猫は気ままな動物ですが、引っ越し、しかも海外への移住となると猫にかかるストレスは並大抵ではありません。
また国をまたいでの動物の移動は輸入扱いとなるため、不慣れな手続きが多いです。
今回は、これからタイで猫と暮らそうという方々の手助けになればと、実際に猫とタイへ移住した現地在住者に、そ経験をふまえて、必要な手続きや注意点などをご紹介いたします。
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入国条件|タイに猫が入国するために必要な条件
※最新の情報は、必ず担当の機関に問い合わせてください。
猫のタイへの入国に必要な条件は以下の7つ。
- 狂犬病ワクチンを接種していて狂犬病にかかっていないこと
- ノミ・ダニがいないこと
- 出国の21日前までに混合ワクチンを接種していること
- 輸出国(日本)が発行する英文の正式な証明書
- タイに到着時点で検査を受けること
- しっかりした箱に入れて移動すること(プラスチックや金属性でふた・扉が固定できるもの)
この中で特に注意が必要なのがA~Dの手続きです。
日本にいるうちに計画的に行わなくてはならないので、この記事ではこの4つの手続きをメインに説明します。
手順|時期にも注意!日本帰国のことも考えて計画的に
以下が大まかな流れになりますが、最新の情報を確認するためにもぜひ手順①より前に出国予定の空港の動物検疫所に電話で相談してください。
タイへの問い合わせ方法なども可能な範囲で教えてくれます。
- 動物病院でマイクロチップを装着……出国7ヶ月前
- 1回目の不活性化ワクチン狂犬病予防接種……出国7ヶ月前(マイクロチップ装着後)
- 2回目の不活性化ワクチン狂犬病予防接種……②の30日以上後
- 狂犬病の抗体を調べるための採血・血清の採取……③の1~2週間後
- 一般財団法人生物科学安全研究所に血清を書類とともにクール便で提出
- 混合ワクチン接種……出国の21日以上前
- 出国する空港の動物検疫所に連絡……出国の7日前まで(航空券をとってすぐがおすすめ)
- タイの到着空港に輸入審査の事前連絡……入国3日前まで
- 動物病院で出国前1週間以内の健康診断書を書いてもらう
- すべての書類の原本を持って空港の検疫所へ……フライト2時間前まで
①の7ヶ月前というのはかなり余裕をもった計画です。しかし①~⑤は出国前2年以内なら問題ないので、準備を早くから始めるに越したことはありません。最低でも①は4ヶ月前から始めてください。
不明な点・不安な点があれば、他のどこよりも出国する空港の動物検疫所に訊くのがベストです。
タイの空港や在日大使館に連絡する前にも、検疫所に尋ねると丁寧な回答が得られます。最も頼りになる情報源です。
①マイクロチップ装着|必ず他の手続きより先に!
マイクロチップというのは個体を識別するためのもので、ペットの体内に埋め込み、その番号を公益社団法人日本獣医師会に登録します。
この手続きがなされていなければ、タイへの入国はできても日本に帰国する際に同じ個体だと認められず、入国拒否される場合もあるそうです。
この個体識別番号はすべての検査結果を証明する元となるため、すべての手続きの一番最初に行ってください。
私は1回目の狂犬病ワクチン接種後に行ってしまったために、帰国する時のためにタイに着いてからもう1度狂犬病ワクチンをうってもらうことになりました…。
また動物病院にISO規格のマイクロチップの在庫があれば問題ないのですが、取り寄せに時間がかかる場合もありますので、移住が決まったらすぐに動物病院に相談する方がいいでしょう。
そもそも動物の輸出の知識のある動物病院の方が少なく、何かと手間取ることが予想されます。かかりつけの病院で対応できない場合は他の病院を探す必要も出てくるので、とにかく早く!
