南アフリカの暮らしにかかわる税金。移住するときは知っておきたいたい情報のひとつです。
海外と日本は税金事情が異なりますが、移住した時は現地住民として税金の知識を理解して正しく納める義務があります。
税金と聞くと、難しく考えがちですが、ここでは南アフリカで暮らすにあたり、主に生活に関わる以下の税金について
- 消費税
- 物品税
- 付加価値税
- 固定資産税
- 所得税
- 法人税
- 相続税
- 道路税
- ダイヤモンド輸出税
- 航空旅客税
- 社会保険税
と、手続きの方法について、現地在住者からお伝えします。
南アフリカの生活に関連する税金
消費税
消費税は私たちが普段買い物をしたときにかかる税金ですが、南アフリカの消費税は15%です。
数年前までは14%でしたが、税率が上がり現在では15%という金額になりました。(2020年3月時点)
南アフリカの場合、すべての食品や物品に消費税がかるかのではななく、野菜や果物、デイリー食品の一部には消費税がかかりません。
免除される主な食品には、全粒粉パンや豆類、ミリミール(トウモロコシの粉)、豆類、イワシの缶詰、米、野菜や果物、牛乳、卵、サラダ油などです。
これらの食品に消費税を加えない理由として、「貧しい人々に負担をかけない」ことが背景にあります。
貧しい人々はトウモロコシの粉を水で練ったものを主食としていますが、基本的な食品を安い金額で購入できるように考慮しているのです。
また、これ以外も白食パンや小麦粉、生理用品、おむつ、おむつ拭きなども消費税をゼロにしようと現在も考案されています。
物品税 ー嗜好品にかかる税金
石油製品や石炭などの燃料や、嗜好品であるアルコールやたばこには物品税としてたくさんの税金がかかっています。
更に、2018年からコカ・コーラやファンタジュースなど加糖飲料であるソフトドリンクに対しても税金がかかるようになりました。ゼロシュガーの場合は課税対象外です。
また、南アフリカでタバコを購入する場合、1箱R50 (約400円)支払うことになります。
付加価値税(Value-Added Tax:VAT)
消費税と同じようなもので、課税対象となる品物に15%の税金が課せられます。
長期滞在するときに現地で購入したものを記念に日本に持ち帰りたいという人もいるでしょう。
国際輸送に関する輸出、品物に関しては税金が免除されるので手続きを忘れずに行いましょう。
また、教育関係サービス、賃貸、電車やバスなどの公共交通機関などには税金がかかりません。
固定資産税(Property tax)
南アフリカに長期滞在してこの国に永住しようと思った時、土地や家を購入しようと考える人もいるかと思います。
南アフリカも土地や家屋に関して税金を納めることになります。
金額は家の大きさや土地の面積・価値、どの都市(エリア)に住むのかによって違うので、一概に何パーセントとは言えません。
環境の良いエリアに大きな家を構えれば税金が高くつきますが、家の面積が小さく、土地の価値が低い場合は、税金が安いということになります。
収入や事業に関連する税金
所得税 10〜42%
所得税は働いている人に課せられる税金ですが、南アフリカでは給料から差し引かれます。所得税の天引きは日本と同じです。
どれくらい所得税が引かれるかは、個人の年収によって異なり、10%~42%まで幅があります。
お給料が低い人は約10%くらいしか差し引かれませんが、お給料が高い人は最大で42%も引かれる人もいます。
法人税 ー収益に応じて
法人税は南アフリカにある企業に課せられる税金のことです。
現地に長期滞在や永住を計画した時に会社を設立したいと考える方もいるはずです。
法人税は基本的に28%の税率になります。
現地では累進課税制度を導入しているため、小規模の企業の場合、収益に応じた税金を支払うため毎月高い税金を納める必要がなくなります。
課税所得は以下のようになっています。
- R0~R79000(約50万円):0%
- R79 001 ~R365 000(約230万円):R79 000を超えた時に7%
- R365001~R550000(約350万円):R20020+R365 000を超えた金額に対して21%
