フィリピン語学留学や観光、ブライダル面で名を広めているセブでの大学進学について、入学までのプロセス、志望校を決めるにあたってどのような点を見るべきか等を中心にまとめていきます。
セブで有名な3つの大学。選ぶ基準とは
現地人にセブで有名な大学を聞くと、一般的には3校が挙げられ、外国人がセブで大学に行くという時もほとんどが以下の3校のいずれかになります。
- University of Philippines(フィリピン大学)
- University of San Carlos(サンカルロス大学)
- University of San Jose-Recoletos(サンホセ大学)
それぞれについて、簡単にご紹介します。
University of Philippines(フィリピン大学)
ここは、日本でいう東大レベルだと言われている大学で、優秀な学生が集まっています。
入試も難易度が高く、特にインターナショナルスチューデントの場合は入学後に授業についていけるかどうかの確認として、様々なテストのスコア提示が求められます。
University of San Carlos(サンカルロス大学)
ここは、歴史のある大学で、セブでサンカルロス大学に通っていると言えば驚かれます。
世界の大学ランキングにもランクインしています。
インターナショナルスチューデントは入試に加えて、IELTS6.0以上が必要です。
University of San Jose-Recoletos(サンホセ大学)
サンカルロス大学と同様、歴史ある大学で知らない人はいません。
入試は筆記テストで、特に英語レベルのスコア提示はありませんが、インタビューでレベルを判断されるような雰囲気です。
インターナショナルスチューデントへの理解は相当高く、様々な国籍の生徒が在学しています。
どの大学を受験するべき?選ぶ基準について
3校の中だと、一番難易度の高い大学に挑戦するならばフィリピン大学になります。
しかし、例え入試にパスしたとしても、その後の講義についていけるかが問題となります。
一方、サンカルロス大学、サンホセ大学は日本でいう早慶に値するポジションです。
どちらの大学の方がレベルが高いかと言うと、学部によって変動がありますので、自身の希望する学部次第で決める方が多いです。
3校の大学が選ばれる理由
他にも現地学生が通う大学はある中で、なぜインターナショナルスチューデントは3校の中から選ぶ事が殆どなのでしょうか。
その理由は以下になります。
知名度
まずは、日本での就職を視野に入れた時に、その3校だとインターネットでの情報量が多いからです。
セブは語学留学や観光地として名が知られていますが、まだまだセブの大学へ進学することは滅多に見られません。
そんな中で就職活動をする際、企業が調べた際にハイレベルな大学として紹介される大学の方が有利になります。
実績のある学校
あまりにもローカルすぎる大学だとインターナショナルスチューデントを受け入れた実績がなく、VISAなどの手続き面でももスムーズにいきません。
一方、上記の3校のように毎年インターナショナルスチューデントが入学している大学だと、大学もプロセスに慣れている事と、しっかりと担当スタッフがいるので手厚いサポートを受ける事ができます。
ローカルすぎる大学だと英語が話せない人が多い
いくら小学生から英語で授業がされていたとしても、大学のレベルによっては、聞き取りはできてもディスカッションなどで発言するのはどうしても難しく、現地語が多くなってしまう事が多いです。
英語の勉強の為に行ったはずが、現地語ばかりが飛び交い、英語を話せない人が多い環境では本来の目的が果たせません。
その点、以上の3校では絶対に英語で講義が行われなければいけないので、本当に厳しい教授だと一言でも現地語が入ると、英語で話すよう注意する事も多々あります。
そのため、現地語が分からないインターナショナルスチューデントにとっては、最適な学校となります。
セブの大学に通うために必要な留学費用
学費は4年間で約60万円
大学により多少の変動はありますが、セブの大学の学費は4年間で約60万円と、日本の大学に比べて格段に安いです。
その他には、海外に住むとなると家を借りなければならないので、学費に加えて、安い所を見つけられれば
- 約100万円(月額2万円×4年間)、ジム付きプール付の所に住めば約200万円(月額4万円×4年間)
- 光熱費で約25万円(月額5000円×4年間)
となります。
学費と安い家を借りた場合の総額
項目 | 費用 |
---|---|
学費 | 約60万円 |
家賃約 | 100万円 |
光熱費 | 約25万円 |
総額 | 約25万円 |
