アメリカで就職するには、
- アメリカ国籍
- グリーンカード
- ビザなどの労働許可
のいずれかが必要です。
日本人にとっては、アメリカ人と結婚してグリーンカード、大企業の駐在員としてビザを取得の道がよく利用されています。
それ以外でかなり多く利用されているのが特殊技能職ビザ・H1B(以下H1ビザ)ビザの取得です。
これはアメリカ企業が優秀な外国人を採用するためのビザで、毎年数万人が取得しています。
今日は、H1Bビザを使ってのアメリカ就職の方法を紹介します。
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就労ビザ・H1Bビザとは?
H1Bビザの制定目的は優秀な外国人をアメリカ企業が雇用し、競争力を高めることにありました。
期間や条件は?
期間は、一回の申請で3年認められ、最大6年まで延長可能です。
資格は学士の資格(4年制の大学を卒業している)を持つことです。
ただ、職歴12年あれば、大学卒業してなくても申請可能と言われています。
給与レベルは6万ドル以上と言われていますが、アマゾン、グーグルなどでは10万ドル以上が平均と言われています。
このビザの申請者、保持者はインド人が多く、ここ数年は全体の70%以上にものぼっています。
エンジニアが多く申請し、日本人も申請しています。スポンサー企業は、インド系の企業やアメリカのハイテク企業、大手会計事務所も多いです.。
定員と応募方法
このビザは6万5千人の定員に加え、大学院卒業者には、2万人の別枠があります。
毎年、4月1日に申請がはじまり、ここ数年は数倍の応募があります。
抽選でビザ申請者の数を絞り、そして、申請者にビザが与えられるかどうか、審査されるというものです。
2016年には23万6千人の申請、2017年には19万9千人の申請がありました。
日本人が申請する場合は、まず学歴(日本の大学でも可能)と職歴が基準を満たすかどうかを見る必要があります。
そして、職種が、エンジニア、会計などはかなり有利ですが、日本人の場合、日本語が話せる、ことがアメリカ人では見つからない、特殊技能とみなされますことがあります。
H1Bビザは日本からの申請は可能か?OPT保持者は有利か?
H1は、アメリカ在住の外国人だけでなく、日本在住者も申請可能です。
まず、スポンサーを見つければならないのですが、企業の立場からすれば、他のアメリカ人を雇用しないで、日本からの人材を雇うには、その人材が素晴らしい人材であることを移民局に証明、説得しなければなりません。
アメリカにある、日本企業の現地法人からすれば、職歴、学歴ともアメリカ人以上、アメリカ人では見つからない技能を持っていること、英語もネイテブレベルくらいの人材でないと採用に興味を示しません。
H1Bビザに係る申請費用も負担し、H1Bは認可されるかわからない、また、認可されても働けるのは10月1日から、さらに家族も含めた引越し費用なども払う可能性もかることを考慮すると、日本企業にとって日本からのH1申請にはよほど素晴らしい人材でないと難しいのが現実です。
OPTを使った取得
H1Bビザ申請でよく行われるのが「OPT」と呼ばれるアメリカでインターンシップをする権利ある外国人に対してです。
OPTは新卒で、給与も高くはない人材もいれば、母国で大卒、管理職の経験あり、アメリカで、大学院卒、アメリカで暮らしていて、英語も話せるので、企業からは採用しやすいのです。
OPT期間中採用、そして申請、認可されれば、10月1日より正式雇用という流れになります。
もし、アメリカ移住を考えていて、学歴、職歴が不十分であれば、
- まず英語力をつけてアメリカ留学
- 大学在学中、英語をネイテブレベルまで引き上げ、専門知識も身につける
- そして大学卒業OPT
- H1Bビザ申請
という流れになります。
