海外留学といっても多くの選択肢が存在します。その中の一つが「何を学ぶのか」ということです。
イギリスの大学と日本の大学では制度が異なります。日本と違いイングランドとウェールズの大学は三年制ですから(ちなみにスコットランドは四年制です)、一年目から学問分野ごとに細かく分かれて専門知識を深めていきます。
大学で教育を受ける上でおそらく一番大切な「何を学ぶのか」に着目して、学問分野を一挙紹介します。
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文系・理系
日本でいう文系・理系という分け方をイギリス制度に当てはめるとすれば、
- Bachelor of Arts(BA)が文系
- Bachelor of Science(BSc)が理系
となるでしょう。
しかし、これは少し強引とも言えるでしょう。
なぜならBAと呼ばれるものでも日本で言う理系ということがあります。
そこらへんはしっかり自分で理解をすることが大事かもしれません。
三年制であろうと四年制であろうと学位レベルが同等であることには変わりませんので、どちらの国でも学位取得後は問題なく大卒(学士)と言えますし、何を勉強したのかは、フォーマルな形で提示できますので、文系・理系を示すBAとBScにそこまで神経質になることはないでしょう。
思う存分集中できる魅力
イギリスの大学で教育を受ける上での魅力は、やはりその学術の歴史と世界をリードする研究でしょう。
例えば、科学系を学ぶのであれば、イギリスは科学的知識を深めてきたいわば世界の「発信地」として学術を発展させてきました。
学問の細分化が進む現代においても、世界をリードしていることに変わりはなく、多くの専門的なコースが誕生しています。
日本でいう専門学校や大学院ぐらい特化できる学科も多く存在します。
そういった中で学びたいことに集中できることもまた魅力の一つでしょう。
イギリスの大学留学の学問分野を紹介
カテゴリー別に学問分野を紹介していきます。
このカテゴリーは、The Times Higher Educationによって分類されているものです。
いくつかのカテゴリーは非常に広いものになりますので、多くの大学によって更に細分化されていますので、調べれば調べるほど自分が特化したいものが見つかるはずです。
生物学(Biological Sciences)
生物学は非常に広い分野です。ここには:
- 遺伝子学
- 細胞学
- 生態学
- 保全科学
- 動物学(霊長類学、鳥類学、爬虫類学など更に選ぶことも可能です)
- 植物学
- 生物進化学
などが含まれていますので、この分野を選択する場合には、更に見極めていく必要があるでしょう。
スポーツ科学(Sports Science)
人体学や栄養学などもここに入ってくることが多いでしょう。
また経済学、心理学、医学と同時に進めていく学部も存在するので、更に見極めていく必要があります。
心理学(Psychology)
比較的絞られた学問分野になります。
以下のようにわかれていることが主流でしょう:
- 行動心理学
- 神経心理学
- 脳科学
また動物学と並行するコース)も存在しますので、見極めていきましょう。
物理学(Physics)
下記の天文学と組み合わされていることが主流でしょう。
または数学と組み合わされていることもあるでしょう。
ただ物理学のみを専攻することも可能です。
天文学(Astronomy)
上記の物理学と組み合わされていることが主流になりますが、天文学のみを専攻することもできます。
化学(Chemistry)
多くの大学で専攻できます。
生化学などに特化するができる大学も存在しますので興味がある人は調べてみましょう。
エンジニアリング(General Engineering)
エンジニアリングは、幅広い分野になりますが、こちらは一般のエンジニアリングです。
専門的な分野は下記してあります。
地質学(Geology)
地質学は、特化した分野になりますが、自然地理学などの他の分野との組み合わせも存在します。
ヨーロッパという土地に興味があれば良い留学になるでしょう。
環境科学(Environmental Sciences)
生物学同様に非常に幅広い分野になります。以下のようなコースが存在します:
- 気象学
- サステナビリティ
- 土壌学
- 生物地球化学
- 水質学
- 大気学
- 環境政策学
- 環境経済学
この分野を選択する場合には、更に見極めていく必要があるでしょう。
地球学(Earth Science)
環境科学、地質学、物理学、生化学、生物学などと重複する部分がありますが、地球に着目した分野です。
海洋学(Marine Science)
この分野は、大きくわけて二つに分かれます。
漁業をとりあげるものと、海洋の生態と生物に着目するものです。
生物学と重複する部分もありますし、海洋保全なども同時に学べるでしょう。
地理学(Geography)
この分野も大きく分けて二つに分かれます。
人文地理学と自然地理学です。人文地理学は文系(BA)で自然地理学は理系(BSc)となっていることが多いでしょう。
数学&統計学(Mathematics & Statistics)
数学は、幅広い分野になります。
統計学は応用数学の一種になります。
どの方向に数学と統計学の知識を応用したいか特定することで、学位取得の意味が大きくなるでしょう。
土木工学(Civil Engineering)
日本の土木工学知識は素晴らしいので、留学であえて学ぶ人は少ないかもしれませんが、違う視点から土木工学が見えるかもしれません。
コンピューター科学(Computer Science)
コンピューター科学は、海外留学で学べることが多いでしょう。
ケンブリッジ大学には、マイクロソフトの研究所があります。
社会学(Sociology)
SociologyまたはSocial Scienceなどと呼ばれています。幅広い分野になります。
以下の様な分野を含みます:
- 犯罪学
- パブリックヘルス
- 社会政策学
- 宗教学
- グローバル・ディビジョン
人文地理学と重複する部分もありますが、この分野を選ぶ場合には、何を学びたいのか具体的に見極めていく必要があるでしょう。
経済学&計量経済学(Economics & Econometrics)
