『世界大学ランキング』と呼ばれるものにはいくつか種類がありますが、実はアルゼンチンにはこうしたランキングに登場する名門国立大学が3校あることをご存知でしたか?
中でも首都にあるブエノスアイレス大学はラテンアメリカ随一の大学と言われています。
大学で授業を受けられるぐらいスペイン語を理解する人であれば、アルゼンチン留学を進学先のオプションとして加えてみてはどうでしょう。
ここではアルゼンチンの3つの有力国立大学とアルゼンチン留学のメリット、そして留学手続きについてなどご紹介します。
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アルゼンチンが誇る3つの国立大学
アルゼンチンの3大名門大学と言えば、
- 首都にあるブエノスアイレス大学
- 首都から50キロのラプラタ州にあるラプラタ国立大学
- アルゼンチン第2の都市コルドバにあるコルドバ国立大学
です。
中でもブエノスアイレス大学は、QS世界ランキング2019年版で73位にランクインし、サンパウロ大学やメキシコ国立自治大学を抑えて、ラテンアメリカで最高の大学と評価されました。
1. ブエノスアイレス大学
ブエノスアイレス大学は1821年に設立された国立総合大学で、革命家のチェ・ゲバラや第266代ローマ教皇、アルゼンチン人のノーベル賞受賞者5人のうち4名(Carlos Saavedra Lamas、Bernardo Houssay、Federico LeloirおよびCésarMilstein)、そして15人のアルゼンチン大統領を輩出していることでも有名です。
現在ではラテンアメリカ全域で最も優秀な大学と言われ、周辺国からも多くの留学生が学びに来ています。
同大学には中心となるキャンパスはなく、首都ブエノスアイレス市内に学部ごとのキャンパスが分散しています。
13学部と大学付属の3つの高等学校、6病院、10の博物館など多くの関連施設を擁し、約30万人の学生が学んでいます。
ブエノスアイレス大学公式サイト:http://www.uba.ar/contenido/291#
【ブエノスアイレス大学の13学部】
- 哲学・文学部
- 経済学部
- 心理学部
- 社会科学部
- 農耕学部
- 工学部
- 獣医学部
- 医学部
- 歯学部
- 薬学・生物学部
- 精密・自然科学部
- 建築・デザイン・都市計画学部
2. ラプラタ国立大学
ラプラタ国立大学は1905年に創設された、アルゼンチンで2番目に古い由緒ある総合大学です。
首都ブエノスアイレスから50㎞、バスで約1時間のところにある、閑静な街ラプラタにあります。
「森の大学」と呼ばれるほど街も学内も緑に溢れる環境で、17の学部と43の研究室があります。
キャンパスは学部ごとに街中に点在しています。
現在は近隣諸国やスペインからの留学生、また少数ではあるものの欧州やアジアからの留学生も合わせて11万人が学んでいます。
ラプラタは、首都の喧騒とは全く無縁のいわゆる学園都市であり、治安も良く暮らしやすいと言われています。
海外の様々な機関との交流も活発で、日本とは8大学や地方都市とも協定を結んでいます。
ラプラタ国立大学公式サイト:https://unlp.edu.ar/
【ラプラタ大学の17学部】
- 建築学・都市計画学部
- 芸術学部
- 農林科学部
- 天文爆・地球物理学部
- 経済学部
- 精密科学部
- 法学・社会学部
- 医学部
- 自然科学・博物館学部
- 獣医学部
- 人文科学教育学部
- 情報学部
- 工学部
- 歯学部
- l報道学・社会コミュニケーション学部
- 心理学部
- 社会福祉学部
3. コルドバ国立大学
アルゼンチン第2の都市コルドバに位置するコルドバ国立大学は、1613年に創立されたアルゼンチンで最も歴史ある大学であり、南米でも最も古い大学の一つとされています。
コルドバ大学歴史博物館や、今も残る当時の校舎は世界遺産にも登録されています。
