どこの国に行くにもビザは「必要」です。
例え「ビザ免除」であったとしても、それは「ビザの取得手続き」が「免除」であって、滞在可能日数には上限がありますし、国によっては活動の制限(例えば、「観光」は可能であっても「事業」は不可)があったりします。
そのため、もしアルメニアに渡航を予定されているのであれば、渡航前にビザの要否や制限・種類を知っておかないと後々問題に発展したりします。
注:ビザの要否、種類等はその時勢や政治環境によって刻々と変化します。最も正確で最新の情報を得るには、アルメニア政府の公式ホームページ(https://www.mfa.am/en/visa/)や在日アルメニア大使館(https://japan.mfa.am/en)に問い合わせるようにしてください。また、アルメニア政府のホームページは、アルメニア語以外の言語での情報更新は遅いので、直接大使館に電話することをオススメします。
尚、本記事では、JPY1=AMD4.50595で計算しております。
アルメニアは「日本国籍保有者」に対し180日以内の滞在はビザ免除
アルメニアは、近年海外からの対内投資を積極的に誘致しており、日本国籍保有者に対し、2017年9月6日より1年の内180日以内の滞在では、ビザを免除することになりました。
このビザ免除は、ビジネス・観光と訪問理由に関わらずビザ取得を免除することになっており、アルメニアの法を犯さない限り、何をするにも自由です。
180日は超過しないよう注意。しかし一度出国すればリセットされる
日本国籍以外に44か国もの国籍保有者に対してビザを免除されていますが、この180日制限を超えてアルメニアに滞在した場合、やむを得ない事情の除き、出国時にAMD100,000(約22,200円)の罰金を課せられ、以降1年間の入国拒否、同時に居住許可取得が困難になったりしますので、超過しないよう注意する必要があります。
しかし、この1年の内180日までのビザなし滞在可能制限、実は運用上、一回どこかへ出国すればリセットされるようになっています。
その為、もし長期滞在を検討しているのであれば、約半年に1度隣国のグルジア又はイラン(共に日本国籍保有者に対してアルメニア同様ビザを免除しています)に行き、極論同日にアルメニアに戻れば180日制限がリセットされ、再度180日間滞在することが可能になります。
長期滞在を検討されている場合は「居住許可」を。3つの種類
厳密にはビザではありませんが、もし181日以上アルメニアに滞在することを検討されており、180日毎に出国するといった手段を取りたくない場合は、居住許可(Կացության կարգավիճակ / Residency Permit)を取得できます。
しかし、居住許可は、他国同様、ビザ取得よりハードルが高く、明確な取得理由等無ければ取得が困難で、フリーランス等ステータスが曖昧な方には、取得がかなり難しいです。
居住許可の種類
居住許可の種類は以下の3つがあります。
種類 | 滞在可能期間 | 取得費用(※1) |
一時居住許可(Ժամանակավոր / Temporary) | 1年以内 | AMD105,000 約23,300円 |
永住許可(Մշտական / Permanent) | 5年以内 | AMD140,000 約31,000円 |
特殊居住許可(Հատուկ / Special)(※2) | 10年以内 | AMD150,000 約33,300円 |
※1:米国国籍保有者には別の料金表が適用されます(https://www.mfa.am/en/residency)
※2:特殊居住許可は、その名の通り、「アルメニアに多大な貢献をした」等、特殊な条件下でしか発行されず、また要件も明文化されていません(「アルメニア人のディアスポラである」以外は、「アルメニア首相の判断によって」与えるとなっています)ので、本稿では省略します。
なお、アルメニアに合法的に5年間居住した場合、アルメニア国籍(パスポート)の取得が可能になります。
アルメニア国籍は、2重国籍可(法律上明文化されています)及びCIS諸国等60か国以上へのビザ免除になります。(ロシア等日本国籍では入国困難な国がいくつか含まれます)。
取得するには簡単なアルメニア語の試験を受ける必要があります。
アルメニアの居住許可・国籍を取得する際注意する必要があるのは、アルメニアは、日本同様全世界取得を課税対象にしておりますので、滞在許可・アルメニア国籍保有期間中、183日以上アルメニアに滞在していた場合、所得税を支払う必要がありますので、要注意です。
また、183日以上アルメニア外に滞在していた場合、居住許可の必然性が疑われるので、更新時不利になる可能性がありますので、ご注意ください。
一時居住許可要件
一時居住許可を取得したい場合、以下のいずれかの理由がなければいけません。
- アルメニアへ留学(※3)
- アルメニアにある企業での就業許可を取得している場合(※4)
- 一時居住許可を既に取得している人と結婚している場合又は子供が一時居住許可を有している場合
- アルメニア人と結婚している場合(※5)、親・祖父母・兄弟・子・孫がアルメニア人又は特殊居住許可保有者である場合
- アルメニアで事業を興した場合(※6)
- その他アルメニア法で認められた場合
※3:留学は、どこの学校でも、どんなコースでもいいという事ではなく、一時居住許可取得が必要な学校・コース(例えばアルメニアの大学へ留学する)必要があり、学校から一時居住許可の取得が必要である旨のレターを取得する必要があります。
