ロシアに住んでみると、ロシア人カップルや日露カップルの様子を垣間見ることがあります。
日本と比較すると、恋愛や結婚観はどのように違うのでしょうか。
ロシアというと、お人形のようなロシア人女性のイメージや、ちょっと気難しい男性のイメージがあるかもしれません。
日本人の目から見ると、ロシアならではの不思議な感覚にも確かに出会います。
今回は、ベールに包まれたロシアの恋愛・結婚事情について、色々な角度からご紹介してみたいと思います。
ロシア人の男女の距離感は近い。が注意も必要
ロシアでは、子供の頃からスキンシップの習慣があります。
男女共に頬を合わせたり、ハグしたりして挨拶します。
初めのうちは、男性同士で頬を合わせる挨拶には少し驚きましたが、すぐに見慣れます。
高校生や大学生などが、彼氏彼女ではない男女の友達同士でハグし合うのを見ると、日本とは全く違うなあと思います。
幼い頃から女の子が大切にされている様子がよく分かります。
でも注意点がある
このスキンシップの挨拶はロシアでは一般的ですが、注意も必要です。
それは、この挨拶があまり好きじゃない人達もいるからです。
親しい友達のご主人や両親など、やっと会えた!と親しみを込めて挨拶をしたつもりが、実は家族以外とはスキンシップしないタイプだったりということもあります。
OKの場合、近づいたときに手を広げて迎えてくれるので、雰囲気で判断できます。
カップルになると、待ち合わせ場所ではハグとキスが基本です。
人前でのスキンシップは幼い頃から当たり前になっているので、特に恥ずかしくもなければ、他人も全く気にしません。
頬を合わせるか、キスするかでカップルかどうかも分かりますね。
恋愛と始まりきっかけは?
・始まりのパターン
ロシアでは、どのように交際が始まるのでしょうか?
このテーマについては、何となく始まったり、気付いたら始まってたという話が多いとよく言われています。
趣味の合う友達と一緒に美術館やイベントなどに出かけているうちに始まる感じですね。
確かに、中学校で出会ってそのままずっと一緒にいて結婚というパターンがあります。
友達だったけど、あるきっかけで急に始まったというカップルを知っています。
ただ、筆者の周りで意外に多いのは、女性側からのアプローチで始まったというパターン。
これは、日本でもやっぱり増えてきているので、現代の特徴とも言えますね。
・組み合わせの特徴
日本でも言えることかも知れませんが、押しの強いロシア人女性の相手の男性は、何でも言うことを聞いてくれるとても優しいタイプという組み合わせが多くみられます。
逆のパターンでは男性が子供っぽく、女性が母のような役割でわがままを受け入れているという組み合わせもあり、結構両極端な印象です。
筆者の周りだけなのかも知れませんが、対等なパワーバランスのカップルはあまり見たことがありません。
でも、それがきっとお互いにとって良いバランスなのでしょう。
どの国でも全く性質の違う2人が惹かれ合うのは一緒ですね!
・男性の定番の贈り物
ロシアに来て、よく目にするのは男性が花束を買う姿です。
ロシアでは誕生日や3月8日の女性の日はもちろん、それ以外でも女性に花を贈る習慣があります。
好意のある女性へのアプローチに、仲直りのきっかけに、お世話になっている先生への感謝の印に、などなど、送る理由は様々です。
それは、バラ一輪だったり、ミニブーケだったり、大きな花束だったりそれぞれですが、お花を持って歩くカップルはとても多いです。
素敵な習慣ですね。
花を贈る習慣があるロシアでは、花屋はそこら中にあります。
駅前や駅の構内はもちろん、スーパーがあるのと同じような感覚であるので、いつでも花を買うことができます。
24時間営業の花屋も多く、それこそ思い立ったらすぐにプレゼントできるのでとても便利なんです。
お花でちょっと驚いたのは、空港でも花束を持って待つこと。
特に有名人を待っているわけではありません。
彼女や奥さん、お母さんを空港で迎えるときに、花束を持って今か今かと待っている姿にはほのぼのしますね。
お花をもらうのはやっぱり嬉しいですよね。
いつも一緒。女同士のおしゃべりにもパートナー同席
カップルに関するロシアあるあるは、カップルも夫婦もとにかくいつも一緒に行動する人達が多いこと。
もちろん、休日など一緒に過ごすのは日本でも当たり前なのですが、ひと味違うのです。
それは、女性同士の約束に彼氏やご主人がついてくること。
最初このシステムを知らなかった時に、立て続けに経験してかなりカルチャーショックでした。
でも、これは結構当たり前の感覚のようです。
女同士のおしゃべりを楽しみに約束していても、当日になって「主人も一緒だけどいい?」と急に聞かれることもあります。
もちろん拒否するわけにもいかず、一緒に会うことになります。
