ロシアの食文化(主食から伝統料理まで)。意外と多彩な食事情とは

ロシアの食文化

皆さんが考えるロシアの食べ物と言えば『ボルシチ』や『ピロシキ』でしょうか。

確かに、ロシア人に聞いてもこの2つは必ず初めに出てきます。(試してみました)

ロシアは、良い食材があまり手に入らないイメージがあるかもしれません。

実際、日本の様に形の揃った野菜や果物を見つけるのは難しいです。

そして、モスクワは海から遠く、安くて新鮮なお魚は簡単に手に入らないので、冷凍や燻製が多いです。

でも、今とは比べられないくらい、食材が手に入らない時代から、おばあちゃんやお母さんが家族を守るために工夫して築き上げた食文化があるのです。

ここでは、そんなロシアの食文化についてご紹介したいと思います。

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ロシアの主食は何?

黒パン

ロシアのパンと言えば黒パン

ロシア人は白パンよりも黒パンが好きみたいですね。レストランや食堂に行くと、白パンと黒パンのスライスが両方置いてあります。

少し酸味のある、身のしまったパンです。

ドライフルーツが入っているものもありますが、定番はプレーン。スープやメイン料理と一緒に食べます。

グレーチカ(蕎麦の実)

グレーチカ(蕎麦の実)

これは、ロシア人のソウルフードと言って良いかもしれません。

私達は麺の『蕎麦』を食べますが、ロシアでは『蕎麦の実』を炊いたものが主食になります。

シンプルに炊くのはもちろん、スープで炊いて、少し野菜のみじん切りを混ぜたものもあります。

日本人は、このグレーチカが苦手な人も多いのですが、筆者は気に入っています。

チャーハンにしてもとっても美味しくて便利。何より健康的な感じがしませんか?

でも、残念ながら日本では手に入らないようですね。

日本人にも、お米の炊き方の好みがあるように、ロシア人にもグレーチカの炊き方の好みがあるようですよ。ちなみに、筆者はあまり柔らかくない方が好きです。

グレーチカと同じように、スープで炊いて野菜を混ぜて食べると美味しいですが、グレーチカの方が俄然主流のようですが、もちもちしてとても美味しいです。

じゃがいも

マッシュポテト、ポテトフライの他に、茹でたり焼いたりしたじゃがいもを、肉料理や魚料理と一緒に食べることも多いですね。

お米

日本のように、ツヤツヤもちもちしたお米ではありませんが、スーパーには、タイ米、インディカ米、黒米など色々な種類のお米が並んでいます。

日本米はもちろん高いですが、日本食材のスーパーで買うこともできます

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ロシア人の朝食

ロシアの朝食は、時間がかからなくて、ヘルシーなものが多いです。

焼き魚、ご飯、味噌汁といった、日本の伝統的な朝ご飯を紹介すると、かなり驚かれます。

代表的な朝食はこんな感じです。

カーシャ

引き割り麦に水や牛乳、砂糖を加えて、お鍋で15分程炊いて作るお粥です。

体に良いので、ロシアでは大変人気の朝食です。

日本人には馴染みのない食べ物なので、苦手な方も多いようですね。

筆者は、水と牛乳 1:2の割り合いで炊いて、バナナやドライフルーツ、はちみつを入れて食べるのがお気に入りです。

トゥボーログ(カッテージチーズ)

これも、ロシア人には欠かせない食品です。

このトゥボーログは種類も色々で、クリーム状の柔らかいものから、水分の少ないポロポロしたタイプもあります。

通常、フルーツやドライフルーツ、蜂蜜やジャムなどを加えて食べます。

また、トゥボーログを棒状にした物に、チョコレートコーティングをしたスティックタイプもあって、これは片手でサッと食べられるので、ちょっとした朝食やおやつにしているロシア人も多いですね。

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ロシア伝統の味 スープ

スープと言えば、ロシアの代表的な料理。ロシアのスープは具だくさんなので、飲むと言うより食べる感じですね。

具だくさんのスープはそれだけでも十分満足できるので、スープと黒パンのコンビネーションは、昼食の定番です。

食料が手に入らなかった時代は、スープと黒パンが唯一の食事だった家庭も多く、油の多い肉を使って、スープだけでも満足できるようにしていたそうですが、自由に好きなものが食べられるようになった現在は、健康のために油控えめのタイプも多いです。

