日本人に人気の旅行先で、たくさんの日本人が暮らすことでも知られているタイ。
この国は、温暖な気候と豊富な自然、エキゾチックな街の風景、そして多くの人が日本と同じ仏教を信仰する国なので親しみやすく微笑みの国と言われているタイ人の人柄が人気です。
このように日本人にとってタイはまるで日本にいるかのような国と思いがちですが、移住してみると日本では体験できないことがたくさんあります。
この記事は、筆者がタイに移住して7年で経験した驚いたことや衝撃を受けたことなどを紹介します。
タイの法律や制度で驚いたこと
タイには独特の法律や制度があります。これらは日本にはないため初めて知ると大きな衝撃を受けます。
ここではタイの法律や制度で驚きと衝撃を受けた事を紹介します。
高額な医療費
日本の医療制度は、国民が平等な医療を受けられるように保険に加入して医療機関で支払う費用は原則3割で、さらに高額療養費制度も完備されています。
このように、誰でも必要なサービスを少ない費用負担で受けられるのは世界の国の中では優れた医療制度です。
タイの医療制度は、タイ人向けには1回の外来や入院の保険負担が30バーツの保険があります。
この保険を利用する際には指定された居住地の公立の医療機関で治療を受けますが、患者が多いため長時間待たなければなりません。
外国人も公立病院を利用することができますが、タイ語しか通じないこともあるため多くの外国人は医療設備の整った私立病院を利用します。
さらに、私立病院の中には外国人向けに通訳が常駐しているところもあります。
私立病院の医療費は高額で、病院により異なりますが額面では日本の医療費の3倍ほどです。
入院を伴う治療が必要な場合は、保険に加入をしていないとデポジットとして保証金を要求されます。保証金を払わないと治療してもらえないため、外国人がタイで暮らすには民間の保険会社の医療保険に加入すると安心です。
日本とは違う銀行手数料
タイに旅行された方は、市中の至る所に銀行のATMがあることに気づく方も多いのではないでしょうか。
一方、日本の銀行のATMは銀行内や建物の中なのでそれほど多くはありません。
さらに、時間外や他行のATMを利用する際には一定の手数料がかかります。
タイのATMは24時間利用が可能で、時間帯によって手数料が必要ないので大変便利です。
さらに、他の銀行のATMを利用しても1カ月に4回までなら手数料がかかりません。
一方、口座のあるお店と異なる県のATMから引き出す際には1回につき15バーツの手数料がかかります。
例えば、バンコク銀行のバンコク内の本店や支店に口座がある場合、スワンナプーム空港のあるサムットプラカーン県のバンコク銀行のATMでお金を引き出すと手数料がかかります。
禁酒日と酒類販売禁止の時間帯がある
タイでは日本では考えられない法律があります。
その一つが禁酒日と酒類販売禁止の時間があることです。
禁酒日はカオパンサーやオークパンサーなど仏教で重要な日で1年間に5日あります。
タイは全国民が仏教徒ではなく、南部を中心にイスラム教の信者もいますが仏教がタイにとってどれほど重要なのかが分かります。
さらに、選挙の前日18時頃から当日の18時までは禁酒日になります。
これはお酒を飲み過ぎると投票に行かないなどの理由があるそうです。
酒類の販売は毎日11時から14時と17時から24時までは許可されて、それ以外の時間は禁止です。これまでバンコクなどのバーは2時まで営業が認められていましたが、4時まで延長する方針が政府から出されています。
0時以降は酒類の販売禁止ですが全く気にしないのがタイらしいところです。
タイの生活で驚いたこと
タイで暮らしていると改めて日本との違いに驚くことがあります。タイに移住する前から聞いていたことや、タイに来てから体験したことなどさまざまです。
ここでは、タイで生活をして初めて体験して驚いた事について紹介します。
進んでいるキャッシュレス社会
日本はショッピングや食事などで現金で支払うケースがまだ多いですが、タイはさまざまな場面での支払いはキャッシュレスです。
タイでキャッシュレス化が進んだのは、政府がキャッシュレス決済を奨励して2018年には83%がキャッシュレス決済になったと言われています。
