【実体験から語る】オーストリアの教育&学校システム。特徴や知るべきこと

オーストリアへ子供と一緒に移住する、または先々子供が欲しいと思っていると、まず気になるのが現地の学校システムとその実情ではないでしょうか?

ここではオーストリアの義務教育システムとその選択肢、また知っておくべき基礎知識と注意点などを実際に子供を現地学校に通わせている筆者の体験を元にご紹介します。

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まずは押さえたいオーストリアの大まかな義務教育の仕組み

基礎編

オーストリアの義務教育は基本的には9年間です。

飛び級または落第制度があります。そのため、年齢が同じクラス内で多少バラついていても不思議ではありません。

公立校の学費は国で負担。

個人では学費はかかりませんが、教科書を除く教材費や課外授業、行事によって集金がそれぞれであります。

世界教育水準ランキングは経済協力開発機構OECDによると40カ国中25位、(ちなみに日本は14位と)イマイチふるいませんが、国自体の治安が近隣の国々と比べても良いので、一応安心して子供を学校に通わせられます。

ただ地域によってのばらつきがありますので、住居を決めるときは、ぜひそういった事も考慮する事をおすすめします。

学年の始まりは9月1日からで、ほとんどの学校が2セメスター制です。

1セメスター終わりごとに成績表をもらいます。

※成績のスコアは数字で1が最高で5が最低スコアで5が主要科目にあると落第に。

  • 1=sehr gut(非常に良い
  • 2=gut(良い)
  • 3=befriedigend(満たしている)
  • 4=genügend (可)
  • 5=nicht bestanden(不可)

小学校、中学校共に4年生制で、この4年間クラスメートや担任教師はずっと一緒です。

クラス替えや担任の先生が変わることは基本的にありませんが、学校によっては2年ごとに変わるところも稀にあるようです。

幼稚園〜Kindergarten

幼稚園は3歳、4歳、5歳の子供が通います。

国で就学前の1年つまり5歳時の幼稚園登園が義務付けられており、小学校へ行くための準備期間とされています。

義務付けられてるというとドキっとするかもしれませんが、社会性を育む事を重視しており、勉学がはじまるわけではありません。

学習についてはもちろん個人差もあるでしょうが一般的に学校に行くようになるまでに子供自身の名前が書けるようになっていれば良し、という程度です。

公立の幼稚園は無料で1日の預かり時間が4時間ときまっています。

預かり延長なども可能で利用したい場合は申請して、延長時間や週につき何日か、さらに両親の収入額によって利用料金が違います。

いわゆる縦割りグループで3〜5歳の子供が一緒の1つのグループに分けられ、入園から卒園するまで同じグループで担当する先生も一緒です。

感動の卒園式はありません。

日本人的には残念な気がするのすが、そもそも入園式もありませんのでかなりあっさりしています。

注意点として、5歳児いわゆる年長さんは義務教育の一環なので登園日数が定められており、それを無視した場合、罰金などが課せられることもあります。

筆者の体験談。まさか罰金があることを知らず・・

上の子供は年長さんで下の子は年少さんだったので就学前にと思い、かなり長期(2ヶ月ほど)で日本一時帰省した時です。

ところが…上の子供は5歳幼稚園最終年だったので義務教育の一環になっていたのです。

法律上では2週間は休ませても良いということですが、それ以上になる場合は幼稚園の責任者、主任、担当先生諸々の許可が必要で、更には教育委員会なる所にも届出が必要となり、さらにそこから許可書ももらわなければいけない、という事態になりました。

手続きに日数がかかり、帰省日程ギリギリで間に合わず周りにご迷惑をおかけしました。

まさか幼稚園にそのような規定があるとは知らず結果的に罰金覚悟(罰金より航空券の方が高かったので)の上で日本へ向かった覚えがあります。

無駄にドキドキするような事態は避けたいものです。

幼稚園に入る年齢より小さい子供は有料でクラッベルシュトゥベ(Krabbelstube)保育園0歳児預かりなどもあります。この場合は両親の就労形態で預かり時間や月謝など変わります。

小学校〜Volksschule

6歳の9月1日からとなっていますが、子供の発育状態が心身ともに1年生へ向けて充分に備わっているか両親、幼稚園の先生、小学校の校長先生と相談の上で、小学校準備課程学年(Vorschule/フォアシューレ)、簡単に言うと0年生に行く子供達もいます。

