あまり知られていませんが、セルビアはヨーロッパの中でも、親日度の高い国の1つです。
まずセルビア人は基本的に、外国人に対してはフレンドリーですが、相手が日本人となると特に親切に接してくれます。
現地で暮らしてみると日々の生活の中で、セルビア人が日本という国や日本人に対し、良い印象を持っていることを実感する機会が多くあります。
「いやいや、そんなに日本は良いところばかりではないよ」とこちらが言いたくなるほどです。
ここでは、セルビア人の親日エピソードや親日の理由についてご紹介していきます。
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1. 東日本大震災の時のスピード感あふれる支援
セルビアのGDPは377億USドル、国民1人あたりのGNIは5,280USドル(2016年世銀統計)で、他の国々と比べると、経済的に豊かな国とは言いがたい現状があります。
またセルビア人の平均月収は4〜5万円で、日本と比べると物価が安いものの、生活のレベルは高くはありません。失業率も15パーセント以上です。
しかし、2011年に日本で起こった東日本大震災の際、いち早く援助の手を差し伸べた国の1つがセルビアでした。
義援金の額は約1億9100万円にのぼり、世界第19位の金額に。
この金額は最終的な額ですが、2011年10月11日時点、つまり震災からちょうど7ヶ月後の段階では、世界では5位、ヨーロッパでは1位の金額だったのです。※1
遠い日本という国で起こった自然災害に対して、これほどまでに思いを寄せてくれる人々がいたという事実が、セルビアと日本との強い結びつきを物語る何よりの証拠と言えるでしょう。
2.セルビアと日本をつなぐバス
実は日本からセルビアに対しても、継続的な援助が行われてきました。
もっとも代表的で、生活の中で身近なのがベオグラード市内を走るバス。
こちらの黄色いバスは「ヤパナッツ」と呼ばれています。実はこの言葉、「日本人」を意味します。
2000年以降、内戦後のインフラ整備のため、日本政府の無償資金協力によってバスが寄贈されたことで、この名前で呼ばれています。
バスの車体に描かれているセルビアと日本の国旗が象徴的です。
そのほか発電所や水道の整備、乳がんの早期発見機材の導入など、日本政府によるセルビアへの支援が継続して行われてきました。
人々の暮らしの質に直結する、わかりやすい部分での援助だったこともあり、これらの支援に対して恩義を感じているセルビア人が大勢います。
このように長期間にわたって築かれた、セルビアと日本との信頼関係があったからこそ、東日本大震災の際にはたくさんのセルビア人が日本への募金をしてくれたのだと感じます。
3. こんなところに日本庭園?
ベオグラードの中心部にあるイェヴレモヴァツ植物園。その一角には日本庭園があります。
セルビア人の大学教授の発案で、日本の出資により造られたこの庭園は2005年に完成しました。
ベオグラードに住んでいるセルビア人であれば、学校の遠足などでこの植物園に来る人も多いとか。
庭園の中には、太鼓橋や石灯篭、東屋などが配置され、松、楓、桜などの木々が植えられています。
実際に足を運び、緑の中に包まれ滝の音に耳を澄ませると、ここがセルビアであることを忘れてしまうほどです。
首都に住むセルビア人にとっては、日本の伝統的な自然観に触れられる場所が身近にあると言えるでしょう。
4. 日本語を学んでいる人もたくさん! アニメ、漫画の影響も
セルビアで最も古い歴史を持つベオグラード大学には日本語学科があります。
ベオグラード大学:http://www.bg.ac.rs/
この大学で日本語教育がはじまったのは、1975年。なんと40年以上も前のこと。
中欧、東欧の国々の中で、ベオグラードにいち早く日本語を学ぶコースが設けられたのです。
現在ベオグラード大学で日本語を学ぶ学生たちの中には、日本のアニメや漫画がきっかけで学びはじめたという方が多くいます。
『NARUTO』や『進撃の巨人』『DEATH NOTE』をはじめ、セルビア語に翻訳されている日本の漫画も多くあります。
あるとき、知り合いのセルビア人に、何か知っている日本語はあるかと尋ねたら、『北斗の拳』の有名なセリフ「お前はもう死んでいる」という一言が返って来たことがあります。
特に現在の20代〜30代のセルビア人は、幼少期から日本の漫画やアニメに触れる機会があり、現在でも高い人気があります。
5. 武道への揺るぎない人気
セルビアには日本の武道を学べる場所は多くあり、ベオグラードの街中にも会員募集のポスターが貼られているのをよく見かけます。
空手、剣道、柔道、合気道の道場は各地に点在しており、ベオグラード市内では、全部を合わせると数十は超えるほどです。
6. MADE IN JAPANへの信頼感
街中ではトヨタ、日産、マツダなど日本車もよく見かけます。
またSeikoやCASIOの時計、ソニーの電化製品、NikonやCanonのカメラなど、日本製品のブランド力は依然として安定感があります。
周囲のセルビア人に聞いてみると、日本製品の質の高さに対する信頼はまだまだ厚いことを感じます。
セルビア国内には、中国製品を売っているお店はたくさんあり、安価に購入できる点ではとても役に立っていますが、品質の面では日本製品がやはり優れていると感じている人が多いと思います。
7. 和食への興味も高い?
ベオグラードの街中では日本の食材を入手できるオーガニック食品のお店が多くあります。
店内では干し椎茸、味噌、醤油、梅干しなどが販売されています。女性を中心に、健康意識の高い人には人気があります。
そのほか日本食のレストランでは、「MOON SUSHI」「SAKURA」など寿司を食べられるお店がいくつか存在するほか、ラーメンやカツ丼などが食べられる「MARUKOSHI」は若者を中心に人気があります。
MOON SUSHI:http://www.moonsushi.rs/
SAKURA:http://www.sakurarestoran.rs/sr/pocetna
首都に住むセルビア人にとっては、食べようと思えば日本食を試せる機会はあり(本場の味とは少々異なるかもしれませんが)、食を通じて日本について知る機会もあると言えます。
特にセルビア人は食べることが大好きなので、日本の食べ物には興味を示します。
これまで現地の友人・知人に「ラーメンの作り方を詳しく教えてほしい」「だしとは何か?」「日本のカレーはどんな味か?」など質問を受けることもしばしばありました。
8.日本文化紹介イベントも毎年開催!
2008年以降、「Japanizam(ヤパニザム)」という日本文化紹介イベントがベオグラードで毎年開催されています。
開催時には、青少年センターを会場にし、日本の伝統文化、文学、映画、ポップカルチャーなどについて、さまざま講演やワークショップが行われ、会場は若者たちで賑わいます。
このイベントは日本文化を研究している「SAKURABANA」という団体によって企画されています。
また、このイベントから派生して、日本とセルビア、それぞれの国で短編映画を上映する「日本セルビア映画祭」も開催されるようになりました。
セルビアの親日エピソードまとめ
セルビア人が思い描く日本、そして日本人のイメージは時にステレオタイプですが、基本的には良い印象ばかりです。
未知の文化について知りたいと思う好奇心が強く、外国人には積極的に話しかけるセルビア人。
日本人であることがわかると、さらに親切に接してくれることがよくあります。
街中ではアジア人を見かけることもありますが、外見だけでは判断できないことも多いので、積極的に日本人であることを言った方が暮らしやすい、というのが生活してみての実感です。
日本人であることを話して、得することはあっても損することはありません。
日本文化については、食、スポーツ、テクノロジー、ものづくりなど、さまざま面から興味を持ってくれている方が多く、話題に事欠きません。
現地の人々との会話を通して、上手に人間関係を築き、楽しいセルビアライフを送ってくださいね。
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