海外に住む時の不安要素のひとつに、移住する国の治安や安全事情があるかと思います。
特に南アフリカは治安が悪いといわれているため、長期滞在や永住する方にとって敏感になってしまいますが、心がけ次第で危険を未然に防ぐことができ、重大な事態に発展せずにすみます。
ここでは、南アフリカの治安や安全事情について現地永住者からお伝えします。
南アフリカ共和国の治安概要。外務省の情報と実際の比較
外務省は南アフリカの危険度を「レベル1」の十分に注意してくださいとしています。
南アフリカはテロなど大きな事件は少ないですが、スリや置き引きといった一般的な犯罪が他の国と比較して目立つ傾向にあります。
ヨハネスブルグやプレトリア、ダーバン、ケープタウンなど都市部において犯罪の発生確率が高いので注意が必要です。
特に、選挙が近づいたり政府が発言した内容に不満があると、スラム街でタイヤを燃やしたり、国会議事堂周辺で抗議やデモ活動を行うことがあります。
また外務省では移動手段に車の利用をすすめていますが、車での移動も十分に注意しなければなりません。
更に夜間の一人歩きや昼間であっても徒歩での移動は避けるように伝えていますが、場所によっては昼間の一人歩きは可能といえるでしょう。
ケープタウンを例に取り挙げると、比較的安全なエリアであれば昼間の時間帯に家の周辺をジョギングしたり、散歩したりする人の姿もみかけます。
外務省の情報は特に危険なエリアや国の状態など広範囲に取り上げるため、細かな地域の情報は詳しく載せていないように感じます。
全ての地域が危険というわけではないので、過剰に恐れる必要はないといえるでしょう。
あまり良いイメージを持たれないので南アフリカに永住する者にとって残念な気持ちですが、実際に暮らすと平凡で穏やかな日々を送るごとができます。
犯罪に巻き込まれる確率を下げるには、住むエリアや本人の心がけが重要といえるでしょう。
どんな犯罪がある?種類別の対策も紹介
次に南アフリカで発生している犯罪を説明します。
また被害に遭わないように対策も紹介しますので参考にしてください。
置き引き
どの国にも共通した一般被害ではないでしょうか。
レストランや空港、ホテルなど油断すると被害に遭う確率が高くなります。
レストランで食事をする時に空いている横の椅子にバックを置いたり、ジャケットやバックを椅子の背もたれに掛けるなど被害に遭ってしまいます。
空港やホテルであっても安心せず、貴重品は常に身につけておくことが大切です。
空港でスーツケースを預ける手続きをしている間や、ホテルでのチェックインの時など貴重品の入ったバックを足元やテーブルに置いた時に取られてしまうことがあります。
対策:
レストランで食事をする時にバックを椅子の背もたれに吊るすと素通りした瞬間に盗まれるので、貴重品の入ったバックは肌身離さず身につけておきましょう。
ジャケットを背もたれにかける時は、ポケットの中に貴重品を入れないようにします。
ビュッフェスタイルのレストランは狙われやすいので、斜め掛けタイプのバックを使用して常に持ち歩けるように工夫するとよいでしょう。
ホテルや空港で受付をしている時は、手続きに夢中になり注意散漫になりやすいので注意が必要です。
スリ・ひっつたくり
観光地でガイドブックを持ちながら見学すると、見知らぬ人が親切に声をかけてくることがあり、会話に夢中になっているといつの間にか貴重品を盗まれていたということがあります。
その他、道やショッピングセンターを歩いている時、肩にかけていたバックをひったくられた、ポケットに入れたいた財布を盗まれたなどの被害も聞きます。
対策:
見知らぬ人に話しかけられたときは、安易に信用せず怪しい雰囲気はないか警戒しましょう。
観光客はお金を持っていると思われ狙われやすいので、カメラを首にかけてガイドブックを観ながら観光するのは避けるようにします。
また、ズボンのポケットなど目立つところに財布や携帯電話を入れるのも、やめた方がよいといえます。
屋外での強盗
お洒落をして街を歩いたり、観光を楽しみたい気持ちはあっても貴金属やブランド品を身につけるのは、自ら犯罪を呼び込んでいるものです。
南アフリカは自然が豊富で公園もたくさんありますが、人が少ない場所をハイキングしたり公園で休憩をする、海辺を散策するのは強盗に出会うリスクが高く危険です。