他にもビザ代がかかってきたりもしますが、それを合わせても200万円前後となり、日本の4年制大学の半分くらいの金額で4年制大学を卒業する事ができます。
※2学期以外にサマークラスを実施している大学では、そのクラスに参加する事で単位を早く習得し早期卒業が可能になる事があります。
セブの大学に入学する方法(1年次)
ステップ1 : まずは大学へ
まずは受験する大学へ行き、必要な書類を明確にします。
必要書類はどこの大学も重なる物が多いですが、わずかに違いがあるので、希望する大学が複数ある場合は全ての学校に一度足を運ぶ必要があります。
また、大学内にインターナショナルスチューデントオフィスがあるので、まずはメイン窓口でそれがどこにあるのか尋ねます。
そこでは、必要な書類、筆記テストの内容やインタビューの有無についての入試情報、入学時期についてなど、その他詳細を聞きます。
※入学月は大学によります
ステップ2 : 書類準備
それらが明確になったら、次は書類準備に移ります。
書類は
- 戸籍謄本
- 銀行残高証明書
- 犯罪履歴証明書(無犯罪履歴)
- 高校からの卒業証明・成績表
などです。(IELTSやTOFELのスコアが必要な大学もあります)
それらを英語翻訳後、日本にあるフィリピン大使館でレッドリボン(簡単に言ってしまえば日本国内で発行された書類を海外でも有効にするための手続き)が必要になります。
無犯罪履歴証明書は、警察署へ本人が足を運び、書類記入、指紋を取ってもらい、後日本人が取りに行きます。(郵送不可)
このように、全ての書類が揃うまでにはある程度の期間が必要となり、レッドリボンを通して全ての書類を提出してからではないと受験ができないので、早めに準備に取り掛からなければなりません。
個人でも相当な努力をすれば準備ができますが、書類の不備など1つのミスで受験できなくなってしまう可能性もあるので、多くの方はエージェントに委託して、代理可能な書類は準備してもらい、本人が足を運ばなければならない書類については指示を仰ぐようにする事が多いです。
ステップ3 : 受験
書類を全て提出すれば、受験になります。
受験さえできれば、後は学校が入学にあたる手順を提示してきてくれるので、自身で準備するのはステップ2までです。
編入方法
準備する書類は同じ
編入する場合でも準備する書類、方法は同じになります。
しかし、もし日本の大学に既に在籍している場合は、高校からの証明書は不要になる代わりに、大学から証明書・成績書発行をしてもらう必要があります。
単位変換
互換性がある教科についての取得単位は有効となりますが、その他の教科、特にセブ特有の教科を含めた単位については新たに単位を取らなくてはなりません。
そのため、普通の学生よりも忙しくなる事が多いです。
最終取得単位数
単位数は大学・学部によりますが、経営学の場合の最終取得単位数は173単位で、日本の友人にはとても多いと言われます。
また、コミュニケーション学部は190単位近くと、学部によっても差があります。
セブの大学へ通うメリットは何なのか?
メリット
全ての講義を英語で受ける事ができる
フィリピンでは小学校から全教科の授業が英語で行われているので、大学生は相当な英語力があり、できない方でも最低でも日常会話レベルの英語力を持っています。
文化の違いに深く触れる事ができる
大学で毎日現地人と過ごす事で、留学や旅行のような短期的な目では見えてこないフィリピン人の人柄や文化を体験できます。
また、日本で生活できる事への有難み、自分がどれだけ恵まれているのかという事を身に染みて実感することができます。
自然と英語力を上げる事ができる
毎日英語に触れるので、TOEICなどの英語力を数値化できるテストにおいても、テスト対策をした訳ではないのに、たまに受けると点数アップしている方が多いです。
日本の就職ではTOEICスコアは加点になるので、将来的にも役立ちます。
カリキュラム
大学・学部によっては日本の学生よりも早く4年制の大学を卒業できます。(3年半)
※最後の半年はインターンシップで日本でできるでセブ滞在は実質3年(できない学部もあるので受験前に要確認)
また、入学時に4年間の単位一覧が書かれているスケジュール表のような物が渡され、どの学期にどの講義を受けたら良いかというようなガイドが全て書いていますので、単位を落とさずに全てそれに沿えば絶対に卒業する事ができ、自分でスケジュール構成をする手間も省けます。
デミリット
文化の違い
フィリピン人はすべての人が宗教を持っていると言っても過言ではありませんので、1番の違いは宗教面からの物が多いです。
毎日が神への問いかけと感謝なので、日本人で宗教を持っていない方には理解しがたい事があるかもしれませんし、逆に現地人からすると、神を持たない事が信じられないというような反応をする方が多いです。