この0年生は小学校内にあり、れっきとした小学生になります。

ネガティブなイメージはなく、遅生まれ(オーストリアでは3月から8月生まれ)の子などはまだ精神的にも通常の授業について行くのがプレッシャーになりそうな場合など、ゆっくり徐々に学校生活に慣れていけるよう0年生からを選びます。

逆に早生まれ(9月から2月末生まれ)の子で充分に社会性や能力が備わっていると判断され許可がおりれば1学年早く小学校に入学することもできます。

また、先生や学校によって授業内容が違います。

最低限の小学校終了課程は(主要科目の算数とドイツ語の授業数など)決められているのでしょうが、スポーツや課外授業などはかなり担任の先生の好みが色濃く出ます。

オーストリアの小学校

オーストリアのあるクラスの様子

レクリエーションの一つで健康的な物を食べようという事で、週一回当番制で持ち寄って食べる。

食材を切ったり盛りつけたりを子供達が準備する。こういったことも先生の趣向で行なっています。

課外授業では例えば筆者の2人の子供は同じ小学校でしたが、これも担任の先生の趣向で、上の子は一度もなかったスキーの課外授業が下の子は毎年3日間ずつスキーコースを実施しました。

先生がスポーツ好きだと冬はスキーやスケート、夏は湖とプールへよく行きますが、インドア派の先生だと図工や森に行く時間が多くなります。

こういった事は子供自身の好みもありますので本当に運です。

ですが、あまりにも子供が苦痛なようでしたらぜひその件は先生に相談するべきです。多少は考慮してくれるはずです。

オーストリアの公立校小、中学校が繋がっている校舎。

公立校小、中学校が繋がっている校舎

宗教の授業も1年生から始まりますが選択制なので、この授業は取らなくても構いません。逆に興味があれば、その宗教の信者でなくとも授業は基本的に受けることができますが、学校によって方針は異なるでしょう。

通常3年生から英語教育が始まり(ビデオ見たり、マンガで読んだり程度。成績は付かない)、4年生になるといわゆる中間、学期末テスト(算数、ドイツ語のみ)があります。この頃から次の学校への進路に成績表が携わってきます。

基本的に両親が就労している場合は放課後預かり制度や、学童制度が利用できます。こちらは有料で、地域や利用時間数により料金は違います。

お昼時にはほとんどの小学生が授業を終え家に帰ってきます。

お昼は家で食べる、というのが基本のようですが、学校によっては全日制度を遂行しているところや、学食があるところも。ですが、全体数でいうと少ないようです。

宿題は普段はほとんど毎日しっかりありますが、夏休み、冬休み他連休の間は宿題が出ることは無いに等しいです。

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中学校 〜AHS(Allgemeinbildende höhere Schule)/NMS(Neue Mittelschule)

人生の分岐点が10歳そこそこで訪れます。

四年生制なので日本でいう小学校四年生で次の進路を決めなければいけません。

中学校は一般的に2種に分けられ、いわゆる進学校(AHS/一般教育高等学校)と普通中学校(NMS新制中等学校)になります。

AHSはギムナジウム(Gymnasium)とも言い、省略してギムと呼ぶこともあります。

ギムナジウムでも文系と理数系、さらに芸術系とスポーツ系とありそれぞれ特徴がありますので、得意分野に沿った学校探しが重要になります。

進学校へ入学するためには小学校時代の3年生学年末の成績と4年生全ての成績が重要視され、基本的に1、2のみのスコアが好ましいとされています。

入学試験と言うよりは面接程度で合否が知らされます。

ですが定員割れ時などは、スコアに3があっても二次募集で試験を受けて合格すれば入学できる場合もあります。

進学校は初等科4年と高等科4年で合計で8年通うことになりますが、高等科ともなると学校や専攻科によっては落第者が続出することも。それだけ勉強はハードになるようです。

制度としては普通中学校に入学した子供でも、4年間成績優秀で本人のやる気次第では進学校の高等科へ編入学することもできますが実際にはかなり難しいようです。

ちなみに進学校の初等科4年を終わらせた時点で義務教育は終了するので、進路としては高等科に行かず他の進路を選ぶ子供もいます。

普通学校にもスポーツ専攻学校やさらにその中で選択希望できるクラスに情報科があったり、スポーツ専攻学校でも普通クラスがあったりとそれぞれに特徴があります。

学校にはそれぞれオープンデイ/一般開放日がありますので、日程を確認して見学に行かれると学校の様子も分かるのでお勧めです。

義務教育の後の進路は?