その場合は、当たり障りのない会話に終始し、話したかった深い話ができないまま終わることになるので、あまり会えない友達だとちょっと残念感はありますね。
ですから大事な相談や話がある時は、前もってやんわり伝えておく方が良いみたいです。
カップルが何組か集まることもあります。
例えば男性側が初対面で社交的じゃない場合は、集まっても結局カップルごとに行動することになって、よく分からない会になったという話も聞きました。
それでも一緒に行くのが不思議なところですが、大事な休みには、とにかく一緒にいるのが当たり前なんですね。
ロシアでの結婚適齢期は25〜35歳
結婚する年齢は、日本でも年々遅くなってきていますが、それはロシアでも同じです。
ロシア連邦の統計によると、特に女性の晩婚化が進んでいて、ここ10年で8~10歳程度遅くなり、25~35歳での結婚が多いようですね。
一方男性はここ10年間ほぼ横ばいで、女性の平均と同様25~35歳となっています。
筆者は仕事柄、勉強や仕事に力を入れている20代の女性と話す事が多いのですが、彼女達のほとんどが、結婚にそれほど興味や憧れがありません。
「将来結婚するかも知れないけど、今は考えられない」という意見が大半。
それはお付き合いしている彼がいても同じです。
例えば周りに既婚者や離婚歴のある友達が多い場合、「皆離婚するし、結婚が幸せだと思えない」という意見も。
それに20代の今は、自分の人生を考えることの方が大事ということです。
また、ロシアでは常に男性より女性の方が多く、男性が結婚するほうが簡単だと言われています。
ロシア国内の男女の比率は、男性46%女性64%で、女性は条件の良い男性を獲得するのにライバルが多いというわけですね。
ロシアの離婚事情。離婚が前提??
・若い世代の離婚についての考え方
以前に、今付き合っている彼と早く結婚したいという20代女性に会いました。
これは珍しいと思いよくよく話を聞いてみると、「早めに一度結婚すれば、離婚してももう一度やり直せるでしょ?」ということでした。
これを聞いて、結婚する前に再婚の事まで考えていることにちょっと驚きましたが、これがロシアの若者の現実的な考え方なのでしょうね。
・ロシアは世界一?
また残念ながら、ロシアの離婚率は世界一で約80%ともいわれています。
ですから、離婚歴があってもごくごく普通のことで、何度も結婚と離婚を繰り返す人も結構な数います。
女性にも収入がしっかりあれば1人でも十分子供を育てていけるので、何かあれば我慢せずに離婚ができます。
シングルマザーになっても金銭的に余裕があれば、ニャーニャさん(ベビーシッター)を雇えば忙しい仕事と家庭は両立できます。
何度も結婚して、子供の父親がみんな違ったり、元のご主人や奥さんとも交流があって、離婚してから良い関係になったという家族もあって、離婚の形も色々だなあと思います。
・ロシア人男性とママの関係
これは本当に良く聞く話ですが、ロシア人男性はマザコンが多いです。
とにかく、ママの言うことが正しくて1番。
妻よりもママの言うことを聞く男性が多いのです。
これは妻にとってはかなり大変な問題で、それが夫婦関係に亀裂を生じさせることも多いです。
離婚はしなくても、夫のママと一切連絡をとらないという女性もいます。
どちらかというと文化の違いや言葉の壁がある日露夫婦に頻繁に起こっている問題ですね。
マザコンの度合いが強いとママは平気で家庭にも入り込んでくるし、妻の力ではどうにもなりません。
ロシア語でコミュニケーションをとらなければならないし、文化だけでなく世代も違うとなかなか難しいですよね。
妻がロシア人であれば妻も強いです。
同じロシア人女性ということでその辺は自分で何とかできるパターンもあるみたいですが、残念ながら、このマザコン問題も少なからず離婚の一因にはなっているようです。
でも、長年連れ添った老夫婦を見かけると、本当にほのぼのしてしまうことがあります。
手を繋いだり、腕を組んだりして公園を散歩している姿は本当に素敵です。
大変な時代を一緒に生き抜いてきた歴史も、この安定感を醸し出すのでしょうね。
ロシアの恋愛・結婚観事情まとめ
ロシアが離婚率世界一だというのは意外だったかもしれません。
日本と同じく女性の社会進出が進み、結婚や離婚についての考え方も多様化しています。
その中で、ロシアでは女性だけが晩婚化しているのは興味深いですね。
ロシアで暮らしてみると、女性の強さをとても感じます。
激動の時代を生きてきたおばあちゃんの優しさを秘めた強さ、現代女性の何があっても自分を貫く強さ、色々な種類はあれど、ちょっとかなわないなあ、と思うことが多々あります。
生活の中でしか垣間見えないびっくりエピソードにも事欠きません。
やっぱりロシアは、知れば知るほど面白い国です。是非、皆さんにも興味を持っていただければ嬉しいです!