「どこかで見たことがある、のんびりとした風景」ネパールの印象で、良く聞くコメントです。
ネパールに行ってみたい理由のひとつは、こののんびりとした空気感なのかもしれません。
今回、皆さんより、少しだけ永く住んでみて感じたこと、文化・習慣などを、ネパール滞在前のミニ情報として現地在住者から紹介したいと思います。
1.日本での時間感覚を忘れよう
「ビスターレ」、ネパール語で”ゆっくり“という意味です。
ネパールでは時間通り、予定通りに進むことは、稀です。
待ち合わせや、約束というのも、だいたいあてになりません。「雨が降ったから、やっぱり止めた… 」とか、単純な理由で勝手に予定は変わります。
また、日本のように整った環境での暮らしではないので、突然のアクシデントは付き物です。
そんな理由もあって、時間通りには行かないのでしょう。
皆さんユルーイ感じで動いているので、せかせかしているのが不思議に見えてきます。
時間通りに計画性を持って動こうとしても、皆さんのユルーイ感じに巻き込まれて、思い通りにはなりません。まずは、ビスターレに行こうという感じです。
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2.ネパール人は気さく。遠慮しないで飛び込もう
控えめで遠慮がちな日本人は、ネパールでは通じません。
アピール度が薄いと、よくわからない人で終わってしまいます。
まずは、ハッキリと伝えることから始まります。
ネパールの人たちは、かなり気さくで、乗りがイイ、というのでしょうか、こちらから積極的に関わっていけば、喜んで付き合ってくれます。
コトバがわからなくても、知っている単語の寄せ集めでもいいから、一言思いきって声をかけて見てください。
そこから、膨らむ交流があるはずです。(ちなみにネパールでは、英語が通じます。)
ガフする(世間話、日頃のうっぷん晴らし、会話)というのが好きなネパール人。
よく道端でも、地べたに座り込んで話をしている姿を見かけますが、たいていのネパール人は話好きです。
気軽に声をかけてみたら、自宅にまで招待されて、一緒にごはん… なんてこともあります。
3. 気さく過ぎて疲れたら、一息つけばいい
気さくなのは、第一印象いい感じなのですが、押しが強いのも、ネパール人の特徴です。
断るのが苦手タイプの人は、この超気さくな振るまいに、時には疲れることもあるでしょう。
こんな時は、これも遠慮せず、そこから1歩引いて一息つけば良いだけです。
そんなとき、ネパール人は、あなたの行動を理解できないかもしれませんが、苦手なことに付き合う必要もないので大丈夫としましょう。
ただ、引っ込んでばかりも良くないので、しばらく時間が経ったら、また、その気さくワールドに飛び込んで、ネパール人の中で揉まれていくうちに慣れてくるかもしれません。
4. ネパール人は細かい話は好まない。大雑把で行こう
物事をキチンとおさめる思考の日本人に対して、かなりアバウト思考のネパール人。
前もって間違わないようにと確認しておく… という場合がありますが、この、前もってという概念は、この国では通用しないことがあります。
前もって確認してもしなくても、結局、土壇場で状況が変わることも良くあるので細かい確認は必要としないのです。
ネパール人との会話の最中、話を細かく詰めて行こうとすると、会話の流れを変えようとするか、そこから逃げてしまうことも…。
ですので、できればざっくり大雑把な感じで会話をした方が良いでしょう。
5.ネパールのあいさつ “ごはん食べた?”
朝起きて、ベランダ越しに行き交うコトバは、
- カナカヌボ?(ごはん食べた?)
- チャカヌボ?(お茶飲んだ?)
です。
日本で言う、”今日は晴れそうだねえ”のような気軽なあいさつです。
ネパールの朝は、ビスケットにネパール茶が目覚めの食事で、
10時、11時頃にダルバートタルカリ(ライス、豆スープ、野菜か肉のマサラカレー、アチャールという漬物)を食べ
3時頃にカジャ(おやつ)例えば、麺類やロティ、ドーナツ、チュウラ(コメを平たく潰して乾燥させたもの)などを食べ
夜はまた、ダルバートタルカリです。
この”ごはん食べた?”は、おそらく、ちゃんと、ごはん食べた?お腹すいてない?大丈夫?… といった、気にかけてますよ、という世話心だと思います。
6.貧富の差が激しいネパール。モノがある人は、モノがない人に与えよう。
世界最貧国ランキングに入るネパール。
日常生活で経済的に恵まれていない人々を見かけたり、または、そういう人と関わったりすることもあります。
お金やモノを持たない暮らしをしている人から見れば、私たち外国人の暮らしぶりは、想像以上の贅沢三昧としか写りません。
道端で粗末な身なりで座り込み、行き交う歩行者に、小さい器を差し出して、お金を要求する貧しいネパール人の姿を見かけます。
そんな姿を目にしたらどうするか?
