帰国と出産
日本へ帰国後、子どもが二人誕生しました。
その頃から、再び夫が海外赴任になる可能性もあり、そうならなくとも海外で子育てしてみたいという気持ちが芽生えました。
- チャンスは突然訪れること
- 準備が生活をより充実させること
を実感していたので、長期間での目標と短期間での目標を掲げて、できることからはじめました。
子連れで海外へ行く時に心配されることの一つに、子どもの英語能力があると思います。
一般に、子どもは大人よりも適応能力が高いので、渡航してから言葉を習得するという方法もあります。
しかし、夫婦での話し合いのもと、将来の海外滞在を見据えて、子どもたちを日本にいながら英語で育てることにしました。
理由は二つあります。
- 一つは自分が英語を忘れたくないので、使う機会を増やしたいこと
- もう一つは、アメリカ滞在時に、幼少期から数カ国語で生活している子どもたちを見て、英語を早くから学ぶことにデメリットはないと感じたからです。
非ネイティブの親から、どの程度まで英語を使える子どもに育つのか、試してみることにしました。
将来の海外生活を意識して
親子留学でフィリピンへ
英語での子育て中に、やってみたことの一つが親子留学です。
上の子が3歳のとき、フィリピンに一ヶ月間滞在しました。
これはどちらかというと、私自身のブラッシュ・アップが目的です。
子どもは朝から夕方まで現地の幼稚園で遊び、その間に親は勉強に集中できます。
ディスカッションのクラスはとても刺激的で、日本語でも上手く意見を言えないようなトピックを、必死に英語で伝える訓練をしました。
また、共に学ぶ世界各地から来ていたママさん達と仲良くなり、子どもの教育に関する考えをお互いに話し合ったのも良い経験になりました。
幼い子どもと二人きりで、初めての国で過ごす一ヶ月間は、語学力だけではなく、精神面も鍛えられたのは言うまでもありません。
海外旅行
夫の海外出張が年に数回あり、そのたびに子どもを連れて行きました。
英語が母国語ではない国へ行くときは、事前に現地の挨拶や簡単な単語を覚えました。
滞在中、私と子どものみで過ごす時間が多く、地元の子が集まる公園や博物館へ行きました。
どんな風に遊んでいて、親はどう過ごしているのか、そういう光景を眺めて、各国の違いや今後の居住地の候補を考えていました。
毎回驚かされていたのが、子どもたちの社交性です。
一緒に遊びたいがために、いくつかの言語を使ってみて、なんとかコミュニケーションを取ろうとしている姿を見ました。
言語はツールでしかないということがよくわかった体験でした。
子どもが大きくなってくると、英語で行われるガイドツアーも楽しめるようになります。
意図的に、そういったものに参加する時間をつくりました。最近では、ガイドさんにぴったりついて質問をしています。
参加者の方々とも仲良くなれたのは、子どもたちのコミュニケーション能力のおかげだと思っています。
スウェーデンでの生活
転機は突然に・・・
語学訓練や資金準備とともに、各国のビザや学校について調べていたところ、夫の留学が再び決まりました。
行き先は、私の候補に入っていなかった国、スウェーデン。
せっかくいろいろ調べていたのに・・・とは思わず、新たなチャンスを活かすべく、共に渡航することに決めました。
予定が決まったら、医療関係について調べておくといいと思います。
例えば、予防接種は、自治体によっては推奨の接種期間より前でも事情があれば受けさせてくれる場合があります。
薬の手に入りやすさなども国によって大きく異なるので、主治医と相談されることをおすすめします。
渡航前に、現地で実際に生活されている方のSNSグループに入ることも、現地情報を早く得られる手段の一つです。
生活のセットアップ
渡航後、数カ月は、住民登録や口座開設、子どもたちの学校の手続きなどで追われると思います。
時期により、なかなか決まらないこともあるかと思いますが、焦らずにそういうものだと思って、できることをやっていけば良いと思います。
一般に、現地の情報は、現地の人に聞くのが一番です。
しかしながら、はじめから現地の知り合いがいる場合は多くないかと思います。
私の場合、子ども関係のことは、毎日遊んでいた公園で出会った人に聞いたり、近所の人に聞いたり、ちょっとした立ち話のついでに質問をしていました。
こちらがオープンマインドでいると、大抵の人は親切に教えてくれます。幸いスウェーデン人の大半が英語が話せるので、コミュニケーションは困りませんでした。
こういった、子どもを通しての人脈は、アメリカ滞在時にはなかったものなので、今とても恵まれているなと感じます。
現在
上の子は英語が使える状態で渡航したので、すぐに友達もでき、現地の生活に溶け込むのはあっという間でした。
学校の生徒会にも立候補して、本人なりに楽しんでいるように感じます。
教育内容については、日本とかなり違うので、良くも悪くも驚かされることが多いです。
何事でもそうですが、国が違えば良い部分、良くない部分があると思います。
足りない部分を、いかに自分で補うかの工夫で、生活はより心地よいものに変わります。
福祉国家として知られるスウェーデンでは、子育て環境が本当に恵まれていて、金銭面でも精神面でも助けられています。
私は現在、
- 小学校でのクラス代表活動(PTAのようなもの)
- 子どもたちにピアノを教えること
- 移民が無料で通えるスウェーデン語学校への通学
など、新たな挑戦をしつつ子育てをしています。
今回、夫は研究者ビザ、私はその家族としてビザを取っていますが、スウェーデンの場合は、私の立場でも労働が可能です。
語学学校を卒業したら、就職サポートを受けつつ働くことも視野に入れています。
いくつになっても自分の時間を大切にすることが大事、そしてそれを認め合うというこの国の慣習が、とても気に入っています。
さいごに
子どもを連れての海外渡航は、安全面・健康面・教育面・精神面などの考慮や手続きがたくさんあるのは事実です。
渡航に躊躇してしまうこともあるかもしれません。
しかし、事前の準備で不安要素を大幅に減らせることもあります。そしてそれは、現地生活をより楽しむことに繋がります。
子どもがいるからこそ出会えた人々や、得られた助けは、人生の宝物の一つです。
また、思いにもよらなかった道が開けることもあり、これこそが海外生活の魅力の一つかなと思います。
失敗や苦労は必ず次に繋がるので、恐れる必要はありません。
自分自身の人生を、より楽しむための第一歩に、海外生活を選ぶのも素敵なことだと思います!
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