多岐に渡ります。簡単に言ってしまうと進学コースか職業/技術コース、に分かれますが、日本でいういわゆる受験シーズンというのはありません。

逆にいうと普段の成績が重要なので、受験時のみに全てのエネルギーを注ぎ込んであとは遊べるという感覚はないようです。

進路変更は大人になっても可能です。当然それに伴う頑張りは必要ですが、日本と比べると、大人になってから専門分野で学校に行き、新たなる資格や修士課程を納めキャリアアップにつなげる人が多いです。

男子は基本的に18歳で徴兵制度がありますので、オーストリア国籍ならば軍隊に行くか社会福祉へ準ずる仕事に就くか選択できます。

教育とは少しずれる事かもしれませんが、こういった制度がある事もあり、日本でいう高校、専門学校を卒業後1年前後社会勉強という名目で旅行や留学にでる人も意外と多くいます。

大学へ

分かりやすい進路として大学へ行くというのが挙げられますが、まず必要なのは高校卒業大学入学資格試験(Matura)に合格しなければいけません。

強いて言うならこの時期が唯一の猛勉強期間でしょうか。

ちなみにMaturaは卒業する一般教育高等学校(AHS)で国の認可の元で受験するもので、行きたい大学で受験するものではありません。科目は高校によって指定される科目と必須科目とあります。

大学へ行くにはこのMaturaの成績を基準で席を確保許可されるかが決まり、定員オーバーの場合は別試験が行われますが、大体は希望の大学に行けるようです。

大学といっても一般大学と専門大学に分かれ、専門技術大学や教育大学と選択肢があります。

もう一つ高等職業学校(BHS)からMaturaを受けると言う進路があります。この場合も学校によって専門科目と必須科目がそれぞれ指定されます。

ちなみに大学への進路ですが、一般大学へでも専門大学へでもMaturaさえ合格していればその門は開けています。

ただ進学校卒業者は一般大学へ専門大学へは高等専門学校卒業者が多いということです。

専門職、職業学校へ

大学へ行かずに職業学校への進路もまたいくつかに分かれますが、全般的に理論と実践を同時進行に進めていく教育の仕方で、実際に企業や工場などで専門的な実習や教育を受けながら学校に通います。

職業学校にも種類があり、就学年数も2〜4年とそれぞれ異なります。その後続けて技術専門学校などに通うという進路もあります。

https://www.bildungssystem.at/

学校システムを非常に分かりやすく解説しているサイトです。

※ドイツ語か英語表示

知っていると便利な用語表

ドイツ語日本語
Volksschule小学校
Neue Mittelschule新制中等学校
AHS(Allgemeinbildende höhere Schule) Unterstufe一般教育高等学校/初等科
AHS(Allgemeinbildende höhere Schule) Oberstufe一般教育高等学校/高等科
BHS(Berufsbildende höhere Schule)高等職業教育学校
BMS(Berufsbildende mittlere Schule)中等職業教育学校
Berufsschule und Lehre(Duale Ausbildung)職業学校
GuK(Gesundheits und Krankenpflegeschule)看護学校
Universität大学
Fachhochschule専門技術大学
Pädagogische Hochschule教育大学
Meisterマイスター/職長
Kollegコレーク/準学士

その他の選択肢

例えば両親の仕事の関係でほんの2、3年、もしくはさらに短い期間限定での滞在の場合は、子供の就学について現地校に入るか迷われるかもしれません。

やはり一番のネックは言語ではないでしょうか。現地校へ就学するのであればドイツ語は必須です。

これは子供の年齢や性格によっても当然その答えは変わるはずです。プラスご家庭の方針次第となるでしょうが、ご参考までに幾つか現地校以外の候補を挙げてみます。

日本人学校

オーストリア在住後また日本に戻って普通の公立学校に通う予定の場合は、日本の学校の授業に沿った学習をすることで、戻った時に一番ギャップを感じずまた就学できるであろう選択です。

ただし、よほど意識して努力しない限りドイツ語能力はほぼつかないでしょう。それと最大の問題点がウィーンにのみ日本人学校があるので他の地域に住まわれる場合は諦めるしかありません。

ウィーン日本人国際学校のホームページです。
http://www.japaneseschool.at/

インターナショナルスクール

幼稚園から一般教育高等学校に値するまでの間(日本でいう高校生まで)で、オーストリア内で複数存在します。

ウィーンに限らずとも主要都市部ならば1、2校ずつあります。

インターナショナルスクールのHPが地域別で確認できるサイトです。※英語表示
https://www.expat-quotes.com/guides/austria/education/international-schools-in-austria.htm

