エジプトでビザといえば「おばさんとの戦い」です。
モガンマアという総合庁舎にビザの申請に行くと待ち構えているのは、「私が法律」という無敵のおばさん係員です。
彼女たちがビザをどう考えているか、エジプトでのビザ取得の現状をご紹介します。
エジプトでの暮らしがスムーズになるよう、参考にしてください。
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初入国時のビザ取得方法
日本にあるエジプト大使館で事前にビザ申請はできますが、取得までに何日かかるかは不明です。
エジプトの国内には、いくつか国際空港がありますが、国際空港内の銀行でビザの購入ができます。
観光ビザ
費用:25ドル
期限:1か月と2週間(シナイ半島観光誘致のための特別措置)有効
ビザシールをパスポートに貼って入国審査を受けます。
パスポートの有効期限が6か月以上あれば問題ありません。
ビザ更新の受付
長期滞在に入る場合、この期限内にモガンマアか滞在先の地域にあるパスポートセンターへ出向き延長手続きを取ります。
多くの人はカイロのタハリール広場にあるモガンマアに行きます。
ここは常に混んでおり
- 申請書はどこか?
- 窓口はどこに行けばいいのか?
初めて行くとあまりの無秩序に呆然とします。
申請に必要なもの:
- 顔写真1枚
- パスポートの個人情報とビザのページのコピー
- 申請用紙
- 手数料
申請用紙は役所の中でもらえます。
手数料は印紙を買って払います。
金額は申請窓口で許可の出た月数により変わってきます。6か月以上申請した場合で審査になると、手数料8ポンドを請求されます。
何度も継続申請していると、古いビザのページのコピーも要求されることがあります。
写真撮影やコピーはモガンマアは館内で、パスポートセンターはその周辺でできますが、事前に用意しておくことをお勧めします。
モガンマア:
初回は、一週間以内に3か月有効のビザをもらうことができます。
その次は2か月有効のものをもらえます。
問題はその次です。
2か月後に行くと、ビザをもらえないことがあります。この場合は、一旦出国するしかありません。
パスポートセンター:
フラットの契約書、家賃の領収証と光熱費の伝票をもって行き、実際に住んでいる証拠を提出します。
審査期間を経て、場合によっては面接を受けた後で、6か月以上1年以内のビザが発行されることになっています。
いつ発行されるかは神のみぞ知る
延長申請をすると、モガンマアでは発行予定日を教えてくれます。
パスポートセンターは審査が通ったら電話しますと言われます。結果はいろいろです。
- 発行される。
- 例えば3か月分申請して、さんざん待たされた挙句に3か月の期限の前日に審査が通る。受け取ったところで、また次の申請をしなければならない。
- 1年の申請をして、連絡が来ないままに月日が流れることもあります。
人によっては、出張等で国外へ保留のまま出ることもあります。こうした場合この申請は、出国した段階で取り消しになります。
おばさんと戦うのはキケン
①在学証明書もあてにならない?
語学学校の在学証明書をもらってくれば、更新すると言う係員もいますが、実際とってきても学生ビザは出ないのが現状です。
語学学校のレターはもちろん有料で、すぐ書いてくれるとは限りません。手間暇かけてムダになる可能性高しです。
②督促は危険?
「いつ発行されるのか」と催促に行くことがありますが、そうするとオーバーステイのスタンプを押され、一週間以内に出国せよと通告されることがあります。おばさんの機嫌を損ねてはいけません。
③不法滞在には注意
申請に行かないと不法滞在になります。
不法滞在が出国時に判明すると罰金を取られます。通常200ポンド以下。
不法滞在すると、再入国が難しいのではないかと思うかもしれませんが、次の入国に響くことは基本的にありません。
それなら不法滞在がいいのでは?と思うかもしれませんが、エジプトは街中でパスポートチェックされる可能性があります。その時に不法滞在が判ると、強制送還されることがあります。
エジプトでは就労ビザも難しい
就労ビザもなかなか下りません。
エジプトに行ってから、仕事を見つけて現地雇用を考えている人もいるでしょう。雇用した会社は就労ビザの取得手続きをしてくれますが、実際に出ることは稀です。
日本企業の正規雇用で派遣されている場合でも、会社がエジプトで法人登録されていないと、就労ビザは下りません。
この場合観光ビザで滞在することになるので、会社によっては年中社員のビザ問題に振り回されています。
エジプトで長期のビザがとれる4つの方法
- 国立、私立大学の正規の学生になり、学生ビザをもらう。
- 結婚して配偶者ビザをもらう。
- エジプトで法人登録されている会社に日本で就職して就労ビザをもらう。
- 不動産を購入登記し、居住ビザをもらう。
エジプトの現行ビザルールって、どうなっているの?