※4:アルメニアでの就業許可を取得するには、雇用する企業が、非アルメニア人を雇用する必要性を証明する必要があります。アルメニアの現在失業率16%前後になっており、日本企業のアルメニア現地法人・駐在事務所等または日本語学校等日本人を雇用する必然性がある場合を除き、取得することは非常に困難になっています。
※5:アルメニア人と結婚したからといって必ず居住許可が取得できる事ではなく、近年ではビザ目的で結婚する人が増加していることから、婚姻関係による居住許可がおりにくくなっています。
※6:事業を興す際、基本的に先ずビザを取得して、そのビザ期間内(日本国籍保有者の場合は、ビザ免除期間の180日以内)に事業設立の手続きを行い、事業の実績(実際にビジネスを行い)、その実績を当局に示す必要があります。事業を興すための居住許可はおりませんのでご注意ください。
上記の通り、一時居住許可を取得するためには、明確な理由が必要となります。
その為、フリーランス等法律上立ち位置が曖昧な方には、かなりハードルが高いものになります。
もしフリーランスの方で一時居住許可を取得したい場合、個人事業主又は法人を設立し、今までのフリーランス仕事を個人での契約ではなくアルメニアで登記した事業体との契約に変更するという方法がありますが、煩雑で、利点があるが一時居住許可を更新する際、期限切れになる最低でも30日前に申請しなければならず、30日を割った場合、居住許可が更新されない又は新規取得と同様になる可能性がありますので、注意が必要です。
永住許可
「永住」(Մշտական / Permanent)と名前がついていますが、実際は長期居住許可になっています。永住許可を取得する場合、以下のいずれかに当てはまる必要があります。
- アルメニア人と結婚している場合、親・祖父母・兄弟・子・孫がアルメニア人又は特殊居住許可保有者である場合で、永久許可を申請する前、3年間合法的にアルメニアに居住していた場合
- アルメニアで事業を興した場合
- その他法律が認められた場合
上記のように、永住許可は一時居住許可より取得要件が厳しくなっています。
更に、明文化はされていませんが、事業による永住許可は、親族関係で取得する場合と同様で、一時居住許可で数年アルメニアに滞在し、ある程度実績を残していなければ実務上永住許可はおりません。
実質一時居住許可を経ずに永住許可を取得するというのは、少ない例外を除き、不可能と考えてください。
なお、一時居住許可と同様に、期限切れになる最低でも30日前に申請しなければならず、30日を割った場合、居住許可が更新されない又は新規取得と同様になる可能性がありますので、注意が必要です。
居住許可申請に必要書類等
居住許可申請には以下のものが必要になります。
- 申請書1部
- 35㎜×45㎜の写真3枚
- パスポート、パスポートの写真ページのコピー、パスポートコピーの公証済みアルメニア語翻訳1部
- 居住許可を申請する理由を証明する書類(就労許可や事業を行っている事を証明する事業登録証(登記簿謄本等)及び税務申告書・支払い証明書等)
- 健康診断書(アルメニア国内の病院で所得)
- 居住許可申請費用支払い証明書(銀行振込又は支払い用の専用端末が発行するレシート)
- その他指定された資料
申請自体は、各国にあるアルメニア大使館ではなく、以下の場所に行く必要があります。
ՀՀ ոստիկանության Անձնագրային և վիզաների վարչություն /
The Passport and Visa Department of the Police of the Republic of Armenia
住所: Հասցե՝ Դավթաշեն, 4-րդ թաղամաս, 17/10 շենք, Երևան 0054 /
17/10 Building, 4th District, Davtashen, Yerevan 0054
営業時間:
月~木 09:00〜17:00、昼休憩14:00〜15:00
金曜 10:00〜17:00、昼休憩14:00〜15:00
まとめ:ビザ免除で行くか居住許可を取得するかはリスクと状況次第
日本国籍保有者は、上記の通り180日以内の滞在であれば、ビザも居住許可も取得する必要がなくアルメニアに滞在することが可能です。
そのため、約半年毎隣国に旅行するなり日本へ一時帰国するなりすれば、特に何か手続きする必要はありません。
しかし、1年の内180日以内のビザなし滞在がリセットされるというのは、あくまで実運用上の話であり、法律上は「1年以内180日までビザなしで滞在可能」となっております。
本法律が制定されてから20年余り経っており、その期間該当する国籍の人々に対して法律に忠実な運用がされたケースは今までありませんが、いつ状況が変化するか分かりませんので、一つのリスクと考える必要があります。
他方で、アルメニアの居住権や国籍を取得した場合、アルメニアの全世界課税の対象になり、所得税等を支払う必要が出ます。
ビザ免除のリスクを取るか、税金を払って居住許可を取るかは、各人の状況によって変わってくると思いますので、よく考えたうえで計画する必要があります。
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