就労ビザは海外で仕事をするうえで必須なビザですが、国によって取得方法が異なり、複雑で面倒なものです。
南アフリカは自然豊かで、ワークバランスも良く移住にも最適ですが、仕事状況やビザの取得方法が気になるところです。
ここでは、南アフリカでの仕事事情や就労ビザについて、現地在住者より紹介します。
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南アフリカの雇用環境の実際〜現状と失業率〜
南アフリカの失業率は、2019年の時点で約29%といわれ、他の国と比較すると失業率が高いといえます。
現地に住む日本人の場合、日本語を活かした仕事や日本人の数が少ないことから、他の外国人に比べ仕事を得やすいといえるでしょう。
フルタイムでの仕事が見つからなくても、日本からやって来るビジネスマンの通訳や観光案内、日本語教室や空手教室を開くなど、自分の特技を生かし仕事に繋げることが可能です。
通訳者の資格があるなら現地の大使館や領事館に登録しておくと、仕事をお願いされることがあるので尋ねてみましょう。
仕事を見つける時の注意点
かつてアパルトヘイトが実施された国ですが、アパルトヘイト廃止後は貧困層が多い黒人を優先的に仕事を紹介する傾向が見られます。
インターネットで仕事を探す時、Employment equility(EE)/nonEEと書かれた欄を見かけることがあるかもしれません。
これは雇用平等のことですが、人種や性別に関係なく適切な人員を確保することを目的として表記しています。
- EEは黒人やカラード、アジア系、インド
- nonEEは白人
を意味します。
インターネットを通して仕事を探している時、このようなチェック欄を見た時は、日本人は「EE」と書かれた方にチェックを入れるようにしましょう。
職場は多民族
南アフリカは多民族国家で、職場内の民族のバランスを保つため人員を募集するとき、どの人種を優先的に採用するか目安にすることがあります。
差別ではなく、民族のバランスを取ることで職場環境が円滑になると考えての対策です。
欠員がでた時、ネット上で人員募集をしますが、このようなチェック欄があった時は、有色人種か白人か、どちらかを優先的に採用する仕組みになっています。
だからといって、応募できないという事ではなく、応募はできますが採用される確率は低くなります。
現地採用希望者向け:南アフリカでの求人の探し方+アルファ
現地で仕事を見つける時は、転職エージェントを通して探すのが一般的です。
ここでは現地で仕事を探す時、どのような方法があるのか紹介します。
1.インターネット
仕事はインターネットで探すのがポピュラーな時代です。
応募したい仕事の種類やエリアを入力すると、仕事が羅列されますので条件が合うものがあれば応募しましょう。
履歴書や職務経歴書を作成して登録しておくことで、次回からの応募が簡単にできます。
ほとんどのサイトにはマッチング機能があり、希望する職種に空きがでるとメールで教えてくれ便利です。
では、南アフリカで人気のジョブサイトをいくつか紹介します。
・Indeed
・PNET
・Career24
・CareerBuilder.com
2.ローカル新聞
自分の住んでいるエリアの新聞に求人が載ることがあります。
1週間に1回発行される無料新聞なので欠かさずチェックしてみましょう。
ローカル新聞はエリアによって配達日が異なりますが、毎週決まった曜日に新聞配達員さんが、自宅のポストに投函してくれます。
24時間警備員が常駐する住宅に住んでいる時は、配達員さんは警備員にまとめて新聞を渡すので、ゲートに常駐する警備員さんに「新聞がほしい」といえばもらえます。
その他、レストランやショッピングセンターの入り口、駅構内などいろいろな場所に置いてあるので確認してみましょう。
3.知人の紹介
日本人同士、または外国人の知人から仕事を紹介してもらうパターンも多いです。
現地の日本人は仕事探しに困らないといっても、失業率の高い国なので簡単に見つからないことがあるものです。
仕事がない時は、知り合いに声をかけておくと、「スタッフを募集している」と教えてくれます。
また、日本人コミュニティで繋がっていると、相手が辞める時に「後任にどう?」と誘われたり「○○で仕事募集しているよ」と情報が得られます。
4.直接応募
希望する会社が分かっている時は、直接履歴書を送るのも方法のひとつです。
応募先の会社で、偶然にも日本人を探していたということもあり得ます。
その会社で自分に何ができるのか、強みをアピールすることで成功率が高まるでしょう。
職務経歴書に加え、熱意のこもったレターを添えることで熱心さが伝わり採用されやすくなります。
5.お店にある掲示板
現地のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどには、求人や仕事を探す掲示板があります。
掲示板をこまめにチェックして、仕事があるか探しましょう。
6.起業する
どんな方法を試しても仕事が見つからないときは、自分で仕事を始めるのもひとつの手段です。
翻訳や通訳サービスをウェブサイトで紹介したり、日本語を教える、ライター業、観光案内をするなど、自由気ままに働くのも良いでしょう。
日本人が働くとしたら、どんな仕事がある?
