南アフリカの食文化。主食や伝統料理、マナーを紹介します

南アフリカの食文化。主食や伝統料理、マナーを紹介

南アフリカは海の幸、山の幸に恵まれ自然豊かな食材を使った料理が楽しめます。

さまざまな民族が暮らすことから食文化もそれぞれ異なり、各民族によって食べる物が違ったり、いろいろな料理法や味付けが楽しめるのも南アフリカならではです。

ここでは、南アフリカの伝統料理や食文化について紹介します。

南アフリカの食文化

南アフリカの先住民族はコイ・サン族ですが、そのほかにもズールー族やコザ族、スワジ族などさまざまな民族で構成され、生活は狩猟や農作物が主でした。

広大な大地に野生の動物が生息しているため野生動物の肉を調理したり、農作物を中心とした食事をしていましたが、領土の植民地化と共に人々の食生活も徐々に変わり始めました。

17世紀初期にはオランダ人が最初に入植を始め、奴隷としてマレーシア人やインドネシア人が連れられこの国にやってきました。

マレーシア人はカレー風味や、スパイシーなスパイス類を使って料理を作り、その影響を受け、今日ではケープマレー料理が親しまれています。

その後もイギリスやフランスが入植して、他国の食文化の影響を受けフレンチ、イギリス料理などさまざまな料理が楽しめます。

また海に囲まれているため新鮮な魚介類を使った料理や、温暖で乾燥した気候や土壌からワイン作りやルイボスティーの生産も盛んです。

ルイボスティーは、南アフリカのセダルバーグ山脈の一帯だけで栽培されるお茶で、この産地でしか茶葉が穫れません。

南アフリカ産の独自のワインはピノタージュで、この土地でしか作られません。

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日本にはない南アフリカの興味深い食材

南アフリカ民族は、タンパク質源として芋虫を食べることがあります。また、野生動物が多いことから、ゾウやライオン、ワニ、水牛、ダチョウなどのゲームミートが食されます。

例えば、スプリングボックのカルパッチョを前菜で食べたり、ゾウやライオンはステーキやシチューにする食べ方があります。

シチューやステーキにすると肉は柔らかくなり食べやすく、くせのない味です。

他にも干し肉やソーセージ用の肉として食べることがあります。

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南アフリカでの主食は民族によりさまざま

南アフリカは黒人、白人、カラードなどに分かれ、それぞれ主食とするものが若干異なります。

この章ではそれぞれの民族がどのような食べ物を主食としているのかお伝えします。

・黒人の主食

黒人やカラード系は似たような食文化で、ミリパップ(Mielie pap)サンプ(Stampkoring)が好まれて食されます。

ミリパップはトウモロコシを乾燥させて粉状にしたものをお湯で練って食べます。

味付けはサワーミルクを混ぜたり、トマト缶やカレー味の野菜と合わせて食べたり、砂糖を混ぜるなどシンプルな食べ方もあります。

その他、トライプと呼ばれる牛や羊の内臓を煮込んだものをミリパップと合わせて食べるのも一般的です。

ミリパップは朝食に限らず、ランチや夕飯時にも食され、日本で言うと白米と同じといえるでしょう。

・白人の主食

オランダ人、イギリス人、ドイツ人など植民地時代の影響を受け、ヨーロッパ諸国の食事とあまり変わらず肉料理を中心にパンや白米、ポテトなどを主食として食べています。

朝食はシリアルやトースト、オートミールなどがメインです。

・インド系やアジア系

植民地時代にインド人やパキスタン人は、サトウキビ畑の労働者として送り込まれましたが、インド人はカレーを主食とするため、現在もカレーを好んで食べています。

アジア系は中国人が多く、中華料理が中心となります。

南アフリカ伝統料理

どの国にも伝統を受け継いだ料理がありますが、南アフリカはケープマレー料理の影響を受けているのが特徴です。

冒頭で説明したようにケープマレー料理はカレー味がメインで、肉や魚などにカレー風味をつけたり、いろいろなスパイスを加えた料理です。

この他にもさまざまな伝統料理があるので、早速見ていきましょう。

食事編

・ボボティー(Bobotie)

17世紀のオランダ人の入植時代からマレーシア人によって広められた伝統料理です。

南アフリカのボボティー

挽肉にカレー粉やナツメグ、ターメリック、コリアンダーなどのスパイスに、レーズンやアーモンドを加え、卵を混ぜ合わせオーブンで焼き上げた料理です。

ピリ辛のカレー味で家庭でも良く調理される伝統料理です。

ボボティーはターメリックやサフランを混ぜたイエローライスに、レーズンを加えて食べるのが人気です。

・ブリーディー(Bredie)

イギリスの入植時代に食べられた伝統料理で、簡単に言うとトマト味のシチューです。

羊の肉を人参やジャガイモなどの野菜、タイムやマジョラムといったハーブスパイスを用いて煮込みます。

・ポイキ(Potjiekos)

鉄製の深い鍋で作るシチューで、野菜やお肉、魚介類など好みの食材を入れ、火が通るまで長時間じっくり煮込みます。

ポイキ(Potjiekos)

鉄製のお鍋は足付きで、17世紀にオランダ人によって持ち込まれたものです。

シチューといえば「ガスコンロなど調理台を使って作る」と想像しますが、ポイキは薪の火を使って調理をするため、バーベキューをする時に作るのが一般的です。

植民地時代の人々は移動しながら生活をしていたため、外で火をおこしながら調理できるポイキ鍋が大活躍でした。

・バニーチャウ(Bunny Chow)