今後他の国へさらに移住される予定があるご家庭や、方針として日本でも帰国子女枠などを考えている、引き続きインターナショナルスクールへとお考えならばお勧めです。

ほとんどが私立になりますので学費が高額です。ですが、ここ最近公立の学校内にインターナショナル科を設けている学校もあります。定員に限りがあるので試験や成績、面接で合否が決まるようです。

公立校のインターナショナル科では学費はかかりません。

モンテッソーリやシュタイナー

本場といえば本場なので、こういった教育方針に共感される方はとても魅力的な選択肢の一つではないでしょうか。

こちらも私立になりますので学費が必要で額もそれ相応にします。

筆者が調べたシュタイナー校(ザルツブルク)は兄弟姉妹割引がありました。

モンテッソーリ幼稚園はオーストリア人にも人気で入園のために何年も前からウェイティングリストに入れてもらうそうです。ちなみに筆者の住む田舎町ですら、生まれてすぐに申し込みをするべきだ、と言われましたよ。

シュタイナースクールのHPです。地域別で探せます。※ドイツ語か英語表示
https://www.k12academics.com/national-directories/steiner-waldorf-schools/Austria

モンテッソーリのオーストリアHPです。
https://montessori.at/

オーストリアでの学校生活で起こりうる問題へのアドバイス

クラス内や先生との相性

学校生活全体の雰囲気はどこも自由な感じでのんびりした印象です。(もちろん例外的な学校も存在しますが)

ですが前述したように、小中学校共に大概の場合入学から卒業までクラス替え無し、担任の先生も持ち上がり続けるということは、正直に申しますとかなり当たり外れがあり、当然子供の学校生活は一転します。

あまりに理不尽なことがあった場合などはなるだけ早い段階でどなたかに相談するべきです。ただ黙って我慢することは美徳ととらえるのは損をするだけです。

4年間はあまりに長いですし、親子共々、学校そのものに嫌悪感が染み付きます。

お子様はもちろんご家族内でもどうにもならなくなる前に、落ち着いて口に出すことは重要です。

相談から持ちかけて、要望を通す、といのがオーストリア式です。

筆者の体験談。なんでも言ってみると・・

小学校入学申し込み時に幼稚園から仲の良い友達数人と同じクラスになれるように保護者同士が希望を出したところ叶いました。

クラスメンバー発表後に1人だけ違うクラスになってしまった子がいましたがそれも変更してもらえ、何でも言ってみるものだな、と感心しました。

日本ではちょっとあり得ないですよね。

さらに中学校も入学申し込み用紙に、同じクラスになりたいお友達の名前を書き込む欄があり驚きました。

解決策を見出せなかったらクラスを変わることも学校を変わることもできます。決して恥ずかしいことではありません。

ですが公立校は基本的に学区制で行ける学校が限られてはきますので、居住地域は十分にサーチしてください。どうしても移民が多い地域は治安的にも学校の教育水準的にも問題を抱えていることが多いと聞きます。

言語問題に伴う学習の助け

またほとんどの場合ぶつかるであろうドイツ語問題。ご家族のどなたかがドイツ語が堪能で子供の勉強を見てあげられるならば良いのですが、そうでない場合はやはり放っては置けませんよね。

そこで活用をおすすめしたいのがナッハヒルフェ(Nachhilfe)です。

いわゆる家庭教師になるのですが、学生さんやリタイヤした先生がプライベートで勉強をみてくれます。

有料で時給はまちまちですが、例をあげますと筆者は自身の子供のために、Maturaが取れている知り合いの娘さんに時給10ユーロでドイツ語をメインにお願いしています。

インターネットでNachhilfe と検索をかければサイトが出てきて地域別などで調べられますし、お知り合いや先生に相談してみるのも良いと思います。

特に母国語がドイツ語ではない生徒には学校でも補修授業はしてくれますが、日常会話がままならない状態からならば当然それだけでは足りませんので、自宅での努力は欠かせません。

さいごに

学校生活は人生でかけがえのない一部なのは間違いないのではないでしょうか。

その一部がオーストリアでの学校生活となり、それが素晴らしいものであって欲しいと筆者自身も我が子へ願っているのと同時に、これから通われるかもしれない皆さまのお子様へもそうであって欲しい、そのための準備にこの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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