日本ではあまり知名度が高くない小さな国、ルクセンブルク。
ドイツにある都市と勘違いされることもしばしばですが、この国にはたくさんの魅力が詰まっています。
この国の特徴、そして留学の魅力をルクセンブルク大学へ在学中の筆者からお届けします。
ルクセンブルクという国。伝えたい4つのこと
ルクセンブルクはドイツ・フランス・ベルギーに囲まれた小さい国です。
その大きさは神奈川県とほぼ同等でも、EUの第2の首都とも呼ばれ様々な機関が集中しており、ヨーロッパ経済の中心として大きな役割を担っています。
1.世界一のGDP
一人当たりのGDP(国内総生産)は20年以上連続で世界一となっています。(ちなみに日本は世界で22位)人口はたったの57万人ですが、世界で一番裕福な国ともいうことができます。
その理由としては、ルクセンブルクがヨーロッパの金融の中心であるということ。
鉄鋼業から金融業へと産業を移行する政策が成功し、いまや海外から多数の金融機関が進出しています。
金融企業のみならず外資企業も多数参入しており、ルクセンブルクに拠点を置く企業も増えてきています。
そのため、典型的な福祉国家でないにもかかわらず、失業率は低く所得格差も小さいと言われています。
実際に生活していると、随所で国の経済力を目の当たりにすることがあります。
- 無料で行われるイベントの数々
- 社会保険・社会福祉制度の充実
などなど
学生は今でも無料なのですが、2020年からはすべての人が国内の公共交通機関を無料で利用することができるようになる予定です。
2.多言語国家。公用語が3つある
国の公用語はフランス語・ドイツ語・ルクセンブルク語の3つです。
ルクセンブルク人であれば、ほとんどの人が3つの言語を完璧に使いこなします。
公用語が複数ある国はいくつかありますが、国民がすべてを使っている国は類まれなのではないでしょうか。
それに加え、公用語ではないものの英語を話す人も非常に多いので、英語だけで生活をすることも可能です!
人口の約半数が外国人という特徴も持つルクセンブルクでは、この4か国語以外にもあらゆる言語が飛び交っています。
あらゆる表示が2か国語以上で書かれていたり、街に出ればいろんな言語が聞こえてきたり、単言語国家で暮らす日本人からすればとても新鮮で刺激的な生活が待っていますよ。
3.治安がいい
ルクセンブルクは治安がとてもいいです。
世界で最も安全な国ランキングでも常に上位にランクインしています。
例えば、ロンドンやパリではスリが多く、特に地下鉄は危険ということを耳にしますが、ルクセンブルクの電車は安全です(人口が少ないため満員にならないということもありますが笑)。
深夜に一人で外を出歩いていても、今のところ怖い経験をしたことはありません。
やはり道や店の前には物乞いの人がいることがありますが、周辺欧州諸国と比べたら圧倒的に少ないし、危険ということもないです。
4.ルクセンブルク人の国民性
一般的にはルクセンブルク人は内向的だとも言われていますが、私が出会ったルクセンブルク人はフレンドリーで寛容な人が多い印象です。
多様性が詰まっている国なので、ルクセンブルク人も色んな国の人を受け入れる姿勢ができているように感じます。
留学生でも積極的に輪に入れてくれて、日本について興味を持ってくれる友達がいたのはとてもありがたいことでした。
その反面、ルクセンブルク人がゆえに苦労することもありました。
彼らは3か国以上を日常的に話すので、私とは英語で話してくれてもすぐ他の言語に変わってしまうことがよくあります。
他の言語で話していると話しかけるのをためらってしまうし、英語しか話せないことで排除された気持ちになったりもしました。
それがルクセンブルクの面白い所ではあるのですが、そんな環境になれるのには時間がかかりました。
私がルクセンブルク留学を決めた理由
漠然と留学に行くならヨーロッパ、という想いがありました。
そのなかでも、せっかく留学するなら英語が通じてかつ英語以外の言語も学べるところ、と考えて絞りました。
日本では社会福祉を勉強していたため、福祉制度が整っている国という条件も考慮にいれルクセンブルクを留学先候補として決定しました。
現在は社会福祉のなかでも対人援助に焦点を当てて、心理学を専攻しています。
ルクセンブルク大学について
ルクセンブルク大学は国内唯一の総合大学で、2003年に創立したまだ新しい大学です。
学部は、
- 理工学部
- 法経済学部
- 人文科学部
の3つです。
それぞれ、授業によってフランス語・ドイツ語・英語の3か国語で展開されています。
研究に力を入れているため、修士及び博士課程・研究者も多く在籍しています。
ルクセンブルクの魅力に取りつかれて、交換留学の後に修士や博士課程の正規生として戻ってくるケースもよく耳にします。
ルクセンブルク留学の実際。ビザや住まい、費用は?
