ポルトガルに移住するなら、ぜひ頭に入れておきたい税金の知識。
現地の生活で払うべき税金にはどんなものがあるのでしょうか?
ポルトガルの日本にはないちょっと変わった税金に関する制度など、生活する上で知っておきたい情報をお届けします。
ポルトガル生活・主な税金と社会保障
ここでは、みなさんのポルトガルでの暮らしに大きく関わる税金を紹介していきます。
ここでは、所得税、付加価値税、社会保障費の3つを紹介します。
- 付加価値税
- 個人所得税
- 社会保障費
日本での名称とは違い、聞き慣れないものがあるかもしれませんが、付加価値税は日本でいう消費税、社会保障費は健康保険料のようなもの。
日本と比べてそれぞれの税金のかかる割合も違ってきます。
移住してきたらまず税務署で手続きをしよう
日本からポルトガルへ長期滞在または移住する場合、、現地で何らかの給料を受け取る前に、最寄りの.税務署(Finanças)で手続きをしましょう。
ここでもらえる納税者番号(NIF)は、暮らしのいろんな場面で必要になるので大切です。
「居住者」か「非居住者」かによって支払うべき税金も変わってきます。
1月1日から12月31日までポルトガルに183日以上滞在する人は「居住者」、183日未満で滞在する場合は「非居住者」のとみなされます。
「居住者」にとっては、ポルトガル内だけでなく世界中の収入に所得税がかかります。
ポルトガルに住みながら日本で何かしらの収入(不動産など)がある方は、こちらも考慮に入れておきましょう。
いっぽう「非居住者」への所得税は、ポルトガルでの収入のみ対象で、税率は一律25%です。
付加価値税
付加価値税は消費税のようなもので、ポルトガルでは.IVAと呼ばれます。
ポルトガルは消費税率の高い国です。2019年の世界ランキングでも9位になりました。
IVAの税率は
- 23%
- 13%
- 6%
の3つがあります。(ポルトガル本土)
物やサービスにより税率が変わるのですが、生活に必要なものほど低くなっています。
6% – Taxa reduzida
穀物、肉、甲殻類、果物、野菜などの「主食」。本、新聞、医薬品、公共交通機関、ホテル宿泊費など。
13% – Taxa intermédia
喫茶店のコーヒー代、ワイン、ミネラルウォーター、文化イベントのチケットなど。
23% – Taxa normal
上記以外のぜいたく品、観葉植物、切り花、調理器具など。
こうして見ると、日本のように一律でないので、買い物の時に混乱するかもしれません。
でも表示価格が税込なので、税率の違いを意識させられることはありません。
ちなみにチューインガムはぜいたく品とみなされるようで、なんと23%もかかりますが、まったく気づかずに買っていました。
個人所得税(14.5〜48%)
ポルトガルの個人所得税率は.14.5%〜48%になります。(2020年時点)
世界のほとんどの国や日本と同じく、収入が高くなるほど税率が上がる累進方式です。
会社に勤めている方は、個人所得税がお給料から天引きされます。
下の表は、年収ごとの税率と、いくらまで控除ができるかが書いてあります。
2020年ポルトガル本土の所得税率表
年収(ユーロ) | 税率(%) | 控除(ユーロ) |
---|---|---|
7.112 未満 | 14.5 | 0 |
7.112 以上 10.732 未満 | 23.0 | 604.54 |
10.732 以上 20.322 未満 | 28.5 | 1,194.80 |
20.322 以上 25.075 未満 | 35.0 | 2,515.63 |
25.075 以上 36.967 未満 | 37.0 | 3,017.27 |
36.967 以上 80.882 未満 | 45.0 | 5,974.54 |
80.882以上 | 48.0 | 8,401.21 |
ここでは月給ごとの所得税率表を使って、お給料から実際に差し引かれる金額を計算してみましょう。
月給1500ユーロ、未婚、子無しの場合の所得税
上の表を見てもらうと、1,562ユーロまでは17.7%となっています。
よって、.1,500×17.7%=265.5ユーロ
ちなみに、個人所得税はポルトガルで.IRNと呼ばれます。
さまざまな手続きでお世話になることが多い市民センター(Loja de Cidadão)は、広いフロアにいろんな種類の窓口があり、どこに行けば良いのか迷うかもしれません。
所得税関係の手続きは、IRNと書いてあるセクションが目印です。
また、.今話題のゴールデンビザ保有者への所得税は減額対象で、一律20パーセント。配当、利子、キャピタルゲインについては非課税になっています。
関連記事:ポルトガルのビザ10種類の特徴や申請方法を徹底解説!
所得税の確定申告
ポルトガルで働いている人は、毎年4月頃に自分で納税申告をしなければいけません。
税務署でもらえる紙に記入するか、もしくはオンライン上でも申告可能です。
期限をすぎるとペナルティーを払わなければいけないので注意しましょう。
社会保障料
ポルトガルの社会保障料も、所得税と合わせて雇用収入から徴収されます。
会社に勤めている人は、自己負担が11%、雇用者側が23%ほど払ってくれます。
月給1500ユーロ、未婚、子なしの場合の金額:1500×11%=165ユーロ
所得税と社会保障料分を差し引いた手取り金額: 1500-267-165=1068ユーロ
社会保障の恩恵には、出産、育児手当、失業手当、障害者手当、年金などがあります。
また、ポルトガルの国の医療サービス(SNS)を受けるには、社会保障料を払っていなければいけません。そうでなければ、治療費を自分で負担することになります。
節税のポイント
節税のために、控除項目を増やすことがポイントです。
毎日生活していればかかる費用(家賃、光熱費、交通費、教育費、医療代など)が控除項目になります。
控除項目として認定されるには、各支払い時に、自分の納税者番号(NIF)を提示し、レシートを発行してもらわなければいけません。これらの情報は、自動的に税務当局のシステムに登録されます。
登録されたレシートは、オンライン上で見ることができ、毎年2月にはレシートの認証をする必要があります。ただログインして認証ボタンを押していけば良いので簡単ですよ。
納税者番号との付き合いは毎日のようにあるので、自分の電話番号は覚えていなくても税金番号は覚えている、なんてことにもなります。
納税者番号の入ったレシートは大きな力があり、サービス提供する側(お店や企業など)の脱税防止にもなるので国をあげて奨励されています。
「幸運の請求書」。高級車があたる?
領収書を請求することにより、ポルトガルならではの面白い特典があります。
それは”.Fatura da Sorte(幸運の請求書)”という、豪華商品が当たる抽選です。
しくみとしては、10ユーロの領収書ごとに1枚のくじが割り当てられ、毎週一回、年間52回の抽選に参加することができます。
当選者の発表は、公共テレビ局(RTP1)にて毎週木曜日8pm〜10pmに行われます。
テレビを見逃しても、財務ポータル Portal das Finanças にログインすれば、当選した納税者番号を見ることができます。賞品は高級車など豪華なもの。
まとめ
ポルトガルの大きな税収入で、私たちにも大きく関係しているのが、個人所得税、付加価値税、社会保障費の3つでした。
ポルトガルに移住したら、仕事や毎日の暮らしをスムーズに始められるように、税金番号(NIF)をできるだけ早く取っておくのがおすすめです。