ウズベキスタン料理と聞いて、どのような料理をイメージするでしょうか?
ウズベキスタンはシルクロードの中継地として栄えた背景があり、130もの民族が住んでいる国です。
そのため、ヨーロッパ方面やロシア、中国などから由来したさまざまな料理があります。
日本でもウズベキスタン料理を提供しているお店がいくつか見かけることができますが、そのほとんどがトルコ料理などと一緒に提供している状況です。
ここでは、意外と日本人にも好まれる「ウズベキスタン料理と食文化」についてご紹介します。
ウズベキスタンの主食
◆ノン(パン)
ウズベキスタンの主食は「ノン」といわれるパン。
ノンは、タンドールといわれる窯に貼り付けて焼きます。
各地で大きさや厚さ、味わいはさまざまです。
1枚のノンをちぎって家族など多くの人々で食べます。
ウズベキスタンではお米や麺料理もありますが、常にノンと一緒に食べるのが一般的です。
ウズベキスタンの料理
◆パロフ
ウズベキスタンの伝統料理の定番といえば「パロフ」です。
日本の料理でいうと、チャーハンやピラフに似ています。
パロフは油でお好みのお肉を炒め、玉ねぎとにんじん、お米を塩で味付けした料理です。
使う食材こそシンプルですが、作り方が地域によってさまざま。
お好みで唐辛子やにんにく、ひよこ豆やうずらの卵なども入れることもあります。
◆シャシリク
牛肉や羊肉、鶏肉を炭火で焼いた料理「シャシリク」。
ロシアやウクライナなどの旧ソ連圏の国々で人気のバーベキュー、肉の串焼きです。
写真はウズベキスタンでもホラズム州で多く見られる牛肉のミンチタイプのシャシリク。
お肉が新鮮なのでジューシーでおいしいです。
ウクスス(香辛料が効いた酢)をお好みで振りかけて食べます。
◆ソムサ
ウズベキスタンのいろいろな場所で目にする「ソムサ」。
ウズベキスタンを含む中央アジアの料理です。
パン生地やパイ生地の中にお肉(牛肉、羊肉、と鶏肉)と玉ねぎ、じゃがいもと玉ねぎ、かぼちゃと玉ねぎ、ほうれん草と玉ねぎなどさまざまな具が入っています。
オーブンで焼かれたソムサもありますが、ウズベキスタンのタンドール(窯)で焼かれたソムサは絶品です。
◆マンティ
小麦粉を使った生地に具を入れて蒸した料理「マンティ」。
中央アジアやトルコ、コーカサス地方や中国北西部でみられます。
インドやネパールの「モモ」という料理にも似たものです。
前述のソムサのように中の具材にはいろいろな種類のものを用います。
ヨーグルトと一緒に食べると絶品です。
◆ラグマン
「ラグマン」にはスープタイプ、焼うどんタイプ、半スープタイプといろんな種類があります。
写真は中国ウイグル自治区から伝わってきた「ウイグルラグマン」。
コシが効いた麺といろいろな野菜を香辛料で味付けされた、絶妙な味わいのスープです。
◆バラク
「バラク」は、小麦粉と卵を使った生地の中に具を入れて茹でた料理です。
スープ料理にバラクを入れた料理もあります。
写真は春にしか採れないクックという野草から作られたクックバラク。
他にも具に卵を使った、ウズベキスタンでもホラズム州でしか食べられない伝統料理「トゥフムバラク」などもあります。
ヨーグルトと一緒に食べるとおいしさが一層増すのでおすすめです。
◆ショルパ
ウズベキスタンには、さまざまなスープ料理があります。
ショルパは羊肉または牛肉とトマト、ジャガイモ、ニンジンを具材にした塩味スープ。
骨付き肉を5~6時間煮込んだスープやワンタン入りのスープ、肉団子入りのスープ、細麺入りのスープなどとにかく種類が豊富です。
写真は「ガルプツィ」といわれるパプリカに、お肉とお米を詰めたスープ料理です。
お肉のダシが出ていておいしいです。
ウズベキスタンのB級グルメ
◆ガンブルゲル
「ガンブルゲル」は、スパイスなどで味付けしたお肉を大きな棒に巻きつけて遠火で焼いたトルコ料理の「ドネル・ケバブ」を、削ぎ落して薄いパンはさんだ料理です。
つけ合わせの少し辛口のトマトソースをかけて食べると絶品。
手軽に食べられるので若者に人気です。
◆ラバッシュ
「ラバッシュ」は薄い小麦粉の生地の中にさまざまな具を入れて巻いた料理です。
具材は牛肉もしくは鶏肉に、きゅうりやトマトなどの野菜とマヨネーズやポテトチップスなど、お店によってさまざま。
