世界遺産がたくさんあるイタリア ベネチア。歩いているだけで周りの風景に魅了されるそんな街並み。
もう一歩中へ踏み込めばさらなる魅力に溢れています。
観光では気づけない、実際に暮らしてみてわかる、ベネチアの素敵な生活・また移住を考えるときに考えてほしい14のことをご紹介します。
1. バールで朝食。迷路のような道で隠れたバールを見つけよう
イタリアではバールで朝食をとる人が多いです。よく聞く注文はカプチーノとブリオッシュ(クロワッサン)。
朝はミルクの入ったカプチーノ、夜夕食後はミルクなしのエスプレッソというのがイタリア流。
バールに行くと様々なコーヒーの種類を耳にします。
例えば、
- エスプレッソに少しのミルクを注いだ「マキアート」
- エスプレッソよりお湯の量が多い「カフェ・ルンゴ」
- そしてお酒好きのベネチア(北イタリア)の人が良く飲んでいるのが「カフェ・コレット」エスプレッソにグラッパなどのアルコールを注いだもの
です。
べネチアの迷路のような道の色々なところに隠れたバールがあります。お気に入りの一店を見つけて毎朝行きつけのバールにしてみてはどうでしょうか。
Buon Giorno!とお店に入るといつものコーヒーが出てくるなんてオシャレですよね。
ベネチアの水路やゴンドラを眺めながら1日をスタートさせられればそれだけでなんだかいい日になる気がします。
2.アペリティーボ(Aperitivo)で始まる夜
イタリアの夜といえばアペリティーボ。
アペリティーボとは夕方6時ごろから始まる食前に楽しむ軽食とお酒のことです。
イタリアの夕食は平均的に8時ごろからと日本とくらべ比較的遅め。その前に友人や家族と集まって楽しむのがアペリティーボです。
夕方ごろになるとあちらこちらの町のバーがアペリティーボで賑わってきます。
アペリティーボでよく飲まれるのが
- プロセッコ(procecco)
- スプリッツ(spritz)
ベネト州(ベネチア)は世界3大スパークリングワインの1つプロセッコの原産地でもあります。
「プロセッコ」は爽やかでフルーティな味わい。アペリティーボでは必ず飲まれるオレンジ味のカクテル「スプリッツ」にも入っています。
夕食前、軽食といっしょに美味しいワインをぜひ楽しんでみてください。
3.バカロ(Bacaro)で軽食
バカロとはお店の名前ではなく、立ち飲みでお酒が楽しめるベネチア独自のスタイルのこと。
ベネチアにはチケッティ(cicchetti)という文化があります。
チケッティとは小さなバケットにチーズや魚のすり身、生ハムなどがのったおつまみです。
チケッティはアペリティーボの時に食べるのが王道ですが、軽いランチとしてバカロで楽しむ人も多いです。
お店によってチケッティの種類も味付けも変わります。
アペリティーボの文化が盛んなベネチアでは町の各所に雰囲気の違うバカロができる場所があります。バカロ巡りなんてのもオススメです。
チケッティは小さいのでいろんな種類を楽しむのもありですね。
4.ベネチアを味わう。シーフードは絶品
イタリアといえば料理ですよね。ベネチアは美味しいレストランがひしめきあっています。
ベネチアのシーフードはやめられない美味しさ!
日本でもよく耳にするイカスミパスタ(pasta al nero di seppia)、アマトリチャーナ、ボンゴレをはじめムール貝やホタテの前菜(Antipasti)などどれも新鮮ですごく美味しいです。
カルパッチョなどの生魚もその日獲れた魚を使用しているレストランも多く、とても新鮮。長期滞在で、生魚が恋しくなっても大丈夫ですね。
魚介類をフライにしたフリット(Fritata mista di mare)は、ベネチアに来たら一度は食べてみてほしいです。
ベネチアのあるベネト地方の郷土料理ポレンタ(コーンをつぶしたもの)と合わせて食べるとよりいっそう地元感を味わえます。
テイクアウトもできる!
