モルディブ共和国は、国土の99%が海です。
海に囲まれた南国だから、毎日、魚しか食べられない?と思われるかもしれません。
また、インドやスリランカに近いので、日本人にはスパイシーすぎる料理しかない?と思われるかもしれません。
しかし、意外に日本人の口に合うモルディブ料理があるのです。
さて、どんな料理がモルディブで日常的に食べられているのかを見ていきましょう。
意外?モルディブの朝食は洋風メニューも食べる
夜型生活の人が多いモルディブ、家族みんなが同じ時間に起きてくるわけではないので、朝食はホッターと呼ばれる大衆食堂もしくはカフェで外食という人も多いようです。
気になる朝食メニューですが、
- 薄めのトースト数枚、卵料理、チキンソーセージ、バターとジャム、コーヒーか紅茶といったコンチネンタルブレックファースト
- マスフニとロシもしくはディスク(詳細は後述します)、コーヒーか紅茶
という定番メニューになります。
朝食メニューの定番、マスフニ
この料理は、モルディブの定番朝食メニュー。
「マス」は現地語で魚、「フニ」は現地語でココナッツを削ったものという意味です。
どのような料理かというとツナフレークにチリ、オニオン、削りたてのココナッツ、ライム果汁をたっぷり混ぜ合わせたシンプルな料理。
このマスフニを、
- ロシ(チャパティと言った方が、皆さんには分かりやすいでしょうか?小麦粉を固めに水で練って、薄くのばして焼いたもの。チャパティより薄いです)
- ディスク(ロシよりも分厚い平べったいパンのようなもの、ココナッツが一緒に混ぜ込まれておりココナッツ風味が食欲をそそります)
でくるんで食べます。
それぞれの家庭、食堂によって少しずつ味は違いますが、さっぱりしている中にピリッと効くチリが味にメリハリをつけて朝から食が進みます。
モルディブ人は歯が命
毎食後、モルディブ人が必ずと言っていいほど口に含むのが「フォー」というナッツのスライス。
口内の臭い消しと歯磨きの意味を兼ねて、このナッツと一緒にシナモンパウダー、石灰、グローブ、葉っぱを口に含みます。
これをしないと食事が終わった気にならないそうです。
大衆食堂にモルディブ人と一緒に行くと注文しなくても出てくることも多いです。
昼食と夕食メニューは似たり寄ったり
100%ムスリムの国であるモルディブでは、金曜日は安息日として、正午のお祈りにみんなでモスクに行き、お祈りの後、家族で揃って昼食を食べます。
しかし、それ以外の日に関しては、それぞれが昼休憩に帰ってきてお母さんが作っておいた料理を食べ、また出かけていくという感じです。
ですので、作り置きができ、温めればすぐに食べられる料理が家庭での定番となっています。
よく食べられている料理をいくつか紹介しましょう。
定番中の定番、マスリハ(魚カレー)、ククルカレー(チキンカレー)
すべての文化の面でインドやスリランカから影響を受けているため、カレーは定番中の定番。
そのカレーの具になるのはカツオなどの魚や鶏肉など。
日本のカレーと違い、水分多めのサラサラカレーとなります。
暑い国特有のスパイシーなカレーですが、ココナッツミルクが混ぜられていて、辛さの中にまろやかさがあるので日本人でも食べられる辛さです。
日本同様、白いご飯と一緒に、もしくは、ロシをちぎって混ぜ合わせて食べます。
昼食もしくは夕食時に食べられます。
みんな大好き、ガルディア
分かりやすく言うとカツオのクリアスープです。
カツオを一口大に切り、カレーリーフを入れ沸騰したお湯に切ったカツオを投入し、アクを取り除きながら塩で味付けするシンプルな料理です。
料理する人により異なりますが、煮込む時に玉ねぎやニンジンを加える場合もあります。
完成したものをちぎったロシやご飯、手でつぶしたヤム芋にかけ、よく混ぜ合わせて食べます。
ローカルの人は、混ぜ合わせるというよりしっかりと揉み合わせてスープをご飯に吸い込ませます。日本の雑炊をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
好みで、付け添えのライムをかけたり、生の紫玉ねぎやチリをかじったりしながらカスタマイズできます。
手間暇かけて作られるリハークル
上記のガルディアの煮汁をさらに煮詰めペースト状にした食品。
何時間も煮詰めていくのでカツオのエキスが凝縮されたうまみたっぷりのものとなります。
このペーストを、白いご飯と混ぜて食べたり、ロシに付けて食べたりします。
多少魚独特のにおいと凝縮された味が気になるかもしれませんが、ライムやみじん切りの玉ねぎなどをあらかじめ混ぜておくと味が中和され、食べやすくなります。
辛さがくせになるクリマス、クリボーヴァ
「クリ」は現地語で辛いという意味。「ボーヴァ」は現地語でタコになります。
名前の通り、辛い魚料理、辛いタコ料理です。
チリパウダーを水に溶かし、その中に、カレーリーフと玉ねぎと一口大に切ったカツオを入れて煮込み水分を飛ばす魚ドライカレー風/タコのドライカレー風の料理です。
出来上がったものをロシでくるんで食べます。
魚中心のモルディブ。肉類は手に入る?
