皆さんは、タタール人についてご存じですか。
タタール人はテュルク系の民族です。
ロシアで全人口の4%と、数字にすると少なく感じますが、ロシア国内で最大の少数民族になっています。
ロシアにおいてタタール人数はロシア人に次ぐ第2位なのです。
ロシアにタタールスタンという地域がありますが、その地域では人口の半分以上がタタール人です。
タタール人は、住む地域によってカザン・シベリア・クリミアといった3種類に分けられますが、ここでカザンのタタール人の文化をご紹介します。
タタール人の外見
タタール人は、アジア人とヨーロッパ人の特徴を兼ね備えています。
タタール人を外見で判断することは難しいでしょう。
なぜならタタール人といっても、ヨーロッパ人にそっくりな人がいれば、どう見てもアジア人の人がいるというように外見がさまざまなのです。
カザンの街を歩いていると、目が小さく茶色で、髪も落ち着いた色の人を見たとします。
その人がタタール人だという可能性が高いでしょう。
断言できないのは、カザンではバシキール人など、他の少数民族の人にも出会えるからです。
いずれにしても、高い頬骨など、モンゴロイドの特有の顔立ちもタタール人の特徴だと言えます。
ではカザンで目の色が鮮やかで明るい、赤毛や金髪の人に出会ったら、間違いなくロシア人かと思ったら間違いです。
なぜなら、そういう外見のタタール人も非常に多いから。
つまり、タタール人といっても、ブロンドで青い目の人もいるのです。
タタール人の考え方
ロシア人にとっては、「性格の悪い女性を避けたほうが良い」というのが常識です。
一方多くのタタール人は、「女性の性格が悪くても、彼女が最低限のマナーを守り、ルールにさえ従えば問題がない」と思っています。
つまり、ルールに従う力がある限り、性格がどうでも良いと考えられているのです。
夫婦関係では、夫が妻より上の立場に立っています。
母の言うことは聞かないかもしれませんが、父親の言うことは聞くのが普通です。
キャリアもあまり重視されていません。
それより、年齢が高いほど尊敬されます。
年を重ねると、経験が増えていくから尊敬に値するとタタール人は考えるのです。
タタール人の食べ物
タタール人特有の食べ物をご紹介しましょう。
ロシア人は、タタール人の食べ物と言えば、エチポチマクとチャクチャクを思い浮かべます。
カザンにはなんと、エチポチマクの像とチャクチャクの博物館があるのです。
ぜひ一度行ってみてください。
「チャクチャク」お菓子
チャクチャクとは、発効前のパン生地をたっぷりの油で揚げた上で、はちみつをかけたお菓子のことです。
今のタタールスタンの位置している場所には、以前ヴォルガ・ブルガールという国が存在していました。
チャクチャクは、その国で10世紀ごろ初めて作られたとのことで、かじる時の音から名付けられたと言われています。
しかし実は、チャクチャクの名前の由来は、昔のブルガール人の信仰していた「チャクチャク」という女性の神なのです。
その神が家族の強いシンボルでした。
そのため20世紀までは、チャクチャクは結婚式のためにしか作られない料理であり、一般的な店で販売されるものではなかったのです。
しかし今は、ロシア国内ならチャクチャクをどこででも買うことができます。
特にカザンのチャクチャクは、ふわっとしていて口の中ですぐに溶けるので、パクパクと食のすすむ食べ物です。
チャクチャクは、通常200~300グラムのパックで販売されています。
値段は120~170ルーブル (180~256円)です。
家族が多い、またはチャクチャクが大好きなら、600ルーブル(900円)で1キロのパックも注文できます。
100グラム当たりのカロリー量が363キロカロリーです。
エチポチマク(ピロシキ)
エチポチマクとは、ジャガイモと肉を使った三角形の揚げパン(ピロシキ)のことです。
肉には、牛肉や鶏肉、羊肉が用いられています。
エチポチマクのできた経緯についてご紹介しましょう。
昔、テュルク系民族は遊牧をしながら、移動して生活をしていました。