また、レストランだけではなく、テイクアウトできるパスタやピザのお店もたくさんあります。
レストランで食べるパスタと同じくらい美味しいのに、手軽に安く(600円くらい)食べられるのも魅力。パスタの種類とソースを選べるお店も多いのであきずに日替わりで楽しめます。
テイクアウトでも手作りの生パスタを提供しているお店もあるのがさすがイタリアです。
5.移動はバポレットで
ベネチア島内の基本的な移動手段は徒歩です。
ただ、日本で30分歩くとなると少ししんどいなと思うこともあるかもしれませんが、不思議なことにベネチアの街並みを見ながら歩いていると30分なんてあっと言う間にすぎてしまいます。
また、ベネチアには水上バス「バポレット」という移動手段もあります。
関連記事:ベネチアの水上バス・ヴァポレットの乗り方徹底ガイド(罰金もあるので注意しよう)
水路を走るバポレットからは、ベネチアの街並みを水上から眺められる貴重な経験になることでしょう。
もちろん、ゴンドラや水上タクシーに乗ってもみられる景色なのですが、どちらも値段が高いです。でもバポレットならバスの価格で乗ることができ、同じ景色を楽しめるのです。
6.魅力ある離島の数々(ブラーノ島、ムラーノ島、リド島)
カラフルな街並みで有名なブラーノ島を始めベネチアには離島がたくさん。
ブラーノ島はさまざまな色にペイントされた街並みが有名ですが、レース編みでも有名です。伝統工芸を紹介する博物館に立ち寄るのもいいかもしれません。
ブラーノ島といっしょに訪れることができるのが、ムラーノ島。
ベネチアガラスの島として有名です。島でしか楽しめないお菓子を買って街歩きをするのもいいものです。
特に夏におすすめしたいのが、リド島。
長細い形をした島です。ベネチア国際映画祭の会場でもあるリド島ですが、海水浴のできる綺麗なビーチがあります。
どの島へのベネチア本島から水上バスで1時間もあれば行くことができます。
7.アクアアルタ(Acqua Alta)にご用心。10月、11月は長靴の準備を
アクアアルタとは、特に10月、11月に発生する異常潮位現象です。
もちろん、イタリア(ベネチア)にとって大変深刻な問題で、ベネチアに住み、働く人たちに重大は被害を及ぼしています。イタリア国全体としても対策をしているようです。
アクアアルタの時期にベネチア滞在予定の方は長靴の準備をお忘れなく。
ただ、大人になって膝までくる水の中を長靴で歩くことなど滅多にないことでしょう。
アクアアルタの時期になると現地のイタリア人は毎日長靴をもって学校や仕事に行くのです。天気ではなく、潮の満ち引きによってアクアアルタは発生するので、天気ばかり気にしていたらうっかり長靴を忘れたという話もよく聞きます。
アクアアルタによる水位を教えてくれるアプリもあるので長く滞在する方はダウンロード必須です。
アクアアルタのアプリ(High Tide Venice – Hi!Tide)
https://play.google.com/store/apps/details?id=venice.amphitrite&hl=en
アクアアルタの時期は、水の都ベネチアが直面している問題を目にし、環境について身をもって考えさせられる機会になるのではないでしょうか。
8.ベネチアで働く人たち真剣で、残業も当たり前
なんとなくイタリア人は残業しないだろうな、などというイメージはありませんか。
ベネチア(北イタリア)の人たちは仕事に対してすごく真剣で、他のイタリアの都市の人からも働きすぎと言われます。
実際、朝7時前に家を出て、8時に出勤し、家に帰るのは8時すぎなんて人たちもたくさん。日本人が残業するように、夜9時10時まで働く人もいます。
クリスマスはホリデーだから長く休むだろうと思いきや、イブの24日まで働き、正月明け2日から出勤する人もいるほど。すごく働くのです。
ただ、有給はしっかりとれ、必ず取らないといけないという会社がほとんどです。家族の用事や、体調不良など気兼ねなくお休みを取ることができるのはいいことですよね。
9.ベネチアでの仕事探しは大変!紹介が重要
現在イタリアの若者にとって、仕事を見つけるのは大変なことです。
大学を卒業しても、フルタイムの仕事はなかなか見つからないというのが現状です。イタリア人の失業率が高いというのも社会問題の1つとなっています。
そのような社会状況の中で、日系企業の少ないベネチアで仕事を見つけるのは簡単ではありません。イタリアでは求人に応募しても、中の人の紹介がないとなかなか仕事を手にすることができません。
まずは、人間関係を築き、いい仕事を紹介してもらえるようになるというのか仕事を見つける1番の近道かもしれません。
そして、語学力。
ベネチアは観光地なので日常生活は英語ができれば問題ありません。しかし、働くとなると話は違います。やはり、イタリア語は不可欠でしょう。
