スウェーデンに移住したあとまずはSFIという移民用のスウェーデン語学校に通う人が多数です。
多くの人が学校へ「通う」という選択をしますが通わず自宅でネットを使って各自勉強をする“ディスタンス”で学べる環境もあります。
SFIについて、ディスタンスで学ぶことのメリット・デメリットをスウェーデン移住者からご紹介します。
スウェーデン語学校・SFIとは
svenska för invandrareの略で移民用のスウェーデン語学校です。
エスエフアイではなく“エスエフイー”と読みます。
授業料は要りません。
スウェーデンで就職や就学の際、このSFI卒業というのがないと難しい場合があります。
また「就職のためにつけておきたい知識を得るために講習会へ行こう」という場合にも、SFI卒業がないと受けられないなど選択肢が狭まることがあるので卒業しておくことをおすすめします。
まずはレベル分けテスト
SFIはABCDのコースに分かれています。
Aが一番最初の初心者クラスですが初心者でもBから始まることもあるようです。
私のときは、まず最初に個室へ呼ばれて先生と話しをしました。ここでどのレベルのテストを受けるかを決めているようです。
パソコンが並んだ部屋に通されて各自パソコンを使ってテストを受けます。
内容は「さらさらっと終わるのかなぁ」と思っていた予想を大きく裏切られヘロヘロになってテストを終えました。
このテストのあとにまた最初の先生と面談。
テストの結果から自分のコースを知らされ、どの地域のSFIに通うかを聞かれます。
私は移動が多く毎日同じ場所に通うことができない生活のためディスタンスを希望。先生はそれでも通うことを勧めて来ましたが実際問題通えないということを何度も説明し了承してもらいました。
SFIの説明会
すべてのSFIがディスタンスをしているわけではないため、自宅から最寄りのSFIに登録できるとは限りません。
コース分けテストのあとに登録した、ディスタンスをしている地域のSFIを後日訪れ、他のディスタンスの生徒たちと一緒に説明を受けます。
テキストを受け取り、家で勉強するときに使っていくサイトの使い方を教えてもらい、そのサイトへのログインIDやパスワードを作り、結局トータルで3時間くらいありました。
いよいよ勉強開始
SFIのサイトを使いながら、時にyoutubeも使いながらの勉強がはじまります。
基本的には1週間に1度Skypeを使って先生との口頭テストがありました。
1週間のうちにやるべき課題があるのですが、その範囲のことについて質問されたり発表したりします。
先生によって声だけでSkypeする先生もいればお互いの顔を見ながらする先生もいます。
ディスタンスで勉強するメリットとは?
ディスタンスの良いところは何と言っても人間関係に疲れなくても良いというところです。
文化の違ういろいろな国から来ている生徒と勉強する中で、勉強することからではなくそういったクラスメイトとの関係にストレスを感じてしまう人がけっこういます。
そういった面倒なところがないのはディスタンスで勉強してみて楽だったところです。
それから日本への一時帰国中にも勉強できるというところもあります。
せっかくの一時帰国中なんだからスウェーデン語から離れたいという意見もあるかとは思いますが(笑)
私ははやく卒業してしまいたかったので一時帰国中にもSkypeの口頭テストに向けて勉強し、週一で先生とSkypeをしていました。
日本に帰ってまで課題をこなして口頭テストを受けることはハードでしたが、もしも毎日学校に通って勉強していたら休んでいる間はストップしてしまうと思うので良かったと思います。
また指示される1週間分の課題以上に課題をこなして頑張ればその分早く卒業も近づきます。
顔出しでSkype口頭テストを行う先生と話すときは言っていることがわからなくても相手の表情や動作で想像できることがありますが声だけでSkypeをする先生とではそういったことができず難しくなります。
この経験から電話することへの緊張感が少し減ったと思います。
ディスタンスで勉強するデメリット
やはり何と言っても「聞く力」「会話力」を伸ばすのが難しいという点です。
週一回の口頭テストのときに先生と会話する時間はありますが、毎日学校に通っている人に比べればその時間は比べものにならないでしょう。
そして孤独。
私は最終コースのDから受講したので読む内容も難しく、また、たまたまなのか怖い話ばかりがテキストに載っていたので1人で勉強することにものすごく疲れるときがありました。
ディスタンスでの勉強は自分で努力するかどうかにかかってきます。
それからこれは卒業したあと働き始め感じたことですが、それまでの私の友人・知人はほぼスウェーデン人だったので日本以外で自分と同じように移民としてスウェーデンにやって来た人たちと出会ったことがありませんでした。
彼らも自分と同じような経験をしながらスウェーデンでの生活をはじめた人たちなので共感できる話や、ためになる知識なども聞けて、「毎日学校に通ってたら人間関係でしんどかっただろうなぁ」としか思っていなかった私の考えにちょっと変化がありました。
ナショナルテストに合格して卒業へ
先生から案内があるとナショナルテストを受けます。
これはウェブ上では出来ないので説明会へ参加した以来で学校へ行きました。
紙のテスト(読み書き・聞き取り)・先生方の見守る中他の生徒との討論・先生方を前に会話というテスト内容で丸一日かかりました。
在学中A・B・C・Dそれぞれのコースで1回ずつこのナショナルテストを受けるようです。
私は卒業前のコース、Dコースから始めたので卒業テストとなるこのテストで合格するともう終了でSFI在学中、実際に学校へ行ったのは最初の説明会とナショナルテストの2回だけでした。
卒業までの期間について
ディスタンスは特に個人でどれだけ努力するかにかかっているので『これくらい日が経てば卒業できます!』と断定はできませんが努力次第ではやく卒業することも可能だと思います。
ちなみに私はDコースでのみ勉強しましたが卒業までは半年かかりました。
私が旅の多い生活なので旅先で勉強が出来なさそうなときは度々休みを取ったりしつつ、その前後でなるべく休む分の課題をこなしていました(1週間休むのなら2週間分の課題をこなしていました)
もちろん、そうできないときもありました。
ネット上でもSFIのひとつのコースを修了する目安として6か月~とあります。
初心者コースのAからはじまった人はA→B→C→Dコースと順調にいけば2年で卒業となるようです。
ただ説明会のときに先生から言われたことが、「ディスタンスは自分のペースで進められるから毎回2倍の課題をこなしたら数か月で卒業できるわよ」と。
いや、かなりハードだと思います(笑)
家事や仕事など何もしないで勉強だけできる環境であれば可能かと思いますがそうでない人が多いと思うので超レアなケースだと思いつつ例をあげると、日本でスウェーデン語をある程度勉強していたり交換留学経験があったりしてSFI 入学と同時に最終のDコースから勉強をはじめたとします。
基本の何倍か頑張って課題をこなし、先生にもナショナルテストを受けて良いと認められて日程的にすぐナショナルテストがあれば数か月での卒業も可能だと思います。
各地域のSFIで異なることもある
私が勉強したのはストックホルムのSFIです。
地域によってやり方が違うようなので引っ越された先の地域では、ここで紹介したものと違っていることもあるかもしれません。
例えば、スウェーデンの北部にあるスンスバルのSFIディスタンスではSkypeでの口頭テストはないそう。
先生と会話する機会はなく、代わりに自分が話すことを録音したものを先生に送って添削してもらうのだとか。
またストックホルムの先生はディスタンスを渋りましたがスンスバルではすんなりディスタンスの申請が出来たそうで、そういったところも地域によって違うようです。
スウェーデンへ移住される方は、ぜひ参考にしてみてください。