- R550 001以上:R58 870 + R550 000を超えた金額に対して28%
※R1=約6,3円(2020年3月時点)
参考URL:https://www.sars.gov.za/TaxTypes/CIT/Pages/default.aspx
そのほかの税金
相続税(inheritance tax)
財産を引き継ぐ時は相続税が課せられますが、財産の合計額が350万ランド(約2千万円) を超える時は20%の相続税がかかり、3000万ランド(1億円以上)を超えると、25%課税されます。
道路税
登録した車に課せられる税金です。
南アフリカは、日本のようにバスや電車など公共交通機関が未発達のため、永住するときは自家用車が必要になります。
自動車を所持している人は自動車税として税金を支払う義務があり、1年に1回自動車の証明書を更新します。(自動車運転免許証の更新ではありません。)
税率は車種によって異なりますが、高級車を所持している人ほど税金は高くなります。
更新の時期が近くなるとTrafic Department(交通局)から通知が住所地に郵送されてきます。
その通知を持って近くの市役所に出向き手続きすると、新しく有効期限がついた用紙がもらえます。
新しく発行された用紙を車のフロントガラスの左下に貼って車を運転しましょう。
有効期限が切れているのを気づかずに走り、交通巡査官に見つかると罰金として約R1000(約1万円程度)支払うことになるので注意が必要です。
道路税の使い街ですが、道路の補整や消えかかっているラインを引き直し綺麗にしたり、歩行者専用道路を作るなど人々のために役立ててにいます。
ダイヤモンド輸出関税(Diamond Export Levy)
南アフリカは自然が豊富なだけでなく、金やプラチナ、ダイヤモンドなど鉱山資源も豊かな国でもあります。
永住してダイヤモンドに興味を持ち始める人もいるでしょう。
ダイヤモンドを保有したり、加工するなどダイヤモンドに関わる仕事をする場合、ダイヤモンドを輸出することもあるかと思います。
その場合、輸出税として5%の輸出税を支払う義務があります。
航空旅客税(Tax on International Air Travel)
南アフリカから国外に飛行機を利用する時にかかる税金です。
南アフリカの近隣国であるナミビアやボツワナ、レソトに行くときは100 ランド(約650円)かかります。
もし、現地滞在中に旅行やビジネスで近隣国に出張に行く場合は、航空旅客税があることを覚えておきましょう。
社会保険に関する税金
失業保険基金(UIF)
毎月のお給料から2%差し引かれ、労働者は給与から1%、雇用主が1%を負担します。
UIFはUnemployment Insurance Fundを省略したもので、病気や怪我、出産などで働けなくなった時や失業した時に短期的に一定の金額が支払われます。
但し、駐在員として長期滞在している場合で、任期が満了になったときに帰国する場合は支払う義務はありません。
技能開発税(Skills Development Levy)
南アフリカには仕事に関する開発や学習レベルを上げるために、技能開発税というものが課せられます。
お給料から1%差し引かれますが、年収がR50万(約300万円未満)の従業員は支払いが免除されます。
この税金は自分のためではなく、従業員のスキルを向上させるために使われるものです。
労働災害および職業病保険(COIDA)
労働災害や病気などで従業員が働けなくなったときに支払われるもので、従業員のお給料から税率が計算されます。
従業員が携わっている仕事の内容や危険度などから金額が決められますが、1年間で約R46万(約300万円)を上限に支払われます。
年金事情
南アフリカの年金は、勤務している会社のお給料から毎月決まった金額が差し引かれます。
会社勤めの場合、納める金額をR2000(約10,000円)~R4000(約24,000円)の範囲程度で 自分で決めることができます。
将来年金をたくさん受け取りたい人は、できるだけ多くの年金を納めておくこともできます。
会社勤めで年金を納めていた人は、勤務年数や金額に応じた年金が支給されますが、年金を納めるほど収入がなかった人は、国の年金に頼らざるを得ません。
