日本での会社生活については知っているけれど、外国ではどんな生活をしているのだろう?と疑問を持たれる方も少なくないと思います。
ここではEUに加入して早12年が経過し、ワーキングホリデー制度がまさに始まったばかりのハンガリーの会社生活について、体験談や制度と共に簡単にご紹介いたします。
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1. ハンガリーではどんな仕事がある?
ハンガリーでは日本企業も数多くみられ、日本語能力を要求される会社での仕事が最も多くなっています。
例えば、ハンガリー語ができる場合は
- 生産工場での通訳、翻訳のお仕事
- 日本企業とのやり取りの際の橋渡しになるお仕事、
- 旅行会社では日本からの旅行者への手配やサポート、ガイド
といった仕事が主となっています。
しかし、ハンガリーには日本語学科を併設する大学も多く、日本語を話すことのできるハンガリー人が増え、“日本人であること”を活かしたお仕事は減ってきているようです。
大きな企業ですと、日本語が流暢に話せるハンガリー人が部長となっているところもあります。
企業にて事務員として勤務するハンガリー人は、ほぼ全員が英語を話す事ができる為、ハンガリー語がわからなくとも英語が解れば仕事に就くことは可能ですし、仕事の幅も広がるようです。
その際は、日本企業や日本人の顧客とのやり取りをするお仕事が主となっています。
2. ハンガリーの給与と勤務システム
給与
日本人であることを重視された職に就いている場合には、通常ハンガリー人よりも給与の額は多くなっています。
通訳・翻訳等の専門職になると、給与額はハンガリー人マネージャー級となります。
生活の水準も中位にあたります。
その他、日本企業にて言語以外の能力を活かして就職する場合はそれに応じて給与が増えているようです。
会社によっては学歴や資格によっても給与に差が生じます。
勤務システム
ハンガリーの勤務時間は8時間となっており、それに昼食時間がプラスされた合計時間が勤務時間となっています。(昼食時間は会社によって異なります。)
工場での作業等を除き、事務作業や通訳にはほとんど残業代は付きません。
そのせいもあって、残業しない人がほとんどです。
また、産休明けの人や遠くから通っている人の為には、勤務時間の変動(朝1時間早く出勤して夕方1時間早く退勤することや、8時間ではなくて6時間勤務)も相談に応じてくれます。
給与はハンガリー政府によって定められた月毎の最低賃金が基準となっています。
3. ハンガリーで就職する方法と流れ
インターネットの検索サイトには多くの求人情報が載っており、募集をかけるためには会社が広告費を出さねばならないため、信用のできるものが多くなっています。
多くのものが勤務地と職種、必要とされる能力を提示しており、頻繁にチェック、もしくはメールアドレスを登録することによって得られるニュースレターから仕事探しをする人がほとんどとなっています。
ハンガリー語の就職検索サイト:profession.hu
仕事を見つけたら会社とコンタクトを取り、面接に進むことになります。
それから1週間程度で返答がきて、書類申請手続き開始、となります。
多くの会社では勤務が開始すると、3ヶ月の試用期間を経て、本採用となります。
試用期間中の給与と本採用後の給与に違いがある会社もあります。
試用期間中に一方の意にそぐわない場合には、直ぐに退社もしくは、会社側は解雇する事ができます。
それ以外の場合は、約1か月前に会社側に意図を伝えることで可能となっています。
4. ハンガリーの就労ビザ、労働許可や滞在許可について
就職先を見つけ、会社と契約を結ぶことができれば、会社が就職の為の手続きを行ってくれます。
会社が労働局から労働許可証を申請する事になりますが、その際に重要となるのは学歴です。
外国人を雇うという事は、それなりのメリットを労働局にアピールする必要があり、大学卒でない場合は、なかなか許可が下りにくくなっています。
また、大学卒業歴があったとしても、全くそれとは違う職種に就きたい場合(例えば音楽大学卒業で旅行会社に就職したい)には、許可が下りないことが多いようです。
学歴と共に重視されるのが給与で、会社が仮に学歴にそぐわない程の給与を労働局に提示した場合、許可が下りないことも。