20世紀初頭から、ブエノスアイレス大学に次ぎアルゼンチン第二の大学としての地域を築いていきた同大学の、コルドバ市内に点在する15の学部では、13万2000人の学生が学んでいます。
また、2つの付属高等学校、145の研究センター、25の図書館、17の博物館、2つの病院、2つの天体観測所、2つのラジオ局や、自然保護区、血液バンクなど、多くの関連施設も擁しています。
コルドバ国立大学公式サイト:https://www.unc.edu.ar/
【コルドバ大学の15の学部】
- 法学部
- 芸術学部
- 哲学・人間学部
- 建築・都市・デザイン学部
- 精密・自然科学部
- 化学部
- 数学・天文学・物理・コンピューター学部
- 農学部
- 社会科学部
- 経済学部
- 医学部
- 歯学部
- 心理学部
- 言語学部
- 通信科学部
2. アルゼンチン留学のメリット
地球の反対、南米大陸に位置するアルゼンチンは日本から最も遠い国の一つのため、航空運賃はどうしても高めになりますし、移動時間も2日間程度かかります。
ただし、遠路はるばるアルゼンチンまで留学するメリットもたくさんあります。
メリット①:学費は無料、滞在費も節約できる
日本では国立大学でも学費がかかりますが、ここアルゼンチンでは公立大学はなんと入学金も学費も無料です。
ありがたいことに、その制度は外国人留学生にも適応されるため、特に周辺国から多くの学生が学びに訪れ、国際色豊かなキャンパスを作り上げています。
また、アルゼンチンは決して物価の安い国ではありませんが、それでも日本と比べると生活費は安く抑えられます。
大学の学部によっては学生寮もあり、他にも大学が斡旋してくれる学生専用のシェアハウスなどを借りれば、家賃も朝夕食付で300ドルちょっとで借りられます。
共同のキッチンで友達とワイワイ自炊することでかなり節約できるでしょう。
メリット②:世界第3位の話者人口を持つスペイン語を磨こう
スペイン語は母語話者、第二言語話者、言語習得者を含めて、英語、中国語に次ぎ、世界で3番目に話者の多い言語です。
また、世界21か国で公用語とされ、31か国で使えるというデータもある通り、世界中で広く通じる言語でもあります。
もしも大学で受講できる程度のスペイン語力があるのなら、留学期間中に上級レベルを目指して語学力を磨いてみましょう。
これだけ話されている言語ですから、将来大きな強みとなることは間違いありません。
メリット③:様々なバックグラウンドを持つ人々と交流できる
アルゼンチンでは大学へ行くタイミングは人それぞれです。
仕事や子育てをしながら通う人も多く、様々な経験を持った、幅広い年齢層の人たちが集まります。
また先述の通り、周辺国からも多くの留学生がやって来るため、色々な国の文化を知るチャンスにもなるでしょう。
年齢関係なく極めてオープンに友情を育むお国柄もあり、多様な背景を持つ興味深いクラスメート達とのお付き合いは、きっとあなたの人生観、価値観を広げてくれるはずです。
メリット④:永住ビザ取得の可能性も
アルゼンチンは移民国家なので、比較的簡単に永住ビザを取ることができます。
正規の大学留学が認められて、学生ビザで3年以上アルゼンチン国内に滞在した場合は、永住権の申請もできるようになります。
他の国ではこれほど簡単に永住権が取れることはあまりないため、この制度を利用しない手はありません。
留学を経てこの国が好きになれば、そのまま住み続けることができるというのは、なかなか魅力的なオプションです。
ただし、ビザにかかる手続きや条件は日々更新されていきます。
興味のある方はその都度移民局に問い合わせるなどして、最新の情報を確認するようにしてください。
アルゼンチン留学を決める前に知っておくべきこと
アルゼンチンの大学は日本の大学とは違って入学金も学費もかからず、やる気のある人になら誰にでも門戸を開いてくれる寛容さがあり、入学するのは簡単です。
ただし学習内容のレベルはかなり高く、数日間の内に数冊の本を読むなどのハードな課題も日常茶飯事なので、スペイン語の会話力だけでなく読解力も問われることを覚えておきましょう。
