ここでゃ、ルクセンブルク国内唯一の総合大学であるルクセンブルク大学に迫ってみたいと思います。
ここに書かれている情報は、大学の公式ホームページ、または筆者自身の交換留学による在学体験をもとにしています。
ルクセンブルク大学の歴史
ルクセンブルク大学は、2003年に創立した新しい大学で、2019年で15周年を迎えました。
大学は、かつて栄えていた鉄鋼産業地帯に建てられています。
ルクセンブルクの主要産業が鉄鋼業から金融業に移行するにつれてこの地帯も衰退していったのですが、政府が大学を誘致することを決め、今に至っています。
そのため、今でもキャンパス内には、昔使われていた製鋼所がそのまま残っており、過去から未来へとつながるシンボルとなっています。
ルクセンブルク大学の特長
国際性の高さ
大学の特長としては、まずその国際性の高さが評価されるのではないでしょうか。
2016年のThe 200 most international universities in the worldというランキングでは、2位にランクインしています。
ルクセンブルク自体が多言語国家ということもあり、授業はフランス語・ドイツ語・英語で開講されています。
どの学部であっても授業によってこの3言語で展開されていて、このうち2つあるいは3つを授業内で組み合わせているものもあります。
授業は上記3か国後で行われていますが、その3か国語を始めとした様々な語学コースも開講されています。
生徒は113もの異なる国籍を持つ人々が集まっており、国際的なネットワーク構築にたけています。
ルクセンブルク国籍を持つ学生が44%であるのに対し、54%の学生は他のEU諸国の国籍を持ち、19%はEU外の国籍を持つ生徒です。(2重国籍の場合を含むので100%を超える)
また、ルクセンブルク大学の正規生は、1学期間の留学が義務づけられています。354もの大学と提携をもち、それらの大学へ留学を送り出したり、学生を受け入れたりしています。
ヨーロッパの中心に建てられた大学
次に、ヨーロッパの中心に建てられている現代的な大学であることです。
Times Higher Education World University Ranking (2018-2019)では250位以内にランクインし、その中でのYoung University Ranking (2019)では17位にランクインしました。
ヨーロッパの金融・経済の中心であるルクセンブルクに建つルクセンブルク大学は、実際の社会や市場との結びつきが強く、実用的な学習ができると言われています。
ルクセンブルクの地理的条件も、他のEU諸国から学生が集まる理由となっています。
人間同士の距離が近い
また、生徒や教授に関わらず人間同士の距離が近いのもこの大学の特長です。
6366人の学生に対し、1823人の大学勤務者がいます。
学部によって教授対生徒の人数比は異なりますが、私の学科の場合だと教授はきちんと生徒の名前を覚えてくれていて、学内やスーパーマーケットなどで会うと話しかけてきてくださいます。
大学1年生には、最初の1学期のみ大学3年生のバディと呼ばれる人がつき相談などに乗ってくれます(大学3年生として留学した私にもつきました)。
お姉ちゃんお兄ちゃんのような存在で、ご飯を一緒に食べたり出かけたりしている人もいます。
バディ関係が終了した後でも、学内で会えば気にかけてくれる頼れる存在です。
3つの学部
学部は、
- Faculty of Science, Technology and Communication (理工学系)
- Faculty of Law, Economics and Finance (法経済学系)
- Faculty of Language and Literature, Humanities, Arts and Education (人文科学系)
の3つです。
この3つの下にそれぞれいくつかの学科が存在しています。
学生はどれかの学科に所属することになりますが、他学部他学科の授業をとることももちろん可能です。
修士・博士課程も充実しており、多くの生徒が在籍しています。
大学自体が研究に力を入れているので、修士以降では学士課程にある学科がさらに細分化されていて、多様な研究がなされているようです。
建物や大学構内
キャンパスは
- Belval
- Limpertsberg
- Kirchberg
の3つがあり、コースによって分かれています。
学部生が通うメインキャンパスであるBelval(ベルバル)キャンパスについて紹介します。
まず、キャンパスのメインビルディングであるMaison du savoirです。この建物には教室と学校の事務、職員の部屋(一部)が入っています。
1階(日本でいうところの2階)には小さなカフェテリアがあり、いつも行列ができています。
その階には机が並んでおり、ご飯を食べたりしゃべったりする生徒や職員でにぎわっています。グループでプレゼンテーションの準備を進めたり、一人で勉強をしたりする際にも利用していました。
通常の教室はこのような感じです。
壁がすべてホワイトボードになっていて、インタラクティブな授業がしやすいようになっています。
そして、食堂はこのような感じです。
ここは昨年の11月にオープンしたまだ新しい場所です。
ルクセンブルク大学の学食は賞もとっているほど本格的でおいしいものです。
メニューは、肉や魚・ピザやパスタ・麺類などの中から選び、それにサラダや前菜・フルーツといった小皿を自由に組み合わせていくようなスタイルです。きちんとみんなの嗜好や宗教に配慮し、ベジタリアンメニューやビーガンメニューなどもあります。
例えば、ある日の昼食なのですが、これで4ユーロ(500円)ほどです。
物価が高いルクセンブルクでは大変安いし、ボリューミーなのでとてもおなかいっぱいになります。
最後に図書館です。
ここも昨年の9月に完成したまだ新しいもので、とても綺麗です。
図書館は製鋼所のすぐ横に建てられていて、内部の柱や窓枠などに製鋼所の素材や組み込まれています。
個人で勉強するスペースとグループで活動するスペースに分かれており、どんな用途にも対応できるようによく考えて設計されています。
普通の椅子もあれば、ソファのような椅子もあり、飽きないように環境を変えやすい工夫がされていると思っています。
日本には無いためよく羨ましがられるのが、仮眠室です。
ここで少し睡眠をとってリフレッシュすることができます。
図書館内はどこでも飲食自由なのも日本とは違うところだと思います。
大学構内はどこでもWi-Fiとコンセントも完備されているので、何も気にせず快適に勉強に打ち込むことができます。
ルクセンブルク大学の学費
学費は、学士課程の場合、入学金が400ユーロで一学期間に2,200ユーロかかると記載されています。
ルクセンブルクの学士課程は3年間のため、よって合計で400 + 2,200 ×6 = 13,600ユーロ (167万円) の学費がかかります。
日本だと、筆者が通っている日本の私立大学の学部を例に挙げると一年間で105万かかっていたので、それと比べると大変安いのではないかと思います。
日本で大学生活をする約一年間の学費で、このような素晴らしい大学で3年間在籍することができます!