ロシアの代表的なスープはボルシチですが、その他にも、定番のスープがいくつかありますのでご紹介します。

ボルシチ

有名すぎるほど有名なスープの代表、ボルシチ。ビーツの赤紫がとても印象的ですね。

スメタナ(ロシアのサワークリーム)を入れるのが定番で、混ぜるとピンク色になってマイルドになります。

ボルシチ

お肉や野菜からスープをとり、ビーツや野菜を炒めたり、トマトペーストを入れて煮込んだりと、かなり手間のかかるスープですが、その分とっても美味しいです。

家庭やレストランによって、スープのとり方や入れる野菜やお肉の種類も千差万別。あちこちで食べてみると、とても興味深いですよ。

サリャンカ

サリャンカも人気の定番スープです。

色々な部位のお肉やベーコン、塩漬けのキュウリや野菜を入れた、しっかり味のスープ。

お肉の脂がスープに溶けて、こっくりしています。

サリャンカ

伝統的な食べ方は、オリーブとレモンスライスを入れるそうです。

このスープもお好みでスメタナを入れると、まろやかな味わいになります。

シー

シーは、あっさりしたキャベツのスープ。

さっぱりとした酸味が感じられるのは、使用するキャベツが酢漬けだから

その他にお肉、玉ねぎ、じゃがいもなどを入れてコトコト煮込んで作る、ロシアで人気の伝統的スープです。

ロシアの国民的詩人、プーシキンも、この『シー』がお気に入りだったとか。

ウハー

ウハーは、タラなどの白身や鮭、チョウザメなどを使って作る魚のスープで、こちらも定番で、ロシア人では大変人気があります。

魚と玉ねぎが主な材料で、じゃがいもを入れる家庭もあるようですが、魚のだしが効いていて、コクと深みのある美味しいスープです。

キノコスープ

最近では、フランス風にピュレ状にしたキノコクリームスープもポピュラーになってきましたが、ロシア人にとってはキノコスープと言えば、ごろごろとキノコや野菜がたっぷり入ったスープのこと。

色々なキノコが入っているので、そのスープは当然キノコの風味がしっかり出ていて美味しい。

秋になると、山で新鮮なキノコを採って頂いたり、瓶詰のマリネにして保存したりと、ロシア人はキノコが大好き

ですからロシア人は、達人でなくとも、食べていいキノコとダメなキノコの区別がつくそうです。

ピロシキって何?

日本でも名前は有名な『ピロシキ』。

皆さん、召し上がったことはありますか?

もしかしたら、揚げたパンのイメージがあるのではないでしょうか。

実は、ロシアではオーブンで焼く方が一般的なんです。

パン生地の中にキャベツやじゃがいも、ひき肉、卵などを入れて丸めて焼いた、日本で言う素朴な『おかずパン』です。

この『ピロシキ』という名前は、『ピラジョーク』の複数形で、1個は『ピラジョーク』、複数になると『ピロシキ』となります。

そして、名前は似ているけれど、実は違う『ピローグ』。

『ピローグ』は、大き目の丸や四角に焼いたパイなんです。

ピローグ

ジャムやフルーツで作った甘いものと、お肉や野菜を詰めたものと、2種類あって、味のレパートリーがとても多いんです。

キノコやほうれん草、うさぎ肉が入ったピローグも人気です。

ハチャプリ

筆者が愛して止まない『ハチャプリ』は代表的なグルジア(ジョージア)料理

もちもちとした生地と、塩味の効いたチーズが本当に美味しく、初めて食べた時の感動は忘れられません。

ハチャプリ

チーズを生地で包んだ、スタンダードタイプのハチャプリ。

チーズの量をダブルにしたり、さらに上にチーズ乗せて焼くタイプなど、色々選べます。

ハチャプリ・アジャルスキー

上の写真は、ハチャプリ・アジャルスキー

真ん中に半熟玉子、チーズ、バターが乗っていて、熱いうちに混ぜてから切り分けます。

もちもち生地にとろとろチーズの組み合わせは最高!

グルジア料理は基本的に日本人の口に合うので、ロシアに来たら絶対にチャレンジして欲しいです。

ロシアにも水餃子が?