といっても料理を作るには、どうしてもとどまる必要があります。
とどまっている間は、敵に襲われる可能性で不安な時間を送らなければなりませんでした。
そこで登場したのは、エチポチマク。
それ以来、そのエチポチマクを大量に作ったら、とどまることなく長期的に移動できるようになりました。
なぜなら、エチポチマクを移動しながら食べられるからです。
100グラム当たりのカロリー量が350キロカロリー、値段は1個で40ルーブル (60円) くらいで購入できます。
タタール人の祭りと言えばサバントゥイ
サバントゥイは、もともと農耕の終わりにその年の豊作を祈る祭りでしたが、今は農業と全く関わりのない人々にも祝われる行事になっています。
その行事は1000年以上の歴史を重ねており、921年に初めて歴史上で記録されました。
サバントゥイは年3回開催されます。
以下の日程を見てわかるように、毎年開催日は変わりますが、開催曜日はいつも同じで土曜日です。
- 1回目は6月の第1土曜日に郡部や郊外で
- 2回目は6月の第2土曜日に都市で
- 3回目は6月の第3土曜日にカザンで
サバントゥイの開催場所をタタール語で「マイダン」と言いますが、タタール人のこの行事は、2014年にウクライナで起こったマイダン革命とは関係がありません。
サバントゥイでは、柱登り、袋を使った障害物競走、棒上での袋格闘技など、さまざまなスポーツ競技が行われます。
しかし中でも、「キョレシ」が一番重要な意味を持っている競技です。
キョレシとは、タオルを使ったタタール人の伝統的なスポーツで、試合に優勝すると賞品として羊をもらいます。
2021年のサバントゥイを開催するには、1,000,000ドル(1億円) がかかりました。
開催費からも、この行事がどれほど重要なものかわかるでしょう。
試合の参加費も全部無料ですので、年齢や国籍に関係なく、どの競技にも気軽に参加可能です。
行事の開催日に無料のバスも運行していますので、開催場所がどこにあるかがわからなくても簡単に行けるようになっています。
このようにサバントゥイは、タタール人だけではなく、ロシア人や外国人を含めて、タタールスタンの人々全員に祝われる行事なのです。
タタール語
タタール語は、タタールスタンの公用語となっており、小学校からタタール語の授業が始まります。
ロシア人など、タタール語を母語としない人でもタタール語を勉強しなければなりません。
とはいえ、生徒のタタール語が母語か否かによってクラスが2つのグループに分けられ、それぞれのグループのメンバーが内容の違う授業を受けます。
タタール人の場合は、タタール語の授業の内容が難しいです。
タタール語で作文を書いたり、文学作品も読んだりします。
一方ロシア人は、タタール語の簡単な挨拶やフレーズを学習する程度です。
タタール語を一生懸命勉強したい場合には、希望を出すことで本来タタール人の受ける授業にも参加できます。
タタール人とロシアのことわざ
ロシアでは、次のようなことわざがあります。
「招いていないのに来る客は、タタール人よりひどい」
ことわざが文化の要素であると考えると、タタール人に対するロシア人のイメージが悪いと思われるかもしれません。
しかし実は、そのことわざは現状を表しているものではなく、ロシアの歴史と深く関係しているのです。
昔のロシアは、「モンゴルタタール人」と呼ばれる人々の支配下にあり、その間ロシア人はモンゴルタタール人による急な襲撃に悩んでいました。
そのときのモンゴルタタール人がまさに「招いていないのに来る客」だったということです。
こういった事情から上記のことわざが生まれました。
まとめ
タタール人は日本でまだ知られていませんが、興味深い文化を持っていることが伝わりましたでしょうか。
この記事を読むことで、タタール人の料理などをもっと身近に感じられるようになってもらえれば嬉しいです。
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