海外生活を検討する上で、なんと言っても気になるのが毎日の食生活。
「セルビア料理」と聞いてピンと来る人はほとんどいないのではと思います。
あまり知られていませんが、実はセルビア人は食に対する意識がとても高く、美味しい料理が沢山あるんです。
物価が安いため、リーズナブルに食事を楽しめますし、スパイスが強すぎないため、日本人の口に合いそうな料理も多くあります。
ここでは、普段セルビア人が口にしているものを中心に、セルビアならではの食事やスイーツ情報を現地在住者よりお伝えしていきます。
外食の際に何を注文したら良いか悩んでしまいそうなときにも、ぜひ役立てていただければ幸いです。
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セルビア料理の特徴と主食
セルビア料理はトルコやギリシャ、ハンガリーなど地理的に近い国々の食文化の影響を受けながら豊かに発達してきました。
旧ユーゴスラビア諸国では、郷土料理は共通点も多いですが、海に面しているクロアチアやモンテネグロとは違い、セルビアは内陸国のため肉料理が中心です。
「セルビア料理」と言われる料理で肉を使っていない料理はほぼないと言えます。
ボリュームのある肉料理が大好きな人にとっては、外食で1,000円もあればお腹いっぱい食べられますので天国かもしれません。
しかし、総じて高カロリーなので生活習慣病には注意が必要でしょう。
またベジメニューを置いているレストランは少数ですので、ベジタリアンの方が外食するときは苦労されるかもしれません。
セルビアの主食はパン
主食はパンです。
パン屋さんに行けば
- シンプルなパンから雑穀入りのもの
- キフリッツァ(クロワッサン状の小さなパン)
- ブレク(肉やチーズの入ったパイ)
- ジェブレック(ごまのかかった輪状のパン)
など、見ているだけでも楽しいさまざまな種類の商品が売られています。
乳製品も多く食べられる
セルビアでは畜産業も盛んなため、乳製品もよく食べられています。
ヨーグルトやチーズに加え、牛乳を煮込み、上澄み液を発酵させて作られたカイマックと呼ばれるクリーム状のものが代表的です。
また、いちごやラズベリー、ブルーベリーなどのベリー系果物も特産品として有名です。
セルビアのマクドナルドではブルーベリーのシェイクが常時メニューにあるほど。
これらの果物はジュースやジャム、クッキーやお茶など加工食品も多くあります。新鮮かつ安価で手に入るため生活の中で取り入れやすく、美容にも効果が期待できそうなので女性には嬉しい環境が整っています。
セルビアの食といえばこれ!代表的な料理
次に、セルビア人なら知らない人はいない、定番料理をご紹介していきます。
これらの料理はもちろんレストランで食べられますが、家庭でもよく作られています。
サルマ(Sarma)
セルビア版ロールキャベツです。ザワークラウトを使い、中にはひき肉の他、お米も入っています。煮込んだあとにオーブンでじっくり焼いて作るのですが、調理時間に一晩中かけることも。
キャベツのほか、ブドウの葉を巻いて使用することがあります。
ベオグラードで有名なセルビア料理屋のサルマ。ここのサルマは味がとても濃厚。
サルマはキャベツで肉や米等を巻いたもの。日本のロールキャベツのルーツ。東欧ブルガリアや中東イランではブドウの葉っぱで包んだ同様の料理があるように、バルカンから中東にかけて有名な伝統料理。ぜひ食べてみて!! pic.twitter.com/TnbcoCnwTF— バルカン情報⚙小セルビア・親ケバブ🌾 (@kocobojesrbije) 2019年3月23日
ポドバラック(Podvarak)
こちらもキャベツを使った料理です。
ザワークラウトを千切りにし(ザワークラウトがスライスされたものも売られています)、ベーコンやソーセージなどと一緒に煮込み、さらにオーブンで加熱して作る料理です。
Today’s special ” Podvarak ”.😊本日のネマニャのおすすめフードは「骨付き鶏もも肉のソテー、ポドヴァラク添え」です。写真がポドヴァラク、発酵キャベツで作るセルビア料理です。鶏もも肉に添えて食べるスタイルは私のセルビアの大親友の得意料理☺️ #横浜 #セルビア料理 #カクテルバーネマニャ pic.twitter.com/43LyRSh1GP
— Cocktail Bar Nemanja (@Bar_Nemanja) 2018年9月19日
二日酔いにも効くと考えられています。
チェバプチッチ(またはチェバピ)(Ćevapčići)