長期滞在で、イタリア語に自信がない場合はイタリア語のクラスに通いながら、現地で友人や、知り合いをまず作ることをお勧めします。
10.イタリア人の恋愛観と結婚
イタリア人はチャラい。そう思っている人も多いかもしれません。
しかし、ベネチアの人たちは真逆です。とてもシャイな人が多い。驚きました。彼らはとても一途です。
真剣なお付き合いを始めたらとことん一途という人が多いと思います。同じ人と長く付き合っている人が多いのです。
もう1つ驚いたのは結婚観
日本でよく聞かれる結婚までの道のりとは少し違います。
彼らにとって結婚は後回しです。
真剣にお付き合いをしているカップルは、結婚にお金を使うのではなく、まず、2人で住む家を買う人が多いです。
結婚をするまで、両親と同居している若者が多いためでしょうか。まずは家を購入し2人で住み、入籍はせずそのまま子供を持つ人もいます。
経済的に余裕ができたときに結婚する。それが今イタリアでよくみられるスタイルのようです。
経済的に不安定な今のイタリアの状況が反映されているような気もします。
11.医療制度の違いを理解しておこう
在留外国人でも国民健康保険に加入すれば、安価で治療が受けられます。国民健康保険に入ると同時にホームドクターを選びます。
まずは、ホームドクターへ行き、ホームドクターから専門医を紹介してもらうというシステムです。ただ、待ち時間はとても長く、手続きも複雑というのが現状です。
私の友人は、足を骨折し手術が決まりましたが、手術まで数ヶ月待ちということも。また、歯の治療は保険外なので高額です。
12.ベネチアの治安は良いと感じる
ベネチアの治安はいいと感じます。
もちろん、治安はいいといってもヨーロッパなので、スリには気をつけなければいけません。カメラや地図、大きなカバンを持っていると観光客だと一目でわかるので、観光の際は要注意です。
また、道端で物を売っている人からは、購入しないことをお勧めします。
アクアアルタや雨など、傘や長靴がどうしても必要なことがあるかもしれませんが、人を見て値段を変えられるので損をしてしまうこともあるかもしれません。
ベネチアは暗い道もありますが、夜女性が一人で歩いていてもすごく危ないと感じることはありません。イタリアの他の都市に比べると安全・安心な町だと言えるでしょう。
13.ベネチアへ移住する際の覚悟
ベネチアの人たちはもちろん優しく、素敵な人がたくさんいます。
しかし、「私の問題は私の問題、あなたの問題はあなたの問題」という考え方があり、何か困ったことがあったとき、すごく親身になって助けてくれるわけではありません。
自分のことは自分で解決するという自立心を持たなければ、ここでの生活は大変かもしれません。
滞在許可書の申請、保険の申請、銀行口座の開設など、長期滞在となると様々な書類の準備が必要です。
それぞれの申請が1箇所でできないのもイタリアならでは。少しでも不備があれば突き返されたり、同じオフィスでも担当者が違えば必要書類が変わったり、ここではできないとたらい回しにされたりと、スムーズに進むことの方が珍しいほど。
アポイントメントをとっていたとしても、意味をなしていないことも多いので、市役所や政府関連のオフィスに行くときは数時間待ちが当たり前だと思ってください。
「できない。」と書類を返された時、そのまま引き下がらず、どうしてできないのか、どの書類が必要なのか、他の人は必要なかったのに、なぜ私には追加で書類が必要なのか、どこのオフィスの誰が担当なのか、など嫌な顔をされても強気で聞く勇気が必要です。また、うまくことが進まない時には、日時を改め担当者を変えてみることも大切です。
もちろん来てすぐでイタリア語がままならない間は大変なことです。現地の人は、このような抗議に慣れているので可能であれば現地の人と一緒に行くことを強くお勧めします。
14.移り変わる景色
ベネチアで生活するとなると、正直大変なことも多いです。
ただ、ベネチアの風景に飽きることはありません。なんど訪れても違った景色を見せてくれるのがベネチア。
1日の中でも朝と夕暮れで全く違う場所に来たのではないかと思うくらいです。辛いことがあった日でも、また頑張ろうと思わせてくれる景色があります。
夕方、少し日が暮れてきた頃、バールやレストランに明かりが灯り始めます。
特に冬になると道もライトアップされオシャレな街並みが見られます。ベネチアの冬は厳しいですが、暖かく柔らかい光に包まれた道を歩くとそんな寒さもきっと忘れさせてくれることでしょう。
ベネチアは隠れた魅力にあふれた町です。だからこそ人ぞれぞれの楽しみ方ができるのです。
初めてベネチアに来た時は、地図や携帯を使わず、一度迷路のように入り組んだ町で迷子になってみてほしいと思います。
素敵なお店やレストラン・カフェはそんな時に見つかるはずです。移りゆく景色を楽しみながら目的地を決めず歩いてみてください。素敵な出会いが待っていることでしょう。