どんな平和な国でも犯罪やトラブルは起こります。
ハイチの治安はおそらく、他の国と比べて悪い方のグループに入る状況です。
外国人がぼんやり歩いていて突然武装勢力に拉致されるというほど、治安が悪いわけではありません。
ですがつねに最悪を想定し、注意して行動することが望ましいです。
ここでは現在のハイチの治安状況と、起きがちな犯罪、犯罪に巻き込まれないための対策や工夫をご紹介します。
ハイチに入国前、入国直後からできる安全対策
◆事前に治安情報を集める
数日から3カ月以内の滞在であれば「たびレジ」、3カ月以上であれば「在留届」を出しましょう。
・たびレジ
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html
・オンライン在留届
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
・外務省 海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_255.html#ad-image-0
◆在ハイチ日本大使館に電話連絡する
日本大使館に直接所在を知らせておくと、ハイチの治安情報をメールや電話で受けることができるので有用です。
ほかにも大きな事件・事故・災害などが起こったとき、安否確認の連絡と、最悪の状況の場合には国外退避の支援をしてもらえることがあります。
・在ハイチ日本大使館
https://www.ht.emb-japan.go.jp/itpr_ja/ambassade.html
普段からしておくべき対策~移住者が気をつけていること~
1.危険な地域(シテ・ソレイ、デルマ2通りなど)に近づかない
どうしても行く必要がある場合は自家用車か運転手付きの車で行き、短時間で用事を済ませましょう。
2.車に乗り込んだらすぐにロックし、窓は大きく開けない
荷物をひったくられる場合があります。
3.目立つ服装や行動をしない
日本人であれば肌の色だけで目立ってしまうので、なるべく目立つ色の服を着るのはひかえましょう。
4.毎日同じ目的地に行く用事がある場合は、同じルートを通らない
同じルートを使っていると、待ち伏せされて誘拐やひったくりに遭う場合があります。
5.夜間や早朝など、人通りが少なく暗い時間の外出は避ける
これらは犯罪に遭いやすい時間帯です。
ハイチで起きがちな犯罪とそれぞれの対策
ハイチで起こりがちな犯罪は次のとおりです。
- デモ(マニフェスターション、グァーブ)に伴う暴動・略奪行為
- ひったくり
- 誘拐
- 押し込み強盗
- 詐欺
以下にその具体的な内容と、対策をまとめます。
デモ(マニフェスターション、グァーブ)に遭遇したときには
ハイチではここ数年、反政府デモがくり返し起こっており、デモに便乗した暴動や略奪行為が頻発しています。
特に2018年・2019年は例に見ないほど暴動が長期化し、首都ポルトープリンスはロードブロックが行われました。
店やガソリンスタンドが襲撃され略奪されたり、議員の自宅や警察署、銀行までもが燃やされたりしたのです。
そんな混乱を数日から1週間単位で繰り返す状態が1年以上続きました。
デモが起きているときには、必要最低限の以外の外出はひかえ、必要な外出でもデモ隊が動いていない午前中に用事を済ませましょう。
今までのパターンからすれば、その時間帯であれば一時的に銀行や店も開いています。
万が一デモ隊に遭遇したり、タイヤが燃やされている場面(抗議行動の一つ)に出会ったりした場合は、来た道を引き返して遠ざかるようにしましょう。
ひったくりに合わないためには
可能な限り大きい荷物は避けて、持ち歩くのは小さい斜めがけのバックか前ポケットに入る程度のものにしましょう。
スマートフォンは、手に持っているとひったくられる可能性が高いです。
バックやポケットの中に入れるか、現地で手に入るガラケーに替えて普段は持ち歩かないようにした方がいいかもしれません。
ひったくられても後悔のないものを持ち歩いたほうが賢明です。
荷物をつかまれた際には、過度に抵抗するとケガをする可能性があるので、あきらめましょう。
警察に届け出ても非協力的で、戻ってくる可能性はありません。
誘拐対策
誘拐犯ほとんどが下調べをして犯行に及びます。
金銭目的だけでなく逆恨みで誘拐される例も。
対策は以下のとおりです。
- 行動パターンを読まれない工夫をする
- 自家用車か運転手付きの車で移動する
- 人の少ない地域で一人にならないようにする
強盗対策
自分の個人情報がもれないように気をつけましょう。
1.住む場所を選ぶ
外国人が多く住むアパートやセキュリティシステムがしっかりとしている場所がいいです。
2.自宅ではしっかり施錠をする
3.可能なら信頼できる人から家政婦さんを紹介してもらって雇い、来客対応を任せる
4.親しくなった友人を、すぐに家に招くのはひかえる
家の間取りなどを調べられた上、その情報を泥棒に伝えられ、空き巣や強盗に入られることがよくあります。
5.現地の銀行に送金をしてもらう場合や預金をする場合、小切手を作る
少々手数はかかりますが、なるべく現金は少なめに持つようにした方がいいです。
すでに持っているVisa、Master cardは大抵のマーケット・飲食店で利用できます。
銀行から現金を下ろしたときにあとをつけられて銃を突きつけられ、お金を脅し取られる事件が起こっているのです。
※UNIBANKでは国内の加盟店のみ利用できるデビットカードを発行していますが、visaやMastercardの国際ブランドは付帯していません。