対策:
南アフリカは貧富の格差が激しいので、貴金属を身につけるとターゲットになりやすいので注意しましょう。
人気のない公園や展望台、裏通りは犯罪率が高いので、できるだけ人通りのある場所を選び歩くようにします。
現地の生活の慣れてくると一人でハイキングや公園を散策したくなりますが、強姦に襲われる可能性が高いので、ハイキングはツアーに参加するなどグループ行動を心掛けるようにしてください。
【厳選!安全対策グッズと知識をお伝えします】
・財布の数は2つ以上
・革財布で高級感を。さらにチェーンも複数つける
・「スキミング防止」機能付きのパスポートケースやバッグを選ぶ
・体に密着したかばんを持つ
・窃盗防止アイテムをいくつか所持する
・犯罪の100倍遭遇!?交通事故を防ぐ反射リストバンド
・スーツケース施錠は必須。必須の南京錠
など、防犯グッズと安全対策を押さえておきましょう。
カージャック
南アフリカの生活は車での移動が多く、カージャックに出くわす場合も考えられます。
信号待ちで停車している時に狙われやすく、高速道路の出口を出てすぐの信号が危険と言われています。
特にスラム街や空港周辺の道路で信号待ちをしている時に、カージャックの被害に遭ってしまうケースがあります。
この他にも、高速道路や一般道路などに大きめの石を置いて車がパンクするように仕掛けて、降りた隙を見計らって車を奪う手口もあります。
現地で人気の高い四輪駆動車や、現地に工場のある車が狙われやすいといわれています。
対策:
カージャックは夜間に限らず明るい昼間でも起こりうるので、信号待ちの時はいつでも発進できるようにしておき、運転中は常に周囲に注意を払い尾行されていないか確認します。
特に注意したいのが外に設置されているATMでお金を下ろした後で、不審車につけられていないか確認しましょう。
尾行に気づいたら自宅には戻らず人の多いガソリンスタンドや、最寄りの警察署に逃げ込み様子を伺います。
カージャックに遭った時は、無理に抵抗せず速やかにその場を離れるようにします。
犯人は拳銃やナイフを持っている可能性があるので、抵抗すると大変危険です。
ヒッチハイクをしている人は絶対に乗せたりせず、また信号で物乞いをしている人を見ても金銭は渡さないようにします。
窓を開けた隙に狙われる可能性があります。
スキミング
クレジットカードの情報を不正に読み取ることですが、レストランや路上に設置されたATMでカードを挿入した時に被害に遭う場合があります。
また、ATMを操作している時に声をかけてきたり、現金を抜き取った後に後をつけてバックや財布を奪う事件も発生しています。
その他、道路を通過するのに歩行許可証をATMで購入するように言われ、犯人に設置した仮設のATMに誘導され、カード情報を盗むといった手口もあるので注意しましょう。
対策:
路上に設置されたATMは防犯面から安全とは言えないので、監視カメラが取り付けられた銀行やデパートにあるATMを使用するようにします。
ATMを操作している時に誰かが声をかけてきても、画面やカードから目を離さず取り合わないようにしましょう。
レストランやスーパーマーケットでカードで清算する時は、店員さんが怪しい行動をしていないかしっかり確認します。
目を離した瞬間にスキミングの合う可能性があります。
カード情報を不正に読み取られたと思った時は、カード履歴を確認して異常があればカード会社に連絡して止めてもらいます。
スマッシュアンドグラブ
信号待ちをしている時に発生する確率が高く、車の窓ガラスを割って車内にある貴重品を盗むという被害です。
スラム街など治安の悪いエリアを走行している時に被害に遭いやすいので、近くを走行する時は厳重に注意するようにします。
対策:
カージャックの対策と類似しますが、車の中にバックや財布、携帯電話などの貴重品を置いておくと車外から目立つので、トランクに入れて見えないようにします。
カージャックと同様に無駄な抵抗をしない方が安全です。
抵抗すると相手が逆上して、銃やナイフで傷つけられる恐れがあり危険です。
路上に駐車する時は特に注意が必要で、サングラスやケーブル類などはダッシュボードやトランクに保管しておきましょう。
偽警察官による犯罪
南アフリカ国内では、偽警察官による悪質な取り締まりが問題になっています。
