財政危機を迎えたことで有名なギリシャ。
国は金融支援プログラムに課せられた厳しい条件を達成するため、国民から税金をどんどん搾り取る政策をしてきました。
実際にギリシャで暮らす生活者には、どのくらい負担がかかるのか?
そして、それはどんなことに使われているの?
ギリシャの税金システムと合わせて、移住する際の金銭的なメリット・デメリットを紹介いたします。
最も身近な2つの税金とギリシャ危機
私たちの生活に身近な
- 消費税
- 所得税
ギリシャではいったいどんな状況なのでしょうか?
ギリシャ危機で世界中を騒がせ、財政の危機にも陥ったギリシャの税金を見ていきましょう。
ギリシャ危機とは
税金の話の前に、ギリシャの増税に拍車をかけたギリシャ危機の話をしましょう。
ギリシャ危機とは、2009年10月の政権交代を機に、ギリシャの財政赤字が公表している数字よりも大幅に膨らむことを明らかにした一連の経済危機のことです。
2009年10月、政権交代以前のギリシャの財政赤字はGDP比で5%程度と公表されていました。
しかし、新政権下で旧政権の財政赤字の隠蔽が明らかになり、実際は13.6%に達していたことが判明したのです。
2010年1月、ギリシャの財政状況の悪化が世界的に表面化されました。
この問題を解決するため、ギリシャ政府は3カ年財政健全化計画を発表しました。
しかし、その内容はあまりに楽観的な経済成長を前提としており、ギリシャ国債の格付けは引き下げられ、デフォルトの不安からギリシャの国債が暴落しました。
ギリシャの通貨はユーロですので、外国為替市場ではユーロが下落、世界各国の株価も下落することになりました。
ユーロ圏諸国の財務相会合では、このギリシャ危機は大問題として扱われ、2010年5月にIMF・EUによる「第一次支援(総額1100億ユーロ)」が決定されました。
2012年2月にIMF・EU・民間による「第二次支援(総額1300億ユーロ)」が決定されました。
その一方で、ギリシャ政府は増税・年金改革・公務員改革・公共投資削減等の厳しい緊縮財政策や公益事業等の大規模の民営化が支援金受け取りの条件として課され、国民に大きな負担を強いることになったのです。
2012年以降、ギリシャは金融支援プログラムに課せられた厳しい条件に取り組みましたが、その影響で景気は大きく落ち込み、国民の生活は苦しくなり、大規模なデモや暴動が発生しました。
2017年6月、EUは欧州安定メカニズム(ESM)に基づき「第三次支援(最大860億ユーロ)」が合意され、当面のギリシャ危機は回避されました。
ギリシャの消費税
私たちの日常に一番身近な消費税、日本では現在8%で、2019年の10月には、10%になる予定です。
そして、軽減税率も採用されます。
そんな消費税ですが、ギリシャではなんと23%になります。
もちろん、ギリシャの消費税にも、軽減税率は導入されています。
その軽減税率の内容は、下記の通りです。
消費税 | 対象 |
---|---|
6% | 医療品、書物、文化関係 |
13% | 一部食品、電気、水道、ホテルなどの料金 |
23% | それ以外 |
ギリシャの税率で厄介なのは、13%の一部食品という対象です。
例えば、粉チーズは23%の消費税がかけられますが、固形チーズは13%です。
またチーズの原材料によっては、23%と13%が変わってきます。こういったややこしい部分が存在しています。
日本と比較してみても、全体的に消費税が2倍くらいのイメージです。
ギリシャの所得税
所得税、こちらも私たちの生活に馴染みの深い税金のひとつです。
ギリシャの個人所得税は累進課税になり、最大40%の所得税が課せられます。
累進課税は下記の通りです。
所得(ユーロ) | 税率(%) |
---|---|
5,000ユーロ〜 | 0% |
12,000ユーロ〜 | 10% |
16,000ユーロ〜 | 18% |
26,000ユーロ〜 | 25% |
40,000ユーロ〜 | 35% |
60,000ユーロ〜 | 38% |
100,000ユーロ〜 | 40% |
参考:Κλίμακα Υπολογισμού Φόρου Εισοδήματος (Ελλάδα)
ギリシャ危機の影響もあり、ギリシャの所得税は安定しておらず、すぐ変更になったりします。
詳しくはギリシャ税務署のホームページから調べられます。
参考:税務署
税金の使い道は?
