ポルトガルで生活をするうえでは、ポルトガル語はきちんと学んで、最低限の会話をできるレベルにしておくことは大切です。
今回は現地在住者に聞いた「ポルトガル語学習法」について、日本で使用していた学習書・辞書〜ウェブサイトまでをご紹介しながらお伝えしていきたいと思います。
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2種類のポルトガル語
ポルトガルとブラジルで主として使われている言語であるポルトガル語は、俗ラテン語から発展したロマンス語です。
スペイン語と非常によく似ているため、スペイン人とポルトガル人は母国語同士で会話しても成立するとも言われているこのポルトガル語は、大航海時代にポルトガルの経済発展とともに世界各国へ広まりました。
様々な作家や詩人から「甘美な言語」、「ラティウムの最後の、粗野で美しい花」などと評されているように、ポルトガル語の持つ独特なイントネーションや響きには、どこか “強烈な色気” があります。
さて、それでは、そんなポルトガル語を学習してゆくうえで、まず知るべきことはポルトガル語には大きく分けて2種類あるということです。
- ポルチギース・ポルトガル語
- ブラジリアン・ポルトガル語
この両者、基本的には同じ文法なのですが、発音に置いて差があるのです。
わかりやすいところで「more or less」という意味の「mis ou menos」というフレーズの例を挙げてみます。(日本語だと「まあまあ」とか「多かれ少なかれ」と言った訳)
このフレーズの発音、
- ポルチギース・ポルトガル語だと「マイジョゥメノーシュ」
- ブラジリアン・ポルトガル語だと「マイゾメノース」
という意味になります。
ポルトガルの方が口が閉じていてブラジルの方はオープンな感じです。
この発音の差異は「アメリカ英語」と「イギリス英語」程の差と言われていますが、もう少し大きい差があるように感じています。
また、日本で発売されている辞書や参考書、またアプリケーションなどまで、ポルトガル語に関するものは必ず全てと言っていいほど「ポルチギース」か「ブラジリアン」のどちらか、または「より近い方はどちらか」、の明記がされています。
そのため、購入する際にその点を注意しどちらかに絞って学習を企てるとスムーズに進みますし実践の会話にも自信がつくことと思います。
発音が違うだけで意味が伝わらないわけではないのですが、ポルトガル出身のポルトガル人にブラジリアン・ポルトガル語の発音で話しかけた場合十中八九「今のはブラジリアンの発音だから正しい発音はこうだよ!」と指摘を受ける事になります。
南部にある首都「リスボン」と北部に位置する第二の首都「ポルト」の間にもちょっとした発音の差があり、これに関しても良く「それは南 (または北) でしか使われていない言い方だよ!」などと指摘を受ける印象です。
ポルトガル語の学習書は何を選ぶ?
それでは本題の学習書と辞書について紹介させていただきます。
学習書について
何冊か学習書や参考書を購入した結果、最も役に立った一冊はこちらでした。
「新版 CD BOOK はじめてのポルトガル語 (アスカカルチャー)/著者:浜岡 究」
ポルトガル語を学ぶにあたって非常に重要な文法解説がピンポイントで展開されているので大変重宝しまあす。
基本から一歩進んだ段階を学んでいるポルトガル渡航後も、度々お世話になるでしょう。また、紹介されている基本フレーズがただの観光用だけではなく、普段使いに役に立ちます。
辞書について
筆者は辞書を購入する際、電子辞書と紙の辞書と比べて、単語や例文、活用の数の圧倒的な多さなどから紙の辞書を選びました。
そして購入したのが下記の「ポルトガル語ー日本語」辞書。
単語の変形量が多いポルトガル語の対応もしっかりされていて活用別変化を追う事が出来とても役立ちました。
またこちらの辞書は「ポルチギース・ポルトガル語」と「ブラジリアン・ポルトガル語」の両者を収録しており、「ポルチギース・ポルトガル語」が多めになっている印象です。
しかし独学で学習書と並行してこの辞書を利用しているうちに段々と日本語での訳がどうもしっくり来ない事が多くなり、やがて使うのが億劫になっていった頃に、ある発見をすることになります。
それは「ポルトガル語ー英語」辞書を併用する事の不可欠さです。
たまたま入った本屋さんで見つけた「ポルトガル語ー英語」の辞書でそれまで疑問だった単語を調べてみてびっくり!ものすごく納得してしまい、それから必ず併用して使うようにしています。
むしろ今はもう始めに英語の意味を検索してから日本語の辞書で再確認しています。
英語とポルトガル語はルーツが近く文法や単語が大変似ているため、日本語→ポルトガル語、という順序で勉強するよりも、英語→ポルトガル語、という順序で勉強した方が頭に入って来やすい印象です。
そのため私が購入し使用している辞書は、現在「2冊」です。
「現代ポルトガル語辞典 (単行本)/編集:池上 岑夫」
「Berlitz Portuguese-English Pocket Dictionary/編集:ベルリッツ」
日本語訳だけの辞書を使っていた時よりも格段に理解が深まっています。
因みに都内の書店やインターネットで「ポルトガル語ー英語ー日本語」の辞書を散々探しましたが見つけらませんでした。
ウェブサイト
最後に参考にしていたサイトを掲載させていただきます。
・http://www.goethe-verlag.com/book2/_VOCAB/JA/JAPT/JAPT.HTM
無料で語学学習できるサイト(http://www.goethe-verlag.com)の中にある日本人向けポルトガル語学習のページです。
かなりの量の単語が写真とともに見られて発音も確かめられます。個人的に、ビジュアルから単語を覚えるのが一番の近道だと思っています。
・http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/pt/
こちらは東京外国語大学言語モジュールのポルトガル語講座のページです。
「簡単な文法の解説」とありますが、無料で見られるものとしては十分な質量だと思います。
ポルチギースとブラジリアンの差異を確かめながら聞くことができる発音の項も便利です。
あとは、これは裏技とも言えるかもしれないのですが、「ポルトガル語・学校生活」などの組み合わせでインターネット検索をすると在日ポルトガル人の学校生活に関する資料がいくつも見つけられるのですが、小学生向けの例文等が基本的かつかなり実用的なので、とてもオススメです。
例:岩倉市日本語適応指導教室のこのページ:http://www.iwakura.ed.jp/nihongo/gapo.pdf
まとめ:ポルトガルでそのまま通じる「パン」・「コップ」・「ブランコ」
大航海時代に始めて日本を発見したポルトガルは、日本の種子島を訪れた1543年から1639年までの約100年間、宗教や貿易を通してヨーロッパの文化と共に多くの言葉を日本に運び定着させていきました。
そのため日本語の発音と意味でそのまま使用してもポルトガルで通じてしまう単語がいくつもあるのです。
以下がその一部になります。
- パン(pào)
- コップ(copo)
- 煙草(tobaco)
- ボタン(botà)
- オルガン(orgào)
- ビスケット(biscoito)
- カルタ(carta)
- ブランコ(balanço)
- 合羽(capa)
- 金米糖(confeito)
- コロッケ(croquete)
単純な響きの持つ覚えやすさから定着した事から、可愛らしい単語ばかりではありませんか?声に出すだけでホッと癒されてしまいそうです。
他にも、完璧ではないけど発音が近いものはまだまだたくさんあります。
日本人から見て「ポルトガル語学習」はまさに遠い世界の真逆の言語、ポルトガル語の学習を決意しても、始めたばかりは文法から単語まで全てが新しく、なかなか頭に入ってこないかもしれません。
そんな時は一度思い切って日本語で説明してみると、案外通じてしまったりするかもしれません。
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