他銀行で国際ブランド付帯のカードはハイチ人のみ発行可能です。
詐欺(身近な詐欺の手口)
詐欺行為は小さいものから大きいものまでありますが、よく遭うであろう詐欺の手口についてご紹介します。
1.両替による詐欺
街頭にUSドルからグルドに両替する両替商が立っていますが、両替するとき偽札を渡される可能性があります。
両替はお店で行いましょう。
地方では偽札が流通しています。
2.買い物時の詐欺
ハイチではグルドを、ハイチドル(ドラ)という場合があります。
現大統領になって通貨の単位をすべてグルドに統一し、USドル売りの店以外ほとんどの店がグルド表記に変わりました。
しかし、現在も表現や表示を変えない店もあります。
物価をよく知っておきましょう。
とてもややこしいのですが、1グルドが1ドラではなく、5グルドが1ドラです。
例えば、100グルド(20ドラ) の物を100ドラ(500グルド)と勘違いして、お金を5倍払ってしまう場合があります。
良心的な人は間違いを教えておつりをきちんと返してくれますが、大抵そのまま受け取られてしまうことが多いです。
「コンビエン アン グッド(グルド)?」とグルドでいくらかはっきり聞きましょう。
露天商などで購入するときは気をつけてください。
3.車の修理をするときはできるだけ販売店で行う
部品を古いものと取り換えられたり、再び修理に来るように悪くない部分まで壊して返却されたりすることがあります。
犯罪にあったらまず警察を呼ぶか、相談しようと思うのが日本人の心理です。
ですがハイチの警察はあまり頼りになりません。
警察官の給料が、危険で激務のわりに低いのも一因です。
こづかい稼ぎのために、交通違反を取り締まって見逃す代わりにお金をもらう警察官もいたりします。
ハイチ人にとって、警察官とは一つの収入を得る仕事であって、日本人のように志をもって就く職業ではないのです。
対応してくれる警察官にもよりますが、大きな事件ではない限り、犯人が逮捕されて盗まれた物が帰ってくる確率は低いと思ってください。
自分の身は自分で守る意識を持ちましょう。
ハイチ国内で治安の良い場所、悪い場所
◆治安が比較的良い場所
- デルマ
- ペチョンビル
- ペギービル
- ペレレン
デルマ通りは左右に道が分かれ、右が偶数、左が奇数で通り番号183まであります。
数が多くなるにしたがってペチョンビルに近づき、治安が安定していく傾向です。
しかし、外国人や富裕層が住んでいる場所で比較的治安が良い場所であっても、事件・デモなどは起こります。
◆治安が悪い場所
- シテ・ソレイ(スラム街)
- デルマ2
- カフー
- マチサン
- クワデブーケ
- ラサリン
- クワブーサル
貧困層が多く住む場所はギャングの温床になりやすく、治安は悪いです。
ハイチ国内での銃の所持、取扱いについて
ハイチで銃を所持できるのは、警察官やガードマン、許可を得ている人のみです。
一般の人が銃を入手するには、ハイチの警察で許可を取って海外で購入したものを持ち込む方法のみで、銃器を販売しているお店はありません。
警察官は拳銃、部署によって猟銃を所持しています。
ガードマンは猟銃を所持していて、銀行やスーパーマーケットなどに常駐しているのが通常です。
攻撃してくる人がいれば、個人の判断で発砲することができます。
警察官やガードマンが個人の判断で発砲できる点をみれば、銃の取り扱いに関しては日本よりだいぶゆるいのではないのでしょうか。
筆者の家の近くのガソリンスタンドで、深夜に投石をされたとして警備員が発砲した事件がありました。
女性の一人暮らしや外国人でも安全な暮らし方と工夫
やはり女性や日本人を含む外国人が安全に暮らしていくには、治安の比較的良い場所を選びたいものです。
ホテルや、同じ国の人もしくは外国人が住むマンション・アパートといった集合住宅で暮らすのをおすすめします。
ホームステイを受け入れてくれる場所があれば、そういった所でもいいでしょう。
そして周りの人と常にコミュニケーションを取っておくこと。
同じ外国人にしてもハイチ人にしても、親しくなれば近くで起こった事件・事故・デモの情報を提供してくれ、注意を促してくれます。
まとめ
ハイチの治安はいつも不安定なので、事前に情報収集をして行動するようにしてください。
入国後すぐにハイチ大使館に所在を知らせておけば、情報提供や国内にいるのが危なくなったとき、国外退避の支援をしてもらえる場合があります。
犯罪に遭わないために気をつけたいことは
- スラム街などの危険な地域に近づかない
- 車で行動し、乗り込んだらすぐ施錠する
- 目立つ服装は避ける
- 行動パターンを把握されない
- 暗い時間帯の外出はしない
- デモに遭遇したら遠ざかる
- 自宅にいるときは 常に施錠する
- 家政婦を雇える場合は来客対応を任せる
- 一人暮らしの場合は扉を開ける前に相手を確認する
- 信頼できる人以外家に招かない
少々窮屈な生活と思われるかもしれませんが、生活していれば自然に身につくものです。
今回はハイチの治安の問題を紹介したので、ハイチの怖い部分だけクローズアップされてしまったかもしれません。
ハイチには美しい自然や文化、本質はやさしく親切なハイチ人が暮らしています。
上記で紹介した注意点を守りながら、どうぞハイチの生活を楽しんでください。
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