観光ビザでの長期滞在
エジプトで上記4つの選択肢がない人で、長期滞在を考える人は、時々国外に出る必要があることを念頭におかなければなりません。
現行のビザルールでは、一旦出国すれば過去の滞在記録は新たな滞在ではリセットされることになっています。
モガンマア:
2度の延長申請の後、継続しないと言われたら、一度出国します。再入国時は空港でビザを買い、またモガンマで最低2度の申請が可能になります。この繰り返しになります。
パスポートセンター:
1年の更新の後は、一回出国してほしいと言われることがあります。
再入国ビザ
運よく長期のビザ取得に成功したあと、ビザの有効期限内に出国し、再入国する際は再入国ビザが必要です。
この手続きは、ビザを取得したところ以外のパスポートセンターでも取得できるビザルールになっていますが、実際にはビザを取得したところでないとおばさんが許可してくれません。
国の決めたビザルールよりもおばさんルールが強い
一旦出国すれば、過去の滞在記録は新たな滞在ではリセットされるはず…なのですが!
筆者の場合を例に挙げると、ルクソールでホームステイしていたので、長年ルクソールのパスポートセンターで更新していました。
一旦帰国し、カイロで独り暮らしをするにあたり、モガンマアに申請に行きました。筆者が窓口で申請用紙を出すと、おばさんは私のパスポートを丹念に見て、ビザの申請そのものを拒否しました。
モガンマアには警官がいます。助けを求めにいくと、「現行ルールで申請可能」と言われました。しかし窓口で拒否された話をすると、一緒に窓口まで来てくれました。申請を受け付けるようにと警官が言うと、おばさんから驚きの回答が返ってきました。「私はイヤ!」と言うのです。
おばさんvs警官(4人)の戦いは2時間の押し問答の挙句、おばさん勝利でした。
おばさんの回答は「そんなにエジプトにいたければ、エジプト人と結婚するか、日本とエジプト一月づつ交互に住めばいいのよ」というものでした。
エジプト人と結婚すれば安泰か?
エジプト人と結婚するのはまた別の問題が発生します。結婚しても安心はできません。
格差婚など、エジプト人と日本人のつり合いが取れていないと役所が判断すると、この結婚が偽装結婚でないかを調査されるので、結婚後も一年くらいは配偶者ビザがもらえないことがあります。
おばさんご推奨のビザ申請、取得方法
筆者のように、過去に地方のパスポートセンターで継続更新していて、再渡航を考えている人は注意が必要です。
前回と別の都市に住む場合は、新規のパスポート取得をお勧めします。過去の記録を見ると、以前にビザを更新していたところで更新するように言われ、拒否される可能性が高いからです。
過去の記録をパスポート上で確認できなければ、問題なく手続きできます。
この情報はおばさんから得たものです。
最後に
ビザを担当している「おばさん」達は無敵です。
なぜ彼女たちが自分の意見を押し通せるのか謎です。
エジプトと言うと、物価が安く長期滞在に向いていそうなイメージがあるかもしれません。
しかしエジプトに実際長期で住むには、出入国を繰り返したり、ビザを取るのに、かつての居住地へ申請に行くためのお金が必要です。
「一旦国外に出て戻ってくるのはウェルカム!」というのが、現在のエジプトです。
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