また、在学中の試験も単なる筆記試験だけではなく、数名の試験官を相手に口頭で答弁する形式もあり、真剣に学業に取り組まなければ絶対に単位は取れないことから、卒業までたどり着くの簡単なことではありません。
大学は全力で切磋琢磨する場であり、のんびり構えていると挫折するかもしれません。
語学力に関しては、英語圏の学校へ留学する際の「TOEFL〇〇点以上」のような明確な規定はアルゼンチンの大学にはまだありませんが、スペインの教育・職業訓練省が実施している公式なスペイン語認定証であるDELEのB2(中上級)以上のレベルは最低限必要、C1(上級)以上であればなお理想的だと思います。
いずれにせよ、アルゼンチン留学を検討する際には、それ相当の気合が必要になることを予め理解した上で決断するようにしてください。
アルゼンチンへの留学手続きとビザについて
外国人の留学手続きは、各国間の締結ごとに異なってきますが、日本人がアルゼンチンに留学する場合の一般的な流れは以下のようになります。
ただし、手続き内容や必要書類は常に変化しますし、入学手続きや入学後の流れも大学によってだいぶ違いがあるため、まずは留学先を決めてから必ず詳細を確認するようにしてください。
アルゼンチンの新学期は4月です。
大学によっては前年の11月に入学申請を行うところもありますので、各種書類の準備等は、少なくともその数か月前には始めるつもりでいましょう。
必要書類の確認と準備
進学先を決めたら、まずはその大学と駐日アルゼンチン領事館に問い合わせて、手続きに関する最新の情報を入手してください。
大学によって提出書類は変わってきますが、最低限必要となるはずの以下の物は予め準備しておくと良いでしょう。
- 高校卒業証明書
- 高校3年間の成績表
- 戸籍謄本
- 犯罪歴証明書
なお、書類はすべて宣誓翻訳(公認翻訳士による公式な翻訳)のスペイン語訳を添付し、外務省でアポスティーユ認証をする必要があります。
ただし、私立高校を卒業している場合、外務省は直接アポスティーユ認証をすることができないため、公証役場、法務局での手続きが先に必要になります。
アポスティーユ認証に関する外務省公式サイト:https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000548.html
渡航ビザについて
日本人は事前の手続きなしでアルゼンチンへ渡航しても、到着時に空港で90日間の観光ビザが自動的にもらえます。
留学の際は、まずツーリストとして入国し、大学の入学手続きが終了してから30日間の内に、現地の移民局で学生ビザの手続きをするケースが多いですが、そうした指示も大学と駐日アルゼンチン領事館で確認しましょう。
入学試験について
通常アルゼンチンの国立大に入学試験はありませんが、外国人学生がアルゼンチンの大学に留学生として受け入れてもらうためには、いくつかの試験を受けて適性があることを証明しなければなりません。
試験の内容は学生の出身地や受け入れ大学によって異なりますが、日本人留学生の場合はスペイン語の試験は必須で、更に以下の科目について試験を受けることが多いため、大学に確認した上でしっかり準備しておきましょう。
- アルゼンチンの歴史
- アルゼンチンの地理
- 倫理・公民教育
- 文学
生活費について
生活費に関しては、学生専用のシェアハウスを借りて自炊をするなら、首都でも1か月8万円、地方都市なら月7万円もあれば余裕をもって暮らせるはずです。
生活費のイメージとしては『インフレ年率20%!アルゼンチンの物価をイメージしてみよう』を参考にしてください。
ただし、2018年のインフレ年率は40%を超えるとも言われており、日常的に激しい物価の上昇があるので、現地通貨であるアルゼンチンペソへの換金は少額でこまめにするなど、インフレ対策が必要になるでしょう。
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