ギリシャの税金は、当たり前ですが、国の財政難のために使われています。
北欧のような高福祉・高負担というわけではありません。ただの高負担なのです。
前述した通り、ギリシャという国家のデフォルトを避けるために、IMF・EU・民間はギリシャにお金を支援しました。
その条件が増税であり、年金を減らすことであり、公共投資を削減することなどでした。
参考:https://www.dianeosis.org/2018/04/to-forologiko-provlima-tis-elladas/
その一方で、ギリシャでは脱税が当たり前のように起きています。
41%の市民が「脱税は過度の課税に対する正当な防御である」と考えています。
実際、財務省の脱税摘発部署が、高所得の指標として自宅プールの有無の申告を迫ったことがありました。
申告結果は324件でしたが、航空写真で確認したところ、その50倍以上の約17,000のプールが確認されたそうです。
国家が捕捉できていない脱税や汚職といった闇経済は、ギリシャGDPの3割以上を占めるといわれています。
金銭的に見たらどうなの?ギリシャ移住のメリット・デメリット
メリット1:広い部屋が安く借りれる
広い家を安い値段で借りられます。
ギリシャ危機により、何としても家を貸したいオーナーがたくさんいます。
個人で居住する場合に、ワンルームタイプのマンションを考えると思います。
しかし、日本の20平米程の広さのアパートは存在しません。都市部でも物件は60平米くらいからの広さになります。
リビング、ダイニング、寝室で構成された1LDK部屋です。
一般的な家賃は、250ユーロ(約32,000円)/月です。
しかし、首都アテネでは、中心部を外れれば150ユーロ(約16,500円)/月で物件を見つけられます。
もしまとめて家賃を払えることができるならば、大幅な値下げ交渉が可能な場合もあります。
メリット2:食費が安い
ギリシャでは人件費が安いため、外食費の値段が安く済みます。
ギリシャ料理の大衆食堂では、6ユーロ(約780円)もあればお腹いっぱいにギリシャ料理を食べられます。
これが観光客の多い島になると2割ほど高くなります。
また、肉は日本の何倍もの量が詰め込まれたパックを安く購入できます。
ギリシャで採れるトマトやナスなどの夏野菜、そしてオレンジやレモンといったフルーツは、どの家庭も木を植えて栽培していますので、キロ単位で量り売りされています。
肉も野菜も大変お得で、1週間分をまとめて買っても70ユーロ(約8,900円)程でしょう。
メリット3:豊かな休日
ギリシャでの人付き合いは、友達や家族と夜遅くまでカフェやウゼリという地元のバーで、政治議論を交わして過ごすのが一般的です。
その際のコーヒーの値段は、1杯2ユーロ(約250円)。
アテネでは、演劇、美術館、コンサートなどのイベントが豊富にあります。
これらのチケットは、10〜30ユーロ(1,300〜3,800円)ほどです。
ギリシャの歴史や風景に魅了された中期滞在中の外国人画家の開く個展などは無料で観られる場合もあります。
デメリット1:光熱費が高い
広い家を借りることはできますが、電気代は日本より高額です。
冬場エアコンを使用すると、1Kのアパートでも毎月200ユーロ(約25,000円)以上はかかります。
地中海の暖かな気候をイメージしてしまうギリシャですが、冬は暖房が必須になるほど冷え込みます。
また、アテネ以外での水不足は深刻で、島は水道代が高くなります。
デメリット2:就職難易度が高い
ギリシャは、ギリシャ危機の影響により、多くの高学歴のギリシャ人ですら仕事のない状態です。
全体の失業率は19%を超え(2018年7月時点)を超えています。
失業率の高さが問題になっているスペインが約15%、イタリアが約10%という状況です。
この状況で日本人が仕事を見つけることは不可能に近いでしょう。
また、ギリシャには日本食を提供する店もほとんどないため、参入は難しいでしょう。
参考:ヨーロッパの失業データ
まとめ
ギリシャの税金の特徴から、現地で暮らすメリットやデメリットもあげてみました。
ぜひ、これらの情報を俯瞰しながら、ギリシャ生活について考えてみてください。
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