世界一の経済大国アメリカは自由の国と言われ、多くの人が世界中から集まります。
かっては盛んであった経済的貧困を逃れるための理由での日本からの移民も、今ではなくなりました。
しかし、いまでもアメリカには多くの日本人が日本にはない良さを求めて暮らしています。
アメリカに移住し長期間合法的に暮らし、生計のため仕事をするにはグリーンカードと呼ばれる永住権が必要です。
今回は、アメリカに永住を希望している人のために、グリーンカードの基礎知識と取得方法をご紹介します。
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・グリーンカードの取得にあたり
弁護士社会と言われるアメリカでは移民法専門の弁護士が数多く存在します。
グリーンカードの申請にあたっては、その可能性を検討し計画を立て適切なビザを決め、グリーンカードを申請し移民局に証明するのも弁護士の力量です。
グリーンカードとビザは個人の経歴によリケースバイケースです。
ネットや本で知識を得ても、最終的には弁護士と良い関係を築きアドバイスに従うようにしましょう。
アメリカ永住権・グリーンカードの基本知識
グリーンカードはPermanent residency (永住権)が移民局より認められると、自宅に郵送される緑色のカードのことです。
そのカードにはアメリカに永住できる期間が書かれています。
グリーンカードは
- 10年間有効
- アメリカ人と結婚して2年間有効
と2種類あります。
グリーンカードの有効期間はアメリカに合法的に暮らし働けます。
グリーンカードの申請者ですが、多くのカテゴリーがあります。
シリアなどの世界中からの難民やアメリカ政府により認められた政治亡命者など様々です。
日本人がよく取得する方法は、
- 結婚による取得
- 雇用先がスポンサーになる
- グリーンカードくじに当選
- 自らの才能による取得
です。
では、それぞれのグリーンカードについて、解説していきます。
1. 結婚によるグリーンカード取得
日本人で多いのがアメリカ人との結婚によるグリーンカード取得です。
結婚による取得で大事なことは結婚が愛に基づいていること、つまり、アメリカに入国するための偽装結婚ではない、ということです。
アメリカで申請する、日本で申請することもできます。
アメリカで結婚する予定で渡米の場合はフィアンセビザと呼ばれるK1ビザを取得する必要があります。
参考記事:アメリカのK1ビザ取得までのステップ(申請の流れや面接について)
K1ビザは移民局に申請書類を送り、その後米国大使館で申請しK1ビザ発給、アメリカに入国し3ヶ月以内に結婚、グリーンカード申請取得という流れです。
女性が大半ですが、もちろん、駐在としてアメリカに来た男性社員がアメリカ人との結婚によるグリーンカード取得も可能です。
結婚による取得は雇用による取得が数年がかかるのに比べると、審査の優先順位が早くスピード発行され約半年から1年と言われています。
ただし、最初は2年間有効のカード、離婚がなければ2年後に10年有効のカードに切り替えられます。
2.雇用を通じての取得
雇用先の企業にグリーンカードのスポンサーになってもらい申請する場合、グリーンカードにはEB-1からEB-5の5つの優先順位があります。
EB-1 からEB-5を簡単にまとめると
- EB-1 科学、芸術、ビジネスなどで優れた業績のあるもの
- EB-2 大学院卒以上、EB-1に準ずる優れた能力のあるもの
- EB-3 大卒以上、専門職についているもの
- EB-4 宗教関係者
- EB-5 投資家
です。
日本人に多いのはEB-1-からEB-3、ビザはH1Bビザ、Lビザ保持者のグリーンカード申請です。
H1Bビザは主に大卒でハイテクや会計などの学位がある場合に取得申請できます。
H1Bは最大で6年間所有でき、グリーンカード申請中は、さらに数年間延長できます。
ここ数年は応募者が多くかなり取得も難しくなっています。H1Bから、グリーンカード取得までには、EB-3に該当することが多く数年かかります。
H1Bビザの詳しい情報はこちらの記事「アメリカの就労ビザ・H1Bビザを取得して就職する方法」を参照ください。
日系企業のアメリカ駐在員がグリーンカードを取得することもありますが、通常はL1を持っていて、グリーンカード申請という流れになります。
L1ビザは多国籍企業の駐在員に与えられます。
L1Aは重役などの管理職、L1Bはエンジニアなどの特殊技能保持者です。
L1保持そして重役クラスの管理職でしたら優先順位の高いEB-1に該当する可能性があり、1年から1年半でグリーンカード取得できると言われています。
3.グリーンカードくじに応募当選する
グリーンカードくじのことは聞いたことがあると思います。
国務省により実施されるこのプログラムは年に一度インターネットで行われ資格は
- 高校レベルの教育
- 2年の職歴
- 犯罪歴が無いこと