学生ビザ
筆者は現在、学生ビザで滞在しています。
交換留学生としての入学許可がおりてから、必要な書類を準備して大学に郵送しました。
ルクセンブルクから送られてきた仮滞在許可証をもって入国し、こちらで健康診断やワクチンなどを受けて、正式に学生ビザを取得しました。
このビザでは、週に15時間の労働が認められています。
ただ、働くとなると公用語のどれかを話せないと厳しいかなという印象があります。
日本語を学びたい人はたくさんいるので、私はその人たちと個人的な契約をして日本語を教えています。他の日本人留学生では、日本企業で働いている人もいますね。
住まいは学生寮
だいたいの留学生は大学から30分圏内にある学生寮に住んでいます。
寮によってスタイルは様々ですが、私が住んでいるのはキッチンのみ共用タイプの寮です。
家賃の予算と最低限の要望を伝え、大学側が割り振ってくれました。
大学にも近いですし、フラットメイトと話をしたりたまに寮でパーティーがあったり、楽しく快適に暮らしています。
物価事情や留学費用
ルクセンブルクの物価は、安いとは言い難いのが正直なところです。
主な留学費用としては、
- 家賃が月に5〜7万円程度
- 食費が3万円程度
- そのほかに生活用品や衣服などの費用
- そして旅費や娯楽費
といった感じです。
周辺国の方が物価は安いので、バスで国境を越えてフランスのスーパーで買い物をすることもあります笑
あとは大学の学食が安くて美味しいのでそれも活用しています。
このように工夫をしたり自炊をしたりすれば留学の費用は安く済むと思います!
関連記事:ルクセンブルクの物価事情。1ヶ月の生活費は30万円
ルクセンブルク大学の留学生活の実際
学部によって異なるとは思いますが、正規の学生であれば週に7〜10個の授業を入れている人が多いです。
授業は、好きな言語で行われているものを選択することができます。
フランス語・ドイツ語・英語とそれぞれ均等に受けている人もいれば、2言語の人もいますし、もちろん私のように英語だけの授業をとっている人もいます。
ですので、英語しか話せなくても留学は可能です。
日本と異なると感じたこと
こちらの留学生は、日本と比べると家族や恋人との時間を大切にしている人が多いように感じます。
アルバイトをしている人はほぼいないので、授業が終わったら家に帰っているようです。
試験前になると、やはりこちらでもみんな図書館で一生懸命勉強しています。
日本と違うところは、授業中の飲食が自由なことです。
授業時間もコースによって違うので、軽食を持ち込んで授業に参加しています。前学期に5時間の授業があったのですが、私もサラダやフルーツを持っていって食べながら講義を聞いていました。
それと、日本の学生が往々にして行う授業中の居眠りは一切ないです。
こちらの学生は、つまらなくなったら帰ってしまうかゲームをしてますね。
せっかくの留学!娯楽や観光の補足情報
ルクセンブルクでの休暇の過ごし方としては、誰かと美味しいごはんやお酒を楽しむのがポピュラーだと思います。
ドイツとベルギーに隣接しているのでビールは美味しいですし、フランスにも接しているのでワインも美味しいです。
いろんな国の良いとこ取りという感じがします。
- 自然が豊かなのでハイキングをしてみたり
- 自転車を借りてサイクリングをしてみたり
- パーティーやイベントなどで新しい人に出会ったり
- 美術館や博物館に行ってみたり
ルクセンブルク市の旧市街は世界遺産に登録されているのですが、何回行ってもとても綺麗で、大好きな場所です。天気がいい日にカメラをもってよくお散歩に行きます。
日本と比べると娯楽はあまりないですが、とても贅沢な休日の過ごし方だなと思います。
実際に1年間留学をしてみて。その魅力とは
ルクセンブルクに留学してよかったと思うことは、まず、実に様々な国籍の人と関わることができることです。
上記にもあるように、外国人の割合半分近いルクセンブルクでは世界中の人と出会えます。
その人たちと話して言語や文化について知ったり、議論をしたりするのはとても面白いです。
その中で、日本についても日本にいるとき以上に考えるようになりました。
また、もう一つ大きいのはルクセンブルクののんびりとした雰囲気です。
日々忙殺されていた日本の生活から離れ、「人」をもっと大事にするようになりました。
娯楽があまりないルクセンブルクだけど、それゆえに色んな人と心を通わせる時間がとても大切に感じます。
余裕があるからこそ、自然を感じたり何かについて考えたり、日本ではなかなかできなかった生活を送れているように思います。
どんな人やものでも受け入れてくれるような、寛大なこの国がとても心地良く感じています。
まだまだ魅力はたくさんのルクセンブルク留学、興味をもつきっかけとなれたら嬉しいです。
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