南アフリカは想像を超えた美しい自然が残された国ですが、サファリやゴルフ、ワイナリー巡りなどのんびりしたライフスタイルが魅力です。
異国の土地で永住するにはビザの取得が重要ですが、複雑で分かりにくいことが多いものです。
またビザ事情をしっかり把握しておかないと、トラブルを招く恐れもあるので注意が必要です。
ここでは、南アフリカの永住権を取得するための道と申請方法など永住ビザ事情についてお伝えします。
※ビザ要件は頻繁に更新される可能性があるため、大使館等へ最新情報を確認しましょう。
南アフリカの永住者数
南アフリカは訪れた人を魅了する素晴らしい国です。
格安でゴルフが楽しめるので、退職した方ならゴルフ三昧の毎日に満足するに違いありません。
ゴルフをしない人でも週末は観光地に出かけたり、ビーチでのんびり過ごす、ワイナリーでピクニックなど日本では味わえない贅沢な時間を満喫できます。
気になる日本人の永住者数ですが、南アフリカでは約280人が永住権を持っており、駐在員やその家族、留学生といった在留者数を含めると約1500人が南アフリカで暮らしています。
欧米と比較するとまだまだ少ないですが、長く住むと国の良さが分かってきます。
永住するために必要なビザは4つの
ビザにはさまざまな種類がありますが、この章では南アフリカに長期滞在、または永住するために必要なビザの種類について説明します。
1.配偶者ビザSpouse permit
簡単にいうと結婚ビザのことですが、南アフリカ人と結婚した場合に申請します。
結婚してすぐに永住権を申請できるわけではなく、5年間の婚姻生活があって初めて永住権の申請ができます。
配偶者ビザの有効期限は2年間なので、永住権が申請できるまでの期間は2年おきに配偶者ビザを更新する必要があります。
2 .労働許可証General Work Permit
一般にワークパーミット、就労ビザともいわれているもので、
- 一般労働ビザ (General Work Visa)
- クリティカル・スキル・ビザ(Critical Skill Visa)
- 企業内転勤ビザ (Intra Company Transfer Visa)
の3種類があります。
このなかで永住権の取得資格があるものは「一般労働ビザ」と「クリティカル・スキル・ビザ」です。
企業内転勤ビザは、現在のところ永住権資格が認められていません。
それでは、それぞれのビザについて簡単に解説します。
①一般労働ビザ (General Work Visa)
現地の会社や支店、駐在員として勤務する時に許可されるビザで、5年間を限度としてます。
労働ビザの資格を得るには、会社にとって日本人が必要であることの証明が必要になり、5年経過した時に永住権の申請が可能となります。
②クリティカル・スキル・ビザ(Critical Skill Visa)
南アフリカにとって有益となる技能や技術を持った人が対象となります。
学歴や資格、経験、技能力で総合判定して合格すれば5年間のビザが許可され、満了になると永住権の申請資格が得られます。
但し、単純に日本語が話せるだけでは、合格できないので注意しましょう。
スキルに関する一例を挙げると、農業に関する知識を持ったエンジニアや建築家、経営やビジネス管理、IT関係、医師や看護師などの医療従事者、生命地球環境技術者など。
この他にもたくさんスキルを必要とする仕事があります。
③企業内転勤ビザ (Intra Company Transfer Visa)
日本の会社で契約を結んだ者が、現地の支店や関連会社、駐在員として働くときに許可されるビザで、4年間を限度にビザが発行されます。
基本的に南アフリカでビザの更新はできませんが、2年間有効の企業内転勤ビザに限っては、南アフリカ国内で2年間の追加更新ができ、最長で4年間は滞在可能になります。
別の労働許可証に変更することで、永住権の申請資格が得られる可能性があります。
3. リタイアメント査証Retired Permit
退職後に南アフリカに移住することが可能なビザです。
毎月37万ランド(約26万円)の年金受給者や規定額の土地などの資産を持っていることが条件で、4年間の滞在が許可されその後、永住権の申請も認められるようになります。
一定額の年金受給者や資産がある人は、退職後に南アフリカでのんびり暮らすのも良いですね。
4. 投資家・実業家Financial Independent
投資家や実業家を対象としたビザで、現地の企業に投資したり新しく会社を作る時に許可されます。
会社を設立する時の従業員の約60%は現地の人や永住権保有者などを雇う決まりや、事業が上手くいっている証明など細かな条件があります。
投資額として250万ランド(約1,800万円)の投資が条件となり、ビザの有効期限は5年間ですが、5年経過すると永住権の申請が認められます。
資産の場合は、1200万ランド(約1億円程度)の土地や資産があることが条件で、更に申請時に追加で約90 万円の支払を要求されます。
南アフリカ永住権の申請方法から取得までの手順
永住権を申請するに当り、揃えなければならない書類が山ほどあります。
永住権でも申請するビザの種類によって必要になる書類が異なるので、VFSの公式サイトで確認しましょう。
VFS:https://www.vfsglobal.com/dha/southafrica/index.html
申請する場所
以前は内務省(Department Home Affairs)がビザの申請手続きを行っていましたが、2019年9月時点ではVISA Facilitation Services(VFS)がビザ申請の代行を行っています。(ここではビザセンターとします。)
住所地から近いビザセンターを選ぶようにしましょう。
申請から受け取りまでの手順
ステップ1:永住権申請に必要な書類を取り寄せる