人はそれぞれ考え方、感じ方が違いますから、こうした方が良い、という答えはありません。
ちなみに私事ですが、そういうときは小銭でもいいから渡してあげるようにしています。
また、ネパールでは、多様な民族やカーストの人々が入り交じって暮らしていますから、そういう隔たりや偏見という気持ちは持たず、平等に”人間”同志のお付き合いを心がけるのが、理想的でしょう。
“ボラれる”… 正当な金額から、割増してふっかけてくる。
ネパールに限らず、アジアならよくあることですね。
タクシーでボラレル。八百屋でボラレル。どこに行ってみもボラれる。
あまり高額な差額を請求してきたら、払うこともありませんが、10ルピー、20ルピーのことで、問答するより、そのくらいのボラれるは勘弁してあげた方が良いと感じています。
よく、かたくなに財布のヒモを閉めて、ボラれないようにガードが固いツーリストを見かけますが、ある程度のボラれるは仕方ないと諦めた方が良いと思います。
7.汚いことには、そのうち慣れる
日本という国は、なんてキレイで整理されているし、ピッカピカで、ゴミひとつ落ちていない。
これは素晴らしい… のですが、ネパールに住むことになったら、キレイ・汚いについては、目をつぶって、日本流の美しさを求めるのは難しいと考えてください。
キレイにできない理由はあります。
慢性的、水不足で、時には飲み水を確保するにも苦労する… なんてこともありますから、キレイにする目的の水より、飲み水を優先するのは当たり前だと感じます。
また、開発中の道路や建築ラッシュのために、カトマンズの街中は、ホコリだらけで、おろしたての黒い靴は、家に帰ってきたらホコリで、すすぼけた靴に変身なんてこともあります。
また、ネパール人の家庭や学校での道徳、しつけが正しく身に付いていない、という理由もあります。
最近の学校では、そういった、しつけを見直し、指導する傾向も見られます。
昔から比べたら、キレイにしようという試みは感じられます。
この国の事情がわかってくれば、”汚い”と一言では済まないことも理解出来るでしょう。
8.ごはんを勧められたら、喜んで、ごちそうになろう
ネパールのお宅に、ごはん(ダルバートタルカリ)を誘われることがあると思います。
ボウズ(パーティー)は、ネパール人家庭で特別な日、例えば、
- 誕生日
- 成人式
- 法事
- ネパール暦での祝日や記念日
など、そのたびに、ごちそうを振る舞う習慣があります。
そのときには、ティカ(信仰の儀式、眉間のあたりに赤い粉をつける)もします。
ボウズの日でなくても、ネパール人は日頃から、ごちそうをつくってお腹一杯食べるのが好きで、客人に振る舞うのも好きです。
もし、ネパール人家庭に、ごはんに誘われたら… 。
たぶん誰もが戸惑うことの一つで、おかわりをドンドン勧められるので、その時は、もういいですと言うだけでは、… まあまあいいからといって、ドンドンよそってきてしまうので、自分のお皿の上あたりを、皿を手で隠すようなジェスチャーをするとわかってもらえたりします。
ネパールには、およそ50以上の民族が住んでいます。
ダルバートタルカリ、ひとつでも、各民族、各家庭の料理は様々ですから、いろいろな味と出会う楽しみもあります。
9. 便利な国から不便な国へ
当たり前にあるものが、そこにない。そんな暮らしのネパールです。
- 蛇口から水が出るのも
- 電気がいつでも使えるのも
- ガスがいつでも買えるのも
当たり前ではありません。
これらのことに、慣れない頃はどうしよう、どうしよう…の連続です。
でも無いときは無いのです。そのうち諦める、気にしない、工夫はする、そんなところで、気持ちの整理ができてきます。
日本のように溢れるほどのモノがあり、簡単、手軽に便利が手に入る生活からは、想像以上に質素で不便なネパールです。
10.ヒンズー教の国
パワーある極彩色の神様の絵を見たことがありますか?
シバ、ガネーシャ、ラクシュミー、カーリー… ヒンズー教の神々です。
ネパールの毎日は、このヒンズー教に基づいて暮らしています。
宗教には馴染みのない日本人にとっては、ヒンズー教の儀式や習慣は、珍しい光景に写るでしょう。
その儀式のひとつひとつには、意味があり奥深い内容が含まれています。
この質素でゆっくりとしたネパールに、ヒンズー教があってこそ、ネパール人の逆境に強い気さくなパワーが生まれると感じます。
もし滞在中にヒンズー教のお寺に行くことがあったら、履いている靴は脱いで中へ入って下さい。
儀式等に参加する際は、細かい流儀を、その都度、教えてもらいながら体験して下さい。
これからネパールに行こうと計画中の方々へ…
日本の習慣とは違うことに、その都度ビックリするでしょう。
ええ?ええ?の連続です。
そんな時は、楽しんだ者勝ち… みたいなところがあります。
日本から出て、今までと違う自分を発見できるって、大きな意味があると思います。
ネパールは、おおらかで、のんびりと時間が流れています。いつでも、どんな時でも のんびりなんです。
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