参考URL:公益社団法人日本獣医師会 http://nichiju.lin.gr.jp/aigo/microchip04.html
②③狂犬病予防接種|30日の間隔を置いて2回接種
1年以上狂犬病にかかっていないという証明でもいいそうですが、それよりは予防接種をして抗体検査をする方が後々も安心です。
動物病院で狂犬病の不活性化ワクチンをうってもらいましょう。
ここで気を付けなくてはならないのは、第1回のワクチン接種から30日以上たってから2回目を接種すること。
そして必ず2回とも証明書をもらっておくこと。
この書類は検疫所で原本提出の必要があります。そしてワクチンも時期によっては数が足りないことなどがあるので、病院への相談はお早めに。
④採血・血清の採取|2回目のワクチンから1週間後に
一般財団法人生物科学安全研究所(http://www.riasbt.or.jp/examination/rabies)で抗体検査をしてもらうのに必要な血清を、動物病院で作ってもらいます。
そのための採血は2回目の狂犬病ワクチン接種から1~2週間後と研究所のサイトに書かれているので、それに従った方がいいでしょう。
しかし研究所に直接電話で相談すると、ワクチン接種直後をすすめられます…。
公的機関ではないせいか対応に適当なところがあるので、研究所よりは検疫所の指示を仰いだ方がベターです。
血清の必要量は1ml。
容器に指定はなく、採取した血清は冷凍庫で保存できます。採血から血清ができるまでは数時間~1日くらいです。
また、このときに抗体検査証明書(兼申請書)を生物科学安全研究所(上記リンク参照)からDLして、獣医さんに必要事項を記入してもらっておくと手間が軽減されます。
⑤生物科学安全研究所へ血清送付|検査は1~2週間ほど
動物病院でつくってもらった血清を、抗体検査のために必要書類とともに生物科学安全研究所に送ります。
書類は研究所のサイトでDLして、獣医さんの記入項目以外は自分で書きましょう。
ここで大事なのは、日本語版と英語版の両方を用意することです。
書けたらもちろん不備がないか確認し(不備があっても抗体検査は受け付けてくれますが、書類を送りなおしたりといろいろと面倒です)、血清とともにクール便(冷蔵・冷凍どちらも可)で送りましょう。
検査結果は到着日の翌週の木曜日に出て、飼い主のところに返送されます。もちろんこの書類も提出するので、保管しておきましょう。
関連リンク:一般財団法人生物科学安全研究所
⑥混合ワクチン|タイ到着21日前までに
猫がかかりやすい病気のいくつかを予防するためのワクチンで、もしかしたら普段から接種させているという飼い主さんもいるかもしれません。
有害な伝染病を持っていないという証明のためのものなので、ここでも証明書をもらっておきましょう。
⑦出国空港の動物検疫所に連絡|出国7日前までに
出国の予定について、出国空港の動物検疫所に電話で連絡します。
氏名、ペット数、利用する航空便、出発予定時刻などを聞かれ、検疫所に行く時刻を伝えるためですが、出国7日前より早めに連絡してFAXかメールで必要事項などの書かれた書類を送ってもらうといいでしょう。
とにかく検疫所の職員さんが一番頼りになります! 7日前と言わず、移住が決まったらすぐに相談すると安心です。
関連リンク:動物検疫所所在地一覧
⑧到着空港の動物検疫所に連絡|入国3日前までに
入国についても事前にタイの空港の検疫所にファックスなどで連絡します。
が、実質この連絡についてはしなくてもいい、職員が不在を防ぐためだけのものという情報もあり、はっきりしていません(タイが発表している輸入条件にも書かれていない)。
そしてもう一つ問題となるのが現地の空港とは英語かタイ語でのやり取りとなることです。
最もいいのは現地のタイ語か英語のできる知り合いがいればその人に頼むことで、私は先にタイに渡っていた夫に頼みました。
タイに頼れる人がいない場合は、在京タイ大使館の濃霧担当官事務所に問い合わせるのがいいようです。
こちらも日数がかかることが予想されるため、お早めに。
関連リンク:在東京対応国大使館農務担当官事務所
ちなみにタイの空港に到着してからの検査は特にないのでご安心を。猫を引き取って終わりです。
⑨健康診断書|動物病院で出国前1週間以内に
出国時点での健康状態の証明書となります。
引っ越し準備で大変でしょうが、動物病院にお願いしてください。
このときノミ・ダニなどがいないことを書いてもらうことを忘れずに。
⑩動物検疫所での検査|出国前に余裕をもって!
事前に伝えた時間に、検査を受けに検疫所に行きましょう。
書類さえそろっていれば特に問題はありません。健康状態などを確認され、英文の証明書を発行してもらえます。
必要書類
- マイクロチップ番号登録証
- 狂犬病予防接種の証明書(2回分)
- 狂犬病抗体検査証明書
- 混合ワクチン証明書
- 健康診断書
さいごに
異国の地にペットを連れてとなると不安は大きいですが、タイは比較的動物の持ち込みに寛容な国です。
またタイは気候が温暖で猫に合っていて、都市部では24時間対応の動物病院も少なくありません。
私自身、タイに老齢(17歳以上)の猫を連れて渡りましたが、個人的にはタイに連れてきてよかったと思いました。
それは死の近かった猫がタイに渡ってから1度は劇的な回復をし、その後2年ほどで最期を迎えたものの病院の柔軟な対応のおかげで納得のいく治療ができたからです。
あくまで自分の猫の場合なので「ぜひタイで猫との生活を!」と安易に勧めることはできませんが、大事な猫ちゃんのためにも過度な恐怖心は持たず、万全の態勢で臨んでほしいと思います。
これから海外に犬や猫と一緒に引っ越しする方の参考になれば幸いです。
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