留学としてルクセンブルクに来る学生に関しては、学費はかかりません。
修士課程以上では、コースによって異なりますが約20,000ユーロ (25万円) かかるようです。
入学方法
ルクセンブルク大学に正規の学生として入学したいのであれば、まず高校の卒業証明書の提出が必要です。
それに加え、試験が課される学科、志望理由書やエッセイが課される学科などさまざまです。
自分が志望する学科のホームページを見ていただけたらと思います。
留学生として入学するのであれば、2種類の入学方法があります。
- 提携校からの交換留学
- フリームーバー
としての留学です。
EU圏内からくるのかそれ以外からくるのかによって必要書類が異なるのですが、ここでは日本国籍の人を想定します。
筆者は交換留学ですが、この場合、大学が指定する留学願・在学証明書・成績証明書・語学力の証明書・志望理由書などをまとめて出願しました。
その後、ルクセンブルク大学からの入学許可をいただき、自分が専攻する学科を決めてもう一度motivation letterと呼ばれる志望理由書及び留学計画書のようなものを提出しました。
そして正式に入学許可証をいただきました。
フリームーバーとは:
ルクセンブルク大学と提携を結んでいない大学からの留学のことなのですが、まず在学している大学からの推薦状が必要となります。大学経由ではではなく自分で連絡をしたり書類を送ったりしないといけないので、その分大変ではありますが、必要な書類や手続きはほぼ変わりないと思います。
ルクセンブルク大学生活の実際を紹介
学部によって異なると思いますが、参考までにここでは心理学科生である私の一日を紹介したいと思います。
この日は授業が二つと、タンデムが二つありました。
タンデムとは、教えられる言語と教えてほしい言語がマッチする人同士で教え合いを行うことで、言語習得のために積極的に行われています。
日本語を教えてほしいという学生は意外と多いので、日本語を教える代わりにドイツ語とフランス語を教えてもらっていました。
時刻 | 内容 |
---|---|
9:00 | 家を出る |
9:45-11:15 | 心理学科の授業を受講 |
11:30-13:00 | 学科の友達と食堂で昼食 |
13:30-14:30 | 日本語・ドイツ語のタンデム |
15:00-16:30 | 英語学科の授業を受講 |
16:45-17:45 | 日本語・フランス語のタンデム |
18:00-20:00 | グループプレゼンテーションの準備 |
20:00-22:00 | 図書館でレポート執筆 |
22:30 | 帰宅 |
課題やプレゼン等が重なる時は上記のように忙しいですが、それらがない時は友達とご飯を食べに行ったり早めに家に帰ってきて家事をやったりしています。
現地の学生は、家族や恋人との時間をとても大切にしています。ルクセンブルクが豊かな国であるのが理由でしょうか、アルバイトをしている学生は少ないです。
日本の大学にあるようなサークル活動はないのですが、スポーツやアートなどが好きな人が集まって活動するコミュニティのようなものはあります。私は音楽のコミュニティに入っていて、同じく音楽が好きなメンバーと週に一回集まって、いろんな国の歌を歌ったり歌遊びをしたりしていました。
毎学期に数回、大学内のホールで大きなパーティーを開かれます。
そこではDJもいてお酒も販売されていて、いわゆる「海外の大学」のような雰囲気を楽しむことができます。
まとめ
ルクセンブルク大学の特長や実際の学生生活についてまとめました。
日本からするとあまり馴染みのない留学先だとは思いますが、類まれなる国際的なこの大学に来ることができて本当に良かったと思っています。
これらの情報で、ルクセンブルク大学を留学先の選択肢の一つとして考えていただけたら幸いです。
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