ひき肉を細長く丸めて焼いたものです。
お店で焼かれたものを購入することもできますし、パックに入った状態のものを買って自宅で焼く場合もあります。
バルカン半島の国々で広く食べられており、セルビアではチェバプチッチのお肉は牛や豚ですが、マケドニアやボスニア・ヘルツェゴビナでは牛や羊の肉が使われています。
シンプルな材料の食べ物ですが、お店によってまったく異なる風味に驚くことも。お気に入りのチェバプチッチをぜひ見つけてみてくださいね。
プロヤ(Proja)
トウモロコシの粉を使ったパン。
コーンパウダー、小麦粉、卵、油、チーズ、ベーキングパウダーを混ぜオーブンで焼いて作ります。
サラミやカイマックなどと一緒にどうぞ。
RT@WinesofSerbia Pirotska proja sa čvarcima? – http://t.co/Ik7pffO6Mu #foodie #Serbia pic.twitter.com/n6yjMeWU4m
— Dusan Jelic (@StefanLuka) 2014年11月23日
パスリ(Pasulj)
豆と馬肉のソーセージやベーコンを一緒に煮込んだスープ。寒い日には特におすすめです。
セルビア語には「Prosto kao pasulj(パスリのように簡単)」という言い回しがあるくらいで、材料を鍋に入れ長時間煮込むだけのカンタン料理です。
プレブラナッツ(Prebranac)
こちらもセルビアの代表的な豆料理ですが、かならず白い豆を使います。
煮込んだ豆と、パプリカパウダーを入れて炒めた玉ねぎを合わせ、オーブンでじっくり焼いて作る料理です。
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— Balkans (@Balkans20) 2019年3月6日
ムサカ(Musaka)
じゃがいも、挽肉、玉ねぎ、卵、牛乳があればできる、簡単にできる料理です。
ジャガイモを薄くスライスし、炒めた肉と玉ねぎを間に挟み、オーブンでじっくり焼いて作ります。
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— Goldcar España (@goldcarESP) 2018年2月23日
ちなみに「Zacin C」という野菜を使った調味料も入れるのですが、これはセルビア人の家庭には必ずあり、あらゆる料理に使われます。
日本の「味の素」のような存在です。
プレスカヴィッツァ(Pljeskavica)
セルビアのハンバーガーです。
直径が15センチほどの、日本で食べられるハンバーガーと比べるとかなり大きめで食べ応えがあります。
ファーストフードとして購入することもできますし、レストランのメニューにもあります。
カラジョルジェバ シュニッツェラ(Karadjordjeva šnicla)
前述のカイマックを牛肉で包み、揚げたものです。
ナイフを入れた途端、カイマックが溶け出します。
アイバル(Ajvar)
赤パプリカをペースト状にしたもの。
その美味しさは「セルビアの畑のキャビア」と呼ばれるほどです。
手作りする場合はパプリカの収穫シーズンの秋に作られるのが一般的です。
瓶詰めの様々な種類のアイバルが、スーパーマーケットなどで常に販売されています。パンに塗って食べるほか、肉料理をいただくときの副菜としても活躍します。
自家製のAjvar(アイバル)をもらったので毎朝パンに塗って食べています。焼いたパプリカにいろいろなスパイスを入れて作る保存食で、各家庭によって味が違うのですが、このおうちのは辛すぎず大変味わい深い。Belgrade, Serbia pic.twitter.com/bNIJ4z9KRG
— Mikiko ISHIKAWA (@go5imikko) 2015年11月1日
ギバニッツァ(Gibanica)
極薄のパイシートを使い、チーズを挟み、生地を何層にも重ねて焼いたパイのようなもの。
日常的に家庭で食べられるほか、お祝い事のときにも作られます。
Serbian gibanica, what a delight! 🍴😄https://t.co/CkdkSo851d#Food #cuisine #Serbia #Europe #Travel #vacation #delicious #gourmet #photo pic.twitter.com/KBTCqKGmF7
— Signature Serbia (@SignatureSerbia) 2017年9月13日
