こんにちは。
海外在住者インタビュー企画、第四回をお届けしたいと思います。
第4回は、フランス・パリの移住ストーリー・パリっ子さんです。
日本に在住時代、仕事でのストレスでしぼんでいた自分をもう一度膨らませたかったという癒しがきっかけで、
フランスへ渡り、パリの人々・生活に魅了されていったパリっ子さんの移住。
フランスの魅力がたくさん詰まったストーリーをご覧ください。
――現在の在住先や生活について教えてください。
パリっ子さん(以下、パリっ子):
現在は、パリの11区に住んでいます。私はフランスに住む前に、日本で建築士をしていたので、パリの面白いインテリア商材を日本の知り合いの建築デザイン関係の人に紹介したり、買い付けしたりする仕事をしています。フランスでは、クリエイターの作品で素敵なものがたくさんありますので、日本から知り合いが来たときに同行したり、展示会に私が行って、買い付けしたりする仕事です。
私のほうで買い付け先の会社とお話しをして、それを日本のプロジェクトに間に合うように送る、そのコーディネーションをしています。
――パリの11区はどんな街ですか?
パリっ子:
私は大好きです。かつて、17区の凱旋門の裏の辺りに、一人で住んでいたこともあります。結婚して11区に住むようになって感じることは、この辺は昔からアーティストがたくさん住んでいる地区で、年代に分け隔てなく、若い世代や私のような年代、もっと上の年代まで、みんなが混じりあっていて、エネルギーが全然違うことです
地区的にはマレとバスチーユと、リパブリックとベルビルに挟まれた、色んなカルチャーがミックスされているような所なんです。いろいろな人種や宗教、肌の色の人達が一緒に交流しています。特に、私が住んでいるオベルカンフ通りはパリに住んでいる若い人だと知らない人がいないくらい、レストランやインテリアのお店、小物とか、バーが並んでいて、すごく活気がある街なんです。
昼間は昼間で、昼食やお茶をする人達で、すごく賑わってるんですけど、夜は夜で12時くらいから開くクラブもあり、若い人から少々お年を召した方まで、週末は12時過ぎのほうが人が多いくらいです。
――パリ11区は12時過ぎでも人が多い、ほんとに活気がある街なんですね!
パリっ子:
特に私の住んでいる辺りは、嫌な目に遭うリスクが少ないっていうのがすごくありがたいですね。観光客よりも、パリの人達が集まる場所なので、逆にスリ等の危険も少ないです。酔っぱらって大変なことになるような人達も少ないですね。和気合い合いとやってる感じです。
以前、住んでいた17区よりも、実際に来てみて、いろんな意味でエネルギーのある街だなと思いました。
ある日、ふと周りを見回したときに、すごく疲れたサラリーマンの人たちと自分が重なった
――フランス・パリへ移住したきっかけは?
パリっ子:
実は、2回フランスに住むために来てるんです。はじめは1996年から2000年まで、その後は2002年にもう一度移住しました。
きっかけは、1996年より前に日本で、インテリアの小さなデザイン事務所をアメリカ人と一緒にしていたときのことです。
当時は、バブルの末期で、大きな会社が受けられなくなった仕事がたくさんある時期だったんですね。仕事はありがたく請けていたのですが、その時期かなりストレスと多忙で、しぼんで、ボロボロだったんです。
そして、ある取引先の会社に向かう前に渋谷の駅前で、いつも栄養ドリンクを飲んでから行ってたんです。そのときに、ふと周りを見回したら、私の周りにいたのは、すごく疲れたサラリーマンの人達ばかりだったのです。
「ああ、私もいつか、こういう風になるんだ」と思ったときに、すごく辛くなって。何年も同じことをして、年を取っていって「自分には何か他のことをするタイミングはもうないのかな」と思い始めたんです。
それから、仲の良いフランス人のお友達にいろいろ相談したら、彼女が「長く休みを取って一度人生をいろいろ考え直したほうがいい」って言ってくれ、いろいろ勧めてくれたんです。最初は冗談で流してたんですけどね。
でもやはり、自分に対して、癒しが欲しかったんです。そのうちに気持ちがだんだん傾いていき、それをきっかけに、彼女のところにお世話になる形で、最初は一年の予定で、仕事を辞めてフランスに行くことにしました。
それとは別に、もう一つの渡仏の理由がありました。それまで建築士としてホテルや集合住宅等、少々バブリーな建物の内装の仕事をする機会が多かったせいか、その時は、漠然と高齢者も若い世代も一緒に生活できるようなバリアフリーの住宅に興味を持っていました。「高齢化が進む日本では、残念ながらそういった施設は少なく、ヨーロッパ諸国は社会福祉先進国なので、きっといい勉強になるだろう!」という考えでした。
仕事のストレスでしぼんでいた自分をもう一度膨らませたかったという癒しのフランス滞在をきっかけに移住
パリっ子:
フランスには学生ビザを取得して来ました。しかし、頼りにしてたフランス人の友人が、私のパリ到着後一ヶ月で急にポーランドに長く行かなければいけなくなり、自分でフランス語を勉強したり、住むところを探さなくてはいけなくなってしまったんです。それで、一年はあっという間に経ちました。フランス語を一年で話せるというレベルまではいかなかったので、もうちょっと、もうちょっと、と滞在していたら、3年経ってしまったんです。
さすがに経済的な理由で、日本に帰ることを決め、仕事も決め、住んでいたアパルトマンを引っ越す準備にかかっていたときに、今の主人と知り合いました。
ただ、もう日本での仕事も決まっていたので一度、帰りました。それが2000年でした。日本に戻って、また仕事を始め、日本の居心地の良さにはすごく満足していました。しかしあるとき、上司に「自分の意見を言ってください」って言われ、私の意見を正直に話したら「それは正論ですね、ただここは日本ですから」って言われたりして。。いろいろあったんです。それで自分のストレスを電話で聞いてくれていたのが、今の主人でした。
大きなプロジェクトが終わって戻ることを決めたのが2002年で、今度はビザの問題も考え、結婚を前提で一緒に住み始めるということでこちらに戻りました。その後、結婚して今に至ります。
――現在お持ちのビザは?
パリっ子:
配偶者ビザで、10年間で更新というものです。これ以外ですと、配偶者なので自分がフランス人になることはできるのですけど、そうすると日本人ではなくなってしまうんです。
それから18年目、あっという間でした。
――フランス移住を決断するに至った一番の理由は?
パリっ子:たぶん年齢的なところがあったのかもしれません。ちょうどそのときが30代でしたので、仕事と女性としての自分、結婚とか子供を考えたことだと思います。おそらく、それで自分の中で何か違うことをしたいなと思い始めていたとき、そのタイミングでした。
幸か不幸かわかりませんけれど、大学を卒業してすぐに知り合ったすごく仲のよかったフランス人の友達から、いろんなことをインスピレーションされていたんじゃないかなと思います。
そういう形で、行ってしまおうと決めました。
フランス人の暮らしから学んだ「生活を楽しむ」ということ
――パリの生活がはじまって感じた変化は?
パリっ子:
パリでの生活が始まってから数年経ち、フランス人の友人達やその家族・親戚に会う機会にも多く恵まれ、徐々にフランス人の考え方、生活の仕方、楽しみ方が分かってくるようになりました。
パリは、友人や家族でよく集まって夕食や昼食をし、よく食べて飲み、映画やコンサートや美術館によく出掛け、頻繁に長い旅行に行っているのです。
一人暮らしが難しくなった方達が暮らす老人ホームもいくつか建築を学ぶため見学しましたが、楽しそうにブリッジやポーカーをし、食事はフランス料理のフルコースでした。ここでもよく食べ、よく飲み、楽しそうに笑っていました。
日本では「老人食」なるものが有って、出来るだけ消化の良いもの、油分の少ないもの、を医者が勧めると聞きました。
日本もフランスも長寿大国ですが、フランスのお年寄りは医者や薬で生かされているのではなく、最後まで楽しく生活する為に元気で生きている感じでした。
建築士がいくらバリアフリーの住宅・施設をデザインしても、生活を助けるだけで、幸せには出来ません。
本当にフランス人達は若い人は勿論、お年寄りも生活の楽しみ方をよく知っているのです。子供達も子供達だけのパーティーを親が企画し、小さなうちから社交的で楽しく遊んでいます。
私がパリで知った一番大事なことは「生活を楽しむ」ということでした。
フランス移住で大事なのは、最低限の言葉と土地勘
――パリへ移住する際に、苦労したことは?
パリっ子:
最初は、まず言葉の問題でした。私自身が非常に愚かだったんですけれども、日本語がしゃべれるフランス人の友人がいたので、彼女がいてくれればと思っていたんです。ところが、その当時、まだ英語が日常的に通じないことが多かったので、まず言葉の問題で苦労しました。
他には、苦労というより驚いたことですが、フランス人は間違いを指摘しても謝ったりしないんです。例えば、銀行ですら一桁間違えるようなことが実際にあるんですよ。私が自分でチェックしなかったら、そのまま一桁少なくされて終わっていたと思います。怖いですね。指摘しても、あらそうだった。。で、終わりました。
そして、当時、私が住み始めて何か助けてもらいたいなと思い、現地の日本人の人達にアドバイスをお願いしたり、もしくはいろんなことを聞いたりしたことがあったんですね。
これはすごく意外だったことですが、何人かの長くこちらに住まわれていて、既にフランス人みたいになられている日本人の方に質問をしたら、自分もとても苦労してここに住み始めたので、あなたが苦労するのは当たり前っていうような事を何度か言われたんです。その時から自分中で「これ、違うんじゃないかな。私はこういう人達みたいになりたくない」と思っています。
――移住に必要な準備はどんなことをしましたか?
パリっ子:
私の経験から、どんなことを準備したらいいか、に言い換えさせて下さい。やはり最低限の言葉、ですね。日本で語学学校に行って準備される方も今はかなり多いみたいですが。
当然、こちらに来てからもっと勉強すれば、基礎が出来る人は、すぐに上達できると思います。
私が思うには最低限度「おはよう」とか、「ありがとう」とか、道を聞くとかは、フランス語でいえた方がいいと思います。
また、できるならば、地下鉄は複雑なので、せめて路線図とかをよく見て、土地勘は掴んでおいたほうがいいと思います。
やはり日本ではないので、同じ感覚で郊外には行かない方がいいです。パリは東京に比べて小さいので郊外に住む方も多いですが、私はPM8時をこえて、RERというパリと郊外を結ぶ高速電車にはあまり乗りたくないですね。パリ市内はそんなことは感じたことはないんですけど、やはり北の方の郊外とかでの怖い話は聞きます。電車の本数もとても少なくなります。
やはりフランスは移民が多い国なので、自分のことは自分で気を付けなければいけません。
パリの市内に入ってくると、観光客が多いところはスリが多いので、そのあたりも注意が必要です。自分でそれさえ分かっていれば、バッグや財布に注意することもできると思うんですよね。地域的な感覚はある程度掴んで来られたほうがいいんじゃないかなとは思います。
――フランスの生活で一番嬉しかったことは?
パリっ子:まず準備をしたときは、学生ビザが日本大使館で取れたときは一番嬉しかったですね。これで一歩を踏み出したって感じがしました。幸い、相談できるフランス人の友人がいましたので、私はひとりで手続きをしました。
渡仏の際、かなりの荷物を持って飛行機に乗ったんですね。手荷物で持ったものがかなりウェイトオーバーだったんです。でも、フランスで生活を始めるという理由を話したら、ゲートの女性が、「ああ、そうなの。今回は目をつぶるから向こうまでがんばって持っていくように」って言ってくれたんです。そのときはすごく嬉しかった。それはちょっと忘れられない私のいい思い出になりました。
みんな集まり、楽しく会話して、お友達になり、繋がっていくフランス生活
――生活の場を変えて、一番良かったことは?
パリっ子:
一番大きなことは、生活が楽しいことです。例えば、私のご近所では、会ったら必ずご挨拶をして、すぐに立ち話になり、話なかなか終わらないようなときもあります。夏は、夕方になり、ご近所の顔が来るとすぐに「一緒にアペリティフ(食前酒)でもどう?」と誘われて、それから楽しい会話が始まります。
日本と違うところは、外食して終わりということではなく、呼んだり呼ばれたりすることが日常です。年齢、職業関係なく、みんな楽しく、集まり、会話して、お友だちになるんです。そこから仕事の話も出たり、多くのことが繋がっていくんです。
――せかいじゅうを通じて、提供したいことは?
パリっ子:
私がそうだったように、最初はみなさん漠然と考えていらっしゃると思うんです。悩んでいること、決められないことなど、その方なりにあると思いますので、まずご相談してもらえればと思います。私が初めに、フランス人の友人に相談していたように、そういうことが提供できればなと思います。私は準備不足でしたが、語学学校にしても、最初からもっと真剣に選んでおけばよかったなと思いましたので、そのお手伝いなどです。
あとは、私が苦労した住まい探しもお手伝いできればいいかなと思います。
パリの住まい探しでは、例えば、こんなことも聞いたことがあります。フランスは日本に比べると冬は寒いんですが、お部屋に集中暖房の機械が付いていた跡はあるのに、暖房機が外されていて、大家さんに確認すると集中暖房は高くつくので、自分で小さな暖房機を買って使ってくださいって言われたらしいんです。
他には、パリ市内は古い建物が多いので、外は乾燥していても内部の換気が悪いんですね。そうするとすごくカビが生えやすい状態なんです。知人が部屋に入居したとき、既にお部屋や洗面所がカビだらけの状態だったのですが、退去するときに大家さんが来て、カビだらけが知人のせいになってしまったとか。
とにかくまずは、何を希望されているかを聞かせていただいてから、その方のプランがあると思うので、いろんな話しを聞いて、そこから一緒に考えられたらなって思います。
パリっ子さんが提供するパリへの移住相談プランはこちら:
https://sekai-ju.com/plan/fra/paris002/
フランス・パリへの長期滞在、留学や移住をお考えの方は、ぜひ、一度ご覧くださり、相談してみてください。