「オーストリア」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。
音楽の都「ウィーン」や映画サウンド・オブ・ミュージックの舞台になった「ザルツブルグ」など音楽や芸術を感じる古都への「旅先」としてのイメージが強いかもしれません。
ところが現在、オーストリアへの日本からの移住者は年間100人ペースで増えており、「海外移住先」としてじわじわと人気が高まっていることをご存知でしょうか。
今回は、保育園児、小学生を含む家族4人で移住し、現地で育児に仕事を楽しむKHさんに、「なぜ今オーストリア移住がおすすめなのか」、オーストリアに移住する7つの魅力を紹介してもらいました。
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1.短期、長期どちらの滞在も制度が充実
海外移住における一般的な最初の関門として、ビザ(査証)等の滞在許可の取得が挙げられますが、オーストリア移住が魅力的な理由の一つに、滞在許可を得るハードルが低いということが挙げられます。
オーストリアではまず、日本との2国間協定により、1年のうち最大6カ月間もの無査証の滞在が許可されています。
そして注目すべきなのが、6カ月を超えて滞在し滞在許可証を取得する必要がある場合も、オーストリア国内で許可証を申請し取得・更新することが可能という点です。
例えば、オーストリアの大学に入学するために無査証で入国し、その後6カ月以上大学に在籍すると決めたら、そのまま現地で滞在許可証を取得するということができるわけです。
同様に、労働を目的に移住をする際も、現地で滞在許可証を取得するのが一般的です。
さらに、2016年より、6カ月以内の多目的滞在と就労許可が得られるワーキングホリデー査証が新たに制定されるなど、現在オーストリアでは様々な目的・期間に応じた滞在許可制度がとても充実しています。
私の場合は、無査証で入国後に、研究職に関する滞在許可を家族4人分現地で取得しました。
その他にも、現地駐在員はもちろん、現地で就職を決めた方、自営業、学生、現地で結婚された方など、私の知る中でも多岐に渡る目的・期間の日本人移住者がトラブルなく滞在許可証を得ることができています。
2.生活がストレスフリー
では、実際にオーストリアに移住した際には、どのような生活を送る事ができるのでしょうか。
その詳しい内容を紹介するにあたり何よりもまずお伝えしたいのは、オーストリアでの生活は、とにかくストレスが少ない、という点です。
その根本には「人生を無駄なストレスを感じることなく楽しむ」ことを大事にするオーストリアの国民性があります。
例えば、オーストリアでは、幼稚園や小学校でも、「留年」のシステムがありますが、自分の子供がその学年についていけていないと感じれば、親自ら望んで留年させる選択をすることが珍しいことではありません。
留年によるストレスからの解放という捉え方です。
このようなオーストリアの空気の中で生活していると、「できることをやって、できないものは将来できればさらにハッピー」、と前向きでおおらかな気持ちになることができます。
3.治安が良い
海外移住を考える上で、「治安」は大きな心配の種ですが、オーストリアではこの不安がほとんどありません。
イギリスのエコノミスト紙の発表する治安や安全性などを評価する世界平和度指数の2019年のランキングでは、日本が163カ国中9位なのに対し、オーストリアは4位にランクインするなど、様々な世界の治安調査で毎年上位につけています。
大都市であるウィーンでも他のヨーロッパの主要大都市に比べ治安は良く、どの地域も治安の確認の必要なく自由に移動できます。
私の住むオーストリア第2の都市グラーツでは、夜街を歩く上での心配はもちろんないですし、日本のように多くの子供が一人で登下校しています。
この「治安が良い」という点は、私たち家族がオーストリアで生活する上で感じる大きな魅力の一つです。
写真:赤い屋根のきれいなグラーツ市街
4.子育て環境が良い
家族で移住した私の感じるオーストリア移住最大の魅力の一つが、子育て環境の良さです。
オーストリアでは、先程紹介したストレスフリーの国民性によって、子供がストレスを感じることなくのびのびと育つ、ということをとても重視しています。
