税金が高いことで有名なスウェーデン。その分福祉も充実しており、高負担高福祉と呼ばれているのも伊達ではありません。
実際どのくらい負担がかかるのか?どんなことに使われているの?
スウェーデン移住する際の金銭的なメリット・デメリットと合わせて紹介いたします。
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最も身近な2つの税金
消費税
おなじみの消費税。
日本では現在8%ですが、スウェーデンではなんと25%!
ただし、軽減税率制が採用されています。
2017年度時点では
- 食料品
- 日用品(衣類などを含む)
- レストラン
- ホテル
など、主に日常生活で頻繁に利用するものに対し12%の税金
- 本
- 映画
- スポーツ
- 新聞
など、文化的価値のあるものに対し6%の税金
といった軽減税率がなされています。
・例外となる日用品
例外もあります。例えば日用品であるタバコの消費税は25%。
もうひとつ意外な例は電子書籍です。紙の本ならば6%の税率ですが、電子書籍になると適用外。25%徴収されます。
参考記事:http://www.momsens.se/nya-momsregler-2017(Nya momsregler 2017, momsens.se 2017-01-05発行)
所得税
こちらも日本で馴染みの深い税金のひとつ。
スウェーデンでは地方分権が確立されており、基本的に自分の住む自治体へ所得税を納めることが特徴です。
自治体によって数%税率が前後します。収入により納める税率が異なります。
収入はおよその月給換算で、税率は自治体の平均税率です。
- ~2 万円: 0%
- 25~60 万円: 31 %
- 60~85 万円: 51 %
- 85 万円~: 56%
参考記事: Skatt i Sverige, Wikipedia
https://sv.wikipedia.org/wiki/Skatt_i_Sverige
※月給が2~25 万円の場合も所得税がかかりますが、収入によって税率が大きく異なるため割愛しています。
詳しくはスウェーデン税務署のホームページから調べることができます。
参考: 税務署(Skatteverket) “Jobbskatteavdrag”
一般的にフルタイム勤務であれば月給は日本円にして25 万円~なので、最低でも31%の税率がかかります。
一見すると非常に高い税率に見えますが、その代わり年金・社会保険料といった天引き項目がありません。総合的に天引きされる割合は日本・スウェーデンどちらも対して変わらないように思います。
なお、年収が25万円未満であれば納税が免除されます。
一体何に使われてるの?税金の使い方
スウェーデンでは実にさまざまな形で税金が還元されていることを身近に感じることができます。
高税率ならではの還元率と言えるでしょう。
日常生活の中でも特に嬉しい福祉制度
- 学費無料(幼稚園-大学すべて)
- CSN(スウェーデンの給付・貸与型奨学金)
- 医療費無料(2017年時点で20歳以下・85歳以上)
- 求職者、失業者支援
- 住居手当
- 子ども手当
主に教育・医療・就職面に使われています。
特に育児・教育に関する支援(子ども手当、学費無料、医療費無料)、就職に関する支援が手厚いです。
金銭的に見たらどうなる?スウェーデン移住のメリット・デメリット
メリット
就職後はまさに楽園です。育児に関する支援が手厚いのも◎。
- 高い賃金+少ない出費=生涯賃金大幅アップ!
- 育児にお金がかからない(子ども手当+学費無料+医療費無料)
- 何歳からでも人生再チャンス可能(大学無料)
高い税率は高い基本給があってこそ。夏休み限定の短期アルバイトですらフルタイム勤務で月給25万円以上が普通です。
出費も特に家賃が日本に比べ非常に安い(※ストックホルム等の大きな街は除く)ため、自由に使えるお金は体感2倍以上!
支援がしっかりしているため育児や老後のためにたくさん貯金する必要もありません。
デメリット
- 就職するまで深刻な財政難に陥りやすい
移住するということは、スウェーデンに生活基盤を作るということ。
自ずとスウェーデンで就職・労働することが最終目標になってきます。
問題はその就職が非常に難しいこと!
例外もあるものの、基本的にはスウェーデン語習得+就職に役立つ高等教育を受ける必要があります。
その時のポイントは・・「最初の二年をどう乗り切るか!」これに尽きます。
スウェーデン生活最初の二年間は無収入の覚悟を
なぜ二年なのか?
スウェーデン居住開始から二年後になるとCSNを利用できるようになるからです。
CSNはスウェーデンの奨学金機構。
スウェーデン語のコースや大学に通っている間、最大月額およそ38.000円の給付金(返済ナシ)が受け取れます。
それとは別に貸与型(返済アリ)として毎月希望額のお金を借りることもできます。
この場合学生であることが前提になってしまいますが、ある程度の経済的な見通しが立つわけですね。(もちろん、居住二年ほどで就職できればそれに越したことはありません。)
逆に言うと始めの二年間は全くの無収入であることを覚悟しなければいけません。
日本からの引っ越し時の費用も含め、初期費用は多めに準備する必要があります。
年間の生活費はどのくらい?※あくまで個人の体験談です。
月々にかかる生活費は約5万円(家賃、光熱費、食費、携帯費用を含む)。
住む街や状況によって前後します。お小遣いも合わせて月8万ほどあれば生活できるでしょう。
1年あたりに必要な生活費は
8万円×12ヶ月=96万円 といったところでしょうか。
急な出費にも備えて120万円ほどあれば心配なく生活できるはずです。
始めの二年分、240万円ほど準備して移住すると安心できると思います。
おまけ:就職難易度ランキング
移住したい日本人のための就職難易度ランキング
「移住したらすぐ働きたい!」そんな人のために。最も就職ハードルの低い職種を3つ紹介します。
※個人の意見に基づくものです。
3位: IT系(プログラマー・システムエンジニアなど)
日本で職務経験があるならば狙い目。
国際的に展開している会社ならば英語のみの求人も見つかることでしょう。
要スウェーデン大学卒・スウェーデン語の求人も多数存在するため3位にランクイン。
2位: 医療系(医者・看護師・薬剤師など)
医療に国境はなし。
特に医者・看護師はスウェーデンでも慢性的に人手不足のため引く手あまたです。
免許更新のために大学でいくつかコースを履修する必要があるらしいですが、そこまで長期間ではないようです。興味がある人はぜひ検索を。
1位: 外食系(寿司職人など)
英語ができるのならすぐに採用してもらえるかもしれません。
日本食ブームはまだまだ健在。
料理人自体がスウェーデンでは万年人手不足です。筆者も実はスウェーデンに行く前にお寿司屋さんで働いておけばよかったと後悔しきりです。
番外編・日本語教師は△
あまりおすすめはできません。
日本語自体の需要が非常に低く、たまに出る高等学校などでの日本語教師の求人では要スウェーデン教員免許。
コース自体も人数が少なければ開講されなかったりすることも。
本当に熱意がある方におすすめします。
さいごに
スウェーデンの税金の特徴から、現地で暮らすメリットやデメリットもあげてみました。
ぜひ、これらの情報を俯瞰しながら、スウェーデン生活にトライしてみてください。
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