政府はキャッシュレス化を奨励しただけでなく、電子決済システムのProm Payを導入したことで屋台の食事や露店での買い物などほとんどのお店で利用できます。
キャッシュレス決済は政府給付金や公共部門の受け取りや支払いにも活用されています。
最も顕著なのは、タイ人が保有しているIDカードには銀行口座が紐付きのため、コロナ禍の政府からの給付金の支給もスムーズに行われていました。
キャッシュレス化が進んだためレストランなどでは現金では支払えないお店もありますが、Prom Payはタイ人しか利用できないので、タイ旅行の際にはクレジットカードを携帯すると安心です。
学歴重視のタイ社会
アジアの国では韓国や中国の学歴社会は有名で、日本のメディアも紹介するほどです。
あまり知られていませんがタイもこれらの国と同じような学歴社会です。
タイの最難関大学はバンコクのサイアムにあるチュラロンコーン大学で、その他にタマサート大学などの3大学が超名門大学と言われて、地方の名門大学には女性初のインラック元首相の母校のチェンマイ大学などがあります。
日本にも東京大学を頂点とした名門と言われている大学がありますが、タイの大学が違うところは出身大学で初任給や昇進が違うことです。
日本では出身大学で給与が異なることはありませんが、タイは人物よりも学歴が重視される国なのです。
タイの習慣で驚いたこと
タイに移住してみると日本ではありえないことや、想像していたのと違う習慣なので戸惑うことがあります。ここでは移住して驚くタイの習慣を紹介します。
バイクの歩道通行、逆走、4人乗りはあたりまえ
タイは日本と同じように車社会です。
その中でもオートバイはタイ人にとって日本の自転車のようなもので、たくさんの人が利用していますが日本では考えられないような乗り方をしています。
その一つは歩道の走行です。
主にモーターサイと呼ばれているバイクタクシーの運転手はお客を目的地に届けた後に乗車地へ戻る際に歩道を走ってきます。
勿論歩道は人が歩いていますが、バンコクなどの都市でこの光景は珍しいことではありません。
道路の逆走も当たり前で、歩道側を車で走っていると目の前からオートバイがこちらに向かって走って来ることがあります。このようなオートバイの走行もほとんどはバイクタクシーの運転手です。
その他の走行では1台のオートバイに4人を乗せて走っていることがあります。
タイの道路交通法ではバイクの乗車人数は明確に規定されてないようですが、日本では絶対に見られない光景です。1台で4人も乗れるなら自動車は必要ないかもしれませんね。
タイは意外にチップ社会
タイは日本と同じようにチップの習慣がない国と言われています。しかし、意外にチップが必要な場面があります。
ホテルで荷物を運んでくれたポーターやベッドメイキング、ルームサービスの担当者に20から40バーツ程度のチップを支払う習慣があります。
旅行客の多くは外国人なのでチップの習慣がない国の宿泊者はチップを知らずに支払わないこともありますが、アメリカのように必ず払わなければならないと言う事ではないので、チップを払わなかったらサービスが悪くなることはありません。
食事の際には市中の食堂では必要ありませんが、ショッピングモール内のレストランの多くはサービス料として料金に10%加算されます。
サービス料はプールされて定期的に従業員へ配られます。
コンドミニアムで修繕担当に部屋やエアコンなど簡単な修理を頼んだ際には100から200バーツ程度のチップを渡します。
このチップは修繕担当者への心付け的なものです。
マッサージを受けた際には料金以外にマッサージ師に100バーツ程度、ゴルフのキャディにはキャディフィ以外に300から400バーツ程度のチップを支払います。
どちらもフルコミッションに近い給与体系のため他の仕事に比べてチップが高額になります。
このように、タイでは日本では払うことがないチップがあります。
まとめ
タイの制度や習慣などはいろいろな所で紹介されているので知っている方も多いと思います。しかし、実際に体験すると日本の習慣との違いに驚いたり、どのように対応すればよいのか迷うこともあるのではないでしょうか。
初めからタイの制度や習慣を知っている外国人はいないのですから、タイに移住してタイ人の知り合いができたら聞いてみれば教えてくれますよ。