ここまで読んでいただければ気づかれたかと思いますが、ほとんどのメニューが魚料理。
ローカルの人々は、慣れ親しんだ味として魚を好んで食べますが、もちろん、肉類もスーパーマーケットへ行けば手に入ります。
ただし、すべてが輸入品で冷凍物となります。
また、ムスリムの国ですので、豚肉はポークパーミットを持っていなければ、購入することはできませんし、通常のスーパーでは販売していません。
注意すべきは牛肉を購入する時です。
しっかり表示を見ずに買うと、買ったお肉が牛ではなくバッファローの肉ということがあるからです。
ちなみに、バッファロー肉は硬くて噛みきれない歯ごたえだそうです。
午後のブレイクを楽しむためのスナック、ヘディカ(ショートイーツ)
モルディブ人の日々の生活で欠かせないのが、午後のブレイク。
そのブレイクに必ず登場するのが、老若男女を問わずみんなが大好きなヘディカ(ショートイーツ)と呼ばれるスナックです。
このヘディカを紹介しなければモルディブの食文化を説明したとは言えません。
家庭での夕食が遅めなので、夕食までもう一頑張りしなければならない際に小腹を満たす必要不可欠なスナックです。
甘いものも辛いものもあり、紅茶やコーヒーなどのお茶うけにもってこいの味なのです。
その中でも代表的なものをいくつか紹介しましょう。
マスロシ
前述したマスフニをロシの生地で包み、日本のおやきのように焼いたもの。
グラ
ツナフレーク、玉ねぎ、チリなどを混ぜ合わせたものを小麦粉もしくは米粉でできた生地に包み込みボールのように仕上げ、それを揚げたもの。
かなりしっかりと揚げるので外の皮は歯ごたえがあります。
バジヤ
カレー風味に炒められた玉ねぎ、カレーリーフ、ツナフレークを小麦粉でできた皮で三角形に包み揚げたもの。
中近東料理で出てくるサモサに似ています。
ビスキミヤ
軽く炒めたキャベツ、細かく刻んだゆで卵にコショウで味付けをし混ぜ合わせ、小麦粉でできた皮で四角形に包み揚げたものです。
おかず系ヘディカの中では、比較的辛くなくスパイシーなものが苦手な人でも食べられます。
また、魚を使用しないので魚が苦手な方でも食べられます。
クリボーキバ
炊いたご飯をミキサーにかけ、粒を小さくしたものに削ったココナッツ、チリ、ツナフレーク、カレーリーフ、ライムなどを混ぜてオーブンで焼き上げたもの。
お米を使用しているので、腹持ちがいいです。
フォニボーキバ
フォニは、モルディブの言葉で甘いという意味です。
ケーキのようなものですが、ココナッツがたっぷり入っており、もっちりサクサクという感じのとても甘いヘディカです。
Simple is the bestのモルディブおやつ
もちろんショートケーキや和菓子のような手の込んだおやつもおいしいですが、モルディブのおやつはいたってシンプル。最後にモルディブおやつ三選を紹介しましょう。
素朴な甘さが魅力のボンディ
削ったココナッツと砂糖を混ぜ合わせ、固めた上でバナナリーフに包んで保存します。食べる時にはほのかにバナナリーフの香りがボンディに移り、どこか懐かしさを感じさせるスィーツです。
食べだしたら止まらないバンブケヨ
「バンブケヨ」とは、ブレッドフルーツ(日本名ではパンの実)のことです。このフルーツを薄くスライスして、油で揚げて食べます。歯ごたえもあり、噛めば噛むほどほのかな甘みが出て癖になってしまいます。
歯が丈夫になるワローマス
ワローマスとは、日本でいうところの「なまり節」。カツオ節の削る前の状態と言ったら分かりやすいでしょうか?
これは、料理ではありませんが、うまみが凝縮されているので、そのままガブリと丸かじりして小腹がすいた時やブレイクの時に食べます。
かなり固いので歯が折れないように注意しないといけませんが、噛めば噛むほどうまみが出てきます。
ワローマスとココナッツを同時に口に含むとよりおいしく食べることができます。
モルディブ食文化のまとめ
このようにして見てみると、カツオとココナッツをふんだんに用いるのが、モルディブの日常食生活と言えるでしょう。
南の国らしく味付けは辛いか甘いかとはっきりしていますが、多くのものがシンプルな味付けであるので、思いのほか、日本人にも食べやすい味ではないかと思います。
近年、ファーストフードチェーンの進出などの影響で、モルディブ人の食の好みも変化してきています。
ですが、まだまだ、カツオ大好き、ココナッツ大好き、フォー(ナッツ)大好きのモルディブ人が大多数です。
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