1.オフィスワーク
貿易事務や一般企業の事務職で働くことが可能です。
仕事内容は働く職場によって違いますが、輸出入に関わる書類の作成や整理、電話対応、経理関係がメインといえるでしょう。
日系企業の場合は、出張で南アフリカにやって来る日本人のお世話をするなど、仕事の幅は広がります。
事務経験がなくても日本語が話せるという理由で、仕事を紹介してもらえる場合があります。
都市部には日系企業があるので、空きがあれば仕事を見つけることができます。
2.観光業界
・観光ガイド
南アフリカは観光業に力を入れているため、日本から毎年たくさんのツアー客が訪れます。
ガイドの資格を取得すればすぐに仕事に就けますし、現時点で日本人ガイドが不足している状況なので、シーズン時はそれなりに仕事も入ってくるでしょう。
個人で来たお客さんの観光案内や、添乗員さんやツアー客のサポートなどがメインですが、現地のツアーオぺレーターがレストランの予約を忘れていたり、お客さんの急病や怪我など、トラブルに対して臨機応変に対応しなければならないことがあります。
観光ガイドは、繁忙期と閑散期の差が激しいのも特徴です。
・ツアーオペレーター
現地には数ヶ所ですが日本人が勤務している日系旅行会社があるので、経験があれば雇ってもらえる可能性が高くなります。
ツアーを計画したり、飛行機のチケットや現地のバスの手配、レストランやホテルの予約など仕事は多岐に渡ります。
また、ツアー中は、いつどこでトラブルが起きるか分からないため、緊急の電話に対応する必要があります。
日系以外にも現地のツアー会社はたくさんあるので、英語でのコミュニケーション能力に問題がなく、経験があれば就職できる確率はアップします。
3.コールセンター
商品についての問い合わせや、日本人相手に製品を紹介してセールスをするなどいろいろありますが、基本的にサポート業務がメインになります。
シフト制で仕事をするのが一般的で早番・遅番があったり、会社によっては1食分ですが食事を支給してくれる場合があります。
コールセンターでの仕事が未経験でも研修制度があるので安心して仕事に取り組めます。
4.日本語のレッスン
南アフリカ人のなかには、日本語を勉強したいという熱心な人がたくさんいます。
日本企業に就職が内定した大学生や個人的に学びたい人を対象に、日本語を教えるのも良いでしょう。
日本語教師の資格があれば良いですが、資格がなくても日本語を話せて教えることができれば、プライベートレッスンも可能です。
5.医療職
医師や看護師、臨床検査技師、診療放射線技師など医療資格があれば、現地の病院に就職が可能です。
しかし、南アフリカで医療職として働くにはまず最初に現地の医療専門機関に登録する必要があり、登録が完了するまでにかなり時間がかかります。
看護師の登録:https://www.sanc.co.za/
その他の医療職:https://isystems.hpcsa.co.za/Professionals/ProBoards
日本人の場合、習得したカリキュラムを翻訳したものを提出したり、特別に試験や講習を受けるなど複雑な仕組みになっています。
看護師は不足しているので就職に困りませんが、シフト制で1日の勤務が12時間勤務なので体力に自信がない人は辛いかもしれません。
6.フリーランス
南アフリカでは、フリーランスで働くのも仕事のスタイルです。
ある程度、英語ができれば英語ガイドの通訳や会議通訳、翻訳、日本人顧客のアテンド、ライター、日本語教師などさまざまな仕事があります。
フリーランスは時間に縛られず、自由に仕事ができるのが良い点です。
南アフリカの就労ビザの種類
南アフリカでは2019年時点で、3種類の就労ビザがあります。(働く場合には就労ビザの申請が必要です。)
1.一般労働ビザ (General Work Visa)
現地にある会社の支店や駐在員事務所など、日本から派遣されて出向する場合や現地採用で働く場合に許可されるビザです。
許可されるためには南アフリカ国内には、この仕事に関わる最適な人物がいないことを証明する書類が必要です。
有効期限は5年間ですが、5年目以降は永住権の許可申請が認められます。