食パンの中にカレーが詰め込まれたボリューム満点の伝統料理で、アパルトヘイトで活躍した故ネルソンマンデラ氏の大好物だったと言われています。

厚切りの四角い形をした食パンの中身をくり抜きカレーを詰めたもので、17世紀のインド人から伝わった庶民的な味で親しまれています。

当時はさとうきび畑で働く、インド人のランチとして食べられていました。

・フェットクック(Fetkoek)

ズールー民族の伝統料理で、揚げたパンに挽肉カレーを挟んだりアプリコット(あんず)ジャムなどをつけて食べます。

フェットクック(Fetkoek)

気軽に食べられることからランチや朝食に食べる人もいますが、日本で言うとカレーパンに近いイメージです。

フェットクック用のパンをお店で購入して好みの食材を挟んだり、小麦粉から自分で作る人もいます。

・ブルボース(Boerewors)

通常のソーセージとは異なり、渦巻き状になったソーセージです。

ブルボース(Boerewors)

ソーセージにはコリアンダーやクミンなどのスパイスが混ぜてあり、バーベキューで焼いたり、ランチの時にホットドッグにして食べるのが人気です。

ソーセージの材料として使われるお肉はビーフ以外にもクドゥやダチョウなどのゲームミートが使われることがあります。

・ブラーイ(Braai)

一般的にいうバーベキューのことをアフリカーンス語でブラーイといいます。

ブラーイ(Braai)

焼くのはお肉のみで日本のように野菜を焼くことはほとんどありません。魚を焼く時はブラーイ用の白身魚、スヌックsnoekが使われます。

現地の人は週末ごとに友達や家族を集めてブラーイをすることが多く、仲良くなった友達と交流を深めたい時は、「ブラーイ」に招待して親交を深めます。

・ビルトン(Biltong)・ドライボース(Dry wors)

ビルトンやドライボースは干し肉のことで、スナックや軽食として食べられています。

ビルトン(Biltong)・ドライボース(Dry wors)

ビルトンは干したお肉を薄くスライスしたもので、ドライボースは乾燥したステック状のものでコリアンダーなど香辛料を使って味付けをします。

使われるお肉は牛肉のほかダチョウ、クドゥ、シマウマなどバラエティーに富んでいます。

デザート編

伝統料理はメインだけではありません。

南アフリカには昔から伝わる伝統のデザートもありますのでいくつか紹介します。

・ドンペドロ(Donpedro)

バニラアイスクリームをミキサーにかけ、お酒を混ぜて作るデザートです。

使用されるお酒にはウィスキーや南アフリカのリキュールのアマルーラ、カルーアミルクなど甘めのお酒が使われます。

ワイングラスに注ぎ、ストローで飲みます。

・ミルクタルト(Milk tart)

カスタード味のデザートで、タルトの上にシナモンパウダーが振り掛けてあります。

ミルクタルト(Milk tart)

甘味を抑えしっとりとした柔らかな食感なので、日本人の味覚に合うはずです。

冷蔵庫で冷やして食べますが、オーブンで焼き上げて作るベイクドミルクタルトもあります。

・クックシスター(Koeksister)

ねじれドーナツ状をしたお菓子に、甘いハチミツシロップがかかったデザートです。

あまりの甘さに驚く人もいますが、甘党の人にはたまらない一品でしょう。

・メルクコース(Melkkos)

簡単にいうとミルクのスープという意味ですが、ミルクタルトをスープ状にしたデザートです。

メルクコース(Melkkos)

ミルクタルトを溶かしたような味で、上にシナモンが振りかけてあります。

ほど良い甘さ加減で寒い冬に食べると体が温まり落ち着きます。

南アフリカで知るべき食事のマナー

レストランではチップ10%程度。持ち帰りができる店もある

レストランで食事をする時は、テーブルでお会計を済ませるのは他の国と変わりません。日本のようにカウンターで支払うことは、ほとんどありません。

席に案内されたらウェイター、またはウェイトレスの顔や名前を覚えておき、用事があれば担当のウェイターに注文をします。

チップを払うのが一般的で、合計に10%を上乗せした金額をレシートに記入します。

残った料理は持ち帰ることができ、その際は「ドギーバック(Doggy bag) プリーズ」で通じます。

ドギー(Doggy bag)は犬を指し「犬に残った食べ物を与える」という意味から来ています。

しかし、レストランによっては持ち帰れないことがあるので訪ねてからお願いしましょう。

ブラーイに招かれた時は

現地の人と仲良くなってブラーイ(バーベキュー)に招待された時は、自分達の飲み物やお肉を持参するのがマナーです。

基本的にお肉を焼くのは家の主の役割なので、お客として招かれた時は、サポート程度に手伝えば良いでしょう。

その他、サイドディッシュで、グリーンサラダやポテトサラダなど、何か作れるものがあれば提案すると喜ばれます。

ブラーイで食べ残ったお肉は持ち帰らず、招待された家に残すのが親切ですが、後から食べたい時は持ち帰っても問題ありません。

お肉を持ち帰らないのは、ブラーイをしてくれたお礼の意味が込められています。

話題にも注意しよう

人種差別が行われた国で、アパルトヘイトの話題にとても敏感です。

興味本位でアパルトヘイトの話を持ち出すと、真剣な話し合いに発展する可能性があるので、できれば避けたい話題です。

質問程度に軽く聞くのは構いませんが、批判や評価をすると意見を求められるので、英語力に自信のない人は関わらない方が良いと言えます。

現地の人は楽しく食事をするのが好きなので、政治やゴシップネタにも注意しましょう。

まとめ

今回は南アフリカの伝統料理について紹介しました。

植民地時代の影響を受けさまざまなスパイスを使った料理が特徴で、日本人の味覚に合うものが多いといえるでしょう。

さまざまな民族が暮らし、黒人、白人によって伝統料理が若干違い、幅広い料理を楽しむことができるのも南アフリカならではです。

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