観光、ビジネスの場、移住先として近年さらに注目を浴びているポルトガル。
実は、世界で最も古い本屋さんはポルトガルにあるってご存知でしたか?
優れた文学も生まれたこの国の学校教育は、充実のシステムと内容になっています。
教育水準の高い日本から移住しても、子どもの教育にとって良い国だと思います。
今回は、ポルトガルの教育制度と日本から移住した家族が選択できる3つのパターンを取り上げていきます。日本とは違う意外な面も見つかるかもしれません。
ポルトガルの教育システム
ポルトガルの義務教育はなんと18才まであります。
日本と違って高校までの進学が義務付けられてるんですね。
ポルトガルの義務教育は大きく次の2つに分かれています。
- 基礎教育 6才〜14才 (1〜9年生)
- 中等教育 15才〜18才 (10〜12年生)
基礎教育はさらに3つの期間(サークル)に分かれています。
- 第1サークル: 6才〜10才 (1〜4年生)
- 第2サークル: 10才〜12才 ( 5〜6年生)
- 第3サークル: 12才〜15才 (7〜9年生)
第1〜2サークルが日本でいう小学校、第3サークルが中学校、中等教育からが高校にあてはまります。
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例えば、ポルトガルの9年生は日本の中学3年生にあたります。
また、ポルトガルで子どもの教材や参考書を買う場合、表紙に「○サークルの○年生用」という風に書いてあります。
ポルトガル教育、必要な学費は?
ポルトガルの公立学校は、義務期間中の学費は無料です。
教科書は数年前まで有料でしたが、最近は国から配布されるようになりました。
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ノートや文房具などは自己負担になりますが、家庭の収入状況により無料になります。
給食代は1食あたり1.25ユーロ程度。
給食は、日本のように義務ではなく、頼んだ場合のみ支払います。
学校から家が近い子どもは昼食を食べに帰宅することもできます。
なお、ここで紹介した学費は公立へ通って場合になります。
のちに紹介しますが、公立、私立、インターナショナルスクールでは費用が異なります。
ポルトガルの教育水準は世界では33位
ポルトガルの教育水準はいかほどなのか、気になりますよね。
世界教育水準ランキングでポルトガルは33位。(2018年データ)
6位の日本と比べると、とても高いとはいえないのが正直なところ。
ポルトガルはヨーロッパの中でも高校卒業者がダントツに多く、大学進学率もそこまで高くはありません。
しかし、義務教育が高校まで拡大されたのもここ10年ほど前のこと。
高校では職業訓練コースの他、大学進学のためのカリキュラムも充実しています。
小学校から高校まで宿題が多めに出されたりなど、しっかり勉強できる環境にあります。
教育の発展途上国では決してないので、ある程度の水準は期待していいでしょう。
こちらは第一サークルのクラスの様子
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ポルトガルは子どもにやさしい幼稚園
ファロにある幼稚園
ポルトガルで
- 保育園はクレシェ
- 幼稚園はインファンタリオ
と言います。
筆者は実際に公立の保育園に子どもを通わせたことがありますが、きれいな設備、プロ意識の高い先生、工夫されたアクティビティや行事がありました。
観光客が多い地域でもあったので、クラスメートには、ヨーロッパ諸国や英語圏からの子どもたちもいました。
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ポルトガルは、公園やショッピングセンターなどの公の場で、子ども向けのプレイスペースやイベントがたくさんあります。子ども連れに親切な人も多く、子どもを大切にする国だとすごく感じます。
小〜中〜高校の授業内容
小学校(第1〜2サークル)では、国語(ポルトガル語)、算数、社会、科学、音楽、体育などを学び、2年生から英語の授業がはじまります。
授業で生徒は手をあげて発言し、積極的に授業に参加することが求められます。
また、学校でおやつを食べて良いのがポルトガル。低学年は学校から支給され、それ以降はビスケットとミルクなどを持参します。
低学年では誕生日にケーキを家から持ってきてみんなでお祝いする習慣もあり。
中学校(第3サークル)からはITの授業がはじまり、音楽やダンスの芸術コースに進むこともできます。第3サークルの終わりには全国統一試験が待っています。
高校は、日本のように、大学進学のための普通科のようなコースや、就職のための工業コースなどがあります。
世界遺産のある大学!