私の子供の通う小学校でも、のびのびとした環境で創造性を育てるために、宿題とは別に、家で「何にも縛られず遊ぶ時間」を必ず1日1時間以上は確保することを指導しています。
また同時に、多くの学校が、他人へストレスを与えることのないコミュニケーションスキルを身につけることに重点を置いており、例え学業の成績が良くても、他の生徒への嫌がらせを繰り返す生徒は留年にするなど、算数や国語の成績と並んでコミュニケーション能力が重要視されています。
また、子育ての制度も充実しており、例えば、子供のいる世帯には、外国人であっても国の財源より毎月家族手当てが支給されます。
この手当てにより、保育園の保育料などを賄うことができます。
また、出産に関しても、出産一時金だけでなく、育児休暇に対する手当も国の財源から支給されるなど、大人もストレスなく子育てができる環境が整えられています。
大人も子供もストレスなく子供の心を育てることを重視するこのようなオーストリアの子育て・教育環境はオーストリア移住を魅力的する大きな要因となっており、私たち家族を含めこの点が気に入りオーストリアへ移住する日本人は多いです。
5.言語で困らない
オーストリア移住における、生活面でのもう1つの魅力は、言語で困らない、という点です。
オーストリアの公用語はドイツ語ですが、英語しか話せなくても生活に困ることはほとんどありません。
オーストリアは、観光産業がGDPの10%以上を占めており、また、日本人に限らず海外からの移住者の占める割合も年々増加しているため、ウィーンはもちろん、私の住む小都市であってもドイツ語を母国語としない人で溢れています。
そのため、レストランやスーパーマーケットはもちろん、例えば、ビザや家族手当の申請といった、役所関係の手続きの際にも英語で対応してもらえることがほとんどです。
また、私の子供たちも通っていますが、英語とドイツ語の2カ国語対応の公立学校やドイツ語を母国語としない家庭専用の公立の保育園が整備されているなど、ドイツ語を母国語としない移住者が住みやすい環境が整っています。
写真:多くの観光客で賑わうザルツブルグ
6.仕事環境が良い
次に、新しいオーストリア移住の魅力として現在急浮上しているのが「仕事環境の良さ」です。
世界経済フォーラムが2016年に発表した、「仕事における幸福度を感じるヨーロッパの都市」ランキングで、私の住む人口30万人のオーストリアの小都市グラーツがパリなどの大都市を抑えて1位を獲得し、ウィーンも4位にランクインしました。
主に文化・科学・教育分野において経済発展を遂げているグラーツにおいて、85%もの居住者が現在の仕事に満足していると回答したという結果で、2位のチューリッヒの83%を抑えて1位となりました。
この結果は、ストレスフリーを重要視する国民性が職場においても反映されているということを示しており、このように、ストレスの少ない職場で働くことができることもオーストリア移住の大きな魅力と感じています。
7.オーストリア人は恥ずかしがり屋
最後に、とても個人的なポイントですが、海外で生活する際に良くも悪くも戸惑う点として、日本以外の多くの国の国民性が日本に比べ遥かに「オープン」という点があるかもしれません。
ところが、オーストリアの人たちには、欧米諸国では珍しく「奥ゆかしく恥ずかしがり屋」という面があります。
多くの友人を作ったりパーティー参加するというのも海外移住における楽しみの一つではありますが、大勢の中ではお互いあまり主張しなかったけど、友達になって話しこんでみると気が合って仲が深まる、といった日本人にとってはなじみのある人間関係を現地の人と築くことができたりするのも、オーストリア移住のひそかな魅力と感じています。
まとめ
今回は、家族として移住した私の感じるオーストリア移住の魅力をまとめてみましたが、ご参考になられましたら幸いです。
何度も登場した「ストレスフリー」というキーワードが、生活・子育て・仕事全ての面で私たち家族にはとても魅力的に感じています。
さらに、充実したビザ制度や治安も良さなど移住に際してかかる負担も少ないオーストリアは、海外移住を考える多くの人にとっても魅力的な国なのではないかと思います。
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