毎講義の始まりにお祈りの時間があったり、他にも1日数回お祈りの時間を設けている大学もあります。
たまに教授・生徒共に現地語を話す
先程も少し触れましたが、小学校から教育のすべてが英語で行われてるとはいえ、あくまでも英語は私たちと同じように第二言語であり、第一言語は他にあります。
他の大学ほどではありませんが、より深い感情を現したり、授業が奥深いトピックになるときは生徒は発言時に現地語で教授に話すこともあります。
最低でも教授の話す授業の内容が理解できれば良いのでさほど問題ではありませんが、そのトピックに対しての自分の意見との反対意見を現地語で話されると理解できない事や、そういう意見もあるんだというような共感が薄れる事は少し残念でもあります。
教授はジョークなどは現地語でいう事があるくらいで、授業は全て英語で行われますし、特にインターナショナルスチューデントがいるという認識をしてもらえれば気も使ってもらえます。
価値観の違い・深い友達ができにくい
育った環境、思考が全く違うので、日本の様に一生物の友達は作りにくいです。
もちろん大学内で一緒に行動するだけの友達くらいならば、フィリピン人は日本人が大好きなので数えきれないほどできますが、何か相談できたり、本当の意味で心の支えになる友達を作る事は、価値観や言語面で難しい点でもあります。
物価もかなり違うので、私たちにとってはファミリーレストラン感覚の場所でもフィリピン人にとっては高級レストランになる事もあり、夕飯を一緒に食べに行ったり、休日に一緒にショッピングをするという事も少し難しいかも知れません。
その点においては、セブに住んでいる日本人、韓国人、中国人、台湾人の友達がいると学校生活以外のプライベートな面は充実します。
フィリピンの大学生生活のリアルを紹介
勉強環境について
筆者は実際に留学、大学生活を通して2年弱になりますが、フィリピン人への一番の印象はかなりの勉強熱心だという事です。
学費である約60万円という金額は、日本での数百万円相当となります。
そのため、親に高額な学費を払ってもらっているのだから期待に応えようと、バイトも一切せずに勉強する方が多いです。
それに影響されて、自分も頑張らなければとモチベーションにも繋がります。
また、日本では高校生でもスーパーで働けますが、フィリピンでは職への競争率が激しいため、大卒の人がスーパーで働いていたりもします。
そういったことから、大学生は少しでも良い職に就こうと頑張ります。
授業面について
授業面では、全ての授業に出席確認があり、1学期中に10回休むと単位がもらえなくなります。
そのため、出席するのが当たり前、講義を欠席するのは緊急事態(病気、身内の不幸など)のみになります。
全休は不可能に等しい
日本に比べて単位数が50単位くらい多く、1学期内での取得単位数も多いので、全休を作る事は不可能に近く、4年間は月曜日から金曜日まで毎日学校へ行くことになります。
総合単位の内の最後の半年はインターンシップになりますが、学部長・学科長に相談すれば日本でインターンシップをして単位習得する事ができます。
インターナショナルスチューデントへの理解度
大学によってインターナショナルスチューデントへの対応は大きく変わり、理解が浅い大学もあるので、受験前の見学では、インターナショナルスチューデントが何人くらい在校しているのかも確認しておく事が必要です。
エアコンの有無
セブは年中夏なのにもかかわらず、ローカルな大学はエアコンがない事が多いですので、その確認も大切です。
たまにエアコンが壊れている時がありますが、本当に暑くて勉強どころではありません。
セブで生まれ育った現地人は慣れているのかも知れませんが、日本人はエアコンがついている大学にした方が良いです。
まとめ
フィリピンは日本に比べると後れをとるものもありますが、生活していて手に入らなくて困るような物はありません。
特にセブは観光地で、出かけるには沢山の場所があり、休日には車で1時間もあればキレイなビーチに辿り着きリフレッシュする事もできます。
観光客も多く、各建物のセキュリティも頑丈なため治安は良いですし、セブの人は日本人が大好きなので大変住みやすい街です。
以上の情報は私の大学(サンホセ大学)についての情報に偏っていますので、セブの大学へ入学・編入を検討している方は、旅行がてら気になる大学に一度見学へ行ってみてはいかがでしょうか。
フィリピン大学:https://www.up.edu.ph/index.php/tag/up-cebu/
サンカルロス大学:http://www.usc.edu.ph
サンホセ大学:https://usjr.edu.ph