昨今、日本人の移住先の1つとして注目されているオランダ。
ワークライフバランス先進国であり、英語が通じる安心感や子どもの幸福度が世界第一位というほどの安全性など、私たち日本人にとってメリットがたくさん存在することもその理由である。
移住先の1つとしてオランダが近年注目されたきっかけが「日蘭通商航海条約」の見直しによるものです。
日本人であればオランダ国内において労働許可なしでの就労が認められました。
2014年末のこの件をきっかけに、日本人の就労に対する敷居が下がり、オランダに移住する日本人が増加傾向にありました。
ところが2016年6月、オランダ移民局から「日本人であっても労働許可の取得を要する状態に戻す」という内容が突然発表されたのです。
あまりにも突然の発表にオランダ現地にいる日本人も含めて様々な意見や情報が錯綜し、「せっかく移住準備していたのにオランダに住めなくなるかもしれない?」というような不安が移住予定者の間でも広がりました。
しかしご安心下さい。
結論を先にお話すると、オランダに移住できる選択肢はいくつも残っています。
その選択肢の中でもこの記事でフォーカスをあてるのが、比較的敷居も低い、難易度も低い「個人事業主(フリーランス)」として移住する方法です。
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1.オランダにおける労働許可について
2014年末、日本人に関しては、オランダ国内において労働許可なしでの就労が認められました。
しかし、冒頭で記載したとおり2016年6月「日本人であっても労働許可の取得を要する状態に戻す」という内容がオランダ移民局から発表され、2017年1月1日よりそれは実施される予定です。
2014年末にオランダへの移住のハードルがかなり低くなった後、2017年よりまたそれが元に戻るというイメージです。(敷居の変化があっただけで、オランダにて労働許可を得る手段がなくなったということではありません。)
労働許可がないと居住許可がおりませんので、オランダに移住できないのではという不安な話になったわけです。
しかし、2017年以降も比較的、移住難易度が低い方法が残されています。
それが個人事業主として労働許可を得る方法です。
オランダ人との結婚での配偶者ビザや学生ビザなどを除いて、オランダで労働許可を得るための手段を大きく2つにわけて次に記載します。
知的労働者 or 普通労働者として申請
こちらは企業などに雇用される前提で移住する方法です。
現地企業側がスポンサーとなり国に手数料を支払います。
誰でもこれを利用できるわけではなく学歴・資格・専門スキル・資本金など様々な項目の審査を通過できかつ、オランダにある企業に雇用してもらうことが前提となるので、ハードルは比較的高いといえます。(2016年末までは日本人であれば労働許可が不要だったので、企業に雇用されることもハードルが低いという状態でした)
自営業(個人事業主)として申請
一方個人事業主として申請する場合、申請費用や簡易的なビジネスプランは必要なものの、事業計画を厳密に審査するポイントシステムは適用されず、また、もともと労働許可は不要とされているため居住許可を得るためのハードルは低いといえます。
2017年以降も個人事業主として居住許可を取得し、移住するという選択は可能なままで、労働者として申請するよりも比較的難易度が低い申請方法なのです。
※注)これは2016年10月の情報であり、手段を確約するものではありません。2017年以降の内容も予定となっており、オランダ政府やオランダ移民局の意向によって制度は変更になる可能性が多分にあります。在オランダ日本大使館やオランダ移民局の最新の情報を必ず参照して下さい。
次からは個人事業主としてオランダで起業するための具体的なステップや必要な費用などを記載していきます。
2.起業までのステップと申請手続きの流れ(日本)
オランダで個人事業主になろうと決断し、オランダで居住許可を取得するためにはまずは日本で必要書類を準備しなくてはなりません。
いくつかの手続きにかかる費用は5.でまとめていますので、その前に起業までのステップとおおまかな手続きの流れを記載します。
具体的には下記のような10個のステップになります。
1)本籍がある市役所にて戸籍謄本の取得
2)外務省にてアポスティーユ(外務省による承認印)付きの戸籍謄本を取得
手続き自体はそこまで難しいものではありません。
オランダの法律上、アポスティーユ取得は絶対ではないようですが、最近移民が増加した影響で書類チェックが厳しくなっているようのでアポスティーユ付きの戸籍謄本を取得しておくほうが安心です。
1)2)は日本で取得しなくてはならない書類なので、必ずオランダに来る前に準備をしましょう。
3.起業までのステップと申請手続きの流れ(オランダ)
日本での必要書類準備後、オランダでの手続きのステップは以下のとおりです。(賃貸物件を探し、賃貸契約をすることは平行で行いながら)
3)在オランダ日本大使館にて戸籍謄本の英訳書類取得
4)オランダ外務省にて認証印取得
5)オランダ移民局にて一時滞在許可証取得(テンポラリーVISA)
在オランダ日本大使館、オランダ外務省、オランダ移民局はオランダの政治都市デン・ハーグという場所にあります。
3)の作業は申請から約1週間、4)、5)は基本的には申請日中に完了できます。5)に関しては住所(賃貸契約書)が必要になりますので、このステップまでに賃貸契約を結ぶ必要があります。