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OPTとは?アメリカ留学からインターンシップ・就職を実現する方法
H1Bビザ申請の流れ
申請の流れですが、まずスポンサー(雇用企業)を見つけることです。
雇用企業なしには申請できません。
時期は、4月の申請開始の数ヶ月前から始める必要があります。
アメリカのビザ申請は多くの書類(英文の大学の成績表、卒業証書、職務経歴書など)が必要になり、時間がかかります。
最近はH1ビザの上限に応募者が多くすぐ達してしまうので、4月からでは遅すぎます。
ビザ申請に当たっては、専門の弁護士に任せるのが普通で、たいていH1Bを過去に申請している企業は、関係の強い弁護士がいます。
費用は、ケースバイケースですが、弁護士費用と申請費用で$5,000前後と言われています。
申請にあたっては弁護士、スポンサー企業とのコミュニケーションが大事です。原則費用は企業負担です。
流れをまとめると、
- 毎年4月の申請数ヶ月前には、スポンサーを見つける
- 弁護士と相談、書類を集める
- 弁護士を通じて申請
- 認可か却下の結果後、認可後は10月1日から正式に働く
になります。
スポンサーの見つけ方
スポンサーの見つけ方ですが、
- 自分で見つける
- 人材派遣会社にコンタクトする
の2通りがあります。
まず、自分で見つけるやり方ですが、ウエブサイトで見つけることです。
らが、求人サイトとして有名です。
これらに履歴書をのせる、そして募集求人に応募します。
検索ワードは
- H1B
- OPT保持者 or OPT
も検索ワードに加えてください。
自分からの売り込みが盛んな国アメリカでは、自分から履歴書を企業に送ることも盛んです。
H1Bビザをスポンサーする企業は、世界的な企業が多く、コンタクトしてみるのも一つの手です。
日本人がアメリカで就職するときに、よく利用されるのが、アメリカの日系企業と強い関係をもち日米バイリンガルを主に日系企業に紹介する人材派遣紹介会社です。
リクルーターの中には、英語での履歴書の書き方、面接の受け方、ビザのアドバイスなどをしてくれる方もいます。
もちろん、日米バイリンガル専門の人材派遣紹介会社だけでなく、ヘッドハンティングと転職が盛んなアメリカでは、多くの人材派遣会社があります。
ご自身でインターネットでサーチ、履歴書を送ることもできます。
もし、自分の学歴、経歴がH1Bビザに十分と思われる場合は、自分から、企業や人材会社にコンタクトする、なぜ自分がアメリカ人より優れているのかを説得するくらいのやる気が必要です。
大使館の面接、飛行場の入国時の注意
2001年のテロ以降、日本でのアメリカビザ申請、認可には大使館、領事館での面接が必要になりました。
- F(学生ビザ)
- L、E(駐在員ビザ)
も却下されるケースがあります。
基本的には、
- 虚偽の申請をしない
- アメリカでの雇用先
- 仕事内容を正確に答える
- アメリカの批判はしない、
が大事です。
アメリカでH1Bビザ申請、認可された方も、日本に一時帰国するときは、パスポートへのビザスタンプをもらうための面接があります。
ここでも、アメリカで認可、日本の大使館で却下という例もありますので、日本へ帰国する際は慎重に判断してください。
入国時にも、飛行場で質問されますが、正直に答え、アメリカで仕事がある、などを証明できれば大丈夫です。
2017年トランプ政権発足後、テロに関係のあるとされる、数カ国からの入国者に制限が加えられたことがありました。
日本はテロと無縁の国、日本企業はアメリカで雇用を作り出す、日本人観光客は大事とは言え、不信感をあたえると、入国時に調べられる可能性があります。ビザ取得者は入国、出国には、出張、観光客以上の注意が必要です。
H1Bビザ取得後の注意点・仕事は変えられるか?副業はもてる?