2.企業内転勤ビザ (Intra Company Transfer Visa)
日本の企業から南アフリカの支店に転勤になった時に許可されるものです。
現地に支店や駐在員事務所がある時は、会社内から転勤扱いとなり、4年を限度にビザが降ります。
日本の企業と6ヶ月以上の雇用契約があることが条件で、日本にある南アフリカ大使館でのみ申請ができ、現地では申請できません。
3.クリティカル・スキル・ビザ(Critical Skill Visa)
特別な資格や技能を持った人に対して許可されるビザです。
南アフリカにとって好ましい技術を身につけたもので、SAQA(South African Qualifications Authority)が認めた者でなければ許可されません。
医療や農業、IT関係など様々な職種があるので、自分の学歴や技術、経験などが当てはまればビザの申請が可能です。
有効期限は5年で、現地でも申請可能です。
就労ビザの取得方法
海外で働く場合、就労ビザが必要になりますが、日本から現地の企業に応募して採用してもらう方法があります。
ビザは許可が下りるまでに約1年以上時間がかかるので気長に待つようにしましょう。
現地採用に当っては、最初に就労ビザの有無を確認されることが多く、現地の会社でビザの手配してくれることはほとんどありません。
始めから就労ビザを持っている、配偶者ビザで働くことが許可されているビザがある、永住権があるというように就労できるビザがないと働き口もありません。
多くの国では就労先がビザの取得をサポートしてくれると思いますが、南アフリカの場合、積極的に就労ビザをサポートすることはないでしょう。
就労ビザ取得時の注意点
労働許可の期限が切れる30日前から更新・申請が可能なので、期限が近づいたら早めに申請すると安心です。
期限切れの許可証は無効となり、南アフリカを出国する時に罰金を支払わなければならなかったり、不法滞在扱いになり収監される恐れがあるので注意してください。
冒頭にも書きましたが、現地の企業で働きたいといった場合、まずビザの状況を聞かれることが多く、永住権や就労許可を証明するビザがないと雇ってもらえません。
また、観光ビザから就労ビザ、ボランティアビザというように、他のビザに切り替えはできないので注意しましょう。
現地で申請・更新する場合は Facilitation Services(VFS)と呼ばれる、ビザ代行機関を通して申請を行います。
VFS公式URL: https://www.vfsglobal.com/dha/southafrica/index.html
必要な書類
- 申請書(オンラインにて申請)
- 有効期限のパスポート
- イエロー熱予防接種証明書(必要に応じて)
- 南アフリカと日本の警察証明書(無犯罪証明書)
- レントゲン写真と健康診断書
- 結婚受理証明書や・離婚証明書の翻訳(該当者のみ)
- 宣誓供述書
- 資格証明書
- 雇用主の詳細
以上、主な書類を書きましたが、このほかにも個人によって必要な書類が異なるので、公式サイトで確認してから手続きをしましょう。
南アフリカの仕事で必要な語学力は?共通語は英語
南アフリカはアフリカーナ系やコザ系、ズール系などさまざまな民族が暮らす国で、11の公用語が話されていますが、共通語は英語なので仕事では英語を使ってコミュニケーションを取るのが一般的です。
現地の人は小学生の頃から英語を学んでいるので、ほとんどの人は英語が話せます。
医師や弁護士など専門性の高い分野の仕事でない限り、日常英会話能力があれば通じますし、最初はつたない英語であっても働いているうちに上達して、問題なく話せるようになります。
南アフリカでの仕事の探し方や就労ビザまとめ
南アフリカはたくさんの民族が暮らす国なので、職場でもいろいろな言語が飛び交い興味深い職場といえるでしょう。
失業率が高い国なので、仕事を見つけるのは簡単ではないですが、日本人の特徴を生かした仕事に目を向けると仕事が探しやすくなります。
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