邦人が南アフリカ国内で運転するには、有効な国際運転免許証や日本の運転免許証を大使館で翻訳した「自動車運転免許証抜粋証明」があれば運転が可能です。
しかし、本物の警察官であっても邦人に関しての運転免許について把握していない警察官がおり、問題になっています。
警察の制服を着た偽の警察官が車を停めて不正に取り締まり罰金を求めてきたり、呼び止めて窓を全開に開けた時に被害に遭う場合があります。
対策:
警察の制服を着ていると信用してしまいますが、警察手帳を見せてもらったり、落ち着いて対処することが大切です。
法的根拠があり自分に落ち度がないのにしつこく迫ってくる時は、大使館に連絡して偽の警察を装う相手と話をしてもらうようにします。
呼び止められても窓は全開にせず、少しだけ開けて会話をするようにしてください。
やっておくべき安全対策
犯罪はあらゆる場所で発生するので、常に周囲に注意をはらい生活するようにます。
空き巣の被害も比較的多いので、一軒家に住む場合は必ずセキュリティ会社と契約しておくと安心です。
また、空き巣が侵入しにくいように家の周囲に壁を取り付けたり、エレクトリックフェンスなど設置するのも効果的です。
24時間セキュリティガードがいるタウンハウスは安全面でも安心なので、長期滞在や永住する場合は、セキュリティガード付きの家がおすすめです。
被害に遭った時にスムーズに連絡できるように、それぞれの緊急連絡先はメモをして把握しておきます。
車に関しては狙われやすい車種があるので、カージャックに遭いやすい車は選ばないようにしましょう。
護身用に防犯スプレーを持ち歩くのもいざと言う時に役立ちます。
現地の人はどんなことに気をつけている?
先述したように貧困の差が激しい国で、観光客はお金持ち思われターゲットになりやすいといえます。
日本に住んでいる時のようにお洒落をしてブランド品をちらつかせるのは、危険なのでT-シャツにジーパンといった現地の人と同じような服装を心がけるようにしましょう。
夜間の外出は避け、日中は人通りが多い場所を歩いたり、単独行動はしないようにします。自家用車で移動する場合、貴重品は助手席に置かずトランクに収納したり、危険なエリアは避けて走行するようにしましょう。
GPSを使っての道案内は、目的地によってスラム街周辺に案内されることがあるので、雰囲気が怪しいと思ったら引き返して設定し直すようにします。
長期滞在が決まったら外務省が発進している「旅レジ」に登録するのも良い方法です。
予期せぬ突然の出来事やデモ活動がある時など、情報を早めに入手することができ危険回避に繋がります。
万が一のときの連絡先(現地の大使館、警察等)
事件・事故に巻き込まれた時は、速やかに現地の警察や大使館に連絡するようにしてください。
盗難や強盗など、犯罪の種類によっては警察署の書類が必要のものがあるので、警察に届け出ることも忘れずにしましょう。
・在南アフリカ共和国日本国大使館(Embassy of Japan)
電話:012 452 1500
開館時間:月~金曜 08:30~17:00
休館日: 土曜日・日曜、南アフリカの祝祭日と一部の日本の祝祭日
在南アフリカ日本大使館 緊急時連絡先: 012 452 1500 代表:警備、領事
・在ケープタウン領事事務所
電話:021-425-1695
開館時間:月~金曜 08:30~17:00
ケープタウンの領事館は、出張駐在官事務所のため連絡がつかない場合があります。
その場合は上記の在南アフリカ日本大使館に連絡をしてください。
・警察署
電話: 10111
また、外務省のたびレジへの登録も忘れずに。
南アフリカの治安事情まとめ
今回は南アフリカの治安や安全についてまとめました。
南アフリカは治安が悪いイメージが強いですが、安全と言われる国であってもテロや暴動にに巻き込まれることもあります。
一般的な犯罪は欧米諸国と比較して多いかもしれませんが、実際に住んでみると気にするほど治安が悪いという印象はありません。
治安が悪いエリアに近づいたり、注意事項を守れば事件に巻き込まれる確率は低くなるので、長期滞在する時は危険な目に合わないように自分自身の心がけが大切です。
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