さて、無事にH1ビザ取得、残念ながら、会社に馴染めない場合でも、仕事は変えることができます。
しかし、アメリカ人が簡単に仕事を変えられるようにはいきません。
H1トランスファー(ビザの書き換え)移民局に届け出をする必要があります。
注意点
転職で注意する点は、現職をやめてから、次の仕事を探すことは原則できないということです。
H1保持者が仕事をやめるということは、スポンサーとの関係がなくなることです。
自由なアメリカ市民と違い、就労ビザ保持者はあくまでも、外国人としてアメリカ政府に管理されている部分があります。
転職する場合は、
- 仕事先を探す
- 採用決定
- H1ビザのトランスファー認可
- そして会社をやめる
が、安全な転職法です。
レイオフが盛んなアメリカ
転職の盛んなアメリカ、その一方でレイオフと呼ばれる解雇も盛んです。
H1Bビザ保持者もその例外ではありません。
アメリカ人の解雇は、企業側にとり、自由にいつでも行えます。
ただ、他のアメリカ人と違い、移民局に管理されるスポンサー企業は、解雇を移民局に連絡しなければなりません。
もし、解雇されたり、解雇の可能性がある場合はすぐに弁護士に相談してください。
副業やアルバイトは禁止
また、H1Bビザでアルバイト、副業はできずスポンサー企業以外では働けません。
あくまでも、就労ビザ保持者が働く場合はアメリカ政府の許可が必要です。
副業として他の企業で働きたい場合は、副業として働く企業がH1Bビザのスポンサーになり、申請する必要があります。
H1は複数の申請が可能です。
弁護士と関係を作っておくことも大事
もちろん、アメリカには800万人以上と言われる、不法就労者がいます。
ビザがなくても、多くの外国人が働いているのも事実です。
また、アメリカ社会は、このような不法就労者を受け入れざるおえない、見て見ぬふりをしているのも事実です。
この件はトランプ大統領など、多くの人が問題にする、アメリカの政治課題です。
アメリカの移民政策、不法就労者の現状には改革が必要と議論されていますが、現状ではたとえ、短時間のアルバイトでも、不法就労することはおすすめできません。
株取引などで、収入を得ることは、税金を収めている限りは問題ではありません。
弁護士社会と言われるアメリカ、H1Bビザ取得後も気軽に相談できる、弁護士と関係を作り、疑問点があれば相談してみることが大事です。
もちろん、自分でインターネットで検索することも大事ですが、副業、旅行、税金、転職、解雇などは、最終的には専門の弁護士に相談してください。
アメリカ永住権・グリーンカードへの道
H1Bは最大6年まで、また、一時的にアメリカ人にない技能をもった外国人の雇用とされています。
しかし、多くのH1所持者はグリーンカードを申請します。
グリーンカードの申請、認可されるまで、数年かかります。
この間、H1Bは6年後も延長できます。
グリーンカードの利点
グリーンカードにはH1に無い利点があります。
まず、転職がアメリカ人同様にかなり自由にできます。
グリーンカードは10年毎の申請ですが、何回でも延長できます。ただし、アメリカ国民に比べると、グリーンカードは自由が限られていて、たとえば選挙権はありません。
Hビザへの批判
日本人の大半が、日本国内の外国人のビザについて何も知らないように、アメリカ人の大半も外国人向けのビザのことは、何も知りません。
ところがH1はトランプ大統領も政策課題にする、アメリカの政治問題の一つです。
アメリカ人では、見つからないような、素晴らしい才能をもった、人材を世界中から呼ぶために始まった、H1Bはここ数年、インド系のIT会社による乱用が問題視されています。
ITエンジニアの宝庫インド、アメリカで多くの技術者が活躍し、アメリカ企業はインドにコールセンターを置いています。
インド系のIT会社は、安い給与で、それほど高い技能を必要としないポジションで、多くのインド人にH1Bを申請させ、アメリカ人が仕事を失っているという批判が高まりました。
アメリカ人の雇用を優先に掲げるトランプ大統領と与党共和党はH1の改革に乗り出しています。
2017年、アメリカ議会には、H1Bの申請者の給与を6万ドルから、さらに引きあげよう、という動きがでてきました。
しかし、不人気のトランプ政権、H1Bの改革にも反対があります。
カルフォルニアのハイテク企業にとり、H1Bは優秀な外国人を雇用し、競争力を高める有力な手段です。最新のH1情報はインターネットで常時チェックすることが、大事です。
アメリカの就労ビザ・H1Bビザを使い就職する方法まとめ
移民の国と言われるアメリカで、優秀な外国人を雇うH1Bもトランプ政権の誕生で、改革の時期に来ています。
トランプ政権によりアメリカ人の雇用優先が掲げられていますが、ハイテクがアメリカの主要産業であり、世界中の優秀な人材を集められるH1Bの制限は難しいという声もあります。
いずれにせよ、H1Bがアメリカ移住、グリーンカード、アメリカ国民になる、一つの道であることは確かです。
H1Bは決して楽に取れるものではありませんが多くの人が努力し、学歴、職歴を身につけアメリカ移住を実現されることを願っています。
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