セルビアの強いお酒ラキヤ、美味しいワインも
セルビアのお酒といえばラキヤ。
プラムやあんずなどの果実を原料とした蒸留酒で、アルコール度数は40度ほど。なんと60度ほどのものもあります。
お土産にもよく購入されています。
また、晴れの日が多い気候や傾斜地を生かして、セルビア各地でワイン生産も盛んに行われているため、美味しいワインも楽しむことができます。
スボティッツァ、フルシュカゴーラ、ブルシャッツ、シュマディヤ、ジューパなどが有名な産地で、ワインツーリズムも行われているほどです。
スラバのおもてなし料理
セルビアには家庭ごとの守護聖人を称える、「スラバ」と呼ばれる宗教的行事があります。
ホストは沢山の食事を作りお酒を用意して、親戚や友人を自宅に招きます。現地のセルビア人と仲良くなるとスラバに招かれる機会もきっとあるのではと思います。
次々と豪華な食事が出されますが、盛り付けもかなり手が混んでいて、見た目にもこだわりが感じられます。
スラバのときに作られる料理には、キリストの身体を象徴するパンは必須で、メインディッシュは豚肉や羊肉が提供されることが多いです。前述のサルマも典型的なメニューの1つです。
ベオグラードのレストラン情報。おすすめはスカダルリヤやカフェナ地域
伝統的なセルビア料理を味うには、ベオグラードのスカダルリヤというエリアに行くのが良いでしょう。
老舗のレストランが多くあります。
また、よりリーズナブルに楽しみたい人にはカファナと呼ばれる大衆食堂もおすすめです。
日本食が恋しくなったらベオグラードには日本料理のレストランも数店舗ありますし、ほかにも中華、イタリアン、メキシカン、レバノン料理、様々な国の料理を楽しむことができます。
外食の場合、お料理のボリュームは日本人にとってはかなり多く感じますが、食べきれなかった場合にはお店の人に頼んで包んでもらうこともできます。
みんな大好き!セルビアスイーツ
セルビア人は甘いものも大好きです。セルビアでぜひ味わいたい、代表的なお菓子のいくつかをご紹介します。
バニリッツァ(Vanilica)
あんずのジャムが中に入った柔らかい食感のクッキー。花の形をしているものもあり、見た目も可愛らしいです。
シュトリュドゥラ(Strudla)
うずまき状のペイストリーです。中に入っているのは、ラズベリー、りんご、ポピーシード、くるみなどのペーストです。
真空パックに入った状態でスーパーで売られていますが、専門店も存在し、ここで売られているものは別モノの美味しさです。
Yummy! Just had our first taste of “Štrudla” on our trip to Serbia 🇷🇸 https://t.co/kXo8H8xtqT pic.twitter.com/KPukJ9o1IA
— IFE (@IFE_Event) 2018年6月5日
クネドゥレ(Knedle)
クネドゥレと呼ばれる大きめのお団子のようなスイーツです。
ジャガイモを茹でて潰したものにプラムを入れて団子状に丸め、さらにお湯で茹でて作ります。
プラムが中に入ったものが主流でしたが、最近になってチョコレートやヘーゼルナッツ、ピスタチオ、ラズベリーなど多様な味が楽しめるようになり、若い人たちにも人気があります。モチモチの食感が楽しめる上にヘルシーなスイーツです。
トゥファヒエ(Tufahije)
りんごまるごと1個が使われており、中にはくるみ入りのクリームが入っています。
調理に手間がかかるため、レストランでメニューに置いていないこともあります。
他にも、クレンピタ(Krempita)やシャンピタ(Sampita)と呼ばれるケーキ、テゥルンベ(Tulumbe)、バクラヴァ(baklava)などのシロップ漬けにした甘いペイストリーが売られているのをよく目にします。
また、プラズマ(Plazma)という名前の素朴な味わいのビスケットもセルビアにおける国民的お菓子と言えます。
細かく砕いてケーキを作る際にも使われたりします。
セルビアの食事情まとめ
以上、食文化の面からセルビアの魅力をお伝えしてきました。
生活の基本である食事が楽しいと、毎日の楽しみもさらに広がると思います。
セルビア料理はシンプルながらも洗練された味わいが魅力です。そして家族や友人とおしゃべりしながら、時間をかけて食事を味わうのがセルビア人のスタイルです。
豊かなメニューの中からご自身のお気に入りを見つけて、楽しいひとときを過ごしてくださいね。
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