国からの支給額は決して高いとは言えず、1か月にR2,000(約10,000円)~R3,000(約18000円) 程度しか支給されません。
税務署(SARS)での手続き方法
現地で仕事が決まった時や永住権の許可が下り、仕事を探す時は現地の税務署(SARS)でTAX number(タックスナンバー)を取得する必要があります。
TAX numberを取得するためには、オンラインと税務署に出向いて登録する2つの方法があります。
オンラインで申請する場合は、IDブックが必要です。IDブックがない人は税務署で申請することになります。
無事に登録でき納税者番号がもらえると、オンラインで確定申告や税金の手続きができるようになるので便利です。
手続きに必要な書類
- IDブック(ある人は必ず持参)
- パスポートのコピー(警察の認証があるもの)
- 永住権のコピー(警察の認証があるもの)
- 運転免許証のコピー(警察の認証があるもの)
- 現住所を証明できるもの(公共料金の請求書、電話の請求書、銀行の明 細書など)。正式なレターに名前と住所があれば何でも構いません。
パスポートや永住権は原本も持参した方が安心です。
詳しくはSARSの公式サイトで確認してから出かけることをおすすめします。
SARSの公式サイト:https://www.sars.gov.za/Pages/default.aspx
付加価値税(免税)の還付方法
南アフリカに長期滞在中に高価な品物を購入した時は、14%の付加価値税の払い戻しが可能です。
購入品の免税は空港の免税カウンターで見せる必要があるので、チェックイン前に免税の手続きを行います。
R250(約1500円)から請求ができ、R5000(約3万円)の品物を購入した時は、店舗からTAX INVOICE(税金請求書)をもらい、名前と住所を記載しましょう。
空港のVAT Refund Officeにてパスポート、搭乗券、税金請求書、品物を提示します。
免税処理が終わると税関の職員からVAT Refund Card(付加価値税還付カード)が渡され、還付金が入金されるシステムです。
還付の合計額がR3000 の場合は、3日以内に振り込まれ、R3000 以上の場合は約1か月弱~約2か月くらいかかることがあります。
申請期限は購入してから90日以内なので注意しましょう。
また、VAT Refund Cardは、南アフリカの最終出国空港で受け取ることができるので、税関で免税処理済みのレシートを見せるようにします。
日本と二国間租税条約が結ばれている
日本と南アフリカは二国間租税条約が結ばれていますが、これは税金を二重に納めないために設置された条約です。
南アフリカで長期滞在する人のなかには仕事や駐在員として長期間滞在することもあるでしょう。
南アフリカで得た収入に対して免税や税金を軽減したり、日本だけで課税するなど税金の納め過ぎを防ぐ仕組みになっています。
基本的に現地で徴収される税金を軽くするためのものです。
税金事情
税金を納めるのは国民の義務ですが、貧富の差が激しい南アフリカでは税金を納められる余裕がない人が多いのも現状です。
税金を納められない低所得の人は、主にスラム街に暮らしていますが、1か月の収入が約3万~5万円程度なので、税金を納める余裕がありません。
本来であれば所得のある人は税金を納める必要がありますが、黒人で低所得の人は税金を支払わなくても良いと暗黙の了解があるようです。
南アフリカの最新の税率
毎年、3月1日になると新しい税率が導入されます。
生活に関わる税率などは、SARSという(日本の国税庁に当たる)機関のホームページに記載されています。
SARS公式サイト:RATES OF TAX FOR INDIVIDUALS
まとめ
税金は現地で住むためには知っておきたいことですが、日本とは異なる点もあるため混乱したり、納得しないことも出てくるかもしれません。
居住国が違うと税金の仕組みも変わるということを念頭に、移住や長期滞在に臨むと良いでしょう。
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