ポルトガル三大都市、リスボン、ポルト、コインブラにはそれぞれ大きな大学があり、各得意分野で、高い水準の教育を受けることができます。
- リスボン大学は法学、文学、医学
- ポルト大学は 建築学
- コインブラ大学は 薬学、経済学
などで知られています。
中でもコインブラ大学はポルトガル最古の大学で、図書館が世界遺産になっています。
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こんな豪華でステキな図書館なら研究もはかどるはず。
ポルトガルの移住後の子どもの教育をどうするか?3つのパターン
ポルトガルに移住した場合、子どもの教育は次の3パターンあります。
1つ目:公立学校
公立学校に行く最大のメリットは、学費がかからないことです。
公立学校は、現地で生まれた子どもや、親の片方がポルトガル人で、ポルトガルでずっと暮らしていく予定の人が一般的。
ゴールデンビザや滞在許可があれば入学できるので、外国人の子どももたくさんいます。
関連記事:EUで定年後に移住したい国No.1のポルトガル。注目を集める10の理由
ポルトガル語がまだできない場合は、語学の特別授業や学習補助の先生がつきます。
居住区で入れる学校が決まるので、行きたい学校を決めてから家探しをするといいかもしれません。
2つ目:私立学校
学費は学校によって違いますが、1ヶ月約480ユーロ(57,600円) くらいになります。※1ユーロ=120円換算
学年が上がるにつれて学費が高くなり、授業料の他、入学費や給食代などがかかります。
教育内容は、通常のポルトガルのカリキュラムで、大学進学を目指すことが多いようです。
3つ目:インターナショナルスクール
インターナショナルスクール。日本からの赴任でポルトガルに短期滞在する場合、インターナショナルスクールに行くことが多いようです。
インターナショナルスクールに入れるメリットは、英語だけでなく、国際バカロレア(IB)という教育プログラムを受けられることです。IBを修了すれば、世界トップレベルの大学入学に有利になります。
学費は私立学校の2倍ほど。
費用幅は年間5,000から14,000ユーロ(60万〜168万)と学校によりかなり違います。
年間200万円はかかる日本の学費よりも安くなっています。
参照:IBの全プログラムを教える聖ドミニクインターンナショナルスクール
以下は、聖ジュリアンインターナショナルスクール↓
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押さえておきたい問題
また、ポルトガルの現地の学校に通う上でおこりうる問題が「宿題」です。
現地の公立や私立学校は、ポルトガル語での授業なので宿題もポルトガル語です。
家庭でポルトガル語ができる人がいないと、宿題を手伝ってあげることができません。
そういう時は、ポルトガル人の友人などに頼んで宿題を見てもらっている人もいます。
ポルトガルでの日本語教育
ポルトガルには全日制の日本人学校がありませんが、週一回の日本語補習学校がリスボンとポルトにあります。
日本語自体を習うのではなく、日本語の教科書で国語や算数などを習うことになります。
学費は入学金70ユーロ(8,400円)、授業料は年間840ユーロ(10万円)。教科書代は無料。
参照:リスボン日本語補習授業校
ポルトガルの英語教育レベルは?
ポルトガルの現地学校での英語の授業は、早くて第1サークルの2年生から始まります。
たいてい英語の先生はポルトガル人ですが、英語レベルはかなり高く、ネイティブのように話します。そのため、日本の学校のALT(外国語指導助手))のような英語圏からの先生がいません。
若いポルトガル人の英語が上手いのは、英語が第一言語として必須になった世代だからです。
以前はフランス語がメインの外国語でしたが、近年は英語に変わりました。
2019年の世界英語力ランキングで、ポルトガルは12位。南ヨーロッパで一番高い英語能力となっています。(EF英語能力指数)
知り合いの英語がうまいポルトガル人は、インターナショナルスクール卒でも留学経験もありませんが、TVドラマの字幕を見て英語を覚えたと言っていました。
もともとポルトガル語と英語は似てる言葉がたくさんあるので、覚えるのが簡単というのもあります。
ポルトガルの学校教育まとめ
ポルトガルは学校システムはしっかりしており、教育水準も心配いらないレベルなので、進学のチャンスもちゃんとつかめるでしょう。
移住後は、現地の学校またはインターナショナルスクールに行く道があり、いずれも教育費は日本に比べると安くすむのが魅力のひとつですね。
英語教育においては、インターナショナルスクールに行かない場合でも、実際に英語がちゃんとできる人がたくさんいるので、英語を学ぶのに良い環境です。
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