書類によっては日本から取り寄せる必要のあるものや、南アフリカ国内であっても受け取るまでに1ヶ月以上待つ書類があります。
申請したい日程に合わせて、早めに取り寄せておくことをおすすめします。
ステップ2:VFSの公式サイトでビザの申請書を作成
オンラインで申請書を作成したらVFSに提出に行くための予約を取りますが、通常1ヶ月〜2ヶ月後の予約になるので、ビザの期限切れになる前に余裕を持って早めに書類などを揃えておきましょう。
申請時に必要書類が全て揃ってないと、窓口で「最初からやり直し」と言われて、再度予約を取り直すことになるので、最新のチェックリストと照らし合わせながら確認するようにします。
また、ビザ申請手数料としてR1350(約9,500円)をオンラインにて支払います。
ステップ3:VFS(ビザセンター)に提出に行く
当日は有効なパスポート、申請書のコピー、予約票、支払い証明書など必要な書類を持参してビザセンターに向かいましょう。
入り口で整理券を配布している時は、受け取って順番を待ちます。
予約をしても予約した時間には順番が順番が回ってこないので、辛抱強く待つことを覚悟しましょう。
「公式サイトには15分までに来てください」と書いてありますが、実際に予約の時間通りに呼ばれたことはありません。
この日はVFS(ビザセンター)で指紋と顔写真のスキャンをします。
無事に書類を提出するとOriginal Invoice Cum Receip(領収証)が渡されるので、紛失しないように永住権が許可されるまで大切に保管しておきましょう。この領収証と引き換えに永住権が渡されます。
ステップ4:結果をひたすら待つ
無事に申請が終了すると、後は永住権が許可されるのを待つだけです。
申請時に20ランド(約200円)の追加料金を支払うと、スマートフォンやパソコンで申請後の追跡状況を知らせてくれます。
ステップ5:受け取りに行く
待ち待った永住権の許可が下りたら、パスポートと申請時に受け取ったOriginal Invoice Cum Receip(領収証)を持って、受け取りに行きましょう。
受け取りの時間帯は10:00 – 15:00 (月曜日~金曜日)で、土日祝日はお休みです。
申請に必要な書類
ビザを申請するにはさまざま書類が必要になりますが、ここではどのような書類が必要になるのか、一例を取り上げてみます。
- 永住権用の申請書
- 有効なパスポートやビザ、原本とコピー
- 戸籍謄本
- 無犯罪証明書、警察証明書ともいいます(日本のものと現地のもの)
※手元に届くまで約2ヶ月~3ヶ月かかることがあります。 - 結婚受理証明書の翻訳
- 離婚証明書(該当者のみ)
- 子供の出生証明書(子供がいる場合)
- 健康診断書(6ヶ月以内のもので専用の用紙に記入してもらう。公式サイトからダウン ロード)
- レントゲン写真(専用の用紙あり、公式サイトからダウンロード)
- イエロー熱の予防接種証明(該当者のみ)
- ファイナンシャルサポートレター(配偶者の銀行口座証明など該当者)
- 宣誓供述書
- 年金や資産を証明する書類
- 労働許可証
以上、ここで取り上げた全ての書類が必要になるのではなくビザの種類によって異なるので、自分の該当するビザを調べて取り寄せましょう。
申請時の注意事項や心構え
申請書には「永住権が許可されるまで8ヶ月~12ヶ月かかります」と記載されてありますが、1年以上かかるのが現実です。
申請した人のなかには3年以上も待っている人や、7年間待ってようやく永住権が取れた人もいます。
仕事が遅いだけでなく、ひどい時は書類を紛失されることがあり、一からやり直しになることもあります。
重要書類を紛失するなど、日本ではありえない出来事が起こることがありますが、永住すると慣れてきます。
永住権が許可されるまで時間がかかる理由とは
なぜ時間がかかるのかといえば、内務省で永住権の書類を担当する人が数名しかいないためといわれています。
毎日、何百通もの永住権申請が申請されるのに、確認作業に時間がかかり追いつかないのが現状です。
その結果、2019年の時点で2016年の永住権を処理しているので、約3年〜4年間は待つ計算になります。
どうしても待てない時の最終手段
永住権を待っているのに許可が下りないと、不安や苛立ちを覚えますよね。
心配な時は移民局に精通した弁護士などに相談するのもひとつの方法です。
永住権を3年も4年も待ったあげく「○○の書類を紛失したので、再提出してください」と、自分のミスではないのに始めからからやり直しをした人もいます。
後から面倒なことになったり、無駄な心配をするより早めに相談して解決した方が安心ですし、仕事をしたいといった時、永住権があればどこでも働けるので自由にのびのび過ごしやすくなります。
参考までに、料金ですが最初に日本円で約5万円前後を目安に支払うと、事務所の人が内務省の永住権担当者に連絡をして作業を優先的に進めるように話をしてくれます。
この時点で永住権が取れることもありますが、1回で成功するとは限らず許可が下りなかった時は、移民局のトップを訴えることになり、この時は約30万円支払って裁判を起こす場合も。。勝てば支払った金額の数パーセントは受け取ることができます。
弁護士に支払う金額はピンキリなので、頼む事務所によって異なります。
南アフリカ永住権取得は長い道のりだが、暮らしたい人にはオススメ
今回は南アフリカ永住権を取得するために必要なビザについて紹介しました。
ビザのレギュレーションは予告なく変更になり、申請に行った時に突然「○○の書類が必要」と窓口で言われることがあるので、準備が整い申請する日が近づいたら、もう一度公式サイトで確認することをおすすめします。
申請まで長い道のりですが、南アフリカで生涯暮らしたい人は、あった方が便利なビザなので取得しておくと良いですね。
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