許可申請にはその他に、健康診断書(大・中企業では会社に専属のドクターがいるため、そこで簡単な診察を受けて許可されますが、小企業では自分でホームドクターから診断書をもらう必要があります。)が必要となっており、場合によっては(高血圧症である、大病をしたことがある、等)許可される期間がドクターによって制限されることがあります。
これら全てを審査され、許可が決定され、許可が下りる場合は、期間も提示されます。(何も問題がない場合は通常2年間)
また、会社全体の労働局に対する信頼や、優良企業であるかどうか、または人事課の手腕によっても許可が左右されます。
労働局からの許可が下り、それに伴う滞在許可がおりた後、晴れて勤務開始となります。
滞在許可についての手続きも、大・中企業では人事課が行ってくれます。
ハンガリーのビザ情報はこちら「ハンガリーのビザ22種類を徹底解説します」を参考にしてください。
・ハンガリー人と結婚した方は
また、ハンガリー人と結婚している、もしくはパートナー用の滞在許可証(結婚を前提とするためにハンガリーに住んでいる、旨のもの)を持っている方には、労働許可は必要なく、契約を結んですぐに勤務となります。
5. 仕事場での言語について
グローバルな会社の主に事務所で勤務するハンガリー人は殆ど全員が英語を話すことができます。
ですので、ハンガリー語ができなくとも英語を話すことができれば、殆ど日常勤務に支障はありません。
しかしながら、ハンガリー語を話せた方が、すぐに相手に意思が伝わる、サポートしてくれる、作業が早く終わる、という現状があります。
同僚とのコミュニケーション等を考えると、ハンガリー語が話せる方が良いでしょう。
逆に、日本語の他に英語が話せると、仕事の幅も広がり、また、職の分野も広がります。
6. ハンガリー人と働くということ(体験談)
個人第一主義
新入社員の筆者が人事課に行くと「私、食べてるから」とだけ一言。
これは、「私の食事を邪魔しないで。私が食べてから用事があるなら来て頂戴。」という意味がこめられた、非常にストレートな発言でした。
ハンガリーでは個人主義が第一で、上司ですら部下の仕事の仕方に滅多に口を出しません。
上司でさえ、「今日はダメなの」という意味深発言によって「今日は全く仕事のやる気がありません」と宣言したり、重要な仕事について「あー、忘れてた」という返答をくれたりします。
日本企業や日本人顧客の高いニーズに応えるためには、厳密な期限を守らねばならず、こういった状況では自分にダメージが及ぶことになります。
この為、相手が言語を理解できない、という点を利用して期限の設定に余裕を持たせる等の工夫をしていくことが必要となります。
海外企業と関わりの少ない日本企業程、やり取りが厳しくなってきますが、仲介役として仕事をしている場合、お互いの関係をスムーズに保つための能力も求められるようです。
個人主義であり、また、仕事よりもプライベートを重要にする国民性から、余程仕事に生きがいを感じている人でない限りは残業をしません。
仕事を消化しきれなくとも退社していく場合があります。
逆に言うと、自分の仕事をきちんとこなせば、残業する必要はなく、定時で帰宅・遊びに行く、といった事も日常的です。
プライベート重視
ハンガリーでは、日本のように「仕事を失いたくないなら何を優先しても働くべき」という概念はありません。
勤務後は同僚と食事や飲みに行く事はほとんど無く、家族のイベントでは会社を休みます。
子供が病気の時には、100%の有給休暇扱いとなります。
有給休暇も年齢と子供の数によって差があるものの、年間約20-30日与えられており、子供の夏休みやクリスマスに合わせて2週間以上続けて休暇を取る人も少なくありません。(ハンガリーでは法律でこの有給休暇を年ごとに完全に消化することが義務付けられています。)
プライベートの時間が優先されているせいか、仕事の傍らスキルアップの為の学校に通う人も多く、また、会社にて無料の語学取得コースが開設されていたりします。
まとめ
ハンガリーでは日本の会社生活とは違う点が多く、驚かれる方も多いのではないでしょうか。
個人主義であるという事は、自由でもあり、また同時に自分の意志を主張しなくてはならないという事でもあります。
ハンガリーでの会社生活の中では、自分が心地よく仕事をするにはどうしたら良いのかを考え、また、仕事以外の充実した生活を形成してゆく中では「自分らしさ」を発見したように思えます。
ハンガリーでは日本では経験のできない、会社生活以上の収穫を得られる気がします。皆さんにも実りある収穫が訪れますように。
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