現在オーストラリアに永住権を保持して居住している方の多くが一度は市民権の取得を考えたことがあるのではないでしょうか。
ここでは、豪州登録移民書士から
- 市民権と永住権の違い
- 市民権取得のメリット・デメリット。注意点
- 必要条件や申請方法
を解説したいと思います。
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オーストラリア市民権と永住権の違い
市民権とはつまり国籍のことで、日本の戸籍に登録された場合は日本の国籍保持者であり、国外に渡る際には日本人としてパスポートを保持することが義務付けられています。
通常、オーストラリアに永住する日本人の大半は、日本の市民権(国籍)を保持し、日本のパスポートでオーストラリアに出入国し、居住についてはオーストラリアの永住権を保持して居住しています。
実はオーストラリアの永住権、永住権という名前はついているものの、出入国については5年ごとにビザの更新を行う必要があります。
こうしたビザは Resident Return Visa (RRV) と呼ばれています。
つまり、永住権保持者と言っても 5 年ごとに RRV を更新する必要があり、状況によってはこの更新こそがかなりの負担になっています。
RPVの更新にはそれなりの費用がかかる
RRV の更新費用は申請者一人に付き $375 (2018年9月時点) となっており、このビザの特性として主申請者の申請書に扶養者を含めることができないため、家族がいる場合などは家族全員が単独申請をする必要があります。
例えば5人家族の場合:
申請料 x 5 (人分) を10年間(2回の更新)で要する料金を算出すると
$375 x 5 x 2 = $ 3,750
となり、ビザの更新のために少なくない金額を準備する必要があります。
更に、RRVの更新日は移民局や政府からの通知が無いため、いつ次のRRVを申請するべきかご自身で把握しておく必要があります。
万が一 RRV が既に失効されていることを忘れたまま国外に出てしまった場合、再入国のためには面倒な手続きを取る必要が出てきてしまいます。
こうしたことから、オーストラリアに永住権で居住している日本国籍の方などもオーストラリアの市民権を取得するといった選択をされる方もいます。
オーストラリアの市民権と永住権。どのような異なる側面がある?
市民権を持つメリット
1.選挙権がある
まず一つには選挙権を持っているかどうか、の違いです。
永住権のみを保持している場合は選挙権がありませんが、市民権を保持していると選挙権を有することになるので、国内の政治に深くかかわっていくことができます。
長期居住者としてオーストラリアの経済や政治的な動きは生活に直結するトピックであることは間違いありませんが、永住権保持者の場合はオーストラリア国内の政治について自身の意見を反映させる最も直結的なプラットフォームである選挙に参加する権利がありません。
有権者として政治に関わっていきたい場合は市民権を取得することが唯一の方法となります。
2.教育費用に差がある
さらに、教育に関する費用の差も出てきます。
永住権保持者の場合、公立の高校までは基本的に授業料は免除され、制服や学外研修などの実費以外を支払う必要はありません。
私立の学校の場合でも永住権保持者の場合はオーストラリア国民と同等の授業料のみが必要となり、これだけでも大きな恩恵を受けることになります。
しかし大学に関しては、永住権保持者の場合は通常の授業料を支払う必要があります。
一方、市民権保持者の場合、オーストラリア政府から HECS-HELP と呼ばれるサポートを受ける権利を得られ、この場合は学費の後払い等を申請することができるようになります。(詳しくは政府の「StudyAssistページ」をご覧ください。)
市民権のデメリット
しかし一方で市民権を取得することに対するデメリットもあります。
代表的な注意事項として、日本の国籍法では22歳の誕生日までに2重国籍を含む多重国籍を保持している場合は、日本国籍との同時保持が認められていないため、日本国籍または外国籍のいずれかを選択する必要があります。
今後市民権の申請を考える場合、上記のようなメリットやデメリットについて十分に検討した上で判断する必要があります。
オーストラリア市民権を取得できる条件とは?
取得できる対象
では、どんな場合に市民権を取得できるのでしょうか?
主なものは
- オーストラリア国外で出生した子で、少なくとも両親のどちらかがオーストラリア国籍を保持している場合
- オーストラリア国内で出生した子で、少なくとも両親のどちらかがオーストラリア国籍またはオーストラリア永住権を保持している場合
- オーストラリア国内で出生した子で、出生時には両親のどちらもオーストラリア国籍または永住権を保持していない場合、且つ10歳の誕生日を迎えるまでの大半をオーストラリアに居住していた場合
- オーストラリア永住権を保持してから一定の期間、オーストラリアで居住しかつ健康上や犯罪履歴などを総合的に判断し、市民権取得が妥当だと認められた場合
ここでは、市民権取得を考える方のほとんどのケースである上記4について申請条件を詳しく見てみます。
オーストラリア永住権保持者が市民権を取得する際に満たしておく必要がある条件の内、最も重要なのが標準居住条件を満たすことになります。
標準居住条件を満たすには、以下の期間、それぞれ認められたビザを保持した状態でオーストラリアに居住していることが必要です。
- まず、市民権申請書の提出日から逆算して過去4年間を合法的にオーストラリアに居住していること
この条件を満たすにはビザの種類は指定されていません。学生ビザや観光ビザ、ワーキングホリデービザでの居住も認められます。 - 次に、市民権申請書の提出日から逆算して過去12か月間を永住権保持者として合法的にオーストラリアに居住していること。この条件を満たすには、一時滞在ビザの保有期間は除外されますので、永住権を取得した日付が非常に大事になっています。
また、いくつかの永住権取得の場合に通らなければならない「暫定永住権(Provisional Visa)」はこの場合の永住権としては認められていません。
申請の流れ
申請条件を満たすことが分かり、申請を進める決心をした場合、どのように進めていくのでしょうか?
ほとんどのビザ申請時と同じように、市民権の申請は immiaccount を利用して申請を行います。
今までビザの申請の際に既に immiaccount に登録している場合は同じアカウントを使うことができます。
全ての情報を入力すると、追加書類の提出や申請料金の支払いへと進んで行きますが、基本的にはすべてオンライン上で完結することになります。
申請書をオンライン上で提出すると、移民局による審査が行われます。
今般の市民権法改定についての議論が長引いている影響で、市民権の審査はこれまでにないほど膨大な申請書が審査待ちとなっている状況で、申請から1年以上を経過してもまだ審査中となっているケースがほとんどとなっています。
このため、市民権の申請は時間に余裕をもって行う必要があります。
書類審査が終わると、市民権のテストおよびインタビューを受け、オーストラリア国民になるための準備や意思を確認されます。
市民権のテストは英語で行われるため、英語能力についても同時に審査されることになります。
全ての審査・テスト・インタビューが終わると、オーストラリア市民権になるための宣誓を行うセレモニーに招待され、宣誓後に正式にオーストラリア市民権を取得することになります。
オーストラリア市民権についてのまとめ
- オーストラリアの国民として生きていくと決めた方
- メリットとデメリットを十分に検討した上で市民権の取得を考える方
- 市民権取得のための条件を満たしているかどうか不安な方
こうした皆さんにとって有益な情報だったでしょうか?
市民権やビザについて不安がある方は専門家のアドバイスを活用することをお勧めいたします。
2018年9月時点での情報を基にしており、市民権法が改正される可能性もあります。このため、ご自身での申請をお考えの場合は、申請前に新しい情報を確認する必要があります。
記事提供:WIDAUS
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