海外旅行で一番心配なのは現地の治安です。世界でも指折りに安全な日本から外へ出るのですから当然です。
アルゼンチンは中南米で最も治安の良い国の一つと言われていますが、油断は禁物です。
今回は特に渡航先、移住先として最も人気のあるブエノスアイレスに滞在する心得と、よくある犯罪手口を現地在住者がまとめました。
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アルゼンチン・道歩きの心得
アルゼンチンでの犯罪被害につながる条件は”誤った時間に誤った場所にいること”です。
出かける場所と時間には十分気をつけてください。
外出する時間帯はいつがいい?
夜間の外出は、劇場などの集まった明るい通りや、飲食店が並ぶ繁華街であれば、問題はありませんが、女性の一人歩きはお勧めしません。
また土日の午前中や昼食後のシエスタの時間帯も人通りが減り、観光客しか出歩いていないため、犯罪発生率が一気に上がります。
外出する前に通りをチェックして、人通りが多い時間帯に出かけるようにしましょう。
安全な通りを確認しておこう
賑やかな通りも1本間違えるとガラリと雰囲気が変わるため、必ず事前に周辺情報を集めて、安全な道を確認しておきましょう。
またブエノスアイレスでは、日中は普通の通りでも、夜間になると突然雰囲気の悪くなる場所もあるので要注意です。
バスで移動する方は、日没以降は必ず目的地の一番近くのバス停で降り、徒歩移動の距離をなるべく減らしてください。
犯罪にあわないためには、とっさの判断力が決め手
時間に関係なく、人気のない道ではすれ違う人には気をつけましょう。
怪しげな人が歩いて来たら、さっと道を渡って反対側の歩道に移るなど、周囲の状況をしっかり把握し、素早く行動することが身を守ることになります。
地図を片手にキョロキョロしていると、それだけで格好のターゲットにされてしまうので、ある程度の道筋は出かける前に頭に入れておきましょう。
観光地だからと気を抜かない
例え観光地で人出があったとしても、タンゴの発祥地であるボカ地区などは元々あまり治安の良い場所ではありません。
旅行者向けの賑やかな通りを外れると空気が一変するため、人の流れから離れないようにしてください。
カサ・ロサーダやオベリスクのような観光スポットも犯罪発生率が高い場所です。
一番メジャーな犯罪手口、ケチャップ強盗
ブエノスアイレスの犯罪と言えばケチャップ強盗と即答できるほど被害の多い手口です。
これだけ知名度が高くても被害者が後を絶たないのは、やり方がより巧妙になっているからのようです。
典型的なやり口
道で親切そうな人が「シャツ汚れていますよ」と声をかけてきて、自分の洋服やリュックがケチャップ、マヨネーズ、マスタードなど何らかの液体でべったり汚れていたら、それが悪名高い”ケチャップ強盗”です。
慌ててティッシュを取り出して拭いている内に財布などをすられてしまう、または声をかけてきた人が拭いてくれている間に、仲間が盗んでいくというパターンです。
最近ではタクシーに成り済まし、被害現場から慌てて去ろうとするターゲットを狙って近くで待機しているケースもあるので要注意です。
進化型はケチャップを使わない
ケチャップ強盗の別バージョンは、前を歩いている人が落し物をして、親切心から拾ってあげたり手助けしてあげたりしている間に盗まれるというような手口で、”ターゲットの気をそらしている間に犯行に及ぶ”パターンは同じです。
路上で変則的なでき事に出くわしたら、冷たいようでも足早に通り過ぎるようにしましょう。
犯人グループには柔和な老夫婦や赤ちゃん連れの女性、身なりの良い紳士、観光客風のメンバーなどもいるそうです。
油断して手を貸してしまわないように。
汚されても盗ませない!