また5)と、次に出てくる7)に関しては、やろうとしているビジネスの概要を聞かれるので、英語で記載した簡易的なビジネスプランを書類にまとめておくとよいでしょう。(書類にまとめておくことは手続き上、必須ということではないですが、手続きが非常にスムーズになります。)
6)住む都市の市役所にて住民登録(BSNナンバー取得)
7)商工会議所にて会社登録
8)銀行口座の開設
9)会計士によるバランスシート作成
10)移民局にて最終滞在許可申請
6)に関しては住む都市によって取得までの期間が変わってきます。
例えば行政機関が集中しているデン・ハーグでは即日発行してもらえますが、地方都市によっては1ヶ月以上かかったりする場合もあります。
必ず住所のある市役所で手続きを行わないといけなく、予想以上に期間を要してしまったという過去の例がたくさんありますので、期間に余裕をもって臨みましょう。
7)まで終えたらもう少しです。
会社登録を終えたら、8)現地銀行のビジネス口座開設し資本金4,500ユーロを振り込み、バランスシートと会社登録証明書を移民局に最終提出。
最終申請から約1ヶ月後、居住許可カードが届きます。
住む都市・どれくらいの期間で賃貸契約を結べたか・どれくらいの期間で住民登録を取得できたか等によってかわりますが、個人授業主として最終的に居住許可を取得できるまで、約2ヶ月から約6ヶ月ほど期間がかかるようです。
4.申請手続きのケースとイメージ
上記2.3.で記載しているとおり、人によって期間は変わってきますが、特に賃貸物件をどのタイミングで探すかが手続きを進める上で重要になってきます。
読者の方々がイメージがわきやすいよう過去、個人事業主として居住許可を得てきた日本人の代表的な2つのケースをご紹介します。
ケース1:下見なし、突撃オランダ移住
日本での必要手続きをすべて済ませて、日本での荷物もすべて処分し、最低限の荷物と自分の体だけをもって移住するケースです。
メリット
メリットとしてはもちろん、コストを最大限落とせること。(行ったり来たりの旅費や二重家賃など)また居住許可を取得できるまでの期間を短くできる可能性も高いです。
デメリット
デメリットとしては日本での荷物を処分しなくてはならなかったり、オランダでの賃貸物件が決まるまでホテルや民泊などを利用しなくてはならない等です。
ケース2:オランダ下見実施後、一時日本帰国、そしてオランダ移住
本格的にオランダに来る前にまずはオランダに約1ヶ月ほど短期間滞在。
住む都市を吟味したり、ビジネスの現地調査を行ったりをしながら、その短期滞在の中で賃貸契約を結ぶところ4)までを終えます。
それを終え、日本へ一時帰国。荷物の発送など日本でやり残した作業をおえ、再度オランダへ。
メリット
メリットとしてはオランダでの住所も決まり、漠然とした不安もないことと、何より日本でしっかりと整理作業が行えることです。
デメリット
デメリットとしてはケース2と比較しコストが増える傾向にあります。
ポイントとしては本格的な移住前と後、どのタイミングで賃貸契約を結ぶかになります。参考にしてみてください。
5.まずは約70万円あれば起業できる(手続き費用や生活費などの準備金概算)
ケースによって異なり、あくまで概算にはなりますが、個人事業主として起業し居住許可を取得するにあたりかかる費用は下記のとおりです。(すべて1人の費用として概算をだしています。)
まず純粋に手続きのみにかかる費用は約€6,200(約¥720,000)すべて自力で行わずに移民弁護士や移住エージェントに依頼すると別途費用が発生します。
- 戸籍謄本の取得 ー ¥450(約€3.5)
- アポスティーユ付戸籍謄本の取得 ー ¥0(東京・大阪外務省の窓口取得の場合)
- 戸籍謄本の英訳書類取得 ー €9
- 認証印取得 ー €9
- 一時滞在許可証取得 ー €1,296
- 住民登録 ー €0
- 会社登録 ー €65
- 銀行口座開設 ー 投資資金として€4,500
- 会計士バランスシート作成 ー €300(依頼する会計士によって異なります)
上記に加えて仮に6ヶ月間、最低限必要な生活費用概算としては約€13,200(約¥1,600,000)6ヶ月分の生活費と手続き費用を合わせて約210万円ほどになります。
家賃 ー €9,000(€1,000 × 6ヶ月 + 保証金€1,000 ×3ヶ月)
(家賃はアムステルダム・ユトレヒトという家賃が高いエリアを除いた相場の金額です。保証金も契約する物件によって全く違いますが、概算でいれています。保証金は基本的に退去時に返却される敷金のようなものです。オランダの物件は家具付きのものも多いので身1つですぐ住める場合もあります。)
食費 ー €3,000(€500 × 6ヶ月)
通信費 ー €100(€50 × 6ヶ月)(携帯電話の費用は日本の半分以下のイメージです。)
光熱費 ー €600(€100 × 6ヶ月)
健康保険 ー €420(€70 × 6ヶ月)(居住許可取得後にオランダ国内に住む方々は全員、加入必須です。日本と違い、保険バリエーションも豊富で内容を手厚くすれば高くなる仕組みです。)
6.まとめ
個人事業主として居住許可申請を行った場合、他国と比べても非常にリーズナブルなこともオランダ移住のメリットの1つです。
概算にはなりますので、ご自身のライフスタイルなどとも照らし合わせながらぜひシミュレーションをしてみてください。
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