多くの大学が教えていますので、この分野を選択することで、大学の選択肢が増えるでしょう。
政治学&国際学(Politics & International Studies)
日本でも教育を受けることが可能ですが、もしこの分野に興味があり、国際的な政策などを学びたいのであれば、留学することをおすすめします。
法律(Law)
国際的な法律を学びたいのであれば、留学して得るものは多いでしょう。
日本国内で弁護士になるのであれば、日本の大学の方が日本の法律を学ぶには有利でしょう。
法律に関連する研究をしたいのであれば、留学は良い選択だと思います。
ビジネス&マネジメント(Business & Management)
法律と同様になるのですが、将来的に日本国内でビジネスとマネジメントを考えているのであれば、留学する利点はそこまでないでしょう。
起業や研究を目指している場合は、良い経験になることでしょう。
言語学&文学(Language, Literature & Linguistics)
英語について、またイギリスにある英語以外の言葉(例えばウェールズ語)に興味があるのであれば、是非留学するべきでしょう。
日本では取得することの難しい古い文献が山のようにあります。
歴史&哲学(History, Philosophy & Theology)
西洋の歴史に興味があればイギリスは、素晴らしい留学先でしょう。
哲学は、幅広い分野になりますが、日本にはない考え方に出会うことは間違いないでしょう。
芸術&デザイン(Arts & Design)
歴史同様に西洋美術などに興味があれば、イギリスは素晴らしい留学先になります。
デザインに関しては、どのような分野に関わりたいか見極めていく必要があります。
演劇(Performing Arts)
英語で演劇をすることを目指すのであれば素晴らしい場所です。
特にロンドンには、複数の有名な教育機関がありますので調べてみて下さい。
教育学(Education)
将来、教育者として働きたい人は、留学することで最先端の教育法に出会えるでしょう。
また、教育に関する多くの研究が行われていますので研究方法も学べるかもしれません。
機械工学&航空宇宙工学(Mechanical & Aerospace Engineering)
日本には素晴らしい機械工学が存在しますが、コンピューター科学が進んでいるイギリスならではの教育が受けられるでしょう。
また英語で学ぶということは、今後の強みになることでしょう。
会計学&ファイナンス(Accounting & Finance)
日本とは通貨が違いますので、外資系企業などに勤めたい方に留学をお勧めします。
ちなみにイギリスはポンド通貨で、ヨーロッパはユーロ通貨になります。
コミュニケーション学&メディア学(Communication & Media)
メディアの形態が日本とは異なるので、海外メディアと関わったり、海外情報を扱うジャーナリストになりたい人は留学することで多くを学べるでしょう。
獣医学(Veterinary Science)
ロンドンに世界最古で最大の獣医学校があります。
多くの場合、獣医は世界共通になりますので最先端の教育が受けられることでしょう。
農学(Agriculture)
日本とイギリスでは、農作物が多少異なりますので、将来的に国際的な農業研究などに関わりたいのであれば、留学で多くのことを学べるでしょう。
森林学(Forestry)
農学同様に林業もイギリスと日本では、異なります。
将来的に研究を目指すのであれば、留学は素晴らしい選択になるでしょう。
考古学(Archaeology)
世界規模で考古学に興味があれば是非留学するべきでしょう。
日本やアジアに興味がある場合は、日本で学んだ方が良いかもしれません。
将来、考古学の研究をしたい場合は、留学は良い経験になるでしょう。
建築学(Architecture)
日本には素晴らしい建築技術と知識がありますので、あえて留学する必要はないと思いますが、西洋の建築と修復に興味があれば、留学はいいものになるでしょう。
電子工学(Electrical & Electronic Engineering)
日本には素晴らしい電子工学が存在しますので、あえて留学する必要性はないかもしれません。
ただ何かしら最先端の技術と知識があって学びたいということであれば良い経験となるでしょう。
化学工学(Chemical Engineering)
化学工学は、多くの場合世界共通になるので、興味があれば留学は良い選択かもしれません。
医学(Medicine)
医学に関しては、是非留学するべきです。
日本ではやっとはじまった科学的根拠に基づく医療介入というものを始めたのがイギリスです。
イギリスが世界をリードしている分野になります。
歯科学(Dentistry)
歯科学に関しては、ヨーロッパが世界の中心ですので、
留学をお勧めします。最先端の技術と知識を学べるでしょう。
「学びたい」を具体化させる
ひとつ明確に言えることは、日本で学べないものがあるということです。
しかし、これは同時に日本でしか学べないものもあるということにもなります。
実際に行かないと文化的な違いというのは、ハッキリしない部分があると思いますが、興味がある学科が日本の大学では少ない、見つからないなどの場合は、西洋で学術を発展させてきたイギリスの大学を視野に入れてみて、もっと具体化させることで留学することに近づくでしょう。
日本でも多くの選択肢が存在しますが、イギリスで大学留学する場合は、より明示的に「これが学びたい」と追及できるでしょう。
例えば、担当教授の研究所などでのボランティアを通して学ぶこともできるでしょう。
こういった形での海外経験は、当然ですが、日本ではできません。
自分の学びたいものが、日本で特化して学べずに、イギリスなら特化して学べるものがあるのであれば、それが一番の利点になるでしょう。
そして将来的に研究や調査などをしたい場合は、英語での論文の書き方なども学べますので非常に役立つでしょう。
日本は素晴らしい国ですが、限られている部分があることも事実です。
この情報をもとに「何を学ぶのか」について少しでも参考になればと思います。
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