ペリメニ

小麦粉を水で練った皮でお肉や野菜を包んだ丸くて小さなペリメニは、プリプリした食感が日本の水餃子に似ています。

日本では酢醤油などでいただきますが、ロシアでは、おなじみ『スメタナ(サワークリーム)』をつけるのが一般的。

お肉と野菜のジューシーな味わいとスメタナのクリーミーさが合って、結構クセになります。

酢醤油とスメタナを一緒につけても意外に美味しいです。

バレニキ

バレニキはペリメニより皮が薄く、日本の餃子をぺたんこにした感じの半月型で、具は主に野菜類とフルーツです。

バレニキ

こちらもスメタナをつけて食べたり、揚げ玉ねぎをアクセントにしたり、色々なバリエーションがあって、楽しい食べ物です。

小さくて食べやすく、いくらでも食べられちゃいます。

マンティ

マンティ

これは餃子と言うより小龍包寄りの、ウズベキスタン料理のマンティ

生地の中に牛肉や羊肉と玉ねぎを詰めて蒸した肉饅頭です。

直径5~6cmサイズの小さいサイズと、直径10~13cmの大きいサイズがありますが、個人的には小さい方が食べやすくて皮とのバランスが良い気がします。

上にかかっているのは、毎度おなじみのスメタナで、散らしたハーブも味のアクセントです。

うどんが恋しくなったら・・・

日本には、うどん、そば、そうめんなど、色々な麺料理がありますよね。

今やロシアでも、パスタ料理やベトナムのフォーなど、外国の美味しい麺料理が食べられるようになりました。

その中でも、不動の人気は『ラグマン』という、ウズベキスタンの麺料理。

ウズベキスタンの麺料理・ラグマン

ラグマンは、うどんを少し細くしたような白い麺で、牛肉や羊肉、パプリカ、じゃがいも、人参、セロリ、玉ねぎ、トマトなど、たっぷりの野菜とスパイスをじっくり煮込んだスープとからめていただきます。

お店によって、スープのコクや麺の太さやもちもち感が様々で、食べ比べてみるのも面白いですよ。

お米が食べたくなったら・・・

ロシアで人気のご飯ものと言えば、ウズベキスタン料理の『プロフ』。

ウズベキスタン料理・プロフ

牛肉や羊肉、人参、玉ねぎ、にんにくなどが入って栄養たっぷりです。

味付けもしっかりとパンチがあるのでかなり満足感があります。

なぜか、これを食べると『モルス』が飲みたくなります。『モルス』については次の項目でご紹介します。

飲み物

モルス

ロシアを代表する飲み物と言えば『モルス』。

こけももや、いろいろなベリーを原料にして作る、透きとおる赤紫色がきれいな飲み物です。

モルス

ランチセットの選べるドリンクには絶対に入っているほどポピュラーな飲み物で、レストランやカフェ、スーパーにも必ず置いてありますね。

レストラン特製、おばあちゃんの手作りなど、それぞれの味わいがあるので、気に入った味のお店はチェックしています。

コンポート

日本のコンポートは、煮詰めて甘さを凝縮したフルーツですが、ロシアではれっきとした飲み物です。

色々なフルーツやドライフルーツなどを水と砂糖で煮て、そのジュースを冷まします。ど

ちらかと言うと、モルスより甘いイメージです。

ロシア人はこの甘~いジュースを、食事の時に飲みます。そして、意外に男性はこのコンポートが大好き。

ケフィール

ケフィールは、ロシア人が口を揃えて「体に良い!」と言う、大変ポピュラーな発酵乳飲料です。

少し酸味の強いヨーグルトという感じで、初めは少し抵抗を感じるかもしれませんが、慣れてくるとクセになって常飲してしまう、不思議な飲み物です。

胃腸にも良く、便秘の人には必需品とのこと。

また、美しいロシア女性が「肌にいいのよ!」なんて言っているのを聞くと、なおさら手放せなくなってしまいます。

リャージェンカ

可愛らしい名前のこの飲み物は、オーブンで『焼いた』牛乳に、乳酸菌や酵母を加えて発酵させた乳飲料です。

カラメル味のヨーグルト、と言う感じで、甘味があって飲みやすいので、ケフィールと並んで人気がある健康飲料です。

昔はおばあちゃんがペチカで焼いて作ってくれたそうです。手作りのリャージェンカは、とても美味しそうですね。

紅茶

日本で『ロシアンティー』と言えば、ジャムと一緒に飲む紅茶が有名ですよね。

ロシア人は紅茶が大好きですが、ジャムと一緒に飲むのが主流かと言うとそうでもないのです。

ただ、不思議な飲み方をする家庭が多いので、ご紹介します

  1. ポットを使って熱湯で紅茶を淹れます。
  2. カップに紅茶を6分目位まで注ぎます。
  3. 水を入れて温度を下げて飲みます・・・。

そうなんです。

ロシア人は、熱い飲み物が苦手な人が多いのです。

もちろんそうでない人もいますが、基本的にスープや飲み物はぬるいです。

日本人のサービス精神で、熱々の味噌汁や、熱々のうどんなどを振る舞うと、熱くてしばらく手がつけられないロシア人がいるので、注意が必要です。

ロシアの食文化まとめ

いかがでしたか?

ロシアの食文化は、長い時間を経て今の形になりました。

生粋のロシア料理から周辺諸国の料理まで、想像したよりもバラエティに富んでいたのではないでしょうか。

日本人の味覚に合う料理も多いので、是非機会があったら、チャレンジして下さい。

きっとお気に入りの一品が見つかるはずです。

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