フランスといえば、豪華なフルコースの料理やシャンパン、パリコレクションに高級ブランドなど華やかなイメージが浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
でも、実際のところそれは一部の有名人の生活や日本で紹介される雑誌の中だけ。
一般のフランス人の生活は想像以上にとても質素なのです。
とはいえ、その生活の中身は、「我慢」や「「貧乏」などの言葉とはかけ離れた素敵な工夫でいっぱいです。
今回はそんなフランス人の素敵なエスプリ(精神、機知)から学ぶ質素でお洒落な生活術を紹介します!
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お金がない=貧乏ということではない
フランス人はあまり「貧乏」という言葉を使いません。
フランス語でPauvre(貧乏)という言葉は「お金がない」という意味だけではなく、「貧弱な」「粗末な」「みすぼらしい」という意味もあります。
フランスではお金がない人でもプライドを持っているので、「わたしは貧乏だ。」とは言わず、そのまま「今、お金がないんだ。」と言います。
フランス人にとって「お金がない」というのは一つの状態にすぎず、その人の個性や才能とは関係がないという考え方なのです。
そしていくら外見がきらびやかでお金持ちでも、自分の意見を持たない人や個性や才能に乏しい人は、この単語を使って「Pauvre d’esprit」(才知に乏しい)と表現されることもあります。
システムDをするしかないね
フランス人がよく使う表現に、Système D(システム・デ)というものがあります。
この「システムD」なしにフランス生活は語れません!
このシステムDの”D”は、”Débruoille”、あるいは”Démerde”の頭文字で、「なんとかしてやってのける、どうにかして目標に達する」という意味です。
例えば、何かを作ろうとする時ひとつの道具がなかったとします。
そんな時、すぐにその足りない道具を買いに行くのではなく、知恵を絞って有り合わせのものを工夫してその場を切り抜ける、それがシステムDです。
何かが足りない時、お金を出して買うのは早いけれど、知恵を絞って工夫をする、これがフランス人の考え方です。
表現は物よりも個性で
フランスではアイデンティティ、つまり独自性、個性、自分らしさというものが何よりも大事だと考えられています。
前述したように、外見をいくら飾り立てて、いくら多くの物を持っていたとしても、自分の意見をはっきり述べられなかったり、自分らしさがないようでは「個性がない人」つまり、「面白みがない人」になってしまいます。
高級なブランド品を買い集めたり、他の人と同じ物を持ちたがったりということには一切価値を持たせません。
古くても安くてもそこが問題ではなく、自分の本当に気に入った、いわば「自分らしさ」が表現できるものを持ちたいと考えます。
ですので、フランス人の多くは衝動買いというものをしません。
数時間ブティックを何件も回ったあげく、気に入ったものがなければ何も買わないということも少なくないのです。
洋服で表現するのは...
日本の雑誌ではよくフランス人女性の特集などが組まれ、フランスの女性の魅力がしばしば話題になっていますが、一体なぜフランス人の女性はそんなに素敵なのでしょうか。
フランス人女性たちももちろん自分のルックスにコンプレックスを持っている人がたくさんいますし、 外見には気を配りますが、外見以上に「自分らしさ、個性」を持つことを大切にしています。
ですから、フランスでは「今年の流行服」なんて表現は誰も使いませんし、誰も興味がありません。
フランス人女性は、奮発して買ったブランドの服や流行服を人に見せるために身につけるのではなく、自分の個性や内面を意識して服を着るという考え方を持っています。
自分らしさを表現できる服があれば、新しい服を何枚も買う必要がないのです。
普段とハレの日のメリハリを楽しむ
フランスの税金はとても高く、レストランなどで外食するとなると20%の税金を払うことにになります。
しかし、野菜や魚、肉などの生鮮食品は生活必需品とみなされ税金が5.5%になるので、多くのフランス人は普段はマルシェや食料品店で食材を買って家で料理を楽しみ、友人や家族と集まる特別な時、レストランなどでの食事を楽しみます。
フランス人は仕事とプライベートをはっきりと分けるので、仕事の付き合いでの飲み会などはありません。
それにフランス人女性たちは美容のためにも、どうしてもカロリーが高くなる外食ばかりより普段は家で健康的な食事をとることを好みます。
本当に気の合う友人や恋人、家族とのひとときを過ごすハレの日とのメリハリを楽しみます。
買い物の時間をまとめる
さて、日本にあってフランスにはないものといえば、たくさんありますが、その代表的なもの、それはコンビニエンスストアです。
24時間365日開いているコンビニはフランスには存在しません。
ましては日曜日は一部を除いてほとんどのお店が閉まっています。不便な国だと思いますか?
それが慣れてしまえばそれほど困ることはないのです。
仕事帰りついついコンビニへ寄って新作のスイーツや雑誌を買ってしまう、日本人なら誰もが一度は経験があるのようなこともフランスではありません。
「いつでも好きな時に物が買える」それを象徴するのがコンビニではないでしょうか。
フランス語で« La Génération Kleenex »(クリネックスジェネレーション)という表現があり、直訳するとティシュペーパー世代。
つまりティシュペーパーをすばやく箱から簡単に取り出して使ってはすぐに捨てるように、自分の欲しい物がすぐに手に入り使用後すぐに捨てることができる時代(世代)という意味です。
働いているのはフランス人も一緒ですが、野菜や果物は週末にマルシェで買ったり、生活用品はまとめてスーパーで買ったりと買い物の時間をまとめます。
コンビニがないフランスでは「いつでも何でも手に入るのが当たり前」というティシュペーパー思考ではなく、上手に買い物をする時間を作るようになります。
そして例えば材料が足りないことに気づいたのなら...ここでも得意の「システムD」を活用し、すぐに買いに行くのではなくあるもので工夫して楽しみます。
小さなこだわりを尊重して楽しむ
「節約」や「我慢」という概念ではなく質素な生活を楽しむフランス人の秘訣は、生活の中での小さな領域において自分の好きなものやこだわりには妥協しない、ということです。
小さな花をテーブルに飾ることも、それひとつで家の中が華やかになり、自分も明るい気持ちになります。
他には例えばサラダにかけるオリーブオイル。
安価だけれどもあまり美味しくないものを買い続けるのではなく、フランス人は自分の好きな味にこだわりを持つことを好みます。
自分の大好きな味の少し高い美味しいオリーブオイルを買ったからといって、家計が極端に何倍も傾くということもない代わりに、それをかけるだけでいつものサラダが何倍も美味しくなること、そして普段の食卓が何倍も楽しくなることを知っているのです。
できることは自分でやる
フランスでは棚やテーブルはもちろん、子供用のベッド、庭のプール、家の修理、壁の塗り直し、水道の仕事など、できることはほとんど自分でやる人がほとんどです。
壁をぶち抜いてアパートの間取りを変えることまで自分でする人も。
プロの職人さんに頼むともちろん経済的に負担がかかりますし、そして何より修理からデコレーション、カスタマイズを自分ですることで自分のパーソナリティを表現することができる、これがフランス人ができることは自分ですることへの考え方です。
さいごに
フランス人は、質素な生活において「我慢をしている」という概念ではなく、「お金をかけずに工夫して生活することを楽しむ」という考え方を根本に持っています。
そして何より、自分らしさはお金では買えないということをよく知っています。
「他人にどう見られるかよりも、自分が自分らしくどう楽しむか。」このフランス人の質素でもお洒落な生活の秘密をぜひ真似してみてください。
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