です。
アメリカへの移民が多い国メキシコ人などは、応募できません。
以前は応募できた国もその国から移民が増えると、応募できなくなります。
日本はアメリカへの移民が少ないので、応募できます。
応募者総数は2017年には2千3百万人以上、当選者は5万、家族も入れると10万人以上がアメリカに暮らす権利が与えられました。まさに、宝くじに当たる確率です。
このグリーンカードくじも、トランプ大統領により廃止の危機にさらされています。
アメリカ人の雇用を優先させるトランプ大統領は人種、宗教的な理由からアフリカ、中東から移民が増えることを望まないのでは?と多くの人は批判しています。
しかし、トランプ大統領ら、くじの廃止派は人種や宗教的な観点でなく移民は能力と実力により決められるものであり、くじにより決めることは、優秀な人材が選ばれないとも主張しています。
この意見には支持も多くトランプ大統領の与党共和党だけでなく、野党民主党にも廃止を支持する声もあります。
特に、くじの当選者が犯罪を起こすたびに問題になります。
2017年ニューヨークの爆弾テロ事件の容疑者はバングラディシュ系のイスラム教徒、彼のおじがグリーンカードくじに当選し渡米、彼もグリーンカードが与えられていました。
もちろんグリーンカードくじ当選者の犯罪者はごく一部ですが、テロ事件を起こすと、大騒ぎになります。
実際、くじの当選者の受刑者数はアメリカ生まれの受刑者数より低いという統計もあります。
世界中から応募者のある、このプログラムも大きな曲がり角にきていると言えます。
4.自らの才能を通じてグリーンカード取得
アメリカ政府は芸能、スポーツ、芸術などで優れた個人にグリーンカードを与えます。
アメリカで活躍するスポーツ選手、俳優らはまずO1ビザを申請しアメリカで働けるようになりその後グリーンカードの申請と取得になります。
カナダ出身の歌手ジャスティン・ビバーもこの過程からグリーンカード取得、日本からのスポーツ選手や芸能人の多くのグリーンカードもO1ビザからグリーンカード取得と言われています。
O-1ビザには
- O1A 科学、教育、ビジネス、スポーツなどで優れた業績のあるもの
- O1B 芸術、テレビや映画などで優れた業績のあるもの
の2つのタイプがあります。
期間は3年で何回でも延長可能、毎年10万人以上が取得しています。
上記の職種以外でも例えば有名シェフなど幅広い業種の人材に与えられていると言われています。
芸能界やスポーツ界での有名人でなくても、なんらかの才能があり業界では知られた存在、本を出版したことがある、テレビや雑誌に取り上げられたことがある、などの経験があればもしかしたら、Oビザそしてグリーンカードの可能性があるかもしれません。
グリーンカード取得からアメリカ市民への道
グリーンカード取得後5年でアメリカ国籍を取得できます。
結婚による取得は3年です。
申請条件は過去5年のうち最低30か月はアメリカ国内にいた事(結婚による場合は18ヶ月)つまり、年間の半年はアメリカに暮らしていなければなりません。
その他、基本的な英語能力やアメリカの歴史などの基本的知識がある事、です。
グリーンカード保持者はアメリカ国民と違い、選挙権がなく一年のうち半年はアメリカに暮らさなければならないという制約があります。
アメリカ国籍を取得する事により、選挙に参加できアメリカ国外に数年暮らしてもアメリカに合法的に戻れ暮らせます。
メキシコなどはアメリカとの2重国籍を認めていますが、日本政府は日本に生まれたものがアメリカ国籍を取得してもアメリカとの2重国籍を認めていません。米国籍になったら日本国籍は喪失します。
アメリカ永住の道・グリーンカードの特徴と取得方法まとめ
移民の国と呼ばれるアメリカ、グリーンカード取得も決して楽ではありません。
以前はヨーロッパを中心に大量に移民を受け入れていたアメリカもビザシステムの整備によりグリーンカード取得は難しくなっています。
グリーンカードくじですら宝くじに当たるような確率、トランプ政権により廃止の危機にさらされています。
特別な才能がある、大企業の駐在員の重役クラス以外の方は、アメリカ人と結婚か留学してH1Bビザ獲得、数年かけてグリーンカードという流れになります。
アメリカには8百万人以上といわれる不法滞在者がいて、その中には最終的に合法的に滞在する権利を与えられることがあるのも事実です。
しかし、アメリカの移民制度にいくら問題があるとは言え不法滞在は追放されるリスクも高く、やってはいけないことです。
冒頭で述べたようにグリーンカード取得の可能性のある方もケースバイケースですので自分がどのくらい可能性があるかは、最終的にアメリカ移民弁護士に相談してください。
この記事が皆さんのお役に立ち、多くの方がアメリカ永住権・グリーンカードを取得されることを願っています。
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