アルメニアでは薄型のパン自体がラバッシュと呼ばれているようです。
ウズベキスタンの飲み物
◆お茶
ウズベキスタンではとにかくお茶をよく飲む習慣があります。
食事時にはもちろん、来客時などにお菓子類とともにお茶を飲むのです。
一般的に緑茶を飲みますが、日本の緑茶と比べると少し異なります。
ウズベキスタン領土でお茶は生産されていないため、すべて輸入もので中国産やインド産のものがほとんどです。
◆ウオッカ
ウズベキスタンではイスラム教の人が多いですが、結婚式などのお祝い事ではアルコール類も飲むのが一般的です。
イスラム教の国でお酒を堂々と飲める国は珍しいかもしれません。
ウズベキスタン産のウオッカも数多く、アルコール度数40度のウオッカを小グラスで一気に飲み干すのが、ウズベキスタンの飲み方。
お酒類も普通にお店で販売されています。
◆ビール
ウオッカと同様、ウズベキスタン産の「SARBAST」や「Pulsar」を暑い夏の結婚式などのお祝い事で飲むのも一般的。
ウズベキスタンは旧ソ連圏ということもあり、ロシア産のビールなども販売されています。
◆ワイン
ウズベキスタン産のワインも豊富です。
観光地であるサマルカンドやブハラではワインの試飲ができる場所もあります。
他国のワインと比較するとやや甘口のワインが多いです。
◆コニャック
ウオッカやビール、ワインと同様にウズベキスタン産のコニャックも販売されています。
主にお祝い事でテーブルに並べる酒類のひとつです。
ウズベキスタンのデザート
◆ハルバ
「ハルバ」というお菓子は、バングラデシュからモロッコまでの広い地域でみられるようです。
ウズベキスタンの「ハルバ」は、ひまわりの種と油脂、砂糖が使われているものが一般的。
日本人の口にも合い、ウズベキスタンに来られた日本人はお土産に持ち帰る人もいます。
◆パフラヴァ
「パフラヴァ」は、ウズベキスタンを含む中央アジアをはじめ、アゼルバイジャンや中東・トルコなどで人気があるお菓子です。
オスマン帝国で発明されたといわれています。
各国でさまざまなナッツ類が使われるようですが、ウズベキスタンではクルミとレーズンが用いられたものが一般的です。
ウズベキスタンの食事のマナー
◆年配の人から食事に手をつける
ウズベキスタンでは、料理も年配の人から順番に提供されますが、食事に手をつけるのも年配の人からです。
年配の人が食事に手をつけてから、他の人も食事を食べ始めます。
◆食後の「オーミン」
ウズベキスタンには130もの民族が住んでおり、そのほとんどの人がイスラム教です。
食後は、日本でいう「ごちそうさま」の意味を込めて、全員が「オーミン」をします。
「オーミン」の流れは次のとおりです。
- まず両手を「水をすくうように」胸の前で手を合わせます。
- 一番年配の方がさまざまな祈りを唱えます。
- 唱え終わったあとに全員が両手で顔を洗うように動作します。
ウズベキスタンで良く使われる香辛料
◆クミン
「クミン」は日本ではあまり馴染みがない香辛料かもしれませんが、ウズベキスタンの料理に欠かせません。
パロフやソムサ、ショルパなどさまざまな料理に使われており、独特の風味を与えてくれる香辛料です。
ビタミンも豊富で、消化を助ける作用もあり、美容やダイエット効果もあるといわれています。
◆ディル
「ディル」は、ウズベキスタンでは雑草のようにあちらこちらに生えています。
パスタ料理をはじめ、サラダやショルパなどに使われる香辛料です。
ビタミンも豊富で胃腸を整えるほか、リラックス効果もあるといわれています。
ウズベキスタン料理と食文化のまとめ
多民族国家ならではのウズベキスタン料理についてご紹介しました。
パンのみではなく、お米や麺料理など料理の種類も豊富で、いろいろな国の文化が混ざっていることが伝わったでしょうか?
ウズベキスタンは世界に2ヶ国しかない二重内陸国(海に到達するまで国境を2回超えなければならない国)の1つです。
全体的にお肉料理が中心ですが、湖で採れるお魚をから揚げにして食べなどといったお魚料理も豊富にあります。
ウズベキスタンの人々は魚料理が大好きです。
意外と日本人の口にも合う料理が多いので、ぜひウズベキスタンでいろいろな料理を食してみてはいかがでしょうか?