ケチャップ強盗の対策は、何かをかけられたと思ったら、絶対に立ち止まらないこと。
”親切な人達”に声をかけられても完全無視で、足早に現場から去り、近くのお店や喫茶店に飛び込みましょう。
汚された服やカバンを拭くのはいつでもできます。誰が犯行グループの一員かわからないため、いつまでも道端にいないことが重要です。
筆者もボリビアでタチの悪い”唾かけ強盗”に出くわしましたが、近場の薬局に逃げ込んで盗難は避けられました。
【厳選!安全対策グッズと知識をお伝えします】
・財布の数は2つ以上
・革財布で高級感を。さらにチェーンも複数つける
・「スキミング防止」機能付きのパスポートケースやバッグを選ぶ
・体に密着したかばんを持つ
・窃盗防止アイテムをいくつか所持する
・犯罪の100倍遭遇!?交通事故を防ぐ反射リストバンド
・スーツケース施錠は必須。必須の南京錠
など、防犯グッズと安全対策を押さえておきましょう。
ひったくりの手口あれこれ
アルゼンチンでよくあるもう一つの犯罪がひったくりです。代表的な手口をいくつか見てみましょう。
携帯やカメラのひったくり
写真を撮ろうとカメラを構えた瞬間に、背後から伸びた手が携帯やデジカメを引ったくっていくケースが多くあります。
慌てて振り返っても、犯人はすでに人混みに紛れて誰がやったのか分かりません。
対策としては、無防備にカメラやスマートフォンを手に歩くのはやめること。
また犯罪者は常により簡単なターゲットを探しているため、カメラを構える前に周辺を確認して、用心深さをアピールすることも忘れずに。カメラのストラップを手首に巻き付けておくだけでも被害が防げるかもしれません。
バイクで引ったくる、通称”モト・チョロ”
歩道を歩いていると、背後から来たバイクがバックを引ったくって行く。
これが通称”モト・チョロ”です。
一瞬のことなので抵抗もできませんが、とっさにバッグを掴んで離さなかったため、転んで引きずられて怪我をしたケースも。
携帯電話を歩道でいじっていて、同じくバイクにひったくられることもあります。
バッグを道路側に持たないこと、道端で貴重品を取り出さないことが大事です。
アルゼンチンの道路は大通り以外ほぼ全て一方通行なので、背後から車が来る通りは避け、車の流れに向かって歩く通りを選んだ方が無難です。
車の窓を割ってひったくり
同じくバイクを使った犯行ですが、車の助手席や後部座席に座って膝の上にバッグを置いている人を見つけると追いかけ、信号で隣に止まった時に窓ガラスを割りバッグを奪って逃げるという手口です。
一時これが大ブームになり筆者の周りでも被害者が続出しました。
最近では誰もが用心して膝の上に物を置かなくなったため、あまりこの手の被害は聞きませんが、とにかく路上ではバイクに注意です。
若者の二人乗りや、ドライバーががっちり顔を隠している時は特に警戒のサインと思ってください。
闇両替トラブル
フロリダ通りなど観光客の多い場所には闇両替屋がたくさんいます。
中には格段にレートの良い場合もあり、つい喜んで両替してしまいがちですが、
渡した100ドル紙幣の何枚かを1ドル紙幣にすり替える手口も横行しています。
たとえトラブルに発展しても闇両替は違法なので、警察は取り合ってくれません。始めから関わらない方が無難です。
危険なスラム街・ビージャには近づかない、立ち入らない
アルゼンチンにはビージャと呼ばれるスラム街がいくつもあります。
特にブエノスアイレスのビージャ31は規模も大きく有名で、長距離バスターミナルのレティーロ周辺にまで広がっています。
ビージャは現地の屈強な男性でも近づかない場所で、中は無法地帯。
何かあっても警察ですら介入するのは難しいため、決して興味本位で立ち入ったりしないでください。
また、レティーロから長距離バスで移動される方は、夜間や早朝の発着は極力避けるようにしましょう。
サッカーの試合に伴う乱闘にご注意!
サッカー大国ならではの注意事項ですが、試合後に起きるサポーター同士の乱闘にご注意ください。
この国ではサッカーはただのスポーツではありません。
試合は戦争、サポーターは誰しも戦地へ赴く兵士のごとき意気込みでいます。
特に人気チームのボカとリーベルは宿敵同士で、両チームの対戦試合は”スーパークラシック”と呼ばれ、全国民の注目を集めます。
流血沙汰はざらなため、試合前から警察が出動して道路を封鎖するなど、試合後に両チームのサポーターが鉢合わせしないよう物々しい厳戒態勢が敷かれます。
何が起きるかわからないので、軽い気持ちで近づくのはやめましょう。
アルゼンチンの治安事情と対策まとめ:犯罪に遭わないためには
犯罪には現地の人でも遭いますが、アルゼンチンは観光客が狙われる確率はケタ違いです。
少しでもその確率を下げるために、次の3点を忘れないようにしましょう。
- 狙われやすい時間に、狙われやすい場所にいないこと
- 用心深さをアピールしてターゲットにされないこと
- なるべく現地に溶け込み目立たないこと
服装については、帽子、日傘、夏の長袖、斜めがけのショルダーバッグ、マスクなどはアルゼンチン人はまず使いません。
これらのアイテムは日本人観光客がよく使うと知られているため、即座に目をつけられるのでご注意ください。
また日本では大人も使うリュックですが、ここでは子供や学生が使うもので、年配の方が背負っていると目立ちます。
ウエストポシェットや小さめのハンドバッグは、貴重品が全てそこにあると分かるため、スリに遭いやすいと言われています。
少し大きめのチャック付きのバッグを肩にかけた方が安全かもしれません。
なるべく現地に溶け込めるよう、道行く人々の服装なども是非参考にしてみてください。
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