「チェコ共和国」と聞いてまず場所がわかる人はそう多くはないかもしれません。
こちらに居を移す以前は筆者もそうでした。
ヨーロッパの真ん中に位置するチェコは周囲をポーランド、ドイツ、オーストリア、スロバキアに囲まれています。
そして多くの人はチェコと聞くとまず、「プラハ」を思い浮かべるではないでしょうか?
「ブルノ」と聞いてそれが地名だとわかる人がいたら、、、とても嬉しいです。
ちなみにこの「ブルノ」、文字にすると「BRNO」となります。RUをRと発音する感じで、はっきりと「ル」とは言わないのです。ルはごく短く発音するのが本場の(?)「ブルノ」です。
ブルノはプラハに次ぐ第二の都市なのですが(第二とは言ってもその差はだいぶありますが…)、実はとても魅力的な街なのです。
チェコ人にもこのブルノの街が好きという人が多いと言われています。
ここでは、ブルノ移住者が語るこの街の魅力を紹介します。
ブルノってどこ?どんなところ?
チェコの東側、モラビア地方(チェコ語ではMorava)に位置しています。
首都プラハから長距離バスもしくは鉄道で所要時間約2時間半で到着します。
オーストリアの首都ウィーンからも同じく、長距離バスや鉄道で約2時間半で到着します。
人口は約38万人でプラハに比べると約3分の1程度。
ブルノ市内や郊外に日系企業があることや大学も多いことから、ブルノに駐在している日本人家族や留学生としてブルノに住んでいる人が多くいます。
また国際結婚が特に多い近年では、チェコ人をパートナーとして生活している日本人も少なくありません。
街がコンパクトなので生活しやすい
これはブルノ在住の日本人からよく聞く言葉です。
メイン広場を中心に市場や役所関係、衣服・雑貨の店などの生活に必要なものが集まっているので、用事を足すのにわずかな移動ですみます。
また、首都であるプラハや隣国の首都であるウィーンにもいずれも2時間程度で行くことができるため、小旅行をするにもとても良い位置にあります。
ブルノで外国人観光客を見かけることがありますが、それほど多くはありません。
観光客の多くは、プラハやウィーンなどのツアー途中の中継地としてブルノに滞在することが多いようです。
ブルノ市内はバスやトラム(路面電車)などの交通機関が発達しているため、車がなくても十分に生活できます。
子育てしやすい
街中、郊外問わず大小様々な公園があり、子供の(もちろん大人でも)遊び場には困りません。
また、子供の遊び場を併設しているレストランやカフェの数も多くあります。
ベビーカーを使用しての公共交通機関の利用の際には当たり前のように手を貸してくれたり、店のドアを開けてくれたりしてくれる人も多いです。
チェコ全体で言えることですが、バスやトラムにはベビーカー専用スペースが設けられているため、他の乗客に過剰な遠慮をすることなく乗り物に乗ることができます。
子供に対して優しい街なので、移動や外出にストレスが少なく、のびのびと子育てができます。
人が優しい
首都や大きな街に比べると、そこまで観光客が多くはないブルノ、出会うチェコ人もまた観光客慣れしておらず、どこか懐かしい感じの人が多いです。
一見、無表情で無愛想とも思えるチェコ人が多いのですが、言葉を交わせば実はおしゃべり好きだったりします。
チェコ人自ら積極的に何か言ってきたりすることはまずないのですが、助けて欲しいことを伝えれば、実に親身になって教えてくれるでしょう。
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日本食も食べられる
世界のSUSHIブームはここブルノでも衰えることを知らず、街を歩いていると寿司メニューの看板を出しているレストランもよく見かけます。
内陸国のチェコなので海鮮類はあっても冷凍のものがほとんどですが、魚屋があるので、工夫次第では自分で調理して日本食として食べることができます。
チェコにはベトナム人も多く住んでいることもあってか、ベトナム料理屋やベトナム食材は比較的お手頃な価格で口にすることができます。
醤油やオイスターソース、米麺などはほとんどのスーパーに置いてあります。
最近は健康志向な人が増えているためか、豆腐や海苔、こんにゃく麺(しらたき)などを置いているスーパーも増え、日本人に馴染みがある食材を目にする機会も増えてきました。
また近年、アジア食材や韓国食材の専門店ができ、乾物やめんつゆ、納豆、ソースなどが置いてあり、とても便利になりました。
日本食材専門店もあり、日本酒やお米なども置いてあります。
日本食材店およびレストラン
KOISHI Restaurant – Evropská Kuchyně S Asijskými Prvky
少し行けば大自然
モラビアの大草原の景色をテレビや雑誌で目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
そう、なだらかな丘が続く、見渡す限りの草原。
季節によっては菜の花の黄色い絨毯や緑の草原が現れます。
そういった大草原も街中からバスや電車で20分程度行けば目にすることができます。
また、緑豊かな公園や植物園なども街中から徒歩で行ける距離にあるので、日常の中で自然を身近に感じることができるのです。
お洒落なカフェが多い
ここ数年で、雰囲気の良いカフェがぐんと増えました。
コーヒーはもちろん、可愛らしいマフィンやワッフル、ドーナツの専門店も多くあります。
好みのカフェを探しながら街中を散策するのも楽しいですし、自分好みのカフェに出会えるチャンスもあるでしょう。
街中を徒歩で移動できるブルノだからこその楽しみと言っても良いかもしれません。
古い建物を利用しているカフェも多く、歴史的な建築物と現代文化とが重なる様子を感じることもできます。
芸術・アーティストの街
日本に比べると遥かに多い、劇場の数。
世界規模で活躍するバレエやオペラなどの演劇を上映する大きな劇場から、カフェ併設の小さな劇場まで、様々です。
その規模によって値段も様々なので一概には言えませんが、「芸術」をより身近に感じることができるかもしれません。
また、国内外のデザイナーの作品を扱っているショップや定期的に開催される手作りマーケットなどの催しもあります。
ワインが美味しい
チェコは言わずと知れたビール大国(国民一人当たりのビールの消費量が世界一)なのですが、ブルノが位置するモラビア地方はワインの産地としても有名です。
チェコワインの90パーセント以上はこのモラビア地方で生産されています。
白ワインが多く、どちらかというと甘くフルーティーで飲みやすいものが多いです。
ワインといえばおすすめしたいのがブルチャーク(Burčák)と言われる発酵途中のぶどうの絞り汁。そう、ワインになる手前の飲み物のことです。
これが夏の終わりから秋にかけて出回るのですが、何せ発酵途中のものですから、長距離・長時間の移動はできないのです。
短時間の移動であってもブルチャークを入れたボトルの栓は緩めておくことが鉄則です。
交通機関が発達する以前はモラビア地方のワイン醸造所やワイン農家でしか飲めなかったものですが、今ではブルノの街中でも口にすることができます。
この時期に見かけたら是非飲んでみてほしい、虜になる逸品です。
クリスマスマーケットの素敵さ
チェコに限らずヨーロッパの一大イベントであるクリスマス。
一年で最も街が華やぐ時期であり、人々が幸せに満ちている時期でもあります。
ブルノでも例年クリスマスの時期1ヶ月程度はこのマーケットが開催されます。
街中の3、4箇所で食べ物や雑貨のマーケットやステージ、移動遊園地、スケートリンクなどが設置されます。
規模的にはプラハやウィーンに比べると小さいのですが、内容的には引けを取りません。むしろそういった観光地よりも楽しめるチャンスもあるのがブルノのクリスマスマーケット。
というのも、プラハやウィーンは世界的にも有名であるため、週末平日問わず人手もそれなりです。
ひとつひとつの出店をゆっくり見ることは難しい場合もあるでしょう。
ですがブルノは平日は空いていることも珍しくなく、ゆっくりと眺めながら、並ばずに食べ物を買える場合もあるのです。
観光名所もあり
最後になりましたが、観光名所もいくつかあります。
世界文化遺産でもあるトゥーゲンハット邸、毎年モトGPが行われるファンにはたまらないブルノサーキット、メンデルの法則で有名なメンデル博物館などがあります。
他にもシュピルベルグ城や聖ペトロ聖パウロ教会など、建築としてもとても見応えのある名所もあります。
ブルノ移住生活の魅力まとめ
コンパクトで過ごしやすい街のブルノ、より都会の雰囲気を味わいたくなったらプラハやウィーンへいずれも2時間程度の移動で行くことができます。
自然の空気を吸いたくなった時には車や電車で少し行けば森林に行くこともできます。
ビールはチェコ国内どこでも美味しく安く飲めるのですが、ワインとなるとブルノのあるモラビア地方がオススメです。
ここ数年は日本人にとって馴染みがある食材を目にする機会も増えてきているので、日本食も作りやすく、それによって住みやすくなってきています。
「ここがズバ抜けて良い所!」というのは正直、ないかもしれません。
ですが、それも含めてちょうど良いのです。
ほどよい街とほどよい自然。
短期でも長期でも、ブルノでの滞在が素敵なものになりますように。
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