お給料や金銭感覚については、誰もが興味がありつつあまり踏み込めないテーマですよね。それはロシアでも同じです。
個人的なことを聞き出すのはもちろん失礼なので、ロシアでは?モスクワでは?一般的には?という前提で話しをします。
というわけで、生の声を反映することが少々難しいテーマですが、日々のお付き合いの中で感じた金銭感覚の特徴や一般論として語られる声、そして正式に発表されている数値を参考にしながら、ロシアの平均収入と金銭感覚についてお伝えしていきます。
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ロシアで人気の職業は?
ロシアの子供達が憧れる職業は、子供らしいところでは俳優や歌手などのスター、デザイナー、写真家、スポーツ選手、宇宙飛行士など、そして現実的なところでは起業家、プログラミストなどがあげられます。
ロシアでは、ガガーリンが宇宙へ到達した4月12日は、「宇宙飛行士の日」として毎年彼を称え、宇宙に思いを馳せる祝日とされています。
そのため、宇宙や宇宙飛行士に対する関心や思いが強く、宇宙飛行士に憧れる子供達も多いようですね。
日本で現在人気がある医師や看護師は、ロシアでは給与が高くないということも手伝って、憧れる職業には入らないようです。
また現実的な職業選択の点から、2018年から2019年の調査でモスクワの大学生に人気があった職業は次のとおりです。
人気のある順に1位から8位までご紹介します。
やはり、大学生ともなると、ぐっと現実味を帯びてきますね。
- IT
- 法律
- 経済・金融
- 人事管理
- マーケティング
- 製薬
- ジャーナリズム
- 観光業
やはりインターネット社会になり、働き方も急速に変わりつつある時代ということもあり、IT関連は大変人気があるようですね。
今後はAI技術に取って代わられる仕事がどんどん衰退していくと言われている中で、人間でなければ出来ない技術や知識をどう習得していくかを考えていく必要があります。
職業の選択によって年収にもかなり開きがありますし、年々職業の需要が変化していく時代なので、これからはロシアで人気の職業も毎年更新されていきそうですね。
ロシアの平均年収はどれくらい?
それでは今回のメイン、ロシアの平均年収はどれくらいなのでしょうか?
ロシア連邦国家統計局(Rosstat)の発表(2019年11月時点 1ルーブル=1.7円にて計算)によると、ロシアの平均月収は46,285ルーブル(約78,700円)です。ボーナス3ヶ月として、平均年収は694,275ルーブル(約1,180,300円)となります。
また、モスクワに限定すると、平均月収は88,657ルーブル(約150,700円)となり、平均年収は1,329,855ルーブル(約2,260,750円)です。
ボーナスや残業代の有無、週休日数の違いなどにより差が出てきますが、色々な人に話を聞いている感じではだいたい平均年収として5万ルーブル位だという印象だったので、ロシア全体の平均については妥当だという感じですが、モスクワについては想像より少し高い印象でした。
日本の国税局が発表している平均年収が約441万円ですから、ロシアの平均年収と比べるとかなり差があることが分かりますね。
ロシアで年収の高い職業は?
年収の高さは職業を選ぶ上でも大きなポイントになってきますよね。
専門的な資格や知識が必要な職業はやはり年収も高くなるのは、世界中どこでも同じですね。
ロシアの大学生に話を聞くと、本当によく勉強している印象があります。将来目指す職業に向かって真摯に努力しています。
さらに高いレベルの教育を受けるためにはそれなりの学費が必要ですから、親に全面的に頼れない家庭の子は、必死で成績を上げて奨学金を得るなどして目的を達成している姿も見られます。
大学に通いながら、アルバイトをしたお金で留学をする学生も多いですね。
ここでは、ロシアで収入が比較的高いと言われている職業をご紹介します。前述した大学生に人気の職業と重なる部分がありますね。
ロシアで月収が高い職業
職業 | 月収 |
---|---|
監査役 | 6万~16万ルーブル(約10万~27万円) |
マーケティング担当者 | 10万~20万ルーブル(約17万~34万円) |
弁護士 | 15万ルーブル(約25.5万円) |
歯科医 | 10万~50万ルーブル(約17万~85万円) |
ITスペシャリスト | 10万~30万ルーブル(約17万~51万円) |
パイロット | 29万~34万ルーブル(約49万~58万円) |
会計士 | ~35万ルーブル(~60万円) |
給与の男女格差はある?
ロシアは大変国土が広い国なので、地域格差もかなり大きいと言えます。
その中で首都モスクワは当然、年収も生活水準も高い大都市です。ただ職業による年収格差や物価の高さも影響し、世界中の大都市と同じく若い夫婦や子育て世代などは共働きが基本です。
また、街を歩けばわかりますが、かなり高齢のお婆ちゃんも路上販売やお店の呼び込み、ビラ配りなどの仕事をしています。
真冬などはちょっと心配になりますが、ロシアの厳しい時代を乗り越えてきたお婆ちゃんは本当に強いです。この状況を見ると、仕事はいくつになっても探せば見つかるようですね。
そんなロシアの男女格差ですが、国際労働機関(ILO)の発表では、男女の賃金格差は世界のほぼ全ての労働市場の特徴で、男女賃金格差の世界平均は約20%です。
ロシア労働省の発表では、現在のロシアでは女性の雇用は着実に増加していますが、男女の賃金格差は約30%で世界的に見ると男女格差は大きい方に入ります。
それでも、この数値は10年前と比べると8%減少していますし、ロシアの女性はなかなか元気でたくましいので今後の女性の社会的活躍や賃金格差の値の変化にも注目したいところですね。
稼いだお金は貯める?使う?
最近ではキャッシュレスが主流でネット環境が劇的に進化しているロシアですが、今までの歴史的な背景やそれぞれの経験から、今でも銀行を全く信用していないロシア人が多いことも事実です。
例えば、銀行に貯金していたお金を銀行の倒産により一瞬で失ってしまったケースを耳にしたことがあります。そんな経験があると、二度と銀行を信じることができなくなってしまいますね。
このような背景からも、目的も無く銀行にコツコツとお金を貯めるよりも、不動産や車などを購入して財産にする人が多いです。
モスクワに代々アパートを持っている家庭はそのアパートを相続して使っていきますが、地方から出てきた場合などは、アパートを購入するために必要なお金をまず貯めて、一括で購入する人も多いです。
貯金が趣味というような話は、筆者の周りでは聞いたことがありません。給与は、不動産や旅行などの目的のために貯めて使う、というのがロシア人のお金の使い方のイメージです。
ロシアでは頻繁に「ロシア人は平均寿命が短いから、貯金なんかしないんだ」という話を耳にしますが、よくよく聞けば、70代80代の祖父母がいる人達はかなり多く、昔のイメージがそのまま残ってしまっているような印象を受けます。
少ない年金で生活するのは不可能ですし、今後正しい認識が浸透したら、「給料は貯金して老後に備える」という若者も増えてくるのかもしれませんね。
ロシアの平均収入と金銭感覚について
筆者自身も、ロシアの平均収入については噂でしか聞いたことが無く、定かではありませんでしたが、今回取材をしてみて分かったことがたくさんありました。
今はものすごいスピードで世界が変化している時代です。
今後確実に無くなる職業の見通しもつきつつありますし、今日本で認知されつつある副業はロシアでは既に当たり前になっています。
ですから、アイディアやアプローチ次第では需要が劇的に高まる職業も出てくる可能性も未知数ですね。
まだまだ伸びしろがありそうなロシアから、今後も目が離せません。
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