香港の教育制度や事情を分かりやすく解説します

香港に移住するとなると気になるのが現地の教育事情です。

義務教育から大学までどのような制度なのか?日本との違いは?実際に現地で学校に通う場合どのような選択肢があるのか?など疑問はたくさんあると思います。

今回は香港の教育制度と事情についてご紹介します。

香港の教育システム

イギリスの植民地であった香港は1997年の返還後も教育制度は変わらず、イギリス方式の6-5-3-2制(小学校6年、中学校5年、予科制2年(日本の高校に相当)、大学3年)でした。

2009年の教育改革に伴い6-3-3-4制(小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年)となり、現在は旧制度から申制度の移行時期で両方の制度が同時に存在しています。

義務教育は小学校6年、中学校3年の計9年間です

香港内には

  • 公立(官立)
  • 政府から補助金を受けている私立学校(津貼資助学校)

があり、義務教育では公立が無償になります。

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香港の教育の特徴

香港の公用語は英語と広東語です

そのため、香港の教育システムで特徴的なのは学校が

  • 中国語以外の教科を英語でおこなう学校(EMI = English-medium instruction school)
  • 英語以外の教科を中国語でおこなう学校(CMI = Chinese-medium instruction school)

に分かれていることです。

EMI

EMIは中国語(中国史を含む学校もある)を中国語(広東語または中国語の標準語に該当する普通語(プートンホァ))で教える以外は英語の教科書を用い、英語で教えます。

EMIは植民地時代にエリートを育てるために設立され、進学校というイメージが強いです。

しかし返還後に普通語の需要性が高まる背景を踏まえ、1998年9月にEMIは学校全体の25%にあたる114高に制限されました。

CMI

CMIは広東語や普通語で授業が行われますが、中国語(中国史を含む学校もある)は普通語で行われます。

結果的に香港の学生は英語・広東語・北京語の3か国語で教育を受けることになり、特に若い世代はこれらを習得したトリリンガルが多いです

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小学校から大学までの流れ

小学校

公立と私立に分かれます

公立は日本のように学区制ではなく、希望する各学校に入学申請書を提出します。

各校で合格者選定が行われ、合格者が発表されますが、必ずしも第一希望に合格するとは限らないので、第二、第三希望校を選定しなければなりません。

すべての希望校に合格できなかった場場合は、Waiting Listに名前が記載され、政府によるコンピューター抽選で学校が決定されます。

この抽選に漏れた場合は、受入れ枠のある公立へ割り当てられますが、人気が低い学校だったりするので、保護者は学校が決まるまで心配の種はつきません。

中学校と高校

香港では基本中高一貫です

日本同様、厳しい大学受験の背景を考慮して、進学率の高い公立・私立校は人気が高いです。

公立の場合、2010年以降、筆記試験での選抜は禁止されています。

公立への入学予定者は

  1. 「自行分配」と呼ばれる学校独自の基準で入学予定者の30%の合否を決定
  2. 「統一分配」と呼ばれる香港の教育局が定めたルールに基づいて入学予定者の70%の合否を決定

することになります。

大学

香港の大学は長らく

  1. 香港大学
  2. 香港中文大学

の2校のみで、進学はかなり狭き門でした。

この大学に進学できない学生の多くは海外に留学するか、就職するしかありませんでした。

現在は香港政府から認可を受けた大学は、上記2校のほかに

  • 香港城壱大学
  • 香港科技大学
  • 香港理工大学
  • 香港浸会大学
  • 嶺南大学
  • 香港樹仁大学
  • 香港教育大学

があり、卒業時には「学士」が授与されます。

後述しますが、これらの大学に進学するには厳しい受験戦争に打ち勝つ必要があります。

2000年からは日本の短大卒の準学士に該当する「副学士」制度が導入され、大学が実施する2年または3年のコースと専攻します。

香港の大学受験は日本とどう違う?

香港は日本と比べ大学数が少ないこともあり、定員は約2万人、大学進学率は17~20%です

大学進学希望者は、高校卒業後、「香港中学文憑」を受験します。

この受験結果はJUPAS(Joint University Programmes Admission System)というシステムで大学への選抜が行われます。

受験者が受験前に登録した志望大学・学科リストから、大学・学科とのマッチングが行われ、限られた入学者枠が有効に使われるよう、受験生1人にひとつの大学・学科から入学通知書が届きます。

香港在住の日本人はどんな学校へ行く?

日本人の子供が香港で学校に行く場合、そのバックグランドによって選択肢が異なるでしょう。

両親が駐在員の場合

駐在員のほとんどは任期付きの在住です。そのため、駐在員の子供は日系の学校へ通うことが多いようです。

現在香港には5つの日系幼稚園

  1. コーンヒル日本語幼稚園
  2. 香港たんぽぽ幼稚園
  3. オイスカ香港日本語幼稚園
  4. 帝京香港幼稚園
  5. こひつじ幼稚園

日本人学校は2つの小学部

  1. 香港校
  2. 大埔校

と1つの中学部

  1. 香港校

があります。

また小学部大埔校と中学部には授業をすべて英語で行う国際学級が併設されています。

香港で義務教育までは日本と同じ教育を受けられます。

しかし高校は日本へ帰国するか、現地のインターナショナルスクールへ進学するかになります。

両親が香港永住組

両親の一方が香港人や外国人であったり、香港で起業しているなどで香港にほぼ永住組の子供は

  • 現地校に通う
  • インターナショナルスクールに通う
  • 義務教育までは日本人学校に通い、高校は日本の高校に通うか、現地のインターナショナルスクール、または現地校に通う

という選択肢になるでしょう。

日本人学校の場合、義務教育ですが授業料がかかります。

またインターナショナルスクールも日本人学校以上に高額な授業料や寄付金などがかかるので、両親にそれなりの経済力が必要になります。

上記紹介した幼稚園、小学校、中学校は下記HPを参照ください

複数の言語で教育を受けるメリットとデメリット

義務教育までは日本語、高校からは英語などで教育を受ける場合、心配されるのは語学の習得度です。

特に日本人中学校からインターナショナルの高校へ進学する場合、十分な英語力がないとESL(英語の環境が初めてという生徒のためのサポートプログラム)からのスタートになるので、卒業までに取得すべき授業や単位などに注意が必要です。

しかしバックグラントの異なる多国籍な生徒に囲まれながら、多種多様な文化に触れることができ、国際的な視野や見聞を広められるというメリットもあります。

香港の教育事情まとめ

香港ではイギリス植民地時代の名残もあり、公用語が英語と広東語です。

そのため教育システムも主要とする言語の選択から始まり、学校の種類も多岐に渡ります。

香港に移住する場合、子供がどのような言語環境が育つのがベストなのか